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ジェイソン・ライトマン
Jason Reitman

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鑑賞本数 合計点 平均点
 アイヴァン・ライトマンの息子
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
2020 ゴーストバスターズ アフターライフ 監督・脚本
2019
2018 フロントランナー 監督・製作・脚本
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009 マイレージ、マイライフ 監督・製作・脚本
ジェニファーズ・ボディ 製作
クロエ 製作総指揮
2008
2007 JUNO ジュノ 監督
2006 サンキュー・スモーキング 監督・脚本
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977 10'19 モントリオールでアイヴァンの子として誕生

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ゴーストバスターズ アフターライフ
<A> <楽>
アイヴァン・ライトマン
ダン・エイクロイド
ギル・キーナン
ジェイソン・ブラメンフェルド
マイケル・ビューグ
アーロン・L・ギルバート
ジェイソン・クロース(製)
ギル・キーナン
ジェイソン・ライトマン(脚)
キャリー・クーン
フィン・ウォルフハード
マッケナ・グレイス
アニー・ポッツ
ポール・ラッド
ローガン・キム
セレスト・オコナー
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 オクラホマ州サマーヴィル。ここの農場を買い込んだイゴン・スペングラー(ライミス)は、以降変人として町に知られるようになっていた。そんな彼が変死してしまい、農場は娘でシングルマザーのキャリーが受け継ぐことになった。アパートの追立をくらってしまい、住むところを失ったキャリーは息子のトレヴァーと娘のフィービーを連れて農場に住むことになる。ティーンエイジャーながら多くの発明品を作っていたフィービーは祖父イゴンの遺品を整理するうち、床下に隠された不思議な装置を見つけ、トレヴァーは納屋に隠された1台の車、キャディラック ECTO-1を発見する。

 1984年。この年は私にとって初めて劇場で映画を観て感動した年だった。改めて考えると、劇場でこんなに映画観たのは初めてだった。日本のアニメーションが多かったが、洋画だけでも『グレムリン』『スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!』『ネバーエンディング・ストーリー』『プロジェクトA』、そして『ゴーストバスターズ』があった。
 …あれ?こんなに観てたんだ。今考えても凄い数だな。なんでこんな金あったんだ?…と思ったら、この年お年玉を親に渡さなかったんだったか。
 その中で一番大好きだったのは『ゴーストバスターズ』だったのは間違いない。なんせ初めて買ったサントラレコードはこれだったから。毎日のように聴きまくっていた。そんなもんで『ゴーストバスターズ2』(1989)も観に行ったのだが、こちらの出来の悪さもあったし、それなりに映画も見ていくうちに目も肥えていた。これでシリーズも終わりだと思った。
 そんな折、2016年にリブート版の『ゴーストバスターズ』が公開されたが、これは全く観る気になれなかった(つい最近観たが、結構面白かった)。実際気持ちとしては離れていたと思う。
 それでも本作を観ようと思ったのは、監督のネームバリューに他ならない。実際お気に入りの監督の一人だし、何よりアイヴァン・ライトマンの息子である。父親の跡を継いで作ろうなんて燃えるじゃないか(しかも公開直後にアイヴァン逝去という悲しいニュースも流れてきた)
 で一見。
 正直なことを言わせてもらうと「安っぽい」だった。でもそれ自体悪口ではない。限られた予算をきちんとコントロールして、ちゃんと面白い作品に仕上げてくれたのだから。そもそもアイヴァンとジェイソンでは作風が全く違う。金かけた大作を得意として、夢のような派手で笑える作風のアイヴァンに対して、丁寧な作りで人生に直結したしみじみした作風を得意とするジェイソンは、自分の作風を最大限生かそうとして本作を作ったように思う。父親の真似して無理矢理作るよりずっとこの方が良い。
 実際派手ではあったものの、かなり大味だったオリジナル版よりもずっと脚本が練られているし、なによりキャラの性格の掘り下げが良い。特に主人公であるフィービーが実に良い。ビジュアル的にもティーンエイジャーでくせっ毛眼鏡って、アメリカ人が考えるギークキャラそのものの典型で、言ってることも典型なのだが、実力があるためにほぼ腕力で真っ直ぐ突き抜けている。このパワフルさは観てるだけで心地良い。アイヴァン・ライトマンよりもジョー・ダンテっぽさがあって、その懐かしさが心地良い。まさにエイブラムズ監督が『SUPER 8 スーパーエイト』(2011)でやろうとしてきたことそのものである。80年代にノスタルジーを持つSF好きだったら、これはたまらない。
 そしてキャラと言えば当然前作からの継続して登場する面々には本当に感動する。唯一の故人であるハロルド・ライミスを除けばオリジナルメンバーが勢揃いしたのは、みんな老人だからこそ心に沁みわたるし、アーカイブとは言えちゃんとライミスも登場して一緒に戦ってるのも良い。

 こうなってほしいという続編の形がまさしくここにある。40年も過ぎてしまったが、今の時代にもぴったり合った作品が目の前にあるだけで嬉しくなるもんだ。
製作年 2020
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
フロントランナー
<A> <楽>
ジェイソン・ライトマン
ヘレン・エスタブルック
アーロン・L・ギルバート
マット・バイ
ジェイ・カーソン
マイケル・ビューグ
ジェイソン・ブラメンフェルド
ジョージ・ウォルフ
ジェイソン・クロース
クリストファー・コノヴァー
エドワード・カルペッツィ(製)
マット・バイ
ジェイ・カーソン
ジェイソン・ライトマン(脚)
ヒュー・ジャックマン
ヴェラ・ファーミガ
J・K・シモンズ
モリー・イフラム
アルフレッド・モリナ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
原作:マット・バイ
 1988年。レーガン大統領の任期満了に伴う大統領選で上院議員のゲイリー・ハート(ジャックマン)は史上最年少で民主党の大統領候補となり、熱狂的な支持を集めていた。ところが選挙遊説が始まった矢先、マイアミ・ヘラルド紙に不倫スキャンダルがスクープされてしまう…
 大統領候補とされながらスキャンダルで政界を追われた実在の政治家を描いた作品。
 ただ、この人物が有名か?と言われると疑問。1988年の大統領選といえば、それまでのレーガン大統領が作り出したいわゆるレーガノミックスによって史上最大の好景気(ちなみにそれ以上に日本はバブルによって好景気だったため、あまり目立って見えないが)で、更にさほどスキャンダルも無かったため、それを引き継いだ共和党候補が大統領になるだろうと思っていたし、今となっては民主党の候補は調べないと誰だか分からない(ちなみにマイケル・デュカキス)。そんな存在感のない民主党の、しかも指名を得られなかった大統領候補なんて分かるはずがない。
 そんな
マイナーな候補者の、しかもスキャンダルによる失敗を描こうとしたということにまずは賞賛したい(ただ、ゲイリーは当時のハリウッドリベラルからは絶大な支持を集めた人物だそうで、アメリカではかなり有名な人物らしい)。
 この役にジャックマンはまさにぴったりの配役で、ジャックマンのために作られたのではないかと思えるくらい見事なはまり具合だった。
 演出もほどよく緊張感があるし、一つ一つの画面にちゃんとキャラ立ちしているのも好印象。出来るだけキャラを絞って、出来るだけ無駄がないように作られてるので、とてもすっきりしてる。

 ただ一方、正直
観ていて楽しくない。スキャンダルで防戦一方になる人の姿は現実世界でも見ていて痛々しいものだが、映画でそれをやられると、観ている側としてはとても辛い。
 どうにもいたたまれなくなってしまうのだが、それも含めて監督の狙い通りなのかもしれない。
マイレージ、マイライフ 2009
2009米アカデミー作品賞、主演男優賞(クルーニー)、助演女優賞(ファーミガ、ケンドリック)、監督賞、脚色賞
2009英アカデミー脚色賞、
作品賞、主演男優賞(クルーニー)、助演女優賞(ファーミガ、ケンドリック)、編集賞
2009NY批評家協会男優賞(クルーニー)
2009LA批評家協会脚本賞
2009ゴールデン・グローブ脚本賞、
作品賞、男優賞(クルーニー)、助演女優賞(ファーミガ、ケンドリック)、監督
2009放送映画批評家協会脚色賞、作品賞、主演男優賞(クルーニー)、助演女優賞(ファーミガ、ケンドリック)、アンサンブル演技賞、監督賞、編集賞
2009AFIベスト10
2009ナショナル・ボード・レビュー作品賞、主演男優賞(クルーニー)、助演女優賞(ケンドリック)、脚色賞
2009ロジャー・エバートベスト10
2009ピーター・トラバースベスト第2位
2009AFIベスト10
2009
タランティーノベスト第10位
2009ロジャー・エバートベスト
2009米俳優組合主演男優賞(クルーニー)、助演女優賞(ファーミガ、ケンドリック)
2009アメリカ製作者組合作品賞

2009
アメリカ監督組合賞
2010MTVムービー・アワードブレイクアウト・スター賞(ケンドリック)

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アイヴァン・ライトマン
ジェイソン・ライトマン
ダニエル・ダビッキ
ジェフリー・クリフォード
トム・ポロック
ジョー・メジャック
テッド・グリフィン
マイケル・ビューグ(製)
ジェイソン・ライトマン
シェルドン・ターナー(脚)
ジョージ・クルーニー
ヴェラ・ファーミガ
アナ・ケンドリック
ジェイソン・ベイトマン
ダニー・マクブライド
メラニー・リンスキー
エイミー・モートン
サム・エリオット
J・K・シモンズ
ザック・ガリフィナーキス
クリス・ローウェル
スティーヴ・イースティン
アディール・カリアン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
マイレージ、マイライフ <A> <楽>
ウォルター・カーン (検索) <A> <楽>
 企業のリストラ対象者に解雇を通告する仕事で年間322日間も出張しているライアン・ビンガム(クルーニー)。彼にとって人間関係も仕事もあっさりと淡泊にこなし、結婚願望も持たず、ただマイレージを1000万マイル貯めることが目下の人生目標となっていた。そんな彼がいつものようにバーで出会ってベッドを共にしたキャリアウーマンのアレックス(ファーミガ)、すぐに意気投合し、互いに割り切った関係を楽しむことになった。そんな時、ライアンの会社に入社した将来を嘱望される新人女性ナタリー(ケンドリック)の教育係にされてしまったライアンだが…
 これまでたった2本の映画しか監督していないのに、その骨太な内容とバランスの良い作りで既に大物監督の貫禄があるライトマン監督による最新作
(父のアイヴァン・ライトマンも製作で参加)
 主人公がクルーニーで、予告ではいかにもロマコメっぽい感じ。年齢の離れた二人の恋愛劇?と、そんな気はしていたのだが、良い意味でこの作りには裏切られた。やはりライトマン監督だけあって、どっしりとした作りで一人の男の生き様そのものを描いた作品だった。
 主人公のライアンは、
自己流の哲学を持ってそれに準じた生き方をしている。かなりのワーカホリック、人に対しては常に上から目線、良い女はとりあえず口説き、年若い女性にはあたかも父親のように接するが、結婚する気は持っていない。この姿はそのままセレブとしてのクルーニーの姿にかぶさっている。それが虚像なのか実像なのかはともかくとして、一般に認められるクルーニーの姿って本当にそのまんまだろう。
 これは結局、役そのものがクルーニーに合わせて作られたようなものであり、そんなクルーニーにも寂しさがあるんだ。と思わせるのが本作の楽しさとなっている。

 それで、ここまで実像と虚像を似せて良いの?とか作品観てる間はニヤニヤした思考で考えていたのだが、改めて考えてみると、
これは別段新しい事じゃない
 それこそ50年代の映画俳優は、こう言う実体と虚像をすりあわせたような役の人が多かった。例えばアメリカン・ドリームの体現者としてのゲイリー・クーパー、アメリカ的古風な父親役としてジョン・ウェイン、渋さと隙を併せ持つハンフリー・ボガート、真面目一徹なグレゴリー・ペックなど、どれも役そのものだけでなく、私生活までそう言う生活をしているのかのように思われていた。当人達も役のイメージを崩さないように私生活でも注意していたし、あの頃は
役者と劇中の人物像が密接に結びついていたものだ
 いつしかその辺は崩れていき、役者は「役は役、自分は自分」という姿が当たり前になってしまった
(その方が健全ではあるのだが)。そんなハリウッドセレブ達の中で、自覚的に虚像を上手く作り上げている人は、今やクルーニー一人になってしまった感がある。他にも作ってる人はいるのだろうが、それが本当に上手く行ってる人ってほとんどいない。大体スキャンダルでボロが剥がれる。まさしく本作はクルーニー以外には演じることが出来ない。まさにキメ打ち作品。

 そう言う立場を前提として作られた本作は、まさしく昔に作品を楽しんで観られる人にとっては懐かしさと心地よさをもって受け入れられるだろう。更に内容も現代に即したハイセンスなミドルエイジ・クライシスを扱っているので、今の人にも楽しめる。お陰で間口がとても広く、多くの人が楽しめる好作に仕上げられた。コメディに偏ることなく、かと言って切実になりすぎることもなく絶妙なバランスも持っているので、幅広い層に楽しんでもらえそう。
本当にライトマンって、弱冠30代半ばで既に巨匠の域に入り込んでるな。

 後、本作の場合、邦題タイトルがなかなか小憎らしい。原題の
『UP IN THE AIR』(これもファーストシーンとラストシーンで効果的に使われているが)を『マイレージ、マイライフ』にしたのは、久々の邦題のヒットかも。サービス受けてるつもりが、いつの間にか逆転してしまい、ポイントを溜めることそのものを目的にしてしまいがちな人の心理を上手く突いた題だし、こっちの方がむしろ作品の内容的にも合ってる感じ。ちょっと身につまされるところもあるんだけどね。全然使っておらず溜まりっぱなしのあれこれのカードとか…
JUNO ジュノ 2007
2007米アカデミー脚本賞、作品賞、監督賞、主演女優賞(ペイジ)
2007英アカデミー脚本賞、主演女優賞(ペイジ)
2007シカゴ映画批評家協会脚本賞、主演女優賞(ペイジ)、有望俳優賞(セラ)
2007トロント映画祭主演女優賞(ペイジ)、
脚本賞
2007ゴールデン・グローブ作品賞、女優賞(ペイジ)、脚本賞
2007インディペンデント・スピリット作品賞、主演女優賞(ペイジ)、新人脚本賞、
監督賞
2007放送映画批評家大賞脚本賞、コメディ映画賞、
作品賞、主演女優賞(ペイジ)、アンサンブル演技賞、若手男優賞(セラ)
2007ゴッサムブレイクスルー俳優賞(ペイジ)
2007ナショナル・ボード・オブ・レビューブレイクスルー女優賞(ペイジ)、オリジナル脚本賞、トップ10
2007AFIトップ10

2007ロジャー・エバート1位
2007ピーター・トラヴァースベスト第10位

2007ゴールデン・トマト・アウォーズコメディ、
大規模公開作品第6位
2007アメリカ脚本家組合オリジナル脚本賞
2008MTVムービー・アワード女優賞(ペイジ)、
作品賞、男優賞(セラ)、キス・シーン賞、ブレイクスルー演技賞(セラ)
<A> <楽>
ディアブロ・コディ(脚)
エレン・ペイジ
マイケル・セラ
ジェニファー・ガーナー
ジェイソン・ベイトマン
オリヴィア・サールビー
J・K・シモンズ
アリソン・ジャネイ
レイン・ウィルソン
アイリーン・ペッド
ダニエル・クラーク
ヴァレリー・ティアン
エミリー・パーキンス
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
タイトル
<A> <楽>
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
書籍名 <A> <楽>
著者名 (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
サンキュー・スモーキング
Thank You Smoking
2006ゴールデン・グローブ作品賞、男優賞(エッカート)
2006ワシントンDC映画批評家協会脚色賞
2006インディペンデント・スピリット脚本賞、主演男優賞(エッカート)
2006放送映画批評家協会若手男優賞(ブライト)、コメディ作品賞
2006ナショナル・ボード・オブ・レビュー新人監督賞、優秀インディペンデント作品賞
2006
NYオンライン映画批評家協会トップ10
2006サンディエゴ映画批評家協会Best Adapted Screenplay
2006アメリカ脚本家組合オリジナル脚色賞
<A> <楽>
デヴィッド・O・サックス
ピーター・シール
イーロン・マスク
マックス・レヴチン
エドワード・R・プレスマン
ジョン・シュミット
アレサンドロ・キャモン
マイケル・ビューグ(製)
ジェイソン・ライトマン(脚)
アーロン・エッカート
マリア・ベロ
デヴィッド・ケックナー
キャメロン・ブライト
ロブ・ロウ
アダム・ブロディ
サム・エリオット
ケイティ・ホームズ
ウィリアム・H・メイシー
J・K・シモンズ
ロバート・デュヴァル
キム・ディケンズ
コニー・レイ
トッド・ルイーソ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ニック・ネイラー(エッカート)は「タバコ研究アカデミー」の広報部長として、厳しさを増すタバコへの攻撃をかわすため連日マスコミの矢面に立って戦い続ける忙しい日々を送っていた。そんなやり手のニックの新たな使命は、ハリウッドのトップスターが映画の中で効果的に一服するシーンをいれる事だった。別れた妻と暮らす息子のジョーイ(ブライト)を連れて、ハリウッドに乗り込んでいく…
 煙草の害が語られる昨今、そんな風潮から真っ向から対立するような、煙草擁護の話が展開していく。わたし自身が喫煙者でもあるし、ほう、こんな映画があったんだ。とちょっと興味を惹かれて観てみたのだが、ある意味これは大きく騙された
 本作の場合、実は煙草がいう作品じゃなくて、ディベートの面白さについて描いた作品だった。アメリカのジョークの一つとして、「営業のプロとして、必要なものを買わせるのは二流。必要と思わせることが出来て一流」などと言われることがあるが、ここでのエッカート演じるニックがやってることはまさにそれ。煙草に害があろうが無かろうが、そんなことは彼にとっては意味がない。要するに、より多くの人に煙草を吸わせればそれで良いのだから。ここまで割り切ってこそ、本当の広告人と言えるのだろう。
 仮にここでのニックが煙草禁止の立場に立っていても、多分同じ論調で煙草を吸いたくさせなくしてくれるはず。だけど、敢えて困難なディベートに挑み、それを成功させることの魅力に取り憑かれてしまった男なのだ。難しければ難しいほど燃える。そんな男の魅力に溢れた作品とも言えるだろう。
 そのために本作は喫煙者にとっては、結構耳が痛いところも多々あり。喫煙者は誰だって煙草に害があることは知っている。それを今更言われると腹が立つのだが、それを承知の上で煙草の良さを延々と語られると、逆に聞いている方が耳が痛くなって…面と向かって否定されるよりも、逆に真綿で首を絞められてるような気分にさせられてしまう。

 ただ、本作の場合、本質はもうちょっと違ったところにあると思う。何故ここで敢えてハリウッドに乗り込んでいったか。それは古い映画の喫煙シーンを改ざんしてしまおう。という現在の流れに「No!」を叫ぶためにあったとも思える。煙草を吸っているシーンがあるのならば、それはそれで良いじゃないか。禁煙協会が言うように、そんなことで煙草の害を言うのは間違ってる。これに関しては大いに賛成。表現を規制することが禁止につながるなんてのは与太話。過去にあったことはあったものとして受け取る心の余裕こそ本当は必要なのだから。

 とにかく煙草云々よりも、もっと口が巧くなりたい。という思いにさせてくれたことが本作の最も大きな収穫だった。

 ところで本作の監督ジェイソン・ライトマンはアイヴァン・ライトマン監督の息子。それで息子がこういう作品を作ってる、その時に父親が何を作っていたかというと、『Gガール 破壊的な彼女』だったりするあたりがなんというか…いろんな意味で皮肉に満ちた作品である事は確か。
製作年 2006
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
ニコチン・ウォーズ <A> <楽>
クリストファー・バックリー (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
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