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アルフレッド・ヒッチコック
Alfred Hitchcock

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Alfred Hitchcock
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イギリスの映画監督・映画プロデューサー・脚本家。映画史上最も影響力のある映画監督のひとりと見なされており、イギリスとアメリカ合衆国での60年にわたるキャリアの中で50本以上の長編映画を監督した。革新的な映画技法や独自の作風を使用し、「サスペンスの巨匠」[2]や「スリラーの神様」と呼ばれた。ほとんどの監督作品に小さな役でカメオ出演したことや、テレビ番組『ヒッチコック劇場』(1955年 - 1965年)のホスト役を務めたことでも広く知られている。2000万ドルと見積もられたヒッチコックの財産は、妻のアルマと娘のパトリシア、そして3人の孫娘に遺贈された。
Wikipediaより引用
経歴
1899'8'13 レインストーンで誕生
1913 13歳で聖イグナチウス・カレッジを修了
1914 通信ケーブル会社に就職する
1915 仕事をしながらロンドン大学のゴールドスミス・カレッジの美術学科の夜間コースに通い、イラストの勉強する
1917 王立工兵連隊(英語版)の士官候補生となり、会社で働きながら週末に訓練や演習に参加する
1919 ラスキーの字幕デザイナーとして映画業界入り
1921'4 ラスキーの正社員となる
1922 自主製作で初監督作に挑むも資金が切れて挫折する。
1923 マイケル・バルコンの独立プロダクションで助監督となる。
1924 バルコンがイズリントンのスタジオを買収してゲインズボロー・ピクチャーを設立する
1925 ドイツのEmelkaとの共同製作で『快楽の園』で監督デビューする。
1926'12'2 記録係だったアルマ・レヴィルと結婚する。
1927 ゲインズボロー・ピクチャーを辞め、BIPに入社する
1930 ヒッチコックの広報活動を担う会社「ヒッチコック・ベイカー・プロダクションズ」を設立
1933 ロンドン・フィルムと短期契約を結ぶ
1934 『暗殺者の家』が大ヒットし、イギリス映画の第一人者と言われる
1935 『三十九夜』が大ヒット。アメリカでもヒットする
1937 ゴーモンの製作部門が閉鎖され、BIPで『第3逃亡者』を監督する
1939 デヴィッド・O・セルズニックと契約を結んで渡米し、『レベッカ』を監督する。以降アメリカで製作を続ける
1940 セルズニックから派遣され、ウォルター・ウェンジャー・プロ『海外特派員』を監督する。
カリフォルニア州スコッツバレー近く別荘「コーンウォール牧場」を購入
1941 『断崖』でフォンティンがオスカーを得る。
1942 セルズニックからユニヴァーサル・ピクチャーズに出向させられ『逃走迷路』を監督する
セルズニックから20世紀フォックスに出向させられ『救命艇』を監督する
1943'12 戦争努力に貢献する必要性を感じてイギリスに帰国し、短編プロパガンダ映画を撮影するが採用されず
1944 バースタイン製作のナチス・ドイツの強制収容所に関するドキュメンタリー『German Concentration Camps Factual Survey』にアドバイザーとして参加した
セルズニックのスタジオで、戦時国債販売促進のためプロパガンダ映画『The Fighting Generation』を撮影
1947 『パラダイン夫人の恋』をもってセルズニックとの契約を打ち切る
1948 バーンスタインと共に独立系製作会社トランス・アトランティック・ピクチャーを立ち上げ、『ロープ』を監督・製作する
1949 ワーナー・ブラザーズと自らがプロデューサーとして題材や配役などを自由に選べるという条件で契約する
1953 パラマウント・ピクチャーズと契約し、製作・監督した作品の利益に対する歩と最終的な所有権を得る
1954 『裏窓』でアカデミー監督賞にノミネートされる
1955'4'20 アメリカ市民権を取得する
1955 ワッサーマンから自身のテレビシリーズを依頼され、CBSで30分のテレビシリーズ『ヒッチコック劇場』を製作開始
テレビ用製作会社シャムリー・プロダクションを設立し、シリーズを自らのコントロールで行う
合計18エピソードを自ら監督する
1956 HSD出版社から犯罪と探偵小説専門の月刊雑誌「アルフレッド・ヒッチコック・ミステリー・マガジン」刊行
1963 愛犬の名前にちなんで名付けた新しい製作会社ジェフリー・スタンリー・プロダクションを設立
1968 映画芸術科学アカデミーからアービング・G・タルバーグ賞を受賞
1979 大英帝国勲章を授与される
アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)から生涯功労賞を受賞
引退を決めユニバーサル・ピクチャーズのスタジオ内にある自分のオフィスを閉鎖した
1980 大英帝国勲章のナイト・コマンダー(KBE)の勲位を授与された
1980'4'29 死去
5+
4+
暗殺者の家
下宿人
三十九夜
ヒッチコックの ゆすり
3+
快楽の園
ダウンヒル
農夫の妻
リッチ・アンド・ストレンジ
2+
個人的感想
1980 4'29 死去
1979
1978
1977
1976 ファミリー・プロット 監督・製作
1975
1974
1973
1972 フレンジー 監督・製作
1971
1970
1969 トパーズ 監督・製作
1968
1967
1966 引き裂かれたカーテン 監督・製作
1965
1964 マーニー 監督・製作
1963  監督・製作
1962
1961
1960 サイコ 監督・製作
1959 北北西に進路を取れ 監督・製作
1958 めまい 監督・製作
1957
1956 間違えられた男 監督
知りすぎていた男 監督・製作
1955 ハリーの災難 監督・製作
泥棒成金 監督・製作
ヒッチコック劇場(1st~7th)
<A> <楽> 製作・出演
1954 ダイヤルMを廻せ! 監督
裏窓 監督
1953 私は告白する 監督
1952
1951 見知らぬ乗客 監督
1950 舞台恐怖症 監督・製作
1949 山羊座のもとに 監督・製作
1948 ロープ 監督・製作
1947 パラダイン夫人の恋 監督
1946 汚名 監督・原案
1945 白い恐怖 監督
1944 マダガスカルの冒険 監督
闇の逃避行 監督
救命艇 監督
1943
1942 逃走迷路 監督
疑惑の影 監督
1941 断崖 監督
スミス夫妻 監督
1940 レベッカ 監督
海外特派員 監督
1939 巌窟の野獣 監督
1938 バルカン超特急 監督
1937 第3逃亡者 監督
1936 サボタージュ 監督
間諜最後の日 監督
1935 三十九夜 監督
1934 暗殺者の家 監督
1933
1932 第十七番 監督・脚本
1931 リッチ・アンド・ストレンジ 監督・脚色
スキン・ゲーム 監督・脚色
1930 殺人! 監督
エルストリー・コーリング 監督
1929 マンクスマン 監督
ジュノーと孔雀 監督・脚本
ヒッチコックの ゆすり 監督
1928 農夫の妻 監督
シャンパーニュ 監督
1927 ダウンヒル 監督
ふしだらな女 監督
リング 監督・脚本
1926 下宿人 監督・脚本
1925 快楽の園 監督
1924
1923
1922
1921
1920
1919
1918
1917
1916
1915
1914
1913
1912
1911
1910
1909
1908
1907
1906
1905
1904
1903
1902
1901
1899 8'13 レインストーンで誕生

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レビュー
ファミリー・プロット
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IMDb
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アルフレッド・ヒッチコック(製)
アーネスト・レーマン(脚)
カレン・ブラック
ブルース・ダーン
バーバラ・ハリス
ウィリアム・ディヴェイン
エド・ローター
キャスリーン・ネスビット
チャールズ・タイナー
キャサリン・ヘルモンド
エディス・アトウォーター
ウィリアム・プリンス
ニコラス・コラサント
マージ・レッドモンド
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 二組の犯罪者をザッピングして見せていく内、それがどんどん重なっていく。最後までユーモアを捨てなかったヒッチコックらしさが出ている。ヒッチコックの面白さはサスペンスの中に喜劇的要素を加えること。
製作年 1976
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
ヴィクター・カニング (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
キーワード
フレンジー
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アルフレッド・ヒッチコック(製)
アンソニー・シェイファー(脚)
ジョン・フィンチ
バリー・フォスター
ビリー・ホワイトロー
バーナード・クリビンス
ジーン・マーシュ
アンナ・マッセイ
アレック・マッコーエン
バーバラ・リー=ハント
ヴィヴィエン・マーチャント
マイケル・ベイツ
クライヴ・スウィフト
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 初期作品『下宿人』の要素を多く取り入れたイギリスに戻っての作品。イギリスの社会風刺もふんだんに取り入れている。
 ヒッチコック監督の晩年の佳作
製作年 1972
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
アーサー・ラバーン (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
キーワード
トパーズ
Topaz
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アルフレッド・ヒッチコック(製)
サミュエル・テイラー(脚)
フレデリック・スタフォード
ダニー・ロバン
カリン・ドール
ジョン・ヴァーノン
ミシェル・ピッコリ
フィリップ・ノワレ
ジョン・フォーサイス
クロード・ジャド
ロスコー・リー・ブラウン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
レオン・ユリスの小説に基づく冷戦時代のスパイ・スリラー『トパーズ』を監督することにしたが、ユリスが書いた脚本は満足のいくものではなく、サミュエル・テイラーに書き直しを依頼した
製作年 1969
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
レオン・ユリス (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
キーワード
引き裂かれたカーテン
Torn Curtain
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IMDb
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アルフレッド・ヒッチコック(製)
ブライアン・ムーア(脚)
ポール・ニューマン
ジュリー・アンドリュース
リラ・ケドロヴァ
デヴィッド・オパトッシュ
ルドウィッグ・ドナス
アンナ・リー
ハンスイェルク・フェルミー
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 コペンハーゲンで開催される科学者国際会議を前にしてアメリカ宇宙委員会のマイケル(ニューマン)は突然東ベルリンに亡命すると言い出す。婚約者で秘書であるセーラ(アンドリュース)はそんなマイケルの態度に驚き悲しむが、献身的にも彼に従って東ベルリン入りする。マイケルの持つ秘密とは?そして二人は一体どうなるのか?
 ヒッチコック監督の50本記念作品で、主演にポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースを招き、合成シーンもふんだんに使って作られた豪華な作品。東ベルリンでの逃走劇、科学的意味づけを持った国際スパイの暗躍と、見所は多く、更に冷戦構造をしっかり見据えて作られているのは確か。1966年全米興行成績も8位と健闘している。
 50本目の記念という事で意気込みもあったか、豪華な内容に押されないように、自分を見失わないようにしっかり作り込まれているのは分かるのだが、出来そのものはこれまでのヒッチコック作品の総決算と言った感じで目新しいところが無く、しかも小道具の使い方にも今ひとつ見るべきところがないところが残念な作品となってしまった。
 これにはおそらくニューマン&アンドリュースという豪華スターがはまらなかったのが大きな原因ではないだろうか?不適なニューマンと元気いっぱいのアンドリュースでは、到底スパイ役なんて似合わないし、地味目のアクションを演じるには二人とも華がありすぎた。監督の力量があっても、既に二人とも役者としての評価は固定していたため、それを打ち破ることが出来なかったのが大きな失敗だろう。
 それ以外はそつなくまとめられた作品と言っても良いんだが、無名か、あるいはヒッチコックにいじられて良いキャラを出せば問題もなかったんだろうけど。

 主演にはユニバーサルの要求でポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースを起用したが、彼らに支払われた莫大なギャラのせいで予算は切り詰められ、創作面にお金を使いたかったヒッチコックは2人のギャラと配役に不満を表明し、作品へのやる気も失った
製作年 1966
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
書籍名 <A> <楽>
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キーワード
マーニー
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アルフレッド・ヒッチコック(製)
ジェイ・プレッソン・アレン(脚)
ショーン・コネリー
ティッピー・ヘドレン
マーティン・ガベル
ダイアン・ベイカー
マリエット・ハートレイ
ブルース・ダーン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 赤い色を見ると盗み癖が出てしまう女性を描き、トラウマについて言及する。レイプまがいのシーンがあり、それが議論になる
 コネリーはスクリーンテストを主張するヒッチコックに対し、そんなものがあるなら出演しないと豪語する
 ヒッチコックのヘドレンに対するセクハラはエスカレートした。ヒッチコックは控え室でヘドレンに性的関係を求め、やがてヘドレンのキャリアを台無しにすると脅迫めいたことを言ったという。それ以来ヒッチコックはヘドレンに話しかけるのを拒み、第三者を通じてコミュニケーションをとった。そのうえ作品に対する興味も失くし、技術上のディティールやスクリーン・プロセスやセットの使い方などにも注意を払わなくなった
製作年 1964
製作会社 アルフレッド・J・ヒッチコック・プロ
ジャンル 犯罪(泥棒)
売り上げ
原作
ウィンストン・グレアム (検索) <A> <楽>
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The Birds
1963米アカデミー特殊視覚効果賞
1963キネマ旬報外国映画第4位
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アルフレッド・ヒッチコック(製)
エヴァン・ハンター(脚)
ティッピー・ヘドレン
ロッド・テイラー
スザンヌ・プレシェット
ジェシカ・タンディ
ヴェロニカ・カートライト
ドリーン・ラング
エリザベス・ウィルソン
エセル・グリフィス
チャールズ・マックグロー
ロニー・チャップマン
ジョー・マンテル
マルコム・アターベリイ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ボデガ湾沿いの田舎町で、突然大発生した鳥の群。しかも彼らは大挙をなして人間を襲い始める。理由も分からぬまま事件の渦中に巻き込まれてしまったメラニー=ダニエルズ(ヘドレン)、若き弁護士ブレナー(テイラー)、小学校教師のアニー(プレシェット)らの恐怖の体験を描く。
 ダフニ・デュ・モーリエの小説「鳥」の「ある日突然、鳥が人間を襲う」というアイデアだけをもらい、脚本に「87分署シリーズ」のエヴァン・ハンターを招いて作り上げた傑作。
 普通、サスペンスなどの映画などでは避けて通れないものがある。別段サスペンスに限ってのことではないが、それは、何らかの事が起こるならば、必ずそれには原因がある。と言うことである。
 何者かが人を襲う場合、その人を襲う理由というのがついて回る。その多くは対象者に何らかの恨みを持っている場合で、サスペンス作品なんかの場合は、その因果関係を描くこと自体が映画を描くことと言っても良いくらい。他にも色々理由というのはくっつけられる。殺し屋が何者かに依頼されたとか、悪に対する正義の鉄槌とか、神の声を聞いたとか(?)。場合によってはそいつがたまたま目の前にいたとか、奇病に冒されて人を襲うとか、太陽が暑かったからとか、一見原因不明でも何らかの理由をくっつけるものだ。
 しかし、それに当てはまらない映画というのもいくつかある。全くの不明のままただ人を襲い、その原因が最後まで分からないままというもの。ホラーにはいくつかそう言うのもあるが(『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968)が一番分かりやすいと思う)、ただこの方法は本当の例外中の例外に当たるし、これだと物語にならないため、ほとんどがB級の脚本なおざり作品ばかり。
 それを敢えてやったのは、やはり冒険者であるヒッチコックだった。ヒッチコックの凄いところは、どれほどメジャーになっても、実験と挑戦をあきらめなかったところ。そして、きっちりとそれらをエンターテイメントとして仕上げることが出来たことだ。
 考えてみると、本作は映画の常識からことごとく外れている。単に鳥が人間を襲う。物語の基本的な筋は本当にこれだけで、その理由が語られることもなく、物語性は極力排除されている。
 素人じゃあるまいし、これじゃ映画にならない…はずなのに、殆ど演出の巧さのみで一級品のサスペンスに仕上げているのが凄いところ。真似しようとしても真似できない(やっても単にヒッチコックの真似事でしかない)。改めてレビューしてみると、どれほどヒッチコックという監督が凄かったかが分かってくる。
 基本的にストーリーで見せることは半ば放棄しているかのような感じを受けるのだが、その分、演出を徹底的に凝らしてるところが興味深い。特に中盤、取りの怖さを印象づけた後でのジャングルジムに鳥が群がってるシーンなんかは、ただ鳥がいるだけなのに、本当にドキドキさせられた(しっかりこのシーンは『メル・ブルックス 新サイコ』(1977)でしっかりパクられている)。刷り込みを使ったモンタージュ技法の最高シーンだろう。音楽の使い方も一級品。無音と不協和音を交互に使うことによって、一瞬の安堵感とそれに続いて更なる不安を煽る技法を確立した(本作の鳥の鳴き声はバーナード・ハーマンの手によるもので、シンセサイザーを多用したお陰で定式から外れた不協和音が生理的不快感と同時に恐怖感も煽ってる)。音楽にはこんな使い方もあることも勉強させられた。
 それと勿論ヒッチコックの演出にはキャスティングにも及ぶ。ここでの主役はみんなヒッチコック自身が指名したキャスティングだそうだが、タフガイとしか見えないロッド・テイラーがマザコン男として出てくるとか、普段澄ました顔してながら、耳をつんざくばかりの悲鳴を上げるティッピ=ヘドレンとか、普通考えつかないミスマッチが見事にはまってる(お気に入りのグレース=ケリーが引退したからその怒りを他に向けたという風評もあり)『サイコ』のお陰で、ノーマンのイメージが最後まで抜けなかったホプキンスもそうだが、ヒッチコックの作品に登場した俳優は、はまりすぎてそのイメージから抜けるのに苦労するそうだ。ヒッチコックの映画に出ることは役者生命そのものを脅かすことになるんだな。
 尚、本作に登場した鳥の総数は2万8千羽(公称)に及んだそうだが、これには鳥のトレーナーとして有名なレイ・バーヴィックがカリフォルニアの沿岸などから片っ端から捕まえてきたものだとのこと。役者のみならずトレーナー、撮影者共々、相当に苦労しただろうなあ。それに本物の鳥を使ってるわけだから、規制の強い現代ではもう作ることが出来ないだろう(CGを用いるなら可能だけど、それでここまでの迫力が出せるかは疑問)
 1963年3月に公開され、興行収入は最初の数か月で1100万ドルをあげたが、批評家と観客の意見は賛否両論となった
製作年 1963
製作会社 アルフレッド・J・ヒッチコック・プロ
ジャンル 鳥(動物)
ホラー(動物)
売り上げ
原作
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ダフネ・デュ・モーリア (検索) <A> <楽>
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サイコ
Psycho
1960米アカデミー助演女優賞(リー)、監督賞(ヒッチコック)、撮影賞、美術監督・装置賞
1960ゴールデン・グローブ助演女優賞(リー)
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ジョセフ・ステファノ(脚)
アンソニー・パーキンス
ジャネット・リー
ジョン・ギャヴィン
ヴェラ・マイルズ
マーティン・バルサム
サイモン・オークランド
ジョン・マッキンタイア
ジョン・アンダーソン
パトリシア・ヒッチコック
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 出来心から会社の金を横領したマリオン(リー)が立ち寄ったモーテル。奇妙な青年ノーマン・ベイツ(パーキンス)と母が経営するそのベイツ・モーテルで起こる惨劇!彼女の行方を捜す婚約者と彼女の妹が見たノーマンと離れの一軒屋に住む年老いた“母”との奇妙に複雑な物語とは…
 言うまでもないがホラーの名作にして金字塔と呼べる作品。白黒映像で実際の殺人シーンを見せることなく、音と象徴で恐ろしさを演出した実力は並々ならぬもの。音楽担当のバーナード=ハーマンの実力を見せつけてもいた。又、怪奇映画において本当に怖いのは見た目の怖い怪物ではなく、普通の人間の精神に宿る怪物であることを示し、サイコ・スリラーというジャンルを打ち立てるに至る。この年の全米興行成績も『ベン・ハー』(1959)に続く2位で、ヒッチコック監督作品では一番の当たり作となる(主演のパーキンスにとってはこの年興行成績5位の『渚にて』と合わせ、大躍進の年となった)。ここまでに『めまい』『北北西に進路を取れ』と冒険大作を連続して発表したヒッチコック監督が次に選んだジャンルがサイコ・スリラーで、しかも最大のヒットとなったのはやや皮肉っぽい部分もある。この後も『鳥』(1963)など、新たなスリラー作品にも挑戦し、見事に成功しているのも印象深い。初めて映画館で途中入場を禁止する興行方針を定めた。
 衝撃的な殺人シーンと最後の強烈なオチによって観る者を恐怖に叩き込んだ作品だが、その怖さは実は観客に対し“不自由を与えた”事によるものではないだろうか?先ずこのカラー映画全盛の時代に敢えてモノクロで撮影したこと。画面から与えられる情報が限定されるため、観客はそれだけ真剣に画面を観ることになる。更に前半部分で主人公であるマリオンは消えてしまうのみならず、実はこの作品においては殺人者さえ存在しない。“母”は最後まで決して画面に出ることなく、そして実はその“母”さえいないと言う事実に最後の最後に気付かされる。観る側のみならず、どんどん登場人物の自由度を奪っていくことで画面に緊張感を与え続けることに成功していた。
 ヒッチコックは常々「本当の笑いとは恐怖と紙一重のところにある」と言っていたそうだが、そう考えると、このオチは怖いと言うよりは完全に人を喰ったものとも思える。え?何?何なの?と言う観客の戸惑う声が聞こえてきそう。ヒッチコックの術中に見事にはまったと言う訳だ。勝手な想像だが、しかしながらこの反応は彼の狙いとは少し違っていたのではないかな?本来ここで大爆笑を起こして欲しかったんじゃなかろうか?
 ちなみにロバート・ブロック(むしろクトゥルフものとかTV版スタートレックの脚本で有名な人なんだけど)原作のこの作品は実在した殺人鬼エド=ゲインを元に作られている。何でも骨を使って工芸品を作るのを趣味とした人で、その趣味が高じて墓荒らしをして人の骨を使うようになり、それが足りなくなって人間を殺していたそうだ。それで、同じ話を元に作られたのがフーパーの『悪魔のいけにえ』(1979)。それを念頭に置いて見ると、結構似たところもあるのに気付くはず。原作によるとベイツは小太りでアル中気味の中年男だったのだが、全く正反対の、痩せ形の青年パーキンスを起用したのは卓見で、見事なくらいにはまっていた。後で原作を読んで、かえってこっちの方が違和感を感じたくらいだった(笑)。ちなみに劇中パーキンスは常に飴を舐めているが、不安な心理状態を表そうと、パーキンス自身のアイデアだったとか。てっきりフロイトの口唇期を参考にしてたのだと思ってたよ。
 尚、この作品の最も印象深いシーンとして知られるシャワー室での映像は知る人ぞ知るカルト映画作家、ヴァル・ロートンが演出した『The Seventh Victim』(1943)という映画から引用したとのこと。約60秒のシーンを70以上の短いショットに区切り、めまぐるしく変わる映像によって暴力的なショックを表現することに成功している(本作の撮影期間はなんと4週間という短かさだが、その内1週間はシャワーシーンの撮影に費やされたのだとか)。それに合わせ、ヒッチコック映画では定番のバーナード・ハーマン作曲のBGMが素晴らしく映える。又、当時女優のヌードと直接的な殺人シーンはハリウッドでは禁止されているのを巧く回避して、明らかに裸の演技を見せているのも面白いところ。
 本作はパラマウントの重役は「母親の服を着て、騒ぎを起こす狂人のばかばかしい話」だとして映画化を渋ったため、ヒッチコック自身が製作費を負担し、同社が配給のみを行うという条件で製作が決定した。そのためパラマウント映画でありながら、スタッフと舞台をテレビの「ヒッチコック劇場」のものを流用したため、ユニヴァーサル・テレビスタジオで撮られたと言う変わり種の映画でもあり、現在でもロサンジェルスのユニヴァーサル・スタジオで見ることができる。
 尚、本作で初代スクリーミング・クィーンと認定されたジャネット・リーだが、その娘ジェイミー・リー・カーティスがやっぱり『ハロウィン』(1978)でSQとしてデビューしているのも興味深い所。
製作年 1960
製作会社 シャムレイ・プロ
ジャンル 犯罪(サイコキラー)
売り上げ $32,000,000
原作
サイコ <A> <楽>
ロバート・ブロック (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
北北西に進路を取れ
North by Northwest
1959米アカデミー脚本賞、美術監督・装置賞、編集賞
1995アメリカ国立フィルム登録簿新規登録作品
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アルフレッド・ヒッチコック
アーネスト・レーマン (脚)
ケイリー・グラント
エヴァ・マリー・セイント
ジェームズ・メイソン
ジェシー・ロイス・ランディス
マーティン・ランドー
レオ・G・キャロル
エドワード・ビンズ
ロバート・エレンスタイン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 広告代理業者のロジャー=ソーンヒル(グラント)は、たまたま間違ってホテルの電話に出たことで、2人組の男に連れ去られてしまった。彼が連れていかれた邸宅にはタウンゼント(メイスン)という男がおり、ロジャーに協力を要請するのだが、何も知らないロジャーを捕えた事で間違いに気付いたタウンゼント(メイスン)は彼を殺そうとする。辛くもその手を逃れたロジャーだが、やがてこれが大きな陰謀のー端であることに気付いていく…
  ヒッチコックがイギりス時代に最も得意とした"巻き込まれ型″サスペンス作で、アメリカで作った本作こそがその完成型とも言われる。公開から2週間で40万ドルを超える興行収入を記録した。
 隅然大きな事件に巻き込まれてしまった主人公が知恵と機転を総同員しての逃亡の中で真実を知っていき、やがて積極的に関わっていくと言うパターンで、このパターンの良い点は謎解きとアクションを両立させることが可能ということ。ただ一方では、話が運頼りになりがちになってしまうため、物語の整合性が取りにくいこと。作り方を失敗すると、単なるご都合主義の固まりになってしまう。
 これらをひっくるめてヒッチコックはこのパターンの物語を多く作っている。イギリス時代にも『三十九夜』などの良作を作り出していた(実の話を言えば、こちらの方がよりソリッドにテーマが強調されているので、私はこっちの方が好きなのだが)。アメリカに渡った後、今度は潤沢な予算を用いることができるようになり、更に有名どころの俳優が用いることが出来るようになった。よって、より派出に、豪華なものが作られるようになった。 『間違えられた男』を経て、その最高の形での最高の形で表わされているのが本作であろう。ちょっと荒唐無稽に過ぎた部分はあるものの、緊張感、演出、キャラ共々に見事な形で表されている。
 ヒッチコックは人間の恐怖を描くことに関して名手だが、これらの作品に通じてそれが表されているのは、“人間がいかに簡単に間違えられ、しかも抹殺されるかという恐怖”ではないかと思われる。たった一言に反応したという、それだけでここまでの目に陥るという主人公には気の毒としか言いようがない。
 ただ、それを彩る演出は最高で、特に飛来するセスナからの逃亡シーンのカメラアングルは煽りアングルの見事な手本になっている。広角視点で撮られたアングルは、手前にいるグラントをより小さく、迫り来るセスナを巨大に映し出し、あたかも同一画面に人間と怪獣を同時に配したかのような派手な演出を可能にしていた。本作が影響を与えた作品は多々あるだろうけど、やはり特撮にこそ最も大きな影響を与えたのでは無かろうか?
 これを演じるグラントも名演技。最初はただ巻き込まれて戸惑うばかりだったのが、やがて主体的に事件に関わっていき、最後に決める所はしっかり決める。上手かった。以降の作品は大人の分別とかそれに対するミスマッチぶりばかりが目立つようになるが、本作が役者としても最高潮だったのだろうと思われる。

 MGMの重役は136分に及ぶ完成版の上映時間が長すぎるとしてカットを要求したが、ヒッチコックは契約で作品の最終決定権を保証されていたため、それを拒否することができた
製作年 1959
製作会社 MGM
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ $3,101,000
原作
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
めまい
Vertigo
1958米アカデミー美術監督・装置賞、録音賞
1989
アメリカ国立フィルム登録簿新規登録
<A> <楽>
アルフレッド・ヒッチコック(製)
アレック・コッペル
サミュエル・テイラー(脚)
ジェームズ・スチュワート
キム・ノヴァク
バーバラ・ベル・ゲデス
トム・ヘルモア
ヘンリー・ジョーンズ
エレン・コービイ
レイモンド・ベイリー
リー・パトリック
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 犯人追跡中に同僚を墜死させてしまい、高所恐怖症にかかって刑事を止めた男ジョン=ファーガスン(スチュワート)は旧友のゲビン=エルスターから、夢遊病で苦しめられている妻マドレーヌ(ノヴァク)の尾行を依頼されるのだった。彼女が知らないはずの祖母の行動を真似するマドレーヌに戸惑うジョンだったが、徐々に彼女に惹かれていく自分に気づいていく。だが、ジョンの目の前でマドレーヌは祖母と同じように飛び降り自殺をしてしまう…
 フランスのミステリー作家ピエール=ボワロー&トーマス=ナルスジャックの小説「死者の中から」を原作とする作品だが、そもそもこれはヒッチコックによる映画化のために書かれた作品。
 本作を観たのは随分と昔。中学生ぐらいだったかと思う。
 その時の感想は、はっきり言って
よく分からなかった。少なくとも途中までは神秘的な話だと思って観ていたら、なんか後半でいきなり失速…なんだなんだ?と思ってる内に話が終わってしまった。
 それで長いこと本作は駄目作品かと思っていたのだが、後年これは私の大きな間違いだと気づく。というか、最近になって観直して、
「あ、なるほど」と思った位。
 何故昔これを面白くないと思ったのかはよく分かった。一つには物語がヒッチコックらしくなく、メリハリが無さ過ぎたこと。特に前半部と後半部でのタッチの違いが物語を分断してしまったようにしか見えない。そう言えば観てる間眠くなったのはこういう事か。と気づく。実は今観てもテンポの遅さを感じるくらいだから。ミステリーとしては脚本の甘さもどうしても感じられてしまう。あんな穴だらけの計画と偶然性で物語が作られてると、やっぱり興醒めだよ…フランス人が描いたミステリーというのは大抵そう言う部分があるもんだけど。
 それと当時はキャラクタに感情移入できなかったのが痛い。スチュワートは結局一人の女性と自分の高所恐怖症にウジウジしっぱなしで魅力が感じられず、妙に苛々させられた。それに当時はノヴァクを綺麗とも思ってなかったし。それで今観てみると…
ああ、ノヴァク綺麗だなあ(笑)。綺麗というか、夢みるような瞳がもの凄くミステリアスな雰囲気を身につけてる。どのように女性をミステリアスに描くか。ヒッチコックは見事にそれを果たしていたんだな。
 ただ、映画も数観た後で改めて本作を観ると、急激に評価が上がってしまった。
 本作は二度観ることが重要だと思う。
 最初は単に「ノヴァク、綺麗だなあ」。とか、「こんなプロットか」と観ることで終わるけど、二度目観る時は、むしろ演出部分に特化して観て欲しい。
 まるで舐めるようにねっとりとノヴァクを映し出すカメラ・ワーク。後年のサイケデリック映像に一脈通じるアニメーションの使い方、逆ズーム・ショットの見事さ。色彩感覚の突飛さ。はっきり言ってこれほど凄い映像をこの時代に作り上げたヒッチコックの凄さを感じる事が出来るはずだ。
 要するに本作はヒッチコックの一面、つまりサスペンス作家として観るだけでは足りないのだ。そうではなくもう一つの一面、映像作家としてのヒッチコックを観るべき作品と言えよう。
 ノヴァクはこの作品で、グレタ=ガルボ以来付けられてなかった「ミステリアス」という冠詞が付けられ、ミステリアス・ノヴァクと言われるようになる。

 公開当時は興行的に成功せず、また賛辞の批評も少なく、『バラエティ』誌の批評家には「テンポが遅すぎて長すぎる」と評されたという。しかし今では世界最高の作品と言われているので色々面白い。
製作年 1958
製作会社 アルフレッド・J・ヒッチコック・プロ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ $
原作 ピエール・ボワロー、トーマス・ナルスジャック
歴史地域
関連
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wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
間違えられた男
The Wrong Man
<A> <楽>
マックスウェル・アンダーソン
アンガス・マクファイル(脚)
ヘンリー・フォンダ
ヴェラ・マイルズ
アンソニー・クエイル
ハロルド・J・ストーン
チャールズ・クーパー
チューズデイ・ウェルド
エスター・ミンチオッティ
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 監督作品の中でも特に暗鬱な作品。敢えてモノクロで撮影し、その不安の表情を克明に描く。
 過去にワーナー・ブラザースと交わしていた、同社との契約終了後にギャラを貰わずに1本映画を監督するという約束を果たすために作った作品。実話通りに物語を展開するため、マンハッタンなど実際に事件が起きた場所でロケ撮影を行い、ドキュメンタリー・タッチのモノクロ作品にすることでリアリティを高めた。しかし、その作風はヒッチコック作品としては異色なものであり、従来の作品に見られたユーモアや独特のスタイルに欠けていたためにあまり評価されなかった
製作年 1956
製作会社 ワーナー・ブラザーズ
ジャンル 犯罪(刑務所)
売り上げ $2,000,000
原作
マクスウェル・アンダーソン (検索) <A> <楽>
歴史地域
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wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
知りすぎていた男
The Man Who Knew Too Much
1956米アカデミー歌曲賞
<A> <楽>
アルフレッド・ヒッチコック(製)
ジョン・マイケル・ヘイズ
アンガス・マクファイル(脚)
ジェームズ・スチュワート
ドリス・デイ
ラルフ・トルーマン
ダニエル・ジェラン
クリス・オルセン
ブレンダ・デ・バンジー
キャロリン・ジョーンズ
ノエル・ウィルマン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 アメリカ人医師ベン=マッケナ(スチュアート)は元ブロードウェイスターの妻ジョー(デイ)と息子ハンクを連れて、モロッコへと旅をしていた。そこで知り合ったドレイトンという老夫妻と知り合う。だが、この夫妻と知り合ったことから犯罪に家族は巻き込まれてしまう。ベンが「アンブローズ・チャペル」という言葉を聞いたばかりにハンクは誘拐され、その事を警察に言うことも出来なかった。ベンは独自に調査を開始するのだが、ベンはそこでこの誘拐には国際的な陰謀が張り巡らされていることを知ることになる。
 イギリス時代にヒッチコック自身が監督した『暗殺者の家』のアメリカ版リメイク。後年にヒッチコックは「最初のイギリス版(『暗殺者の家』)はなにがしかの才能のあるアマチュアがつくった映画だったが、リメークのアメリカ版(『知りすぎていた男』)はプロがつくった映画だった」と述べているそうで、監督本人にもお気に入りの一本。
公開から1週間のうちにその年のアメリカで最高の興行収入を出した
 当然ながら物語の流れとかは
(ぬる目の展開も含めて)ほぼ同じ。私はオリジナル版の『暗殺者の家』の方を先に観ていたので、むしろイギリス時代の方が鋭い演出が出来てたのになあ。やっぱり大スターを起用すると、むしろ人物描写がメインになるから、かえって物語を阻害するんだろうか?とか思いながら観ていた。
 自分で言うのも何だけど、この
考え方は概ね間違ってなかったと思う。謎解きに集中させたオリジナルと較べ、スチュアート、デイ共に露出度が多すぎ、そっちの方に目がいってしまう。
 …ただし、それは途中まで。この作品は『暗殺者の家』
物語分が終了したところから真価を発揮する
 そう。最後のドリス・デイの歌う
「ケ・セラ・セラ」。これは最大級のパンチ力を持っている。ビデオだから寝転がって観ていたが、ここのシーンは鳥肌が立つほどに興奮。思わず起きあがって画面に見入ってしまったほど。
 パートとしては長くないが、この部分は実は
物語そのものにもの強く関わっている
 一つにはスチュワートとデイの関係がここで逆転していると言うこと。タイトル
『The Man Who Knew Too Much』というのは、単に陰謀を知ったと言うだけではない。スチュアート演じるベンは博学であり、ひらめきも行動力もある。人間的には素晴らしい人物だった。だが、その能力は時として暴走し、今回の事件を引き起こしたのみならず、核心に迫りすぎたために様々な人間を危機に陥らせてしまった。そんなベンは事ある毎に“頼りがいある夫”を演じようとし、妻のデイ演じるジョーには何も喋らず、背後に引っ込めさせようとしていた。特に前半部分は嫌味なほどにこれが繰り返されている。確かにベンの能力のお陰で国際的陰謀を未然に防ぐことは出来た。だが、物語の肝心な部分、息子ハンクを救うことは、彼の能力では出来なかった。ハンクを救ったのは、ベンが常に大切に扱っていた妻ジョーの方だったのだ。その逆転が面白い。
 そしてもう一つ。ここでデイが歌い、スタンダード・ナンバーにまでなった「ケ・セラ・セラ」の歌詞の意味は
「なるようになる」で、息子のことが気がかりで、心中焦りまくっているはずのジョーが力一杯こんな歌詞を歌っていると言うのがなんとも皮肉であること。事態の緊迫感は歌とは全く逆。それが同時に痛烈な皮肉となっているのも大変興味深いところだ。
 最後の最後にどんでん返しを受けたような気にさせられた。本作を観る場合、是非『暗殺者の家』を先に観ることをお勧めしたい。同じ驚きを得ることが出来るだろうから。
 又、撮影に凝るヒッチコックらしく、本作も多くのショットが後の映画作りに活かされている。特にクライマックスで劇場内の俯瞰ショットから一人の男へとカメラが移動する場面はクレーン・ショットの手本とされている。

 最後に、「ケ・セラ・セラ」の歌詞を書いておこう。
1.まだ小さい頃 ママに聞いたわ あたしは何に? 美しい娘に? お金持ちに?
ママは答えたわ ケ・セラ・セラ なるようになるわ 先の事などわからない ケ・セラ・セラ わからない
2.学校に行き始めて 先生に聞いたわ あたしは何に? 美しい娘に? お金持ちに?
先生は答えたわ ケ・セラ・セラ なるようになるわ 先の事などわからない ケ・セラ・セラ わからない
3.大人になり恋をして 恋人に聞いたわ 未来には何が 幸せな生活が待っているの?
恋人は答えたは ケ・セラ・セラ なるようになるわ 先の事などわからない ケ・セラ・セラ わからない」
製作年 1956
製作会社 パラマウントフィルウィット・プロ
ジャンル 犯罪(誘拐)
売り上げ $10,250,000
原作
歴史地域 モロッコ
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ハリーの災難
The Trouble with Harry
1956英アカデミー作品賞、国外女優賞(マクレーン)
<A> <楽>
アルフレッド・ヒッチコック(製)
ジョン・マイケル・ヘイズ(脚)
エドマンド・グウェン
ジョン・フォーサイス
シャーリー・マクレーン
ミルドレッド・ナトウィック
ローヤル・ダーノ
ジェリー・メイザース
ミルドレッド・ダンノック
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ヴァーモント州の田舎町で男の死体が発見された。名刺からハリーと言う名であることが分かり、更に彼に関係した人物も存在する。ところが彼に関わった人はそれぞれに彼を殺したのは自分ではないかと考えてしまい、それぞれが罪を隠すためにハリーの死体を何とかしようとするのだが…
 原題
『The Trouble with Harry』。なんとも人を食った題である。
 本編主人公は間違いなくハリーであり、そのハリーが出会う不幸の数々が描かれているので、確かにタイトルに間違いはない。ただし、その主人公は何も喋ることも行動することもない。ただ甘んじて災難を受け取るしかない。至近距離で銃を撃たれたり、牛乳瓶で殴られたり、泥棒に靴を取られたり、何度も地中に埋められては掘り返されるを繰り返したり…多分映画史上における最も不運な主人公の一人には違いあるまい。
 ただ、一つ問題があるとすれば、この主人公は喋られないのではなく、喋る事自体できないと言うこと。要は
死体は何をやられても怒ることは出来ない
 この発想の面白さが本作は全編を覆っており、本来あり得ないはずの「誰が殺したのか分からない」状態の死体を前に右往左往する人間達の姿がコミカルに描かれている。設定は
確かに無茶苦茶なものに違いない。
 ヒッチコック監督自身の『ロープ』(1948)同様単一の発想で持って行った話となるが、この場合長編にしようとは普通考えないようなネタ。こんな小ネタを長編に持って行こうとする発想が監督の凄い所だが、これをきちっと長編で楽しませるのが監督の偉大さ。普通だったら30分くらいでネタが尽きてしまい、後はだらだら続くしかないはずなのだが、監督が作ると会話とサスペンス仕立てで展開が二転三転。最後まで全然飽きさせることがなかった。
 ヒッチコックの才能は多岐に渡るが、どんな小ネタでも決して観る人を飽きさせないように作る…いや、それがどんな小ネタであったとしても、それを標準以上の作品に作ってしまえるというところが良い。本作はそれが端的に表された作品と言っても良かろう。
 尚、本作はシャーリー=マクレーンのデビュー作だが、そもそも偶然舞台を見に来たヒッチコックが踊っているマクレーンに目を留めたと言う。これも俳優の掘り出しにも定評のあるヒッチコックの面目躍如と言った所か。

 ヒッチコックは日本を含む世界各地を旅して宣伝に努めたが、フランス以外の国では客入りは悪く、批評も芳しくなかった
製作年 1955
製作会社 アルフレッド・J・ヒッチコック・プロパラマウント
ジャンル コメディ犯罪(サスペンス)
売り上げ $
原作 ハリーの災難(書籍)ジャック・トレヴァー・ストーリー
歴史地域 ヴァーモント(アメリカ)
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泥棒成金
To Catch a Thief
1955米アカデミー撮影賞、美術監督・装置賞、衣装デザイン賞
<A> <楽>
ジョン・マイケル・ヘイズ(脚)
ケイリー・グラント
グレイス・ケリー
シャルル・ヴァネル
ブリジット・オーベール
ジェシー・ロイス・ランディス
ジョン・ウィリアムズ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 監督自身がケリーを「雪をかぶった活火山」と称し、その魅力を開花させる。
製作年 1955
製作会社 パラマウント・ピクチャーズ
ジャンル 犯罪(泥棒)恋愛(ラブコメ)
売り上げ $8,750,000
原作 泥棒成金(書籍)デヴィッド・ダッジ
歴史・地域 リヴィエラ(イタリア)
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ダイヤルMを廻せ!
Dial M for Murder
1954NY批評家協会女優賞(ケリー)
<A> <楽>
フレデリック・ノット(脚)
レイ・ミランド
グレイス・ケリー
ロバート・カミングス
アンソニー・ドーソン
ジョン・ウィリアムズ
パトリック・アレン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ロンドンに住むトニー=ウエンディス(ミランド)とマーゴ(ケリー)夫妻。表面平穏な生活を送っているように見えたが、夫婦の気持ちは既に離れており、マーゴはアメリカ人の推理作家マーク=ホリデイ(カミングス)と不倫な恋におちており、それを知ったトニーは、妻の遺産目当てに謀殺を計画していた。彼は綿密に殺人計画を立て、その実行を弱みを握っているトニーの大学時代の友人レスゲートに依頼する。計画は完璧なはずだった。だが…
 映画に限らないが、物語の進行というのは二つの流れがある
(念のため。これは私の意見ではなく単なる受け売り)
 
一つはストーリー。これは物語の時間軸を作り上げている。いわば物語の全体の説明を形作るもの。もう一つはドラマ。映画としてはこっちがむしろ重要で、映画では主要な部分を形成する。
 この二つの違いは
時間の流れという形で捉えることが出来る。まずストーリーパートは時間の流れが速い。たとえて言うなら、一つの場面からもう一つの場面への移動に道路を歩いているとか、乗り物に乗ってるキャラクターを描写するようなものだ。これで移動してる課程が観ている側に伝えられる。これを間に置くことによって、次の場面がたとえば数時間後になったとしても、観てる側は納得する。
 もう一方のドラマパートだが、これは現実の流れに即するが、その中でキャラクターの内的心理状況や、あるいは複数の立場からの描写がなされるために、
現実に流れる時間よりむしろ遅れるのが特徴
 映画にはこのバランスが結構重要となる。
 …なんでこんな事を書いたかと言うと、ヒッチコック作品にはいくつも実験的な試みがされているものが多いのだが、それが本作でも行われているように感じたから。
 私は本作の最大特徴は上記のストーリーパートを
(極力)無くしてしまった事にあると見ている。
 本作には大きくいくつかのパートに分け、ドラマが展開されるが、それをつなぐストーリー部分が殆ど描写されない。まるで瞬間移動のようにドラマからドラマへの展開がなされている。ドラマとドラマをつなぐものが無いのだ
(そう言う意味では本作は舞台劇に近い)。居間でトニーとマーゴ、マークの三人が話していたと思うと、次の瞬間には同じ居間で、トニーとレスゲートが喋っている。そして次の瞬間にはトニーとマーゴが外出について話している。と言う具合に。
 このストーリーの削除は本当に実験的なものだと思う。だって
あんまり意味を持って見えないし(笑)。でも、それを無くしても物語を複雑にせずに、時間の経過は分かるものだ。と言う事を主張してるように思える。
 それに実際それは成功してる。ちゃんと物語の時間の経過が観ているこっちには分かるし、何気なく観ている分には、そのストーリーパートが無いこと自体に気づかないかも知れない
(せいぜい場面がえらく変わるなと言う程度の認識で終わってしまうだろう)
 …実は私自身も初見ではまるで気づかなかった。このレビュー書く前に本作について色々考えてる内に、不自然な裁判のシーンが妙に引っかかり、
何故こんなのを入れたんだろう?と考えていたら、不意に思いついただけ(笑)。普通の作品だったらあんな裁判シーンは入れない。新聞の見出しを使うとか言う方法が主に用いられる(この場合、ストーリーパートになるからね)。これなかったら、こんな事考えなかったよ。

 物語に関しては、やっぱりサスペンスのヒッチコック!推理小説のような謎解きの課程をだれることなくしっかり描いていたし、意外さもあった。何より先にリメイクの『ダイヤルM』(1998)を観ていたにも関わらず、ストーリーの意外さを楽しむことが出来た(と言うより、リメイクが酷すぎたと言うべきなのか?)。ケリーの首が絞められる時の表情も良い(笑)。殺人のシーンのはずなのに、なんだかとても色っぽい描写がされていた。

 なんでも本作は元々立体映画として作られたそうだが、結局はフラット版で公開されたそうだ。
製作年 1954
製作会社 ワーナー・ブラザーズ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ $1,400,000
原作 フレデリック・ノット
歴史・地域
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裏窓
Rear Window
1954アカデミー監督賞(ヒッチコック)、脚色賞、撮影賞、録音賞
1954NY批評家協会女優賞(ケリー)
<A> <楽>
アルフレッド・ヒッチコック(製)
ジョン・マイケル・ヘイズ(脚)
ジェームズ・スチュワート
グレイス・ケリー
レイモンド・バー
セルマ・リッター
ウェンデル・コーリイ
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 カメラマンのジェフ(ステュワート)は足を骨折し、ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジのアパートで療養中。退屈しのぎに窓から見える中庭と向いのアパートの住人たちをカメラのファインダーごしに眺めていたのだが、その中で、セールスマンの夫(バー)と激しい口論をしていた病床の妻の姿が見えなくなった事に気づいた。セールスマンの様子を窺う内に、ジェフはその男が女房を殺したのではないかと推測、恋人のリザ(ケリー)と看護人のステラ(リッター)の協力を得て調査を始めるのだが…
 コーネル=ウールリッチの短編小説をヒッチコックが映画化した作品。この年の大ヒット作で
1954年全米興行成績では5位に入っている。
 ヒッチコックの映画は
実験的撮影法が取られるのが常だが(『サイコ』の音との融合性、『ロープ』でのとんでもないカメラワークなどなど)、この映画はその一つの究極の形と言っても良い。
 それは物語が一室だけで終わること?それは
半分当たり。この映画の凄いのは、カメラが一室から全く出ないと言う点にこそある。最後にジェフが裏窓から落ちるシーンまでもが部屋の中から撮られている。ここまでやれば立派。と言うより、こういうこだわりがあるからこそ、ヒッチコックは大好き!
 それを可能とさせたのは、主人公に“動けない”という究極のハンディキャップを持たせたことにあるだろう。体を動かせない分、演技の幅が極めて限られるのだが、顔の表情だけでちゃんとクリアーしているステュワートの演技力は凄いし、リッターの芸達者ぶり
(毒舌ぶりと言うべきか)、ケリーの美しさ(彼女は『波止場』(1954)の出演を断って本作に出演している)。バーの不気味さ、見事に画面にはまっていた…それにしてもここでケリーを目の前にしてのぞきに熱中するというのは相当難しい気もするが
 その中でよくこんな撮り方が出来る!と感心する程の絶妙のカメラ・ワーク。これだけカメラを動かしにくい映画も無かろうが、その中でここまで魅せたのは偉い。特に隣のアパートに視線を合わせる時のズーム・アップ画面の微妙な配置や、最後のジェフ落下シーンは今でも思い出せる程。
 物語も勿論ヒッチコックだけあって中だるみはなく、小出しのサスペンスが重ねられている。特に後半で疑っている相手
(名前を主人公が知らないと言う点が不気味さを強調しているのは言うまでもない)がファインダー越しにこちらを見つめた時の緊張感。ラストで彼が部屋に入った時の逆光気味にこちらに迫ってくる男の不気味さよ!サスペンスの名手の名は伊達じゃない。
 主人公が勝手に他人の生活を盗み見、かってに物語を作り上げてしまうと言うのは、ちょっと倫理的にはなんだが、その推測を聞いてても飽きないし、その分、本当か嘘か?と言う期待感を持たしてもくれる…
多分、こうやって人の生活を盗み見続けてるから結婚に踏み切れないんだろうな(笑)
 なみいるヒッチコック作品の中でも最高の完成度を持つ作品である。
 尚、本作の主人公ジェフと恋人のリザとの関係は、ロバート=キャパとイングリッド=バーグマンの関係を暗示してるのだとか(キャパはバーグマンの出演した
『汚名』でスチール参加してる)。
製作年 1954
製作会社 パラマウント・ピクチャーズ
ジャンル サスペンス
売り上げ $24,500,000
原作 コーネル・ウールリッチ
歴史・地域 ニューヨーク(アメリカ)
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★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1953
製作会社 ワーナー・ブラザース
ジャンル サスペンス
売り上げ $
原作 ポール・アンセルメ
歴史・地域 ケベック(カナダ)、宗教(キリスト教)
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私は告白する
I Confess
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バーバラ・ケオン(製)
ウィリアム・アーチボルド
ジョージ・タボリ(脚)
モンゴメリー・クリフト
アン・バクスター
カール・マルデン
O・E・ハッセ
ドリー・ハス
ブライアン・エイハー
チャールズ・アンドレ
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1953
製作会社 ワーナー・ブラザーズ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
ポール・アンセルメ (検索) <A> <楽>
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見知らぬ乗客
Strangers on a Train
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レイモンド・チャンドラー
チェンツイ・オルモンド(製)
レイモンド・チャンドラー
チェンツイ・オルモンド(脚)
ファーリー・グレンジャー
ロバート・ウォーカー
ルース・ローマン
レオ・G・キャロル
パトリシア・ヒッチコック
ローラ・エリオット
マリオン・ローン
ジョナサン・ヘイル
★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 テニスプレイヤーのガイ・ヘインズ(グレンジャー)は頭の重い問題を抱えていた。テニスで有名となり、上院議員の娘アンと知り合って結婚を希望していたのだが、実は故郷の町には妻がおり、しかも有名になった自分とは絶対に別れないと主張しているのだ。その離婚調停のため故郷メトカルフへと帰る列車の中で、ブルーノ・アントニー(ウォーカー)という青年と知り合う。彼は、自分の父を殺してくれるならミリアムを殺してやろうという交換殺人を申し出たのだ。もちろんガイはこの申し出を突っぱねるが、アントニーはメトカルフの遊園地で遊びほうけていたミリアムを本当に殺してしまった。そして事ある毎にガイに近づくブルーノはしつこく返礼殺人を迫ってくる…
 パトリシア・ハイスミスの原作を、ヒッチコックが匿名で7500ドルという格安で映画化権を手に入れ、レイモンド=チャンドラーとツェンツィ=オルモンドが共同脚色したもので、後のサスペンス映画にいくつものネタを提供した、サスペンス映画ファン必見の作品。本作の成功で「サスペンス・スリラーの巨匠」と呼ばれるようになった。
 先に「サスペンスファン必見」とか書いておきながら、実は本作を観たのはつい最近。押さえておくべき作品として早く観よう観ようと思っていながらずるずると…しかし出来には感心した。何より他の映画がどれだけ本作を参考にしていたかが分かったから。むしろ多くの映画を観た後で本作を観たお陰で別な楽しみ方が出来たのだと思う。特にデ・パルマは本作の影響は顕著だが、意外な所でジョン=ウー監督作品も本作にインスパイアされたところが多いんじゃないか?と思わせてくれる。ウー監督の細部のこだわりはひょっとしてヒッチコック譲りかな?
 物語自身は確かに今に至るも続くTVや映画のサスペンスタッチから何も外れていないのだが、逆に本当にこれが始まりだったんだ。と思わせてくれる。
 細かいアイテムと伏線が見事に符合し、ストーリーに無駄が無く、しかもちゃんと伏線として出したものを後で「ああ!」と思わせる辺りの演出はヒッチコックの面目躍如。細部にまで徹底的にこだわっている。
 ただし本作の最大の魅力は緻密なプロットやストーリー運びよりも人間の方。なんと言ってもウォーカー演じるブルーノの悪の魅力だ。最初好青年として登場していながら徐々に異常性を増して来て、最後になると完全にイッちまった役になっていた。しかもこれはブルーノの魅力に止まらない。ブルーノが異常性を増して行くにつれ、ガイまでもが徐々に異常さを増していくことになる。この辺りが又上手い。役者から最大限の魅力を引き出すのが監督の役割とするなら、ヒッチコックほど上手い監督はいないだろう。
 狂ってる人間に対抗するには自分も狂うしかない。ここまでやっておいて、本当にガイは正常な生活に戻れるんだろうか?ある意味本作のラストは私にはハッピーエンドには見えない。気の弱い素直なキャラをあそこまで性格悪くしてしまったんだから。
 物語の丁寧さは言うまでもないが、最後のメリーゴーラウンドのスピード感はアクション作品としても一級品。あのスピード感溢れる演出はやっぱり生の迫力だな。
 尚、本作で見事にストーカー役を演じてくれたウォーカーは既にアルコール中毒で、本作の撮影終了後、程なく他界。そう言う意味でも一世一代の演技だったといえよう。
製作年 1951
製作会社 ワーナー・ブラザーズ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ $1,200,000
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リチャード・トッド
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ケイ・ウォルシュ
パトリシア・ヒッチコック
アンドレ・モレル
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 舞台という限定された状況が上手く活かされず、散漫な印象を与える
製作年 1950
製作会社 ワーナー・ブラザーズ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
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アーサー・ローレンツ(脚)
ジェームズ・スチュワート
ファーリー・グレンジャー
ジョン・ドール
セドリック・ハードウィック
コンスタンス・コリアー
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 マンハッタンのある高級アパートで一件の殺人事件が起きた。動機は、ただ、自分たちの絶対的優位を世界に示すためだけ。完全犯罪を果たしたフィリップとブランドンは殺人を犯した部屋に人を呼んでパーティを開く、というスリルを楽しみさえするが…
 この作品には実は元ネタが存在する。1924年にシカゴで実際に起きたローブ&レオポルト事件がそれで、後年になってそのものズバリ『強迫 ロープ殺人事件』(1959)が出たし、近年でも『完全犯罪クラブ』(2000)と言う、同じ事件を元にした作品が作られ続けている。この事件で殺人を犯した二人ともIQは200を超え、動機らしい動機が見つからなかったため、現在に至るも犯罪心理の格好の研究材料となっている。頭が良い人間が完全犯罪を犯せるか?と言うのは、推理ものでは定番となっているが、それもこの事件あってこそと言って良い。この題はロープ・レオポルド事件ではなく、殺人にロープを使っているというダブルミーニングになってるけど。
 そう言った素材を使いつつ、あくまで自分の映画としてヒッチコックは作ってくれた。動機も何も無く突然殺人事件が起き、ただその行為のみを主題とするのはなかなか大胆な試みと言えよう。
 そこに展開される心理的緊張感は、実に見応えがある。パーティを企画した張本人で、まるで綱渡りを楽しんでいるようなブランドンと、恐怖感から落ち着きのない行動をとるフィリップ。それを観ている観客は事件の共犯者としてスリルを味わえるというわけだ。何となく刑事コロンボを先取りした感じで展開する物語だが、この作品で何より目を惹くのはその特殊なカメラ・ワークだろう。
 本作は「テン・ミニッツ・テイク」という実験的な撮影手法を試みており、物語で一切のカメラ切り替えが無く(正確には、ちゃんと切り替えはされている。だけど、それを感じさせないように作ったと言う事実が凄い)、一台のカメラで撮り切るという、ほとんど実験的とも言える手法は、本当にヒッチコックとは、凄い監督だったんだ。と思わせるには充分で、私はむしろストーリーより「まさかこのまま撮り切るのか?」と言う疑問の方が先に来てしまった。その意味では純粋に物語を楽しめなかったかもしれないな(これはヒッチコックも意識していたらしく、主人公二人のゲイっぽい描写を当時のハリウッド・コードの目から逸らすのに役立てたらしい)
 又、カメラ・ワークでは細かいところで笑える部分をふんだんに用いているので(窓の外の風景の変わり具合とか、人の移り変わりとか。特にこの映画での監督の登場シーンは…)、是非これは繰り返してご覧になることをお勧めしたい。私も是非又観てみたい。

 尚、ヒッチコック本人によれば、「映画はカット割りとモンタージュが重要」だという自身の方法論を否定していたため、「無意味な狂ったアイデアだった」と述べている」
製作年 1948
製作会社 ワーナー・ブラザーズ
トランス・アトランティック・ピクチャー
ジャンル 犯罪(倒叙)
売り上げ $1,500,000
原作
歴史地域 1924 ローブ&レオポルド殺人事件
関連 強迫 ロープ殺人事件(1959)
汚名
Notorious
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デヴィッド・O・セルズニック
バーバラ・ケオン(製)
ベン・ヘクト(脚)
ケイリー・グラント
イングリッド・バーグマン
クロード・レインズ
ルイス・カルハーン
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1946
製作会社 RKO
ヴァンガード・フィルム
ジャンル 犯罪(スパイ)
売り上げ
原作
歴史地域
関連
キーワード
白い恐怖
Spellbound
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デヴィッド・O・セルズニック(製)
ベン・ヘクト
アンガス・マクファイル(脚)
イングリッド・バーグマン
グレゴリー・ペック
レオ・G・キャロル
ジョン・エメリー
ウォーレス・フォード
ロンダ・フレミング
マイケル・チェコフ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 それまでメロドラマのヒロインが多かったバーグマンの演技力を買い、抜擢する
 テルミンが効果的に用いられる
 人間の潜在意識に注目した作品だが、サスペンス性はその分控えめ。夢のデザインにはダリが参加する
 1946年全米興行成績5位
製作年 1945
製作会社 セルズニック・インターナショナル
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ $1,696,377
原作
歴史地域
関連
救命艇
Lifeboat
1944米アカデミー監督賞(ヒッチコック)、原案賞、撮影賞
1944NY批評家協会女優賞(バンクヘッド)
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ジョー・スワーリング(脚)
タルーラ・バンクヘッド
ウィリアム・ベンディックス
ウォルター・スレザック
メアリー・アンダーソン
ジョン・ホディアク
ヘンリー・ハル
ヘザー・エンジェル
ヒューム・クローニン
カナダ・リー
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 世界最小の室内セット。救命艇一つだけ。ただ、この作品は実際に水の上で行われたため、出演者のほとんどは肺炎にかかってしまった。
 アーネスト・ヘミングウェイに脚本を依頼したが断られ、次にジョン・スタインベックに依頼したが2人の共同作業はうまくいかず、最終的にジョー・スワーリング(英語版)と組んで執筆した[141]。こうして脚本が作られた『救命艇』は、1943年8月から11月の間に撮影が行われた[142]。セットはスタジオの巨大タンクに浮かぶ救命艇の1つだけで、カメラを常にその中に据えて撮影するという実験的手法を試みた[143]。1944年に公開されるとさまざまな評価を受け、一部の批評家はナチスを賞賛していると批判した[144]。第17回アカデミー賞では監督賞など3部門でノミネートされた[145]。
製作年 1944
製作会社 20世紀フォックス
ジャンル 戦争(第二次世界大戦)
売り上げ $1,590,000
原作
ジョン・スタインベック (検索) <A> <楽>
歴史地域 大西洋
関連
逃走迷路
Saboteur
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フランク・ロイド
ジャック・H・スカーボール(製)
ピーター・ヴィアテル
ジョーン・ハリソン
ドロシー・パーカー(脚)
ロバート・カミングス
プリシラ・レイン
ノーマン・ロイド
オットー・クルーガー
アラン・バクスター
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ヒッチコックのオリジナル企画で、原案をセルズニックに提出したところ、ユニヴァーサルで撮影するように命じられた。立場上キャスティングに口出しできず、自分が望まない俳優を会社から押し付けられた
製作年 1942
製作会社 フランク・ロイド・プロ
ユニヴァーサル・ピクチャーズ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
歴史地域 ニューヨーク(アメリカ)
関連
疑惑の影
Shadow of a Doubt
1943米アカデミー原案賞
1991
アメリカ国立フィルム登録簿新規登録
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ジャック・H・スカーボール(製)
ソーントン・ワイルダー
アルマ・レヴィル
サリー・ベンソン(脚)
テレサ・ライト
ジョセフ・コットン
マクドナルド・ケリー
パトリシア・コリンジ
ヘンリー・トラヴァース
ウォーレス・フォード
ヒューム・クローニン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 サンタ・ローザの町に住むニュートン一家の元にやってきた父の弟チャールズ(コットン)。父と違って野性的な叔父を好ましく思う長女のチャーリー(ライト)は大喜び。だが、叔父の持つ秘密がきな臭いものであることが何となく雰囲気で分かってくる。そしてチャーリーを追っているという探偵が現れるのだが…
 数多くの作品を作ってきたヒッチコック監督自身がお気に入りだと公言している作品で、ヒッチコック作品の中でも、極めて緊張度の高い作品に仕上がっている。特に冒頭部分の緊張感と牧歌的な雰囲気の見事な対比は映画の教科書としても使われるくらいに質の高いもの。
 メインストーリーの方は今から見ると穴が多いし、かなりの偶然も入り込むため、純粋な意味でのサスペンスとはちょっと違っているようだし、ちょっと物語としては一本道過ぎるかな?と言う思いはあるものの(これは多分連発してヒッチコック作品を観ていた時、『断崖』の後に本作を観たためだろう)、だからといって本作の映画としての出来にいささかの問題も無し。どこか陰のある冒頭の叔父の登場から、和解、そして徐々に恐怖が増していき、どんどん危険が増していく。と言う作りは、サスペンス映画の手本とも言えるべき出来だし、突然に驚かせるのではなく、ジワジワと盛り上げていくやり方も素晴らしい。全編に渡って緊張感が持続するので、観終わるとかなり疲れる。
 出色なのは音楽の使い方。本作で使用されている音楽はメリィ・ウィドウ・ワルツ。これは『メリィ・ウィドウ』で用いられた曲で、音楽自体は大変軽快なもの。最初はこの軽快な曲に合わせて物語も明るく展開していくのだが、物語が進むに従い、音楽自体は変わっていないのに、逆にそのミスマッチぶりが徐々に不気味な印象を伴っていくこの展開は名人芸と言っても良い(日本では黒澤明がこの使い方が上手く、『酔いどれ天使』(1948)のドヤ街、『野良犬』(1949)の子供の遠足の歌などで上手く使っているが、オリジナルだけあってヒッチコックの演出はしつこいほどにはまってる)。
 後、本作は最初から最後まで列車が効果的に用いられていることでも特徴づけられる。最初にチャーリー叔父が降り立ち、家庭的雰囲気に飛び込んでくるのも駅であれば、最後の活劇シーンは列車の中で。なかなかこだわりを感じさせてくれる作りだ。
 ただ、ちょっと疑問なのは、ライト演じる主人公と叔父の名前がなんで一緒なんだろう?時折混乱するよ。

 ほとんどのシーンはスタジオ撮影ではなく、物語の舞台であるカリフォルニア州サンタローザでロケ撮影をした
製作年 1942
製作会社 ユニヴァーサル・ピクチャーズ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
ゴードン・マクドネル (検索) <A> <楽>
歴史地域
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断崖
Suspicion
1941米アカデミー主演女優賞(フォンティン)、劇映画音楽賞
1941NY批評家協会女優賞(フォンティン)
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サムソン・ラファエルソン
アルマ・レヴィル
ジョーン・ハリソン(脚)
ジョーン・フォンテイン
ケイリー・グラント
ナイジェル・ブルース
セドリック・ハードウィック
レオ・G・キャロル
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 純情な軍人の娘リナ(フォンティン)は、彼女に惚れた遊び人のジョン・エーズガーズ(グラント)からの猛烈な求婚を受け、結婚を承諾する。だが、夢のような新婚生活は長続きしなかった。ジョンは全く働こうとせず、借金ばかりを作ってくる。更に知り合いの小説家にしきりに薬物について聞きたがっていることが分かる。夫は自分を殺して保険金を得るつもりなのか?と言う思いが日増しに大きくなる。そして家を出ようとしたリナを乗せたまま、ジョンの運転する車は断崖目指して突き進む…
 フランシス・アイリスの小説を元にしたヒッチコック監督お得意のサスペンス作品。冒頭から中盤に至るまで完全にメロドラマの定式に従って進み、監督にしてはちょっと嫌味な作品を作ったもんだ。と思っていたのだが、観ている内にじわじわと疑惑が浮かび上がってきて、ラストはほぼ完全にのめり込んでしまった。いやはや上手い上手い
 この作品の形式はフォンテイン演ずるリナの主観によってのみ丹念に描かれているので、観客が感情移入しやすい。しかもなんと言っても疑惑を増す小道具の巧さよ。後半になってグラントが牛乳を持ってくるシーンは迫力充分。暗い中、牛乳だけがペカッとした光を放っており、不気味さを増しているなんて、本当に巧い使い方だ。意識が完全にそれに向かってしまい、絶対これは毒だ。としか思えなくなるしな。その辺を丹念に作るからこそ、監督は偉大なんだろうな。ちなみにこれは原作とは異なっているのだが、製作元のRKOが、ケイリー・グラントを殺人者にしてはならないとごねたためだと言われている。ヒッチコック自身は本当にグラントを犯人にするつもりだったようだ。
 前半から後半に至るフォンティンの表情の変化は素晴らしく、グラントの曖昧な表情も上手かった。ややご都合主義な部分もあるけど、キャラクターを絞り込み、徐々に怖さを増していく手法はさすがだ。
 基本的にメロドラマが嫌いな私だが、こう言うのだったら大歓迎。特に最初にたいした作品じゃないと思わせておいて後半に本当に楽しくなるなんて、一番嬉しい映画のパターンだね。
 この年のオスカーを見事手にしたフォンティンは、オリヴィア=デ・ハヴィラントの実妹だが、この年は彼女も『Hold Back the Dawn』で主演女優賞にノミネートされていた。初の姉妹ノミネートと言うことで、話題をさらったのだが、ここでフォンティンの方に軍配が上がったことで、この二人の姉妹の仲違いの原因となる…後に『遙かなる我が子』(1946)で見事オスカーを手にしたデ・ハヴィラントの元に駆け寄ったフォンティンを、デ・ハヴィラントは公衆の面前で拒絶したという。オスカーがもたらした姉妹不和として記憶されている。
製作年 1941
製作会社 RKO
ジャンル 家族(夫婦生活)
犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
フランシス・アイルズ (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
スミス夫妻
Mr. & Mrs. Smith
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ハリー・E・エディグトン(製)
ノーマン・クラスナー(脚)
キャロル・ロンバード
ロバート・モンゴメリー
ジーン・レイモンド
ジャック・カーソン
フィリップ・メリヴェイル
ベティ・カンプソン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 アメリカ時代の唯一のコメディ映画となったが、翌1941年1月に公開されると興行的成功を収めた
製作年 1941
製作会社 RKO
ジャンル 家族崩壊
売り上げ
原作
歴史地域
関連 Mr.&Mrs. スミス(2005)同名タイトル
レベッカ
Rebecca
1940米アカデミー作品賞、撮影賞、主演男優賞(オリヴィエ)、主演女優賞(フォンティン)、助演女優賞(アンダーソン)、監督賞、脚色賞、作曲賞、室内装置賞、特殊効果賞、編集賞
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デヴィッド・O・セルズニック(製)
ロバート・E・シャーウッド
ジョーン・ハリソン(脚)
ローレンス・オリヴィエ
ジョーン・フォンテイン
ジョージ・サンダース
ジュディス・アンダーソン
グラディス・クーパー
レオ・G・キャロル
ナイジェル・ブルース
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 モンテカルロで英国人貴族のマキシム・デ・ウインター(オリヴィエ)と知り合ったアメリカ人娘(フォンテーン)は、意気投合し、親子ほどの年齢差をものともせず結婚した。そこでマキシムの持つコーンウォールの荘園へと向かうのだが、そこで娘はマキシムは再婚であること。先の奥方であった亡くなったレベッカに、デンヴァー夫人(アンダーソン)を始めとする荘園の人々は思慕の念をささげており、娘を邪険に扱う。未だにレベッカがこの荘園を支配していることを思い知らされた娘だったが、やがてレベッカの死には不審な点が見られることに気付いていく…
 セルズニックに招かれたヒッチコック監督の渡米第一作にして唯一のオスカー作品1940年全米興行成績6位(製作のセルズニックは、当初の予定だった『タイタニック』の撮影を許さずにこの製作に打ち込み、その分撮影にも色々関わったため、ヒッチコック本人に言わせると、本作はあまり良い思い出はもっていないらしい)。

 それまで故郷イギリスで数多い傑作を作ってきた監督だが、本作とイギリス時代に作ってきた作品には大きな違いが見受けられる。
 一つには、それは空間の使い方がある。
 これまで作ってきた作品は、どっちかと言うと狭い屋内を中心としたもので、ロケをしても、スピード感あふれるカメラワークを駆使することよって、ゆったりした雰囲気が出ていなかった。それに対し本作は一気に空間的に開放された感があり、雄大な自然や一軒家の館の展望。集まる人々のゆったりした空間など、これまでに無い伸びやかな演出が見られる。特に最後のクライマックスシーンなんかは、アメリカ資本でなければ到底作れなかったスペクタクルシーンで、これを言っちゃ元も子もないけど、金があるのとないのでは、こんなに作りに差が出るのか。と思わせられる出来だった。撮影の“光の魔術師”ジョージ・バーンズの面目躍如だろう。

 そしてもう一つ。監督の演出はより尖鋭になったものを感じさせる。
 そのために改めて本作を構造から見てみよう。
 イギリス富豪の家に嫁いできたアメリカ女性が、死んだ先妻のレベッカの影響のためどんどんコンプレックスの固まりになっていく。そして死んだレベッカとはどういう女性だったのかを探る。
 改めて構造だけを抜き出すと、これだけで済んでしまうのだ。もちろんホラーサスペンスとして演出自体はいろんなひねりがあるし、複雑に絡んだ事件の真相を一つずつ明るみに出していくという絶妙の物語展開もあるのだが、物語の構造自体は驚くほど一本調子で終わっていることが分かる。普通こういう場合、いろんなミニストーリーや登場人物の描写などを入れて複雑化させるだろうが、ヒッチコックはそんな手を取らなかった。敢えて一本道のシンプルな物語構造を選んだのだ。
 これはストーリーの面白さで充分観客を引っ張っていけると言うことと、演出で観客を飽きさせない自信があったからなのだろう。監督にとっても本作は相当な挑戦作だ。
 そして今の目で観ても、本作のシンプルさは、まったく色あせていない。
 そういったシンプルさを映画として成立させられたのは、観ている側にストレスを与え続けているということだ。以降の『断崖』『鳥』と言った、ストーリー的にシンプルな作品でも、観てる側が「この真相は何?オチはどう持っていくの?」と思わせ、そしてそれをうまくかわしていくことで、最後の最後までストレス溜まりまくり。終わった時にようやく「ほーっ」とため息をつかせられる。
 そのストレスの与え方も本作は非常にうまくできていて、途中で「ひょっとしたらレベッカって生きてんじゃね?」とか思わせながら、「それともひょっとしたら幽霊か?」「死んでるんだったら死んでるで、何でそんなに隠すんだ」…とイライラしっぱなし。
 そこで与えられるストレスこそが本作の最大の醍醐味だったと、今になって分かる。結局ヒッチコックの手のひらでうまいこと踊らされていたわけだ。
 一本調子でありながら決して観客を飽きさせない。ヒッチコックのうまさが凝縮したような作品だ。
 ここで使われた館は後の『市民ケーン』(1941)のザナドゥ邸のモデルとなる。

 本作でノミネートながらオスカーを逃したフォンティンは翌年の『断崖』で見事雪辱を果たすことになる。
製作年 1940
製作会社 セルズニック・インターナショナル
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
レベッカ <A> <楽>
ダフネ・デュ・モーリア (検索) <A> <楽>
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wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
海外特派員
Foreign Correspondent
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ウォルター・ウェンジャー(製)
チャールズ・ベネット
ジョーン・ハリソン(脚)
ジョエル・マクリー
ラレイン・デイ
ジョージ・サンダース
ハーバート・マーシャル
アルバート・バッサーマン
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
この作品は第二次世界大戦直前のロンドンに派遣されたアメリカ人記者(ジョエル・マクリー)が、ナチスのスパイの政治的陰謀を突き止めるという物語である[121]。大戦への不安を抱いていたヒッチコックは、この作品であからさまにイギリスの参戦を支持し[122]、結末にはアメリカの孤立主義の撤回を求める戦争プロパガンダの要素を取り入れた[121]。同年8月にユナイテッド・アーティスツの配給で公開されると成功を収めたが、この頃にヒッチコックはイギリスのメディアから、祖国の戦争努力を助けるために帰国しようとせず、アメリカで無事安全に仕事をする逃亡者であると非難され、心を傷つけられた[123]。
製作年 1940
製作会社 ウォルター・ウェンジャー・プロ
ジャンル 国策映画
職業(新聞・記者)
売り上げ
原作
歴史地域
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wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
巌窟の野獣
Jamaica Inn
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シドニー・ギリアット
ジョーン・ハリソン
アルマ・レヴィル
J・B・プリーストリー(脚)
チャールズ・ロートン
モーリン・オハラ
レスリー・バンクス
ロバート・ニュートン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 主演のロートンが自分の演技のために撮影を何度も中断するのに苛立った。
製作年 1939
製作会社 メイフラワー・ピクチャー
ジャンル 犯罪(アウトロー)
売り上げ
原作
ダフネ・デュ・モーリア (検索) <A> <楽>
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バルカン超特急
The Lady Vanishes
1938NY批評家協会監督賞(ヒッチコック)
<A> <楽>
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エドワード・ブラック(製)
シドニー・ギリアット(脚)
マーガレット・ロックウッド
マイケル・レッドグレーヴ
ポール・ルーカス
グーギー・ウィザース
リンデン・トラヴァース
メイ・ウィッティ
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1938
製作会社 ゲインズボロー・ピクチャー
ジャンル 乗り物(列車)
犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
バルカン超特急―消えた女 <A> <楽>
エセル・リナ・ホワイト (検索) <A> <楽>
歴史地域
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サボタージュ
Sabotage
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マイケル・バルコン(製)
チャールズ・ベネット
イアン・ヘイ(脚)
シルヴィア・シドニー
オスカー・ホモルカ
ジョン・ローダー
デズモンド・テスター
ジョイス・バーバー
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 映画館を経営し、若い妻(シドニー)と彼女の幼い弟スティービーを大切にする優しい男バーロックは、実は破壊工作員という裏の顔を持っていた。バーロックの身辺調査をしている若い刑事スペンサーは隣の八百屋に店員として潜り込み、バーロック夫人とスティービーの知己を得てバーロック邸へと招かれる。丁度その時、隣の部屋では次の爆破計画の話し合いが行われていたのだ…
 原作はジョセフ=コンラッド。実は小説の名前は「Secret Agent」(邦題「密偵」)だが、これは同年ヒッチコック自身が監督した『間諜最後の日』の原題と全く同じなので、タイトルを変更せざるを得なかったという経緯を持つ。
 本作は監督のヒッチコック自身があまり好きではないという作品なのだが(後述)、しかし出来としてはまさにヒッチコック作品の要素は見事に詰め込まれており、どこか間の抜けた犯人像や、音楽と物語のシンパシーなど、演出部分に限って言えば、ヒッチコック作品の最も重要な部分が見事(どことなくぬる〜い物語展開も含めて)。
 特にバスのシーンはテレビで観ていても緊張しまくり。スティービー少年はフィルム缶に何が入ってるか分からないから、ちょっと気になる所があったら道草しつづけており、しかも確実に爆発の時間が迫っているのに、のんびりバスに乗ってたりして、観ているこっちとしては「まさかまさかまさか…」という思いで一杯になっていく。正直、このオチがどうなるのか分からなかったので、「一体どうやってこの絶体絶命の危機を回避するんだ?」と画面に釘付け。しかも臨場感たっぷりに音楽が鳴り響く。
 「どうなるどうなるどうなる…」と思って観ていたら…
 え?マジ?よもや、ここまで捻らないで爆発させるとは思いもしなかった。いや、だからこそ唖然として驚かされた訳なんだが。
 実はこの点こそが観客がシンパシーを覚える人間は殺さない事を身上としていたヒッチコックが最も悔やんだ部分であり、スティーヴを殺してしまったことで、監督自身が本作を認められなくしてしまった訳だ。
 だけど、この音楽の使い方ってモロに『サイコ』(1960)だよね?転んでもただでは起きないのがやはり一流監督という所か。
 尚、本作は1996年に『シークレット・エージェント』としてリメイクされているが、私は未見。
 監督の思いはどうあれ、私は本作を大変好ましく思う。
製作年 1936
製作会社 ゴーモン・ブリティッシュ・ピクチャー
ジャンル 犯罪(テロリズム)
売り上げ
原作
密偵 <A> <楽>
ジョセフ・コンラッド (検索) <A> <楽>
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関連
間諜最後の日
Secret Agent
<A> <楽>
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チャールズ・ベネット(脚)
ジョン・ギールグッド
パーシー・マーモント
ピーター・ローレ
マデリーン・キャロル
ロバート・ヤング
リリー・パルマー
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1936
製作会社 ゴーモン・ブリティッシュ・ピクチャー
ジャンル 犯罪(スパイ)
売り上げ
原作
間諜最後の日 <A> <楽>
サマセット・モーム (検索) <A> <楽>
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wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
三十九夜
The 39 Steps
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チャールズ・ベネット
アルマ・レヴィル
イアン・ヘイ(脚)
ロバート・ドーナット
マデリーン・キャロル
R・マンハイム
ペギー・アシュクロフト
マイルズ・メイルソン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 商用で行っていたカナダからロンドンに帰ってきたハネー(ドーナット)はロンドンのイーストエンドの劇場で羽を伸ばしていた。丁度舞台にはミスタ・メモリーと言う記憶の達人が立っており、客から出された全ての質問に答えていたのだが、その時突如一発の銃声が起こる。そこから始まるハネーのとんだ冒険を描く。
 ジョン・バカンの冒険小説を元にしたイギリス時代のヒッチコック監督得意のスペンス作品(ちなみに原題は『The 39 steps』なので、本来『39階段』と訳すべき)、後年『北北西に進路を取れ』(1959)に見られるような、いわゆる“巻き込まれ型”の作品。イギリス時代のヒッチコック最大のヒット作でもある。
 ヒッチコック得意のこのパターンの醍醐味は、主人公が何がなにやら分からないまま事件に巻き込まれ、一人で必死になって逃げながら、事件が徐々に解明していくと言う過程にあるが、ヒッチコックの作品は謎の解明よりも、場面場面の危機の連続をどう主人公がすり抜けていくか、の方に主眼が置かれているようで、ここでも主人公は何度となく絶体絶命の危機を迎え、その度毎に機転や幸運などですり抜けていく。その課程で力強い仲間と出会ったり、女性と軽妙な恋物語などを入れるなどして最後まで飽きさせない作りで楽しませてくれる。たしかにここにはリアリティを二の次にしているという評はあるだろうが、そういう荒唐無稽さこそが映画のリアリティであり、醍醐味であることは事実。
 サスペンスに始まり、コメディ調に変わって、最後はラブストーリーへとスピーディに変化していく過程が見事だが、その合間にいくつものショウが入っているのが一つの特徴となっていて、その一つ一つのショウがストーリーに区切りを付けている。最初はミスタ・メモリーの記憶術に、そして途中に出てくるハネーの朗読も一種のショウだった。そして最後は又最初に帰り、ミスタ・メモリーの記憶術へと戻っていく。そのショウも視覚で楽しませるものではなく、男の言葉によるものという特徴付けがなされている。その辺のこだわりが流石ヒッチコックと言った感じだ。
 イギリスの田舎の風景をバックに、台詞もウィットが効いているので、コミカルなロード・ムービーとして観ても充分に面白い作品として観られる。
 そうそう、咄嗟に女性にキスをして危機を逃れる話はこの映画が最初。後々の映画で数多くパクられている。
製作年 1935
製作会社 ゴーモン・ブリティッシュ・ピクチャー
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
三十九階段 <A> <楽>
ジョン・バカン (検索) <A> <楽>
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暗殺者の家
The Man Who Knew Too Much
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エドウィン・グリーンウッド
A・R・ローリン
D・B・ウィンダム(脚)
レスリー・バンクス
エドナ・ベスト
ピーター・ローレ
ノヴァ・ピルブーム
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 スイスのサンモリッツに休暇にやってきたローレンス一家。のんびり羽を伸ばしていたところ、ホテルで友人のルイが何者かにより射殺されるという事件が起こる。たまたまその近くにいたローレンスはルイのダイイング・メッセージにより一枚の紙片を手に入れる。しかし、ここに書かれていた事により、ローレンスはアボット(ローレ)という男率いる暗殺団と深く関わることになってしまうのだった。一人娘のベティがさらわた上に脅迫され、警察を頼れなくなったローレンスは友人のクレイヴと共に暗殺団に立ち向かうのだが…

 日本に紹介された最初のヒッチコック映画にして、監督のイギリス時代を代表する作品。監督本人はさほど本作の出来には満足していなかったようで後にアメリカで『知りすぎていた男』(1956)としてセルフ・リメイクされる事になるが(監督本人の言によれば、本作は「才能あるアマチュアの作品」なのだそうだ)、出来は監督作品の中でも水準以上。盛り上げ方と良い、アイディアと言い、監督ならではの演出がふんだんになされている。実際の話、この時代の制約の多い映画でこれだけ緊迫感のある、そして楽しい作品を作ることが出来たって事だけで絶賛しすぎって事はなかろう。
 先ず特筆すべきは演出面。様々なところで監督らしさが溢れている。
 演出で有名なのはコンサート中、一度だけならされるシンバルの音に合わせて狙撃するというアイディアだが、それを知って焦りまくるジルの引きつった顔を被せることで、緊張感を本当に良く演出できていた。
 個人的に気に入った演出は、ラストの銃撃戦。銃撃戦そのものよりも、そこへの入り方が巧い。元々本作は1910年に起こったロシア人アナーキストと警官隊との包囲戦で当時“シドニー街の銃撃戦”と呼ばれた実話が元なのだそうで、市街戦の緊張感は当時を知っているからこその演出だろう。あたかも自分は死なないと思いこんだかのように堂々と正面から暗殺団の家に向かっていき、あっけなく殺されてしまう警官と、その死を見て、初めてこれが現実であることを認識する市民の対比は今観ても見事な出来映え。
 後はパイ投げならぬ椅子投げは笑えた。多分ぶつかっても痛くない素材を使ってるんだろうけど、スタントを用いてるようには見えないので、やってる方は大変だろうな。壊れまくる椅子を投げ合うのはなかなか爽快感があるよ。
 そしてこれも重要なキャラクター描写。
 監督作品の特徴として悪役を魅力的に描くって点が挙げられると思うが(古くは『巌窟の野獣』のロートン然り、『サイコ』(1960)のパーキンス、などなど、皆主役を食うほどの存在感を出していた)、本作のピーター=ローレも良い。ローレは今までロジャー=コーマン作品で何度か観て、特徴ある俳優だなあ。とか思っていたが、本作はその存在感を余すところなく出していたのではないか?こう言っちゃなんだが、愛嬌ある悪役が似合う役者だ。
 確かに話の流れが少々わかりにくいと言うところもあるけど(これは何も本作だけでなく、監督の多くの作品に共通してるが)、アイディアと言い、緊迫感と言い、非常に優れた内容の作品。
製作年 1934
製作会社 ゴーモン・ブリティッシュ・ピクチャー
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ £40,000
原作
歴史地域 サン・モリッツ(スイス)
関連
リッチ・アンド・ストレンジ
Rich and Strange
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アルマ・レヴィル
アルフレッド・ヒッチコック
ヴァル・ヴァレンタイン(脚)
ヘンリー・ケンドール
ジョーン・バリー
ベティ・アマン
パーシー・マーモント
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1931
製作会社 BIP
ジャンル コメディ(珍道中)
売り上げ
原作
デイル・コリンズ (検索) <A> <楽>
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ヒッチコックの ゆすり
Blackmail
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ジョン・マクスウェル(製)
ベン・レヴィ(脚)
アニー・オンドラ
サラ・オールグッド
チャールズ・ペイトン
ジョン・ロングデン
ドナルド・カルスロップ
シリル・リチャード
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 邦題は『恐喝』とも書かれる。
製作年 1929
製作会社 BIP
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
チャールズ・ベネット (検索) <A> <楽>
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農夫の妻
The Farmer's Wife
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エリオット・スタナード(脚)
ジェームソン・トーマス
リリアン・ホール=デイヴィス
ゴードン・ハーカー
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1928
製作会社 BIP
ジャンル 恋愛(ラブコメ)恋愛(身分差)
売り上げ
原作
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ダウンヒル
Downhill
<A> <楽>
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エリオット・スタナード(脚)
アイヴァー・ノヴェロ
ベン・ウェブスター
アネット・ベンソン
リリアン・ブレイスウェイト
バーバラ・ゴット
イアン・ハンター
ロビン・アーヴィン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1927
製作会社 ゲインズボロー・ピクチャー
ジャンル 人生(男の一生)
売り上げ
原作
コンスタンス・コリアー (検索) <A> <楽>
アイヴァー・ノヴェロ (検索) <A> <楽>
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下宿人
The Lodger: A Story of the London Fog
<A> <楽>
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マイケル・バルコン
カーライル・ブラックウェル(製)
エリオット・スタナード
アルフレッド・ヒッチコック(脚)
アイヴァー・ノヴェロ
マリー・オールト
マルコム・キーン
アーサー・チェスニー
ヘレナ・ピック
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ヒッチコックにとって初のサスペンス映画である[53]。この作品は切り裂きジャックを下敷きにしたベロック・ローンズ(英語版)の同名小説が原作で、無実の若い下宿人(アイヴァー・ノヴェロ)が連続殺人犯の疑いをかけられるという物語である[52][53]。ヒッチコックはこの作品でさまざまな純粋な視覚的工夫を凝らしており、例えば、女将の上の部屋にいる下宿人の足音の効果を出すために、ガラス板の天井の上を歩く下宿人を真下から撮影した[54]。この作品には金髪女性や手錠、間違えられた男など、後の作品で繰り返し用いられるテーマやモチーフが登場し、「ヒッチコック・タッチ」と呼ばれる独自の作風を最初に示した作品となった[52][53]。後年にヒッチコックは、この作品を「正真正銘のヒッチコック映画と言える最初の代物」と呼んでいる[54]。しかし、配給会社は公開を拒否したため、ヒッチコックは若い知識人のアイヴァー・モンタギュー(英語版)の助けを借りて作品に修正を加え、1926年9月に業界向け試写会を行うと、『バイオスコープ』誌に「イギリス映画史上の最大傑作」と呼ばれるなど好評を集めた[51]。翌1927年1月に公開されると商業的にも成功を収めた[55]。
製作年 1926
製作会社 ゲインズボロー・ピクチャー
カーライル・バックウェル・プロ
ジャンル 犯罪(サスペンス)
売り上げ
原作
マリー・ベロック=ローンズ (検索) <A> <楽>
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快楽の園
The Pleasure Garden
<A> <楽>
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マイケル・バルコン
エリッヒ・ポマー(製)
エリオット・スタナード(脚)
ヴァージニア・ヴァリ
カルメリータ・ジェラティ
マイルズ・マンダー
ジョン・スチュアート
ニタ・ナルディ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ロケはイタリアで行われたが、通関手続きではフィルムストックが申告漏れのため税関に没収され、ジェノヴァでは現金が盗まれ、ほかにも予定外の出費が重なるなどトラブルが続き、そのせいで製作費が不足し、俳優やスタッフにお金を借りることになった。同年夏の終わりに撮影は終了。『デイリー・エクスプレス』紙はこの作品を「傑出した映画」と呼び、ヒッチコックのことを「巨匠の頭脳を持った新人」と評した[49][50]。しかし、配給元のW&F映画配給会社(英語版)は売り物にならないとして『快楽の園』と『山鷲』の公開を拒否し、監督3作目の『下宿人』の業界向け試写会が成功したあとの1927年にようやくイギリスで正式配給された[51]。
製作年 1925
製作会社 Emelka
ゲインズボロー・ピクチャー
ブラヴィア・フィルム
ジャンル 恋愛(ストレート)
売り上げ
原作
オリヴァー・サンディス (検索) <A> <楽>
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関連

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書籍
著作 評伝
1999
ヒッチコック映画自身(1999) <A> <楽>
アルフレッド ヒッチコック
1980
ヒッチコックを読む―やっぱりサスペンスの神様!(1980) <A> <楽>
筈見 有弘
1986
ヒッチコック(1986) <A> <楽>
筈見 有弘
1988
ヒッチコック: 映画と生涯(1988) <A> <楽>
ドナルド スポトー
1990
定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー(1986) <A> <楽>
フランソワ・トリュフォー
1991
ヒッチコックヒロイン(1991) <A> <楽>
梶原 和男
1998
ヒッチコック・ゲーム―ようこそヒッチコック映画館へ(1998) <A> <楽>
橋本 勝
2001
ヒッチコック完全読破(2001) <A> <楽>
2002
ヒッチコックに殺された!(2002) <A> <楽>
久賀 望児
2005
ヒッチコック×ジジェク(2005) <A> <楽>
スラヴォイ・ジジェク
ヒッチコック「裏窓」ミステリの映画学(2005) <A> <楽>
加藤 幹郎
  書評
ヒッチコック映画読本山田 宏一