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岩井俊二

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鑑賞本数 5 合計点 20 平均点 4.00
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
評論
NOW and THEN 岩井俊二―岩井俊二自身による全作品解説+50の質問
岩井俊二―期待の映像作家シリーズ

著作
シネアスト 市川崑
リリイ・シュシュのすべて
トラッシュバスケット・シアター
ウォーレスの人魚
スワロウテイル
NOW and THEN 岩井俊二―岩井俊二自身による全作品解説+50の質問
マジック・ランチャー (making of ACTUAL‐MEDIA)
ラヴレター
APRIL FRONT・四月物語
リップヴァンウィンクルの花嫁

画集
『花とアリス』写真館
2020 8日で死んだ怪獣の12日の物語 −劇場版− 監督・脚本・造形
8日で死んだ怪獣の12日の物語 監督・脚本
2019 ラストレター 監督・製作・原作・脚本・編集
2018 チィファの手紙 監督・原作・脚本・編集・音楽
2017 チャンオクの手紙 監督・脚本・音楽
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 原案
2016 リップヴァンウィンクルの花嫁 監督・原作・脚本・編集・ミキサー
リップヴァンウィンクルの花嫁 serial edition
<A> <楽> 監督・脚本
2015 花とアリス殺人事件 監督・製作・原作・脚本・音楽
恋する都市 5つの物語 製作
2014 なぞの転校生<<TV> 製作・脚本
2013 遠くでずっとそばにいる 音楽
2012 friends after 3.11 vol.2 監督・製作
新しい靴を買わなくちゃ 製作
FUKUSHIMA DAY 製作
2011 ヴァンパイア 監督・製作・脚本・撮影・編集・音楽
friends after 3.11 監督・出演
2010 DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう? 製作総指揮
2009 BATON バトン 製作・脚本
2008 ニューヨーク、アイラブユー 共同監督
ハルフウェイ 製作
2007
2006 市川崑物語 監督・脚本
虹の女神 Rainbow Song 製作
2005
2004 花とアリス 監督・製作・脚本・編集・音楽
2003 花とアリス 監督・脚本・音楽
2002 Jam Films 「ARITA」監督・脚本・音楽
2001 リリイ・シュシュのすべて 監督・原作・脚本
2000
1999 少年たちは花火を横から見たかった 監督・企画
1998 四月物語 監督・脚本・編集
1997 毛ぼうし 監督・脚本
1996 円都 YEN TOWN 出演
¥en Town Band Swallow Butterfly 監督
FRIED DRAGON FISH THOMAS EARWING'S AROWANA 監督・脚本
PicNic 監督・脚本・編集
スワロウテイル 監督・脚本・編集
ACRI 原作・脚本
1995 Love Letter 監督・脚本・編集
1994 Undo "アンドゥー" 監督・原作・脚本
1993 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 監督・脚本
1992 GHOST SOUP 監督・脚本
1991
1990
世にも奇妙な物語(1st)
<A> <楽> 演出・原作・脚本
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963 1'24 宮城県で誕生

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8日で死んだ怪獣の12日の物語 −劇場版−
<A> <楽>
宮川朋之
水野昌
田井えみ(製)
岩井俊二(脚)
斎藤工
のん
武井壮
穂志もえか
樋口真嗣
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 新型コロナウイルスの蔓延のため、自宅待機を余儀なくされたサトウタクミ(斎藤工)は、暇を持て余していた。そんな時、ネットで「怪獣の卵」というのが売られていることを知り、通販でそれを入手する。小指の先くらいの大きさの紙粘土の塊みたいなその卵は、毎日変化を繰り返していく。なんか楽しくなったタクミは知り合いの監督(樋口真嗣)や俳優仲間の丸戸のん(のん)やオカモトソウ(武井壮)らとスマホ同士で話し合いながら怪獣の成長を楽しみにしていく。

 2020年になって急激に蔓延した新型コロナウイルス。爆発的な感染者の増加と、それによる死者の増加に対し、世界各国で対応に追われることになった。
 その中で日本が行ったものは法的なものは海外渡航の制限および各自治体による判断で学校の閉鎖。一般の国民に対して政府が行ったことは、自粛“要請”が主なものだった。ロックダウンと呼ばれる都市封鎖は日本ではおこなれることなく、あくまで自主判断に任された。
 それが良かったのか悪かったのかは後年の判断を仰ぐしかないが、他の国々と較べてかなり弱腰の対応となった。
 そして4月半ばから政府の“お願い”による自主的な行動制限に従って、多くの人たちが自宅に籠もって過ごさざるを得なくなっていった。
 当然その間はメディア関係も自粛となり、それまで行われてきたテレビドラマや映画撮影などが軒並み中断された。
 この中でクサッてしまう人も多い中、それでも独自の配信を試みた人たちもいた。
 最初に声を上げたのが樋口真嗣監督で、Youtubeを用いて「カプセル怪獣計画」という企画を立ち上げた。これはコロナウイルスを見えない怪獣とみなして、コロナと戦うカプセル怪獣をリレー形式で動画配信しようというもの。これには多くの著名な監督や俳優などが乗っかって様々な動画を配信した。実際行動制限を受けてしまった身としては動画を観るくらいしか楽しみがないので、丁度良かったし楽しめた。
 当初この企画は投稿者が持っている怪獣のフィギュアを使うとか、持ってない人は知識を披露して見えないカプセル怪獣の戦いを解説したりというのが主だったが、ものの数日の間にストーリー仕立てでこれを見せようとした監督がいた。
 それが岩井俊二だった。斎藤工を主人公に、カプセル怪獣を通販で買った役者が、次々形状を変えていく怪獣に翻弄されていくというストーリーを作り上げ、二週間ほど掛けて一本の筋の通った物語を動画配信した。
 そして更にこの作品を膨らませて、何人かの役者を加えた上で、ほぼ完全リモート作品としてあっという間に作り上げたのが本作となる。カプセル怪獣計画の企画開始が4月28日。本作の元となった「8日で死んだ怪獣の12の物語」が5月20日から配信。そして劇場版公開が7月31日。通常の映画では考えられないものすごいスピードで完成された、世界初のリモート特撮作品となった。

 このオリジナルとなった「8日で死んだ怪獣の12の物語」は配信当初から観させてもらったが、最初はぶつぶつ喋る斎藤工に違和感を覚えつつ、意外にちゃんとした物語に驚かされた。ちゃんと怪獣なり宇宙人なりの個性も把握した発言もしてるし、特撮ファンとしてもかなり満足度の高い作品だった。
 それで劇場版ねえ?微妙だよな…とか言いつつ、いそいそと出かけて観に行ってしまった。

 基本無料で観られる動画に金出す必要は?とか言う考えはあっという間に吹っ飛んだ。これは実に面白い。
 メインの動画はそれなりにシリアス調へと変わっていくのだが、それは最初から分かっている。動画との違いは会話が生じていることなのだが、その会話の一つ一つがはまっているのだ。会話の一つ一つが小気味よくポンポンはまっている。特に話が進むにつれ脳が別な次元にイッちゃってるのんが実にハマってる。こう言う役ほんとに合うね。

 怪獣好きならば分かるネタに溢れている。その辺はプロである樋口監督との会話でよく分かるが、宇宙人を買ったというのんとのずれた会話がものすごい。徐々に洗脳されていって、最後の方は完全に目がイッてしまってるあたり、リアルすぎて恐いくらい。
 恐らく同じ空間で映画観に来た人たちも怪獣好きな人ばかりなんだろうと思えたのが、同じところで複数の笑い声が上がったこと。怪獣知ってないと笑えないネタに付いてくる人がこんなにいると思うだけでなんかとても心地よい空間にいる気にさせられた。


 ところで本作で登場する怪獣について、ここでちょっと紹介させていただこう。
 斎藤工が買った卵が三つに分離した時の怪獣の頭はそれぞれミクラス(ウルトラセブン3話,
25話)、ウインダム(ウルトラセブン1話24話39話)、アギラ(ウルトラセブン32話)(更にカプセル怪獣は二体いると言及されているがその内の一体がセブンガー(ウルトラセブン18話ウルトラマンレオ34話))。その三つの頭が合体したのが「強い怪獣」と呼ばれるグドン(帰ってきたウルトラマン5話)。それが成長したのがガッツ星人(ウルトラセブン39話)。これから成長するのではないか?と言われたのがバルンガ(ウルトラQ11話)。そしてのんが買ったという宇宙人がペロリンガ星人(ウルトラセブン44話)。それぞれちゃんと何故そこに名前が出てくるのか分かるように作られてる。巧いもんだ。
製作年 2020
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
歴史地域 2020 新型コロナウイルス蔓延
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
ラストレター
<A> <楽>
市川南
山内章弘
水野昌
臼井真之介
共同製作
岩井俊二
千葉伸大
杉田成道
村松俊亮
宮崎伸夫
広田勝己
森田圭
舛田淳
長谷川晋一
永田勝美
吉川英作
林誠
石垣裕之
田中祐介(製)
岩井俊二(脚)
松たか子
広瀬すず
庵野秀明
森七菜
小室等
水越けいこ
木内みどり
鈴木慶一
豊川悦司
中山美穂
神木隆之介
福山雅治
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 自殺した姉の未咲の葬儀のため実家に帰省した岸辺野裕里(松たか子)は、姉の娘鮎美(広瀬すず)と再会する。母を失ったショックから立ち直れない鮎美のために裕里の娘颯香(森七菜)が実家に残ることとなり、野裕里は姉の死を告げるために姉の同窓会に出席する。そこで初恋の人小説家の乙坂鏡史郎(福山雅治)と出会う。未咲本人と勘違いされたまま連絡先を交換するのだが…

 常に非常に繊細な作風で知られる岩井俊二監督はこれまでも監督ならではの独自路線の作品を作り続けてきた。その世界観に浸るのも楽しいので定期的に観たくなってくるものだが、この監督の何に惹かれるのか?と尋ねられたら、私の中に今も存在するアドレッセンスの部分なんだと思う。監督ももう還暦前のはずだが、ここまで繊細な思春期的な感覚を未だに持ち続けているのが素晴らしい。
 本作についてはその瑞々しい感覚と、ヴェテランらしい堂々たる構成に相まって、これまで以上に完成度が高く、どの年齢層が観ても涙流せる作品に仕上がってる。

 この作品には二つの時代で物語は展開する。
 高校の描写で、やりきれない感情を鬱屈させたり時に爆発させたりするところは、まさに旬の役者に演じさせたことで見事なものになった。浮ついたところのないどっしりした演出は、浮ついた青春映画とは隔絶した見事さを見せつける。本当に久々に私が理解出来る青春映画に出会った感じだ。
 一方中年になってしまった主人公達の生活もちゃんと生々しいところがあって、青春時代に対比される現代のの対比も良く、特に不満がある訳ではないが、味気なく、なんとなく過ごしている今が、過去とつながることでどんどん変化していくのも良いし、それでちゃんと現実に着地地点を持っているところも実に良い。
 人の感性というのは年齢を重ねるにつれてどんどん劣化していくのだが、なんかの拍子に不意に新鮮な感覚の扉が開かれる。そこで打算的な考えから、採算度外視のお節介へと変化していく。それをちゃんと納得できるように描いてる辺りも監督の上手さだろうな。
 放っておくと溜まりっぱなしで解消できない悪感情を表面化させることで乗り越えていく過程を丁寧に描いているので、ちゃんと現実に戻りながら、新しい一歩を踏み出してると思えるラストシーンも沁みる。

 1995年に監督が作ったLove Letterと対応するような作品とも言えるが(共通する出演者も多々)、そのどちらも監督にしか作れない上手さを感じさせてくれる。

 ただ、いくつか気になったところもある。特になんでお父さん役が庵野秀明なの?というのが一番だろうか?そりゃ一度式日-SHIKI-JITSU-に岩井監督がに出てるから、そのお返しなのかも知れないけど、それだってもう20年前だよ。それで漫画家という設定のお父さんが描いてる絵がなんで鶴田謙二?浮気を疑ったお父さんが当てつけに買った犬がボルゾイの成犬?あれはそう簡単に買える犬じゃないんだぞ(子犬ならともかく成犬は誰かから譲られない限りは手に入れられない)。
 …キャラで気になったのが全部庵野秀明関連だな。この作品にはどうにもやっぱり浮いてしまったんだな。
 あと、たぶんクレーン撮影ではなくドローン撮影を多用してるようだけど、ドローンで撮影すると、単にズームで味気なくなるので、やる度に気持ちが萎えてしまうのが残念。あの演出だけなんとかなれば満点。
製作年 2019
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
ラストレター <A> <楽>
岩井俊二 (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
鶴田謙二 (検索) <A> <楽>
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
リップヴァンウィンクルの花嫁 2016
2016日本アカデミー主演女優賞(黒木華)
<A> <楽>
岩井俊二(脚)
杉田成道
宮川朋之
水野昌
紀伊宗之(製)
黒木華
Cocco
地曵豪
和田聰宏
佐生有語
夏目ナナ
野間口徹
野口雅弘
山口詩史
黒木辰哉
芹澤興人
森下くるみ
中島ひろ子
堀内正美
岡村洋一
浅見姫香
大友花恋
細井学
真白希実
希崎ジェシカ
小林亮太
谷井優貴
黒澤宏貴
津留崎夏子
谷尾宏之
万里紗
菊池真琴
加藤衛
杉山俊介
松本大地
堂本佳希
前田知恵
河合朗弘
加藤玲子
林雄大
希美まゆ
希島あいり
倖田李梨
若林美保
桜井ちんたろう
玄理
軽部真一
桜井美南
郭智博
堀潤
中村ゆり
紀里谷和明
野田洋次郎
原日出子
毬谷友子
金田明夫
りりィ
綾野剛
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
リップヴァンウィンクルの花嫁 <A> <楽>
岩井俊二 (検索) <A> <楽>
花とアリス殺人事件 2015
<A> <楽>
中山良夫
岩井俊二
古田彰一
遠藤茂行
水口昌彦
都築伸一郎
門屋大輔
高橋望
岩佐直樹
水野昌
奥田誠治
川瀬毅
岩井俊二
石井朋彦(製)
岩井俊二(脚)
蒼井優
鈴木杏
勝地涼
黒木華
木村多江
平泉成
相田翔子
鈴木蘭々
郭智博
キムラ緑子
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ヴァンパイア 2011
<A> <楽>
岩井俊二(製)
岩井俊二(脚)
ケヴィン・ゼガーズ
ケイシャ・キャッスル=ヒューズ
蒼井優
アデレイド・クレメンス
トレヴァー・モーガン
アマンダ・プラマー
クリスティン・クルック
レイチェル・リー・クック
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
市川崑物語 2006
<A> <楽>
岩井俊二(脚)
市川崑
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
花とアリス 2004
2004日本映画プロフェッショナル大賞主演女優賞(蒼井優)
2004
ヨコハマ映画祭第10位
<A> <楽>
岩井俊二(脚)
鈴木杏
蒼井優
郭智博
相田翔子
阿部寛
平泉成
木村多江
坂本真
大沢たかお
広末涼子
ふせえり
ルー大柴
アジャ・コング
叶美香
伊藤歩
中野裕之
虻川美穂子
梶原善
テリー伊藤
大森南朋
松尾れい子
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
リリィ・シュシュのすべて 2001
2001日本映画プロフェッショナル大賞4位
2001キネマ旬報第7位
2001
最優秀新人賞(細山田隆人)、ヨコハマ映画祭第5位
<A> <楽>
岩井俊二(脚)
市原隼人
忍成修吾
蒼井優
伊藤歩
勝地涼
五十畑迅人
郭智博
田中丈資
土倉有貴
南イサム
吉岡麻由子
細山田隆人
田中要次
大沢たかお
稲森いずみ
市川実和子
杉本哲太
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 中学生になった蓮見雄一(市原隼人)はいじめの標的とされるが、同じクラスの優等生・星野修介(忍成修吾)と仲良くなり、夏休みに仲間たちと西表島へ旅行に行く。そこで命の危機にさらされる事により、二人の友情は深まったかのように見えたのだが、夏休み明けに星野は豹変する。彼は番長を倒し自らその座に収まり、蓮見はいじめの対象になっていく…蓮見にとって心から頼れるもの。それはカリスマアーティストの“リリィ・シュシュ”だけになった。彼はファンサイトを立ち上げ、そこで心情を吐露していく…
 ウェブサイト上で一般参加者との対話から物語を作り上げた、岩井俊二監督自身のインターネット小説から生まれた作品で、監督自身の惚れ込みようも高く、岩井監督自身
「遺作にするなら、これを遺作にしたい」とさえ語っているほど。デジタル撮影された画面の編集も監督らしい巧みさだし、リリィ・シュシュの透明な都会的な不思議な音楽と田園を象徴するドビュッシーの曲の対照も見事。
 ただ、内容的にはちょっと凄い。兎に角
“痛い”。観るのが辛くなるほどに。古傷を探し出し、えぐられているような痛さを感じた。いじめを目の前にして、無視する事しかしなかった自分。逆にいじめに遭って、誰も助けてくれないと言う絶望…もう20年も前に、誰にも分かってたまるか。と思っていたものが目の前に出されてしまったいうのはなんともやりきれない気分にさせられる
 だけど、だからこそ目が離せなかった。一気に観て脱力。もう二度と観たくない、と言う思いがあふれ出しているのに、目は画面に釘付けにされる。
「痛い、痛い、痛い痛い痛い」そう呟きながら観続けた。
 何という辛い物語か。一体救いってどこにあるのか。ラストで救いが提示されるのか?
 …結局それは明確でないまま。これは決して明るい青春物語じゃない。それどころか、
自分の嫌な部分を見せ付けられるようでとてつもなく後味が悪い
 だけど、一つ思ったこと。
 そこにいた誰もが皆、救いを求めていたと言うこと。雄一はリリィ・シュシュと言う
“アイドル(偶像)”に向かって。修介は暴力に自らを没入させることによって。そして詩織は自分を受け止めるものを探し、それが耐えきれない現実となった時、自分自身を拒否することによって…
 誰もがそうだ。誰も現状から逃げようとしている。それぞれがそれぞれの方法を用いて逃げている。少なくとも逃げようとしている。
 それはそれで良いのだと思う。逃げることは決して卑怯ではない。
 だけど、それを直視する事も時に必要だ。逃げて逃げて逃げ切れるならそれで良い。だけど、現実は必ず追いついてくるのだから。

 私自身をこの映画に投入してしまったが、そこに登場する人物それぞれに自分自身が重ね合わせられた。だけど、一番身につまされた、つまり一番似ていた人物は誰だったかというと、
リリィ・シュシュのコンサートでしたり顔で解説し、ファンからボコにされてしまいそうになる男だったという事実(笑)。自分の嫌な部分をモロに見せられたような気分だよ。
四月物語 1998
<A> <楽>
岩井俊二(脚)
松たか子
田辺誠一
留美
加藤和彦
藤井かほり
光石研
江口洋介
石井竜也
伊武雅刀
松本幸四郎
藤間紀子
市川染五郎
松本紀保
塩見三省
津田寛治
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
毛ぼうし 1997
<A> <楽>
久保田修
上村律夫(製)
岩井俊二(脚)
鈴木慶一
浜家優子
糸井重里
樋口可南子
塩見三省
パンタ
伊藤歩
城明彦
橋本恵里
峰野勝成
ムーンライダーズ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
毛帽子の男 <A> <楽>
糸井重里 (検索) <A> <楽>
PiCNiC 1996
<A> <楽>
堀口壽一
田中迪
加藤裕子
南條昭夫
堀部徹
亀井宏幸
長澤雅彦(製)
岩井俊二(脚)
Chara
浅野忠信
橋爪浩一
六平直政
伊藤かずえ
鈴木慶一
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
スワロウテイル 1996
1996日本アカデミー新人俳優賞(伊藤歩、Chara)、話題賞(浅野忠信)、作品賞、主演女優賞(Chara)、助演女優賞(伊藤歩)、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞
1996ヨコハマ映画最優秀新人賞(Chara)、次点
<A> <楽>
河井真也
和田倉和利
久保田修
前田浩子(製)
岩井俊二(脚)
三上博史
江口洋介
Chara
伊藤歩
アンディ・ホイ
渡部篤郎
桃井かおり
山口智子
大塚寧々
洞口依子
ミッキー・カーティス
渡辺哲
塩見三省
武発太郎
シーク・マハメッド=ベイ
小橋賢児
翁華栄
藤井かほり
ケント・フリック
ローリー寺西
田口トモロヲ
鈴木慶一
山崎一
北見敏之
光石研
酒井敏也
クリス・ペプラー
陰山泰
顧暁東
アブラハム・レビン
楊錠宇
浅野忠信
鴨川寿枝
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
Love Letter 1995
1995日本アカデミー新人賞(柏原崇、酒井美紀)、話題賞(豊川悦司)、作品賞、助演男優賞(豊川悦司)、音楽賞
1995ブルーリボン主演女優賞(中山美穂)
1995
キネマ旬報日本映画第3位
1995報知映画監督賞、主演女優賞(中山美穂)、助演男優賞(豊川悦司)
1995ヨコハマ映画祭第1位、作品賞、監督賞、撮影賞、主演男優賞(豊川悦司)、主演女優賞(中山美穂)、最優秀新人賞(酒井美紀)
<A> <楽>
小牧次郎
池田知樹
長澤雅彦
松下千秋(脚)
岩井俊二(脚)
中山美穂
豊川悦司
酒井美紀
范文雀
中村久美
加賀まりこ
柏原崇
篠原勝之
鈴木蘭々
塩見三省
鈴木慶一
田口トモロヲ
光石研
うめだひろかず
長田江身子
小栗香織
わたる哲平
後藤直樹
酒井敏也
山口晃史
山口詩史
山崎一
神戸浩
ランディ・ヘイブンス
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ラヴレター <A> <楽>
岩井俊二 (検索) <A> <楽>
 遭難事故で婚約者である藤井樹(いつき)を亡くした渡辺博子(中山美穂)は、2年後の今、どうしても彼を忘れられなくて、天国に届けるつもりで彼が住んでいた小樽へと手紙を出した。ところが、来るはずのない返事が返って来たのだ…彼と同姓同名の樹(中山美穂2役)と知り合った博子は小樽へと赴く…
 とても綺麗な映画を作る監督として注目株の岩井俊二監督による、ラブ・ストーリー。
 この監督は自分の作品に何かしら他とは異なる特徴を持たせる傾向があり、それがとても面白い。それはほんのちょっとした違和感であったり、あるいは物語そのものに貫くテーマであったりするのだが、その違和感が監督らしさをよく表しているので、もっと評価されても良いと思う。そのこだわりが非常に好み。
 私は最初にこの作品を
「ラブ・ストーリー」と書いたけど、実際はあくまで思いは一方的なものに過ぎず、その愛情は決して返ってこないもの。それをしっかりラブ・ストーリーに持って行けたのは、ひとえにカメラアングルのお陰だろう。この映画の中でも特に現代の描写は俯瞰の映像が多い。いないはずの樹。その存在感をカメラの背後に感じさせようという構成なんじゃないかな?
 細かいストーリーの連続で構成されているのが特徴だが、いない人間に対する一方通行な愛情を、回想シーンと癒しを絡めて丁寧に作ってくれていた。実際内容的にはテレビシリーズっぽい題材だけど、雪を絡め、丁寧に、そして綺麗に仕上げてくれたのには非常に好感が持てる。
 なんでも
本作の予算は映画を作るギリギリとも言える2億だったそうだが、監督自身の意地で編集に徹底的に時間をかけ(全撮影行程をディジタル化してパソコンに取り込み、20時間に及ぶシーンを削って削って2時間にまとめたと言う)監督らしいこだわりと、そして映画に描ける愛情とが垣間見えるようだ。
 中山美穂が二役を演じているが、そのどちらも届くことのない自分の想いが、徐々に癒されていく課程を丁寧に辿っていき、最後にそれを受け入れるところまで持っていっている。
 中学時代の想い出がなかなかノスタルジックで良いんだけど、それに共感できなかったのは
私自身の資質なんだろうなあ。
undo "アンドゥー" 1994
<A> <楽>
堀口壽一
田中迪(製)
岩井俊二(脚)
山口智子
豊川悦司
田口トモロヲ
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?
<A> <楽>
原田泉(製)
岩井俊二(脚)
山崎裕太
奥菜恵
反田孝幸
小橋賢児
ランディ・ヘブンス
桜木研人
石井苗子
深浦加奈子
山崎一
田口トモロヲ
中島陽子
麻木久仁子
光石研
小山励基
酒井敏也
こばやしふしまさ
蛭子能収
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1993
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
書籍名 <A> <楽>
著者名 (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ

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書籍
著作 評伝
岩井俊二: 『Love Letter』から『ラストレター』、そして『チィファの手紙』へ(2020) <A> <楽>
夏目深雪
 
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