読書日誌
2008’10〜12月

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08'12'28 はじめの一歩86
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 因縁の対決宮田とランディの試合が始まった。この試合の中で究極のカウンターを使おうとする宮田と、世界戦のステップアップと考えるランディ。攻守はめまぐるしく変化していく。

 いよいよ始まった因縁の対決。一歩の時とは異なり、この勝負の展開は本当に全く見えない。今のところ完全に宮田優位に試合は進んでいるが、この物語のパターンだとランディが逆転する可能性も高い。はてさてどうなるやら。しかしここまで来ても試合のクォリティはまだ高いね。
<A> <楽>
08'12'20 暗黒の塔 下 ダークタワーVII
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 エディとジェイクを失ったローランドとスザンナは、ただひたすら暗黒の塔へと向かう。暗黒の塔で待つクリムゾンキングとローランドの宿命の対決の行方は?そして塔の中には一体何が待っているのか…

 約30年に及ぶ著者のライフワークもこれにて完結。しかし、このオチはあまりにも強烈すぎた。延々と続いてきて、オチはこれかよ!意外と言うよりも呆れてしまったけど、逆にこれで今までの物語の幸運続きの理由も明らかになった訳だな。ここまでのパワーでよくぞ書き上げてくれたものだ。少なくともたった一つ、その天に関してだけは確かに凄い。
<A> <楽>
08'12'18 新・魔獣狩り11 地龍編
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 日本の国そのものを変えてしまうと言うほどの大量の黄金は東北にある。かつて空海や平賀源内が見つけたという黄金を求め、物語は東北へと向かう。その中で合流したサイコダイバーの毒島と鳳介は、魔犬が関わる事件に巻き込まれていた。
 久々の上に話があっちこっちへと飛びまくっているため、いつものことながら状況を把握するだけで手一杯といった感じではあるのだが、毒島とひるこが出てくるだけで、いきなり話がコミカルになってなかなか楽しい。特に今回は毒島の出番がやたら多いので、楽しんで読むことは出来た。しかしそろそろ風呂敷も畳まれてきているので、終わりは近い。と、思う。
<A> <楽>
08'12'17 まんがくわがたツマミ
ラレコ (検索) <amazon> <楽天>
あさりよしとお (検索) <amazon> <楽天>
 町に住む仲の良い家族くわがた家。実はそのお父さんは巨大なミヤマクワガタであり、普通の人間の母との間に生まれたハイブリッドのツマミが巻き起こす、不思議な騒動。
 「やわらか戦車」で一気に有名になったクリエイター、ラレコのwebアニメーションに惚れたあさりよしとおが自分の土俵で漫画化した作品。ラレコ氏本人もイラスト集は出しているのだが、その変わり具合がさすが。と言うか、本当に自分の土俵で作ってしまったって感じだね。昔のあさりよしとお風の作品に仕上がってる。
<A> <楽>
08'12'12 カオスレギオン02 魔天行進篇
冲方丁 (検索) <amazon> <楽天>
 聖地シャイオンを後にしたジークらに新しい命令が下った。ドラクロワとの密約をかわしている可能性のあるナディタという街の監視だったのだが、ジーク達が到着する直前“竜骸”によって街は完璧に破壊され尽くされてしまった。難民となったナディタの民を、新しい土地に連れて行くという新たな命令を受けたジークは2万にものぼる彼らを守りつつ長い旅を開始する。そしてそんなジークとノヴィアを見つめる目が…
 時間軸としては01の直後から開始される物語で、物語としても見所としてもかなり楽しく読ませてもらった。ライトノベルという意味合いでは。だが。
<A> <楽>
08'12'11 ストーカー
アルカジイ・ストルガツキー (検索) <amazon> <楽天>
ボリス・ストルガツキー (検索) <amazon> <楽天>
 突如世界各地に出現した“ゾーン”という空間。この世の物理法則を無視し、人間にとっては極めて危険な空間ではあるが、そこから持ち帰ったものは人類の科学発展に大いに役立つものが多いため、危険を冒してゾーンに入り込む人間は後を絶たなかった。その危険なガイド役であるストーカーと呼ばれる彼らの、ゾーンへの旅を描く。
 「路傍のピクニック」あるいは「道端のキャンプ」という名前でかつて知られていたが、タルコフスキーの映画のお陰で「ストーカー」で統一されたらしい。
 期間にして10数年という時間の、人類とゾーンとの関わりを背景に、レドリクシュハルトというストーカーの活動を中心に描く作品。ゾーンと関わってしまったがために様々なやっかい事を背負い込んでしまう男の物語が展開。ほとんど個人レベルの視点で話が展開するため、どう世界が変わったのかがあまり描かれてはいないのだが、このラストの皮肉は、SFの名作と言われるだけのことはある。SFファンだったら、ラストで呆然とするか、あるいは大笑いしてしまうことだろう。
<A> <楽>
08'12'07 ジパング37
かわぐちかいじ (検索) <amazon> <楽天>
 大和に乗り込んだみらいクルー。着実に戦力を減らされつつ、それでも尚原爆のありかを求め船内を進む。その時艦内放送で角松に呼びかける声が。一方、原爆とみらいのどちらも手に入れようと、アメリカも動き出す。拘束を解かれたカーネル少佐が発した命令とは…
 大和内部に入り込んでから話はかなり硬直状態。と言うか、この戦闘自体がかなり長引いてしまってる。もうちょっとスピーディにいかないものか?今回はカーネル少佐の復活だけしかトピックがない。
<A> <楽>
08'12'05 続 悪魔の飽食
森村誠一 (検索) <amazon> <楽天>
 満州を舞台に悪魔の所行を犯し抜いた731部隊は終戦後もその息は止まっていなかった。その後に起こる朝鮮戦争に至るまでの空白期間に731のメンバーがどのように生き残ったのか、そしてその研究成果はどこに行ったのか。日本とアメリカに存在する資料を基に、戦争終結から戦後に至る日本の負の歴史を描く。
 前に「新人間の証明」を読んだ時からこれは絶対に読もうと思っていたが、これはなかなか。日本とアメリカの裏取引が暴かれている。確かに人体実験というのは医学的に考えるならばもの凄く重要な資料ばかり。このまま埋もれさせるのはもったいないかも知れないけど、それが結局アメリカで研究続けられるとは意外と言えば意外な話。
<A> <楽>
08'12'03 海の祭礼
吉村昭 (検索) <amazon> <楽天>
 幕末。開国に向けて着々と時代は進行していた。その中で難物であった英語翻訳に情熱をかけた男達がいた。その中心人物森山栄之助を中心に、日本とアメリカの折衝の困難さとコミュニケーションの難しさを描いた歴史群像劇。
 基本は歴史で、それに想像を加えて物語下手にした司馬風の作品だが、本作の場合、英語翻訳という時事ネタを中心とするため、明確な主人公はおらず、やや読みにくい作品でもあり。まあ色々参考になったんで、それはそれで良いんだけど。
<A> <楽>
08'11'30 喰いしん坊21
土山しげる (検索) <amazon> <楽天>
 喰輪杯の第一戦は一対一による単一食材の早食い勝負。食材をいかにして早く食するか、機転の速さを問われる勝負に次々と勝負が決していく。
 今回登場した食材はゆで卵、トウモロコシ、キャベツ、トマト。これらの勝負が割とちゃんと工夫して食べられてるのが面白いところ。今回主人公の満太郎はほぼ出番なしだが、この勝負はどこまで続くのやら。
<A> <楽>
08'11'27 豹頭王の苦悩 グインサーガ122
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 シルヴィアが産み落とした不義の子について、その事実を唯一知るハゾスはこれからどうすべきか悩む。だが一方、その事実を何も知らされなかったグインの方が苦悩は深かった。ケイロニアにいなくてはならない存在として、一方シルヴィアの夫としてグインの取るべき道とは…

 一体どうなるかと思ったら、意外な結末を迎えてしまった。苦悩が続いていた割に終わりとあっさり目。あのラストが外伝でのグインの性格変化につながっていたことが分かる。しかし、考えてみれば外伝の1巻ってもう30年近くも前の話だったよな?ようやくここまで来たのか。
<A> <楽>
08'11'26 暗黒の塔 中 ダークタワーVII
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 ビームを建て直し塔を解放する。ビームの破壊者の中で仲間を見つけなんとかビームの破壊を止めることが出来たガンスリンガー。それを確認したローランドは、今度は事故で死のうとしているキングの命を救うために1999年のメイン州へと向かった。だが、その過程で仲間が一人ずつ減っていく…

 絶望的な状況から始まったこの物語もいくつかの幸運を得て少しずつ事態は好転していく。だが犠牲も大きく、この巻ではエディとジェイクという二人の仲間が死んでしまうことになった。いよいよここから最終巻へと物語は進んでいくことになる。
<A> <楽>
08'11'22 喰いしん坊20
土山しげる (検索) <amazon> <楽天>
 大食い世界大会“喰輪杯”の予選に参加する満太郎。30分でどれだけの台湾駅弁を食べられるかという勝負だが、満太郎にはどうしても食べられない調味料があった。その弁当が出ない事を願いつつ、喰い進める満太郎だが…
 喰いワンで2位という実力を持ちつつも、なんかいきなり大ピンチに陥る満太郎。前に20分で駅弁8つという話もあったはずだが、30分で6つはやっぱり少ないんじゃないかな?
 とにかく世界が相手と言うこともあって、本戦では色々民族衣装もどきが出てくるのも結構楽しい。
<A> <楽>
08'11'21 怪談 累ヶ淵
志村有弘 (検索) <amazon> <楽天>
 作家の心を捕らえ続ける講談の一つ怪談 累ヶ淵は、これまで何人もの作家が小説化して描いてきた。これらの物語を何本か集め、編者による作品そのものの解説を加えて編纂した「累ヶ淵」のみの作品。
 私が観た限りでは既に3本この作品の映画化作があるが、元は数日にわたって語られる長い講談。それらのエピソードを改めて文として読んでみると、今まで全然知らなかった事も見えてきたりして興味深い。映画になる話の以前の話ってのも結構重要なエピソードがあるようだ。
<A> <楽>
08'11'20 カオスレギオン01 聖双去来篇
冲方丁 (検索) <amazon> <楽天>
 在りし日の凱歌:透視と幻視の力を得、目も見えるようになったノヴィアが<銀の乙女>から正式に称号を受けるべく試験に臨む。
 シャイオンの怪物:ドラクロワの動向を求めるジークはノヴィアを伴い平穏で聖性の強い地シャイオンへと向かった。折しもそこでは領主のロムルスが息子のレオニスに跡目を譲ろうとしている所だった。
 これも本編の前の話。だから1ではなく01になっている訳か。これは単発の中編集に見えるが、どうやら著者はこれを膨らます気があるようだ。まあノヴィアをもっと全面に出そうって事なんだろうけど。
<A> <楽>
08'11'18 喰いしん坊19
土山しげる (検索) <amazon> <楽天>
 喰いワン選手権決勝戦。満太郎と錠二の闘いは接戦の末についに決着が付いた。だが闘い後、すっかり気力を失ってしまった満太郎の前に、かつてOKFFのスカウト淀川が現れる。そして満太郎は気力を奮い立たせるため、そして世界への挑戦のため台湾へ…
 喰いワンの方は割とさくっと終わってしまい、その後新展開へ。なるほど日本が終わったら次は世界って訳か。しかし次は世界と言っても、果たしてどんな物語になるんだか。まあ、読み続けていくことにはするけどね。
<A> <楽>
08'11'16 ゴッドファーザー 下
マリオ・プーヅォ (検索) <amazon> <楽天>
 ヴィトーの襲撃から程なくして、罠にかかった長男ソニーまでが殺されてしまった。縮小を余儀なくされたコルリオーネ一家の行く末に際し、ドンは突然ニューヨーク・マフィアの連中との和解を宣言する。そして停戦が有効な内、次期ドンとしてシチリアから呼び戻されたマイケルは、次々と組織の改革を打ち出していく。
 マイケル=コルリオーネという一人のドンが誕生するまでが描かれる話となった。非情な世界の中で、どんどんリーダーシップを増していくマイケルの成長過程が見事。映画の方は、これこそ観直さねばならない作品の筆頭だろうな。
<A> <楽>
08'11'12 3001年終局の旅
アーサー・C・クラーク (検索) <amazon> <楽天>
 ルシファー誕生から約1000年後。宇宙の片隅で一人の遭難者が発見された。彼の名はフランク=ブール。かつてディスカバリー号の乗務員であり、コンピュータHALによって宇宙に放り出された男だった。宇宙での肉体的な凍結から蘇生させられたブールは、新しい地球の姿に戸惑いつつもその生活を受け入れていく。そんな時ルシファー近くのガニメデ基地は不可解な電波を受信した。
 「2001年」から始まった一連のシリーズも本作が最終巻。ここでモノリスの存在意義が明らかになるが、「サイエンスフィクション」という意味ではちょっと驚きが少ない。物語も結構単純だったし。とは言え、しっかりと読ませてくれるのはやっぱり著者の実力って奴だろう。
<A> <楽>
08'11'09 野蛮の園2
西川魯介 (検索) <amazon> <楽天>
 野良山高専での狂った日常を描く第2巻。
 こういう作品の常で、1巻に較べ、フェティ度を更に上げ、どんどん過激さを増した作品に仕上げられてる。セーラー服司書や幼女教官、ショタ下級生など、変な新キャラばかりが出てきている。ただ、私の場合危ないギャグは好きだけど、単にフェティ度を上げたり、助平っぽくするのはちょっと合わない部分もあり。この人のギャグのセンスは好きなんだが、そちらの方に傾倒しすぎると面白さが半減だね。ま、私の勝手な言い分だけど。
<A> <楽>
08'11'06 狼と香辛料
支倉凍砂 (検索) <amazon> <楽天>
 中世ヨーロッパ。旅の行商人ロレンスはなじみの村で村祭りに行き会うのだが、たまたまそこで買い取った麦の中には、土地の豊饒神が紛れ込んでいた。少女の姿の狼神はホロと名乗り、北の故郷に行くために一緒に旅をさせてくれとロレンスに頼むのだった。
 中世ヨーロッパを舞台に経済と冒険が展開するシリーズ作品の第1巻。先行してアニメ版の方は先に観ていたが、やっぱり小説の方が細かく書かれているので、分かりやすくはなってる。逆に考えれば、結構ややこしい設定部分をよくアニメに出来たものだ。
 著者は理系畑の人らしいが、経済をうまく小説に取り込んでるので結構興味深い。
<A> <楽>
08'11'05 暗黒の塔 上 ダークタワーVII 
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 マイアは妖魔によって身籠もらせられたローランドとの子モルドレッドを産み落とした。マイアと体を共有しているスザンナの安否を気遣い急行するジェイクとキャラハン。決死の思いの突入は果たして報われるのか。そしてニューヨークの薔薇を守りつつジェイクらと合流しようとしているローランドとエディの行動は?

 これが最終話の始まりとなる。今のところ、オリジナルメンバーで死んだ人間はいないが、逆にそれに驚いた。今巻でローランドの宿敵ウォルターが実は小物であったという事実と、あまりにあっけなく殺されてしまったのは意外すぎ。
 この話で「アトランティスのこころ」に登場したブローティガンが登場。あの話でも強制的に異世界に連れて行かれたが、それがここだと言うことか。
<A> <楽>
08'11'01 ディープグリーン1
佐々木淳子 (検索) <amazon> <楽天>
 女子高校生愛川舞はある日昼寝中、夢の中に一人の少年が入り込んできた。記憶喪失というその子をもてあます舞だったが、その子を追って何かの影がやってくる。その子を守りつつ、起きている時間を利用してその正体を探ろうとするが…
 「ダークグリーン」の正式な続編。Rドリームの記憶が人類から抜けてかなりの時間が経った状態から始まる物語。そう言えば「ダークグリーン」連載開始時はもう30年も前の話だ。それで今になってその続編とは、考えてみれば凄いものだ。今のところRドリームの事はほとんど語られていないのだが、追々それも俎上に上るか?ノスタルジックに楽しめる作品が一つ出来たよ。
<A> <楽>
08'10'30 ゴッドファーザー 上
マリオ・プーヅォ (検索) <amazon> <楽天>
 ニューヨークの五大ファミリーの一つコルリオーネファミリーは当主のヴィトーがコルシカ人の互助組織から始め、一人で巨大な組織に育て上げた一家だった。だがヴィトーが麻薬取引を断ったばかりに、巨大なタッタリアファミリーとの全面抗争へと発展していく。狙撃され重体となったヴィトーの代わりとなり一家を束ねる長男のソニーだが、そこに父重体のニュースを聞いて、一家とは関わらずに生きてきた三男のマイケルが帰ってくる…
 映画『ゴッドファーザー』の原作。物語は基本的に映画と同じだが、逆に言えば、これだけの物語をよく映画一本に仕上げることが出来たものだと感心できる。
 ところで小説の方ではかなり比重の高いジョニー=フォンテーンという歌手が、本当にシナトラに見えてくるところが面白い。
<A> <楽>
08'10'29 99.9%は仮説 
竹内薫 (検索) <amazon> <楽天>
 「科学的に定義された」と書かれると、それは真理のように思えるが、果たしてそれは本当なのか?歴史上いくつもの覆された定義を例に挙げて解説し、科学とはそのほとんどは仮説であることを論破する作品。
 確かに「科学的」という言葉と、その歴史に弱い。ついそれで信じた気持ちになるが、科学とは基本的に全てがグレーゾーンであるという前提に立つ必要がある。まあ依って立つものが無いというのは結構不安なものもあるのだけどね。
 そう言えば数学者が科学者に勝るのは、数学の定義は絶対覆せないものだから。と行った人がいたっけな。
<A> <楽>
08'10'25 鉄腕バーディー20
ゆうきまさみ (検索) <amazon> <楽天>
 尋問のため連邦の観測船に連れ込まれてしまったつとむ=バーディーと、巻き込まれて連れ込まれた早宮と須藤。しかし条約無視のあまりの待遇の悪さにキレたバーディーは早宮と須藤を守るためにも脱出を試みるのだった。三人の運命は…

 ヤンサンバージョンの最終巻となるこの話。結局話はようやく本道へと帰って来たわけだが、考えてみると、本来のストーリーよりも枝葉の方ばっかりで話が構成されており、結局ここまででやった事ってとても少ないのだよな。レビとゴメスの関係や、そこにたどり着くまでに一体あと何巻費やすことになるんだか。ま、今度のスピリッツ版の方に期待するとするか。
<A> <楽>
08'10'23 サイロンの光と影 グインサーガ121
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 記憶の戻ったグインは国民の待つケイロニアへとついに帰還を果たす。病床にあったアキレウス帝も床を出られるようになり、国民や廷臣の喜びもひとしおだった。だが大喜びする国民とは裏腹に、グインの前に姿を現そうとしない妻シルヴィアを心配し、グインは単身無理矢理シルヴィアの寝室に足を踏み入れる…

 ここでついにグインは自国へと帰還。前半はその喜びが描かれ、後半は一転。グインの苦しみが描かれることになる。酷い物語だが、これを描いてしまう著者も凄い。決して読みやすい訳じゃないけど。
<A> <楽>
08'10'21 わたしはスポック
レナード・ニモイ (検索) <amazon> <楽天>
 スタートレック 宇宙大作戦で印象的なヴァルカン人のスポックを演じ、それが縁で映像作家としても成功した著者が、自分がこれまで当たり役のスポックという存在とどのようにつきあってきたか。そして自分自身がスポックのお陰でどのように生きてきたかを述べたエッセイ集。
 70年代「スタートレック」が盛り上がりを見せていた時代に「わたしはスポックではない」という衝撃的なタイトルの本を書き、相当叩かれた経験を持つ著者が、何故そんな本を書いたのか。そして本を書いてから自分がたどってきた自分の芸能界での生き方を描いた作品。
 著者が「スタートレック」という作品にどれだけ引きずられてきたか。そしてそのお陰でどれだけ多くを与えられてきたか。その辺が自分自身とスポックとの対話。という形で書かれている。
 しかし、ニモイってかなり優しい人だね。「スタートレック」では非常にドロドロした話があるのだが、それを全く描かないか、あるいはあたかも自分がそれを引き起こしたかのように書いてる。酷いのはシャトナーの方だって聞いてるんだが、全くそれにも触れてない。
<A> <楽>
08'10'19 喰いしん坊18
土山しげる (検索) <amazon> <楽天>
 満太郎と錠二の決戦も佳境。最後まで勝負を捨てない錠二の戦闘意欲に、満太郎も気力を振り絞り挑み続ける。果たして勝負の行方は?
 ここも満太郎の思い出として甲府の話が長々と続いてしまい、残念なことにかなり間延びしてしまった感じ。特に甲府の話が全然リアリティなしのため、かなりきつい。これをさくっと終わらせて本編の方に力を入れて欲しかったところ。しかもここで勝負が付いてないのもマイナス。
<A> <楽>
08'10'18 らんぼう
大沢在昌 (検索) <amazon> <楽天>
 警視庁のお荷物コンビ巨漢で馬鹿力の“ウラ”こと大浦と素早く喧嘩っぱやい“イケ”こと赤池の二人。検挙率こそダントツではあるが、あまりに過剰な暴力のため、誰からも恐れられていた。そんな二人が出くわしてしまった事件の数々を描く連作短編集。
 はみ出し刑事コンビを描く作品。ネタとしてはありがちではあるが、何せキャラが本当に無茶苦茶なので爽快感はある。読み進めることが楽しいってのが一番。そう言えば著者の作品読むのは随分久しぶりだ。
<A> <楽>
08'10'16 月光条例2
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 一寸法師の鬼が月打された。そう聞かされた鉢かづきは、物語を救うべく月光に助けを求める。だが「武器として女を振るえるか」と頑なな月光に、鉢かづきがとった方法とは…
 今回の昔話は一寸法師とシンデレラ。メインは一寸法師の方にあるが、尺が短い割にえらく色々詰まってる。これだったら丸二巻くらい使っても充分なくらい。
 これまでの著者の作品はスロースターターなのが多かったけど、これに関しては結構早い内に面白くなってるね。ただ物語の構造上細かい話の連発になるだろうから、それをどうやって大きな話につなげていくかがこれからの課題だろう。
<A> <楽>
08'10'11 新・人間の証明 下
森村誠一 (検索) <amazon> <楽天>
 中国人楊君里の死の真相を確かめるため元731部隊の聞き込みを続ける棟末。過去の罪悪感からなかなか口を割らない元隊員に根気よく尋ね歩いた結果、たぐれたものは意外な大物だった。しかし証拠はあまりに少なく、その推測を裏付けるための聞き込みを延々と続ける。その中で明らかにされる731の行いとは…
 推理ものとして考えるなら、著者らしい偶然を連続させてたぐると言った感じで、更に意外な展開もあるわけでなく、そっち方面では語るべき事があまり無いとは言え、戦争のセミ・ドキュメンタリーとしてかなり迫力のある作品に仕上がっている。しかしよくここまでソースをたぐれたものだね。小説を書くよりも資料集めの方によっぽど苦労したんじゃないかな?
<A> <楽>
08'10'09 新・人間の証明 上
森村誠一 (検索) <amazon> <楽天>
 来日中の中国人女性がタクシーの中で死んでいるのが発見された。薬物による死亡であることは分かったものの、それが自殺か他殺か判断が付かず。ただタクシーの中に残された一つのレモンだけが存在感を示していた。そんな捜査の担当となった刑事棟末は、雲をつかむような捜査を開始する。しかし彼女の死の後、関係者と思われる人物の死亡を知る。捜査を進める内に、大戦中に中国で行われた恐ろしい人体実験の事実にぶつかっていく。

 「人間の証明」同様、外国人の死から始まり、戦争の中で行われた事実を掘り下げて描く作品。ただ本作の場合、形式は確かに推理ものの体裁を取っているものの、まさしくこれは著者の「悪魔の飽食」そのものであることに気づく。きっと元々は本作を書くために資料を集めている内にその事実を見つけたのだろうな。
<A> <楽>
08'10'05 はじめの一歩85
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 強敵ランディに勝つためにはアッパーの特訓が不可欠と判断した宮田陣営。そんな時、偶然にもスマッシュの使い手千堂が武者修行で東京にやってきた。
 随分前の話になるが、宮田と千堂はフェザー級新人王戦の本命の二人だった。そして時が経ち、スパーリングとはいえ、お互いに世界ランカーとなっての対戦が描かれる。あまりに話が出来すぎてるというのはともかくとして、これは一種の夢の対決となるので、やっぱり読んでいて燃えるね。

 さて次巻はいよいよ宮田の試合となるはずだが、果たしてその勝者は?多分宮田だとは思うけど、後の展開考えるとランディの可能性も捨てきれず。分からないぞ。
<A> <楽>
08'10'04 楽しみと日々
マルセル・プルースト (検索) <amazon> <楽天>
 後に大作家となる著者が23歳の時に刊行した処女散文集。長編のスケッチや短編、詩などを多数収録する。
 後に「失われた時を求めて」を描くこととなる著者が、最初に書いていた作品。おそらくは10代の頃から書きためていた作品であろう。やはり若さを感じさせる作風で、スノビズムの中に身を置く著者がスノッブなるものを批判したものが多い。むき出しの批判精神がかえって新鮮で、なかなか読ませてくれるものになっている。
<A> <楽>
08'10'02 プレイヤー・ピアノ
カート・ヴォネガットJr. (検索) <amazon> <楽天>
 大戦後、全てが機械化されたアメリカ。機械の管理以外の全ての仕事が無くなり、一部の特権階級のみがそれを独占した世がやってきた。仕事に漏れた人間は生活は保障されるものの、何もすることが無くなり、やがては不穏な空気が流れていく。特権階級にありながら現状にかすかな不満を持つポール=プロデューサーは、時折川向こうの区域へと視察に向かうのだが、そこである日友達と呼べる人を見つけ出した。

 金持ちが貧乏生活に強制的に落とされる。このパターンは著者の作品には度々出されるテーゼであり、本作も大変著者らしい作品であり、SFと言うよりもディストピアものとして読むのが正しい感じ。
 ところで訳者あとがきで著者のことを朝倉久志が「無類に心の優しいニヒリスト」と書いているが、実に良く著者を言い表した言葉だと思える。
<A> <楽>
08'10'01 F.S.S.DESIGNS 3 KALAMITY GODDERS:BOTH
永野護 (検索) <amazon> <楽天>
 現在休載中の『ファイブ・スター・ストーリーズ』デザイン集第3巻。今巻は第4太陽のカアミティ・ゴーダースと第2太陽のボォスのキャラ及びMHデザインを収録。魔導大戦下の国家内バランスや新興国家に至るデザインを収録する。

 とりあえず3巻で現国家のデザインはほぼ終了。残すところあと1巻となった。とにかく読み応え見応え共に満足の作品ではあるが、物語の流れとは別に存在する作品のため、やっぱり早くマンガの方の連載再開を望みたいところだ。
<A> <楽>