ゴーストライター
The Ghost Writer |
2010全米批評家協会助演女優賞(ウィリアムズ)
2010LA批評家協会音楽賞
2010セザール監督賞、脚色賞、音楽賞、編集賞、作品賞、撮影賞、音響賞、美術賞
2010ヨーロッパ映画作品賞、監督賞、男優賞(マクレガー)、脚本賞、音楽賞、プロダクション・デザイン賞、編集賞
2010ナショナル・ボード・オブ・レビュートップ10インディ作品
2011キネマ旬報外国映画第1位
2010ロジャー・エバートベスト第10位 |
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ロマン・ポランスキー
ロベール・ベンムッサ
アラン・サルド
ヘニング・モルフェンター(製)
ロバート・ハリス
ロマン・ポランスキー(脚) |
| ユアン・マクレガー |
| ピアース・ブロスナン |
| キム・キャトラル |
| オリヴィア・ウィリアムズ |
| トム・ウィルキンソン |
| ティモシー・ハットン |
| ジョン・バーンサル |
| デヴィッド・リントール |
| ロバート・パフ |
| ジェームズ・ベルーシ |
| イーライ・ウォラック |
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| ★★★☆ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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3 |
4 |
4 |
3 |
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元イギリス首相アダム・ラング(ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼されたゴーストライター(マクレガー)。気乗りしないままに、ただ報酬だけにつられてラングが滞在するアメリカ東海岸の孤島へと向かう。そこでラングへの取材をしながら、フェリーから転落死したという前任者の仕事を引き継ぎ、原稿を書き進めていくのだが、調べれば調べるほど、ラングの過去についての疑問がわき上がってくる…
芸達者で様々なジャンルの作品を作り続けているポランスキー監督だが、そのフィルモグラフィを見ると、比較的多く作っているのがサスペンスものである。
そして監督の作るサスペンスに共通しているのは、主人公はホームグラウンドではなく、文化の違う場所に行かされ、そこで事件に当たるというパターンが多い。なんせ通常自分の街で事件に当たっているはずのハードボイルド『チャイナタウン』でさえ、チャイナタウンという、これまで接触がなかった区域で事件の捜査をさせられるという徹底ぶりである。
見知った場所ではない異郷の地で、孤軍奮闘を強いられる主人公の姿。サスペンスならずとも、ほとんどの作品でそれがなされていることから、これが監督の持っている明確なテーマであることが分かる。
本作にしても、イギリス人がわざわざアメリカの片田舎に行って頼るものがないまま独自な捜査を強いられているし、やはりこの作品もテーマに沿って作られた作品と見て良いだろう。その心情を示すかのように、ここは暗く濁った海、灰色の空、そして時折降ってくる冷たい雨、よそよそしい排他的な人々…こういったものを通して主人公の居心地の悪さが本作を語る上での最大の魅力と言っていい。
本作の中核を担う設定は、ヒッチコックタイプの、否応なく巻き込まれてしまった主人公が、自分のできる範囲で真相究明に乗り出すというものだが、この背景はとても興味深い。
かつてジョージ・ブッシュによって始められたイラク戦争は、まともに見るなら無茶苦茶な作戦だった。911テロによって、その報復の対象になったのはアフガニスタンのはずだったのに、いつの間にか攻撃対象がイラクになっていて、しかもその攻撃の理由があまりにも漠然としていた。はっきり言って、父の起こした戦争を強引に再開したとしか見えない、ブッシュ個人の思いで起こしたものとしか思えないのだが、そんな無茶な戦争に真っ先に賛同したのがイギリスのブレア首相だった。彼はカリスマ性を持った、主張の明確な人物なのだが、その政策があまりにアメリカよりだったため、就任時から批判の対象になっていた。
その事実を取り上げ、ブレアの行動はそのままCIAの意向であったと言ってるような作りだ。そう言う意味では本作は政治的告発作品とも言えるだろう。
当代一流の監督によって、こういう告発映画が作られているという一事を見ても、まだまだ映画界は捨てたものではないと思わせてくれる。それだけでも本作は観る価値があるだろう。 |
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