2020 | 8日で死んだ怪獣の12日の物語 −劇場版− 監督・脚本・造形 | |||||||||
8日で死んだ怪獣の12日の物語 監督・脚本 | ||||||||||
2019 | ラストレター 監督・製作・原作・脚本・編集 | |||||||||
2018 | チィファの手紙 監督・原作・脚本・編集・音楽 | |||||||||
2017 | チャンオクの手紙 監督・脚本・音楽 | |||||||||
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 原案 | ||||||||||
2016 | リップヴァンウィンクルの花嫁 監督・原作・脚本・編集・ミキサー | |||||||||
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2015 | 花とアリス殺人事件 監督・製作・原作・脚本・音楽 | |||||||||
恋する都市 5つの物語 製作 | ||||||||||
2014 | なぞの転校生<<TV> 製作・脚本 | |||||||||
2013 | 遠くでずっとそばにいる 音楽 | |||||||||
2012 | friends after 3.11 vol.2 監督・製作 | |||||||||
新しい靴を買わなくちゃ 製作 | ||||||||||
FUKUSHIMA DAY 製作 | ||||||||||
2011 | ヴァンパイア 監督・製作・脚本・撮影・編集・音楽 | |||||||||
friends after 3.11 監督・出演 | ||||||||||
2010 | DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう? 製作総指揮 | |||||||||
2009 | BATON バトン 製作・脚本 | |||||||||
2008 | ニューヨーク、アイラブユー 共同監督 | |||||||||
ハルフウェイ 製作 | ||||||||||
2007 | ||||||||||
2006 | 市川崑物語 監督・脚本 | |||||||||
虹の女神 Rainbow Song 製作 | ||||||||||
2005 | ||||||||||
2004 | 花とアリス 監督・製作・脚本・編集・音楽 | |||||||||
2003 | 花とアリス 監督・脚本・音楽 | |||||||||
2002 | Jam Films 「ARITA」監督・脚本・音楽 | |||||||||
2001 | リリイ・シュシュのすべて 監督・原作・脚本 | |||||||||
2000 | ||||||||||
1999 | 少年たちは花火を横から見たかった 監督・企画 | |||||||||
1998 | 四月物語 監督・脚本・編集 | |||||||||
1997 | 毛ぼうし 監督・脚本 | |||||||||
1996 | 円都 YEN TOWN 出演 | |||||||||
¥en Town Band Swallow Butterfly 監督 | ||||||||||
FRIED DRAGON FISH THOMAS EARWING'S AROWANA 監督・脚本 | ||||||||||
PicNic 監督・脚本・編集 | ||||||||||
スワロウテイル 監督・脚本・編集 | ||||||||||
ACRI 原作・脚本 | ||||||||||
1995 | Love Letter 監督・脚本・編集 | |||||||||
1994 | Undo "アンドゥー" 監督・原作・脚本 | |||||||||
1993 | 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 監督・脚本 | |||||||||
1992 | GHOST SOUP 監督・脚本 | |||||||||
1991 | ||||||||||
1990 |
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1989 | ||||||||||
1988 | ||||||||||
1987 | ||||||||||
1986 | ||||||||||
1985 | ||||||||||
1984 | ||||||||||
1983 | ||||||||||
1982 | ||||||||||
1981 | ||||||||||
1980 | ||||||||||
1979 | ||||||||||
1978 | ||||||||||
1977 | ||||||||||
1976 | ||||||||||
1975 | ||||||||||
1974 | ||||||||||
1973 | ||||||||||
1972 | ||||||||||
1971 | ||||||||||
1970 | ||||||||||
1969 | ||||||||||
1968 | ||||||||||
1967 | ||||||||||
1966 | ||||||||||
1965 | ||||||||||
1964 | ||||||||||
1963 | 1'24 宮城県で誕生 |
8日で死んだ怪獣の12日の物語 −劇場版− | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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新型コロナウイルスの蔓延のため、自宅待機を余儀なくされたサトウタクミ(斎藤工)は、暇を持て余していた。そんな時、ネットで「怪獣の卵」というのが売られていることを知り、通販でそれを入手する。小指の先くらいの大きさの紙粘土の塊みたいなその卵は、毎日変化を繰り返していく。なんか楽しくなったタクミは知り合いの監督(樋口真嗣)や俳優仲間の丸戸のん(のん)やオカモトソウ(武井壮)らとスマホ同士で話し合いながら怪獣の成長を楽しみにしていく。 2020年になって急激に蔓延した新型コロナウイルス。爆発的な感染者の増加と、それによる死者の増加に対し、世界各国で対応に追われることになった。 その中で日本が行ったものは法的なものは海外渡航の制限および各自治体による判断で学校の閉鎖。一般の国民に対して政府が行ったことは、自粛“要請”が主なものだった。ロックダウンと呼ばれる都市封鎖は日本ではおこなれることなく、あくまで自主判断に任された。 それが良かったのか悪かったのかは後年の判断を仰ぐしかないが、他の国々と較べてかなり弱腰の対応となった。 そして4月半ばから政府の“お願い”による自主的な行動制限に従って、多くの人たちが自宅に籠もって過ごさざるを得なくなっていった。 当然その間はメディア関係も自粛となり、それまで行われてきたテレビドラマや映画撮影などが軒並み中断された。 この中でクサッてしまう人も多い中、それでも独自の配信を試みた人たちもいた。 最初に声を上げたのが樋口真嗣監督で、Youtubeを用いて「カプセル怪獣計画」という企画を立ち上げた。これはコロナウイルスを見えない怪獣とみなして、コロナと戦うカプセル怪獣をリレー形式で動画配信しようというもの。これには多くの著名な監督や俳優などが乗っかって様々な動画を配信した。実際行動制限を受けてしまった身としては動画を観るくらいしか楽しみがないので、丁度良かったし楽しめた。 当初この企画は投稿者が持っている怪獣のフィギュアを使うとか、持ってない人は知識を披露して見えないカプセル怪獣の戦いを解説したりというのが主だったが、ものの数日の間にストーリー仕立てでこれを見せようとした監督がいた。 それが岩井俊二だった。斎藤工を主人公に、カプセル怪獣を通販で買った役者が、次々形状を変えていく怪獣に翻弄されていくというストーリーを作り上げ、二週間ほど掛けて一本の筋の通った物語を動画配信した。 そして更にこの作品を膨らませて、何人かの役者を加えた上で、ほぼ完全リモート作品としてあっという間に作り上げたのが本作となる。カプセル怪獣計画の企画開始が4月28日。本作の元となった「8日で死んだ怪獣の12の物語」が5月20日から配信。そして劇場版公開が7月31日。通常の映画では考えられないものすごいスピードで完成された、世界初のリモート特撮作品となった。 このオリジナルとなった「8日で死んだ怪獣の12の物語」は配信当初から観させてもらったが、最初はぶつぶつ喋る斎藤工に違和感を覚えつつ、意外にちゃんとした物語に驚かされた。ちゃんと怪獣なり宇宙人なりの個性も把握した発言もしてるし、特撮ファンとしてもかなり満足度の高い作品だった。 それで劇場版ねえ?微妙だよな…とか言いつつ、いそいそと出かけて観に行ってしまった。 基本無料で観られる動画に金出す必要は?とか言う考えはあっという間に吹っ飛んだ。これは実に面白い。 メインの動画はそれなりにシリアス調へと変わっていくのだが、それは最初から分かっている。動画との違いは会話が生じていることなのだが、その会話の一つ一つがはまっているのだ。会話の一つ一つが小気味よくポンポンはまっている。特に話が進むにつれ脳が別な次元にイッちゃってるのんが実にハマってる。こう言う役ほんとに合うね。 怪獣好きならば分かるネタに溢れている。その辺はプロである樋口監督との会話でよく分かるが、宇宙人を買ったというのんとのずれた会話がものすごい。徐々に洗脳されていって、最後の方は完全に目がイッてしまってるあたり、リアルすぎて恐いくらい。 恐らく同じ空間で映画観に来た人たちも怪獣好きな人ばかりなんだろうと思えたのが、同じところで複数の笑い声が上がったこと。怪獣知ってないと笑えないネタに付いてくる人がこんなにいると思うだけでなんかとても心地よい空間にいる気にさせられた。 ところで本作で登場する怪獣について、ここでちょっと紹介させていただこう。 斎藤工が買った卵が三つに分離した時の怪獣の頭はそれぞれミクラス(ウルトラセブン3話, 25話)、ウインダム(ウルトラセブン1話、24話、39話)、アギラ(ウルトラセブン32話)(更にカプセル怪獣は二体いると言及されているがその内の一体がセブンガー(ウルトラセブン18話、ウルトラマンレオ34話))。その三つの頭が合体したのが「強い怪獣」と呼ばれるグドン(帰ってきたウルトラマン5話)。それが成長したのがガッツ星人(ウルトラセブン39話)。これから成長するのではないか?と言われたのがバルンガ(ウルトラQ11話)。そしてのんが買ったという宇宙人がペロリンガ星人(ウルトラセブン44話)。それぞれちゃんと何故そこに名前が出てくるのか分かるように作られてる。巧いもんだ。 |
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ラストレター | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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自殺した姉の未咲の葬儀のため実家に帰省した岸辺野裕里(松たか子)は、姉の娘鮎美(広瀬すず)と再会する。母を失ったショックから立ち直れない鮎美のために裕里の娘颯香(森七菜)が実家に残ることとなり、野裕里は姉の死を告げるために姉の同窓会に出席する。そこで初恋の人小説家の乙坂鏡史郎(福山雅治)と出会う。未咲本人と勘違いされたまま連絡先を交換するのだが… 常に非常に繊細な作風で知られる岩井俊二監督はこれまでも監督ならではの独自路線の作品を作り続けてきた。その世界観に浸るのも楽しいので定期的に観たくなってくるものだが、この監督の何に惹かれるのか?と尋ねられたら、私の中に今も存在するアドレッセンスの部分なんだと思う。監督ももう還暦前のはずだが、ここまで繊細な思春期的な感覚を未だに持ち続けているのが素晴らしい。 本作についてはその瑞々しい感覚と、ヴェテランらしい堂々たる構成に相まって、これまで以上に完成度が高く、どの年齢層が観ても涙流せる作品に仕上がってる。 この作品には二つの時代で物語は展開する。 高校の描写で、やりきれない感情を鬱屈させたり時に爆発させたりするところは、まさに旬の役者に演じさせたことで見事なものになった。浮ついたところのないどっしりした演出は、浮ついた青春映画とは隔絶した見事さを見せつける。本当に久々に私が理解出来る青春映画に出会った感じだ。 一方中年になってしまった主人公達の生活もちゃんと生々しいところがあって、青春時代に対比される現代のの対比も良く、特に不満がある訳ではないが、味気なく、なんとなく過ごしている今が、過去とつながることでどんどん変化していくのも良いし、それでちゃんと現実に着地地点を持っているところも実に良い。 人の感性というのは年齢を重ねるにつれてどんどん劣化していくのだが、なんかの拍子に不意に新鮮な感覚の扉が開かれる。そこで打算的な考えから、採算度外視のお節介へと変化していく。それをちゃんと納得できるように描いてる辺りも監督の上手さだろうな。 放っておくと溜まりっぱなしで解消できない悪感情を表面化させることで乗り越えていく過程を丁寧に描いているので、ちゃんと現実に戻りながら、新しい一歩を踏み出してると思えるラストシーンも沁みる。 1995年に監督が作ったLove Letterと対応するような作品とも言えるが(共通する出演者も多々)、そのどちらも監督にしか作れない上手さを感じさせてくれる。 ただ、いくつか気になったところもある。特になんでお父さん役が庵野秀明なの?というのが一番だろうか?そりゃ一度式日-SHIKI-JITSU-に岩井監督がに出てるから、そのお返しなのかも知れないけど、それだってもう20年前だよ。それで漫画家という設定のお父さんが描いてる絵がなんで鶴田謙二?浮気を疑ったお父さんが当てつけに買った犬がボルゾイの成犬?あれはそう簡単に買える犬じゃないんだぞ(子犬ならともかく成犬は誰かから譲られない限りは手に入れられない)。 …キャラで気になったのが全部庵野秀明関連だな。この作品にはどうにもやっぱり浮いてしまったんだな。 あと、たぶんクレーン撮影ではなくドローン撮影を多用してるようだけど、ドローンで撮影すると、単にズームで味気なくなるので、やる度に気持ちが萎えてしまうのが残念。あの演出だけなんとかなれば満点。 |
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リップヴァンウィンクルの花嫁 2016 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2016日本アカデミー主演女優賞(黒木華) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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花とアリス殺人事件 2015 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ヴァンパイア 2011 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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市川崑物語 2006 | |||||||||||||||||||||||||||
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花とアリス 2004 | |||||||||||||||||||||||||||
2004日本映画プロフェッショナル大賞主演女優賞(蒼井優) 2004ヨコハマ映画祭第10位 |
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リリィ・シュシュのすべて 2001 | |||||||||||||||||||||||||||
2001日本映画プロフェッショナル大賞4位 2001キネマ旬報第7位 2001最優秀新人賞(細山田隆人)、ヨコハマ映画祭第5位 |
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中学生になった蓮見雄一(市原隼人)はいじめの標的とされるが、同じクラスの優等生・星野修介(忍成修吾)と仲良くなり、夏休みに仲間たちと西表島へ旅行に行く。そこで命の危機にさらされる事により、二人の友情は深まったかのように見えたのだが、夏休み明けに星野は豹変する。彼は番長を倒し自らその座に収まり、蓮見はいじめの対象になっていく…蓮見にとって心から頼れるもの。それはカリスマアーティストの“リリィ・シュシュ”だけになった。彼はファンサイトを立ち上げ、そこで心情を吐露していく… ウェブサイト上で一般参加者との対話から物語を作り上げた、岩井俊二監督自身のインターネット小説から生まれた作品で、監督自身の惚れ込みようも高く、岩井監督自身「遺作にするなら、これを遺作にしたい」とさえ語っているほど。デジタル撮影された画面の編集も監督らしい巧みさだし、リリィ・シュシュの透明な都会的な不思議な音楽と田園を象徴するドビュッシーの曲の対照も見事。 ただ、内容的にはちょっと凄い。兎に角“痛い”。観るのが辛くなるほどに。古傷を探し出し、えぐられているような痛さを感じた。いじめを目の前にして、無視する事しかしなかった自分。逆にいじめに遭って、誰も助けてくれないと言う絶望…もう20年も前に、誰にも分かってたまるか。と思っていたものが目の前に出されてしまったいうのはなんともやりきれない気分にさせられる。 だけど、だからこそ目が離せなかった。一気に観て脱力。もう二度と観たくない、と言う思いがあふれ出しているのに、目は画面に釘付けにされる。「痛い、痛い、痛い痛い痛い」そう呟きながら観続けた。 何という辛い物語か。一体救いってどこにあるのか。ラストで救いが提示されるのか? …結局それは明確でないまま。これは決して明るい青春物語じゃない。それどころか、自分の嫌な部分を見せ付けられるようでとてつもなく後味が悪い。 だけど、一つ思ったこと。 そこにいた誰もが皆、救いを求めていたと言うこと。雄一はリリィ・シュシュと言う“アイドル(偶像)”に向かって。修介は暴力に自らを没入させることによって。そして詩織は自分を受け止めるものを探し、それが耐えきれない現実となった時、自分自身を拒否することによって… 誰もがそうだ。誰も現状から逃げようとしている。それぞれがそれぞれの方法を用いて逃げている。少なくとも逃げようとしている。 それはそれで良いのだと思う。逃げることは決して卑怯ではない。 だけど、それを直視する事も時に必要だ。逃げて逃げて逃げ切れるならそれで良い。だけど、現実は必ず追いついてくるのだから。 私自身をこの映画に投入してしまったが、そこに登場する人物それぞれに自分自身が重ね合わせられた。だけど、一番身につまされた、つまり一番似ていた人物は誰だったかというと、リリィ・シュシュのコンサートでしたり顔で解説し、ファンからボコにされてしまいそうになる男だったという事実(笑)。自分の嫌な部分をモロに見せられたような気分だよ。 |
四月物語 1998 | |||||||||||||||||||||||||||
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毛ぼうし 1997 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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PiCNiC 1996 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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スワロウテイル 1996 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1996日本アカデミー新人俳優賞(伊藤歩、Chara)、話題賞(浅野忠信)、作品賞、主演女優賞(Chara)、助演女優賞(伊藤歩)、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞 1996ヨコハマ映画最優秀新人賞(Chara)、次点 |
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Love Letter 1995 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1995日本アカデミー新人賞(柏原崇、酒井美紀)、話題賞(豊川悦司)、作品賞、助演男優賞(豊川悦司)、音楽賞 1995ブルーリボン主演女優賞(中山美穂) 1995キネマ旬報日本映画第3位 1995報知映画監督賞、主演女優賞(中山美穂)、助演男優賞(豊川悦司) 1995ヨコハマ映画祭第1位、作品賞、監督賞、撮影賞、主演男優賞(豊川悦司)、主演女優賞(中山美穂)、最優秀新人賞(酒井美紀) |
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遭難事故で婚約者である藤井樹(いつき)を亡くした渡辺博子(中山美穂)は、2年後の今、どうしても彼を忘れられなくて、天国に届けるつもりで彼が住んでいた小樽へと手紙を出した。ところが、来るはずのない返事が返って来たのだ…彼と同姓同名の樹(中山美穂2役)と知り合った博子は小樽へと赴く… とても綺麗な映画を作る監督として注目株の岩井俊二監督による、ラブ・ストーリー。 この監督は自分の作品に何かしら他とは異なる特徴を持たせる傾向があり、それがとても面白い。それはほんのちょっとした違和感であったり、あるいは物語そのものに貫くテーマであったりするのだが、その違和感が監督らしさをよく表しているので、もっと評価されても良いと思う。そのこだわりが非常に好み。 私は最初にこの作品を「ラブ・ストーリー」と書いたけど、実際はあくまで思いは一方的なものに過ぎず、その愛情は決して返ってこないもの。それをしっかりラブ・ストーリーに持って行けたのは、ひとえにカメラアングルのお陰だろう。この映画の中でも特に現代の描写は俯瞰の映像が多い。いないはずの樹。その存在感をカメラの背後に感じさせようという構成なんじゃないかな? 細かいストーリーの連続で構成されているのが特徴だが、いない人間に対する一方通行な愛情を、回想シーンと癒しを絡めて丁寧に作ってくれていた。実際内容的にはテレビシリーズっぽい題材だけど、雪を絡め、丁寧に、そして綺麗に仕上げてくれたのには非常に好感が持てる。 なんでも本作の予算は映画を作るギリギリとも言える2億だったそうだが、監督自身の意地で編集に徹底的に時間をかけ(全撮影行程をディジタル化してパソコンに取り込み、20時間に及ぶシーンを削って削って2時間にまとめたと言う)監督らしいこだわりと、そして映画に描ける愛情とが垣間見えるようだ。 中山美穂が二役を演じているが、そのどちらも届くことのない自分の想いが、徐々に癒されていく課程を丁寧に辿っていき、最後にそれを受け入れるところまで持っていっている。 中学時代の想い出がなかなかノスタルジックで良いんだけど、それに共感できなかったのは私自身の資質なんだろうなあ。 |
undo "アンドゥー" 1994 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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