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ヨーロッパ退屈日記(書籍) _(書籍) |
1997 | 12'20 死去 | ||||||||||
マルタイの女 監督・脚本 | |||||||||||
1996 | スーパーの女 監督・脚本 | ||||||||||
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1995 | 静かな生活 監督・脚色 | ||||||||||
1994 | |||||||||||
1993 | 大病人 監督・脚本 | ||||||||||
大病人の大現場 出演 | |||||||||||
1992 | ミンボーの女 監督・脚本 | ||||||||||
ミンボーなんて怖くない 出演 | |||||||||||
C(コンビニエンス)・ジャック 出演 | |||||||||||
1991 | 白百合女子学園洋弓部 白銀の標的 出演 | ||||||||||
1990 | あげまん 監督・脚本 | ||||||||||
[あげまん] 可愛い女の演出術(メイキング) 出演 | |||||||||||
1989 | スウィートホーム 総指揮・出演 | ||||||||||
1988 | マルサの女2 監督・脚本 | ||||||||||
マルサの女2をマルサする 出演 | |||||||||||
1987 | マルサの女 監督・脚本 | ||||||||||
マルサの女をマルサする 出演 | |||||||||||
1986 | |||||||||||
1985 | タンポポ 監督・脚本 | ||||||||||
伊丹十三の [タンポポ]撮影日記 出演 | |||||||||||
ドレミファ娘の血は騒ぐ 出演 | |||||||||||
1984 | お葬式 監督・脚本 | ||||||||||
瀬戸内少年野球団 出演 | |||||||||||
化粧 出演 | |||||||||||
1983 | 居酒屋兆治 出演 | ||||||||||
迷走地図 出演 | |||||||||||
家族ゲーム 出演 | |||||||||||
細雪 出演 | |||||||||||
1982 | キッドナップ・ブルース 出演 | ||||||||||
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1981 | 悪霊島 出演 | ||||||||||
仕掛人梅安 出演 | |||||||||||
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1980 | 夕暮まで 出演 | ||||||||||
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1979 | 草迷宮 出演 | ||||||||||
もう頬づえはつかない 出演 | |||||||||||
星のオルフェウス ナレーション | |||||||||||
1978 | |||||||||||
1977 | |||||||||||
1976 |
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1975 | 吾輩は猫である 出演 | ||||||||||
1974 | わが道 出演 | ||||||||||
妹 出演 | |||||||||||
修羅雪姫 怨み恋歌 出演 | |||||||||||
1973 |
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1972 | |||||||||||
1971 | 幻化 出演 | ||||||||||
甘い秘密 出演 | |||||||||||
やさしいにっぽん人 出演 | |||||||||||
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1970 | |||||||||||
1969 | ごろつき部隊 出演 | ||||||||||
栄光への5000キロ 出演 | |||||||||||
1968 | 新宿の肌 出演 | ||||||||||
夜の歌謡シリーズ 命かれても 出演 | |||||||||||
昭和元禄 TOKYO196X年 出演 | |||||||||||
金瓶梅 出演 | |||||||||||
あゝ予科練 出演 | |||||||||||
人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊 出演 | |||||||||||
1967 | 懲役十八年 仮出獄 出演 | ||||||||||
日本春歌考 出演 | |||||||||||
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1966 | 男の顔は履歴書 出演 | ||||||||||
1965 | ロード・ジム 出演 | ||||||||||
1964 | |||||||||||
1963 | 北京の55日 出演 | ||||||||||
1962 | ゴムデッポウ 監督 | ||||||||||
1961 | 黒い十人の女 出演 | ||||||||||
1960 | 偽大学生 出演 | ||||||||||
男は騙される 出演 | |||||||||||
嫌い嫌い嫌い 出演 | |||||||||||
1959 | |||||||||||
1958 | |||||||||||
1957 | |||||||||||
1956 | |||||||||||
1955 | |||||||||||
1954 | |||||||||||
1953 | |||||||||||
1952 | |||||||||||
1951 | |||||||||||
1950 | |||||||||||
1949 | |||||||||||
1948 | |||||||||||
1947 | |||||||||||
1946 | |||||||||||
1945 | |||||||||||
1944 | |||||||||||
1943 | |||||||||||
1942 | |||||||||||
1941 | |||||||||||
1940 | |||||||||||
1939 | |||||||||||
1938 | |||||||||||
1937 | |||||||||||
1936 | |||||||||||
1935 | |||||||||||
1934 | |||||||||||
1933 | 5'15 京都で誕生 |
マルタイの女 1997 | |||||||||||||||||||||||||||
1997日本アカデミー助演男優賞(西村雅彦)、主演女優賞(宮本信子)、音楽賞 1997ブルーリボン助演男優賞(西村雅彦) 1997報知映画助演男優賞(西村雅彦) 1997ヨコハマ映画祭助演男優賞(西村雅彦) |
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我が儘女優の磯野ビワコ(宮本信子)は、ある時弁護士夫婦が殺害される現場を目撃してしまう。それを悟られた犯人に殺されそうになるが、危ういところで助けられた。警察の事情聴取を受けたビワコはマスコミを呼び、大々的に裁判で証言台に経つことを宣言する。しかし、その弁護士を殺したと目されるのは、カルト宗教集団“真理の羊”。そのままビワコは命を狙われそうになる。その警護のため、立花(西村雅彦)と近松(村田雄浩)という二人の刑事がぴったりと彼女にくっつくようになった。わがままな彼女に振り回される二人だったが、彼女自身も精神的に徐々に追いつめられていく… 伊丹十三監督の一連の〜の女シリーズの最終作となった本作は、マルタイ(警察用語で身辺保護の対象者のこと)を扱った作品で、実はかつて『ミンボーの女』で暴力団襲撃事件の被害者となった監督と、監督夫人であり主演の宮本信子が本当にマルタイになったという経験から作られたとか。 相変わらず、我々がなかなか知ることが出来ない裏の世界を扱っているので設定は面白いし(しかし、対象となってる宗教団体はかなりやばい。下手すれば本当に命狙われてたかも)、伊丹作品では珍しくカー・チェイス・シーンまで入っている。その辺は力が入っているのだが、なんだか本作に関しては妙に演出不足を感じさせられた。設定をコメディ化する際、練り方が足りないというか、きわめて安易に笑いにしようとしているというか、演出では定評のある監督にしては低調な感じ。 それにここに登場するマルタイというのは、結局身辺警護だけのものになってしまっている感が強く、もう少しプロフェッショナルとしての地味で大切な部分を強調して欲しかったね。 宮本信子はここでもがんばってるけど、身勝手な女というのがどうにも似合ってない感じ。 その後自殺してしまった伊丹監督の遺作と言うことになるのだろうが、それはちょっと寂しいな。 |
スーパーの女 1996 | |||||||||||||||||||||||||||
1996日本アカデミー作品賞、主演女優賞(宮本信子)、監督賞(伊丹十三)、脚本賞、音楽賞、編集賞 | |||||||||||||||||||||||||||
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町の小さなスーパー“正直屋”は近所に開店した巨大スーパーの“安売り大魔王”の売り上げに押され、経営が落ち込んでいた。専務の小林五郎(津川雅彦)は、店を何とかしたいと思いつつも、商品は売れずに、店員も覇気がなくなっていることに困り果てていた。それである日、こっそり“安売り大魔王”にスパイに行った五郎はそこで偶然幼馴染みの井上花子(宮本信子)と再会するのだった。花子が素人ではあるが、スーパー好きが嵩じ、目が高い事を見抜いた五郎は花子をオブザーバーとして正直屋で雇う事にした。早速問題の解決に取りかかる花子だったが… 他の国と較べ、日本は特に西部劇の中でも『シェーン』(1953)が好きだと言われるが、多分伊丹監督もこの作品が大変好きなんだろう。事実前に『タンポポ』を監督した時、演出としてウェスタンを持ち込んでいたが、本作はストーリー展開を含め、本当に『シェーン』によく似てる。それを物語の核として用いつつ、様々なウンチクと凝りに凝りまくったカメラ・ワークを加えて作られた作品。 伊丹監督の『〜の女』のシリーズは毎回ウンチクが詰まっているけど、これ以外は一般の観点からは外れたものばかりで、日本の裏社会を垣間見させられたものだが、これは大変庶民的で、「なんとなくありそう」なものを題材に取っているので、あんまり学んだという気分にさせてくれなかったのは残念なところ。 単純化された物語を楽しく観られればそれで良いって人には結構お薦めだし、カメラ・ワークの勉強にもなる(…って、伊丹監督の作品を紹介する時は常にそう言ってしまうな)。 |
静かな生活 1995 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1995日本アカデミー新人俳優賞(渡部篤郎)、主演男優賞(渡部篤郎)、助演男優賞(今井雅之)、音楽賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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大病人 1993 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1993日本アカデミー主演男優賞(三國連太郎)、録音賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ミンボーの女 1992 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1992日本アカデミー作品賞、主演女優賞(宮本信子)、助演男優賞(大地康夫)、監督賞(伊丹十三)、脚本賞、音楽賞 1992毎日映画コンクール男優助演賞(村田雄浩)、優秀宣伝賞 1992報知映画助演男優賞(村田雄浩) |
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東京の名門ホテルであるロイヤルコートは、当初サミットの開催会場に指定されていたが、暴力団の宿泊を許しているという危機管理の甘さが理由で、サミットの開催権をライバルホテルに奪われてしまった。総支配人(宝田明)はロイヤルコートからの暴力団排除を決意し、特別班として鈴木勇気(大地康夫)と若杉太郎(村田雄浩)を抜擢する。だが、二人はこれまで全く暴力団と関わったことがなく、逆に暴力団から怒りを買ってしまう。それを愁いた総支配人はついにミンボー専門の女弁護士である井上まひる(宮本信子)を雇う。見事な手腕を見せる井上の指導を受け、鈴木と若杉は対応術を身につけていくが、今度は総支配人が暴力団の入内島(伊東四朗)の罠にはまってしまい… 当時邦画を劇場で観ることはあんまりなかったが、丁度そのちょっと前に『マルサの女』をテレビで観ていて、これは面白い!と思って珍しく劇場で拝見。 これもやっぱり普通の生活していたらまずお目にかかることのない法律の裏を描く作品で、その設定と、対処の方法は大変面白い。しかも『マルサの女』の時とは違い、正面から暴力団を描いているのが大きな特徴で、その分切実度が高く、緊張感も持続。更に適度な笑いと、バランスは結構良い作品に仕上がっていた。実際、ここまで暴力団描いて大丈夫か?と思ったのは確かだが、大丈夫じゃなかったみたい(伊丹監督はこの作品のお陰で実際に暴力団に襲われたとか。この時は暴力団ではなく、宣伝車を暴力団の道具に使ったと言うことで怒りを買ったらしいが)。 キャスティングは伊丹監督作品の常連が目白押し。ただ、今回の中心となるのはその中でも顔の濃い人ばかりだったから、場面はかなり暑苦しかったのがなんだが(冬に公開したのは正解だったね)。 物語のバランスは良く、演出も生々しいが、しかしちょっと小粒っぽかったかな?そこがちょっと残念。ちょっとこの作品はテレビサイズが丁度良い感じ。 |
あげまん 1990 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1990日本アカデミー主演女優賞(宮本信子)、脚本賞、編集賞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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マルサの女2 1988 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1988日本アカデミー編集賞 1988毎日映画コンクール男優助演賞(大地康雄) |
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国税局査察部通称“マルサ”査察官板倉亮子は新米の??を引き連れある地上げ屋の脱税を追求していたが、なかなか尻尾を出さないその事件には、背後に大きな黒幕がいるのではないかと睨む亮子。細い線を手繰るうち、鬼沢鉄平という天の道教団の代表に行き当たるが、宗教団体の査察にはいくつもの困難が待ち構えていた。及び腰の上層部と信者たちの抗議の中、次々と重要参考人が消えていく… 前作『マルサの女』(1987)のヒットを受け製作された続編。これも1988年邦画興行成績6位とヒットを記録した。 『マルサの女』は、そもそも一般人は普通関わりを持つことのない国税局の内部事情や、どのように査察が行われていくかの手順などが丁寧に描かれているのが特徴であり、その点リアリティにあふれた描写が楽しめた。お陰でお役所仕事と思われるものも立派にエンターテインメント化できることを見事に示した作品だった。 それで本作も当初の楽しみは、その生々しさにあった訳だが… 本作を観て第一に思うことは、物語と娯楽のバランスが崩れてしまったと言うこと。刑事事件にまで話が展開したために本来リアリティを楽しむ作品が、ファンタジーになってしまっては魅力半減。主人公亮子のやってることもほとんど刑事そのもので、あまり特徴が感じられず。宗教団体を査察するという危ない設定だけに、リアルに作ってはいけないという自制が働いたのかもしれないけど、リアリティを必要とする物語でリアリティを欠いてしまったのが残念。 物語そのものは、題材が題材だけにかなりきわどいブラック・ジョークにあふれていて、しっかりエンターテインメント化はされているし、あさましい人間関係が次々に出てくるのも、なかなか楽しい。それにしても三國連太郎は、流石貫禄の演技だが、生々しすぎて胡散臭さ爆発。 ただ、だとしてもテーマは危なすぎたんじゃ無かろうか?結果的にそれが監督の孤立へと追い立てていったような気がしてならない。 |
マルサの女 1987 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1987日本アカデミー作品賞、主演男優賞(山崎努)、主演女優賞(宮本信子)、助演男優賞(津川雅彦)、監督賞(伊丹十三)、脚本賞 1987ブルーリボン作品賞 1987キネマ旬報日本映画第1位 1987毎日映画コンクール日本映画大賞、脚本、男優主演賞(津川雅彦)、音楽賞、日本映画ファン賞 1987報知映画作品賞、助演男優賞(津川雅彦) |
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やり手税務所調査官の板倉亮子(宮本信子)は、一軒のラブホテルの脱税に頭を悩ませていた。彼女の勘では明らかに脱税が行われているはずなのに、オーナーの権藤英樹(山崎努)は一筋縄ではいかない相手で、なかなか尻尾を出さないどころか、逆に亮子を手玉に取ろうとする。権限不足で悩む亮子だったが、業績が認められ、彼女はマルサと呼ばれる摘発のプロフェッショナル、国税局査察部に抜擢されるのだった。より自由に動けることになった亮子は権藤のホテルを徹底的に調査し始めるのだが… 伊丹監督にとっては第3作目になり、宮本信子を主人公とした一連の『〜の女』と題される作品群の第一弾。1987年邦画興行5位。当時劇場で邦画を観るなどと言うことは、金の無駄だと思いこんでいたもんだが、これはちょっと行っても良かったな。と思わせる出来で、結構スマッシュヒットといっても良かったんじゃないだろうか? 実際この作品では“映画”という定義としては、かなり型破り。実際テーマそのものはテレビで放映されるいわゆる“実録もの”を脚色してドラマ化した、「あなたの知らないこういう世界もあるんですよ」と言う構成に近い。本作では様々な脱税テクニックが紹介され、それらの脱税をどのように摘発していくのか、コミカルさや刃傷なども絡めて描いている。 場面の一つ一つで行われていることがきちんきちんと言葉で説明されるため、観てる側が「なるほど」と思えるし、これまでにない映画の形を模索するという意味では充分評価できるだろう。確かにストーリーはさほどの起伏があるではないが、じっくり観れば観るほど、味が出てくる作品に仕上がってる。それにこれにもやっぱり伊丹監督らしい凝りに凝ったカメラ・ワークが楽しめる。充分劇場で観て楽しめる作品といえるし、この時期に製作された邦画の中では出色の出来だと言えよう(実際はこの年の他の映画があまりにも今ひとつというのが事実なのだが)。 |
タンポポ 1985 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1987インディペンデント・スピリット外国映画賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ある夜タンクローリーを運転していたゴロー(山崎努)とガン(渡辺謙)は、来々軒というラーメン屋に入った。そこはタンポポ(宮本信子)という未亡人一人が切り盛りしている店だったが、すっかり閑古鳥が鳴き、タンポポは店を畳むかどうか迷っている最中だった。タンポポに頼まれ、ゴローとガンはこの店を何とかしてもり立てようと奮闘することになるが… 『お葬式』(1984)に続いての伊丹監督第2作。評論家受けした一作目とは違い、総じて評論家の受けは良くなかったが、興行的には成功した。 実際、この作品私はとても気に入ってる。元より食べるシーンのある映画、殊に庶民的な食べ物を食べるシーンって大好きだし、ここに出てくる食事ってほとんどが庶民的なものばかり。 メインストーリーは狙って和製西部劇って感じで仕上げられてる。山崎努のカウボーイハット姿が妙にはまってるし、オープニングでの銃の代わりにナルトを使うシーンなんかは実に良く練り込まれている。『お葬式』に見られた嫌味なほどのカメラワークはここでも健在で、メインストーリーは一々カメラのケレン味に溢れているのが嬉しい。設定などは映研レベルだから、これは映像を志す人の教科書として使うことも可能だ。それにメインのラーメンは言うに及ばず、オムライスやチャーハンなど一々出てくる食べ物が美味そうなんだよな。この表現が出来ただけでも大満足。 メインストーリーだけでなく、サブストーリーも様々な食に関わるショートストーリーがポンポン出てくるので楽しいし、特に誇張された物語が連発されて笑える。がっついて飯喰うシーンもあり、食べられないことに対する飢餓感もあり、食通ぶった人間がへこまされるのもあり。微妙な匙加減が泣かせる。 そして何より評価したいのはラストシーンに赤ちゃんがおっぱい飲むシーンを延々と映し出したこと。いくら食のことを言ってみても、人の原点とはそこに他ならない。全てを圧倒するシーンがそこにはあった。 いろんな意味で本作は興味深い作品。邦画で観ておくべき作品を問われたら、これも一本入れておきたい。 |
お葬式 1984 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1984日本アカデミー作品賞、主演男優賞(山崎努)、助演女優賞(菅井きん)、監督賞(伊丹十三)、脚本賞 1984ブルーリボン主演男優賞(山崎努)、監督賞(伊丹十三) 1984キネマ旬報日本映画第1位 1984毎日映画コンクール日本映画優秀賞、監督賞、男優主演賞(山崎努) 1984報知映画作品賞、助演女優賞(菅井きん)、特別賞(宮本信子) 1984ヨコハマ映画祭助演女優賞(菅井きん)、技術賞、第2位 |
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俳優の井上侘助(山崎努)、雨宮千鶴子(宮本信子)夫妻は、CM撮影中に千鶴子の父(奥村公延)死去の知らせを受ける。生まれて初めて葬式を出すハメになり、気が重い侘助だが千鶴子の母(菅井きん)が待つ湯河原へマネージャーの里美(財津一郎)とともに車を走らせる。 伊丹十三の記念すべき初監督作品。元々は伊丹監督が妻の宮本信子の父の葬儀で喪主を務めた経験から来る作品だった。当初ミニシアターでの公開で、到底ヒットは難しいと思われていたのだが、伊丹本人が積極的にPR活動を展開したお陰で客足はかなり良く、やがて全国展開していくロングランヒットとなった。 私としても俳優としてしか見ていなかった伊丹十三がいきなり監督?と少々いぶかったものだが、出来は決して悪くないし、着眼点も良い。本来厳粛なはずの葬式をコミカルに描いて見せたのには感心する。 本作品に限らないが、伊丹監督作品はいやらしいほどカメラワークが入る。本来さりげなく入れるはずのカメラアングルがこれみよがえしに迫ってくるので、映画の手法としてはかなりの邪道ではあるが、カメラワークの勉強にはとても良い。私も伊丹作品を繰り返し観ることで映画におけるカメラワークの使い方を学んだ。だから映画を学びたい、と言う人がいたら伊丹作品は間違いなくお勧め。繰り返し観ることで対象物とカメラの位置関係を学ぶことが出来る。 本作品はまだ稚拙ながら伊丹節が良く出ている。ただ、劇中盤の濡れ場シーンはちょっと問題だった。特に初見が家族と一緒に観ていたテレビだというのは致命傷。 しかし、それで話が収拾付かなくなりかけたところで、お葬式が出され、一気に話が収束して終わる。後味のすっきり感が、まるで手品を見るような思いにさせる。 |
ゴムデッポウ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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