読書日誌
2006’4〜6月

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06'06'29 旋風のカガリ2
吉岡平 (検索) <amazon> <楽天>
 サキホの大君ヤガシラが暗殺された。第一皇子トヨホノホが新しく王に即位したが、海を越えてやってきたグラン・リタニア軍の攻撃によってこれもあっけなく殺されてしまった。一方、謀略によりヤガシラ殺人の下手人にされてしまった事を知らないカガリはヤイソの地でヤイソ軍とリタニア軍の挟撃に遭ってしまう…

 1巻ラストでえらく話が飛んだと思ったら、ここで話は無茶苦茶に錯綜。あとがきによれば著者自身も考えてないとか…まあ、著者に筆力があるので、次にどんな話がやってくるのか見えないので、一気に読んでしまえるのが強味。
<A> <楽>
06'06'27 パロへの長い道 グインサーガ108
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 ゴーラの追っ手に追われるグイン一行は追っ手をまくため街道を離れて山中に入るが、そんな彼らの前に姿を現す不気味な城。明らかに怪異の気配のするその城に、まるで誘われるように入っていくグイン。その城の当主コングラス伯爵から告げられる恐るべき内容とは…

 グインのパロ入りを前に、やや外伝的な物語が展開する。確かにこういったファンタジー色が本作の売りだし、こういう脇道も楽しいので、充分楽しめた。色々と中原の秘密みたいなことを喋るコングラス伯爵の存在も、実際の物語には関わってこないっぽいし、好き放題書いたって所か?明らかに「続く」というラストの展開は、ここまで巻数が進んでもまだまだ健在。
<A> <楽>
06'06'25 はじめの一歩76
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 不安の中始まった板垣と大阪の星との試合が始まった。その中で板垣は驚くべき自分の能力を発見していく。一方、次の宮田との試合を最後の試合と位置づけ、トレーニングに余念の無かった一歩だったが、その当の宮田から衝撃の事実を告げられる…

 宮田との試合が本作のクライマックスになるかと思われ、それで物語を引き延ばしまくっていたが、確かに伏線は張りまくっていたものの、こういう風にしてしまったか。後はどうやって一歩に再起をさせるのか。と言うのがこれからの焦点になっていくだろう。
<A> <楽>
06'06'21 陰陽師 付喪神ノ巻
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 陰陽師安倍晴明とその友人の源博雅とが出会った怪異を描く連作短編の第3巻。「瓜仙人」「鉄輪」「這う鬼」「迷神」「ものや思ふと…」「打臥の巫女」「血吸い女房」の7編を収録する。
 このシリーズものんびり読んでるけど、いつの間にやらもう3巻目か。相変わらず似たような話が続くのだが、読んでる間は不思議と心地良いので、それで良いんだろう。
<A> <楽>
06'06'18 仮面ライダーspirits9
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 かつて仮面ライダー達に倒された悪の組織が大軍団を擁して復活した。北海道で復活したネオショッカーと戦うスカイライダーに合流したゼクロスは、次に京都で復活したゲルショッカーと戦う仮面ライダー2号の元へと向かう。そんなゼクロスに人間側も協力を開始。SPIRITSと名付けられた特殊部隊と共に、舞台は京都へ…

 個々のライダーを描く第1部、ゼクロスが自分を見つけるまでを描く第2部と来て、ここからゼクロスとライダー達の共闘が描かれる第3部が開始された。今回はスカイライダーと仮面ライダー2号の話になるが、流石に見知った怪人が大挙して出てくると、なかなか壮観(「スカイライダー」はほとんど観てないけど)。本当に仮面ライダーが好きな人間でないと描けない作品だと再認識。
<A> <楽>
06'06'15 雪のひとひら
ポール・ギャリコ (検索) <amazon> <楽天>
 上空の雲の中で生まれた“雪のひとひら”。彼女はやがて地上へと降り、そこで多くの仲間、パートナーと出会っていく。
 女性の一生を“雪のひとひら”に託して描いた童話。寓話として読むことも出来る、なかなか興味深い作品だった。
 何気ない普通の一生だとしても、その人生は一人だけのもので、その人にとってはドラマティックなもの。読後感は不思議な充実感を覚えるが、ネタ的にはやはり女性用の作品だろう。
<A> <楽>
06'06'13 国家の品格
藤原正彦 (検索) <amazon> <楽天>
 海外赴任経験が長く、その度ごとにいくつもの影響を受けてきた著者が、改めて日本という国を真の国際国家として位置づけるにはどうすればいいかを考察した作品。
 ちょっと前のベストセラー(今も?)。たまたま知り合いが貸してくれたので読んでみた。
 著者の言っていることは極論ばかりだが、今の日本のシステムが「国際化」の名の下に日本をなくそうとしているかという事を延々と書いている事はよく分かった。多分これが受けたのは、誰かに今の日本を怒ってもらいたいと思ってる人が随分多いんだろうな。読みやすいという以外、思想としては稚拙すぎる作品。それが著者の目的だったとも思うけど。
<A> <楽>
06'06'09 ヨコハマ買い出し紀行14
芦奈野ひとし (検索) <amazon> <楽天>
 時は流れ、かつて共に遊んだ子供達も巣立っていき、そして人の世界の終焉が訪れようとしていた。その中で黄昏の時代を見守り続けるアルファ達の、やはり変わらない日常を描く作品。これにて最終巻。

 12年の長きに渡って連載され、劇中の時間は更に長く過ぎていった。静かな静かな終わり方を見せてくれる。特に最終話は、これまでお世話になっていた人々がやがていなくなり、それを寂しそうに、しかしポジティヴに見つめているアルファの姿。こんな作品はもう出来ないだろう。独特の雰囲気を持った良作だった。終わり方の寂しさも又格別。
 結局明かされることの無かった設定だらけだけど、それも本作の持ち味か。
<A> <楽>
06'06'07 シーラという子
トリイ・ヘイデン (検索) <amazon> <楽天>
 重度の障害児を集めたクラスを受け持つ著者の元に送られてきたシーラという子。彼女は母親に捨てられ実父の激しい虐待を受けて育ち、何者をも受け入れようとしなかった。しかしそんな彼女が実は知的障害どころか、他の誰よりも遥かに優れた知性の持ち主であることに著者は気づいていく。
 ベストセラーとなったドキュメンタリー小説で、ようやく読むことが出来たが、内容は大変興味深い。DVによって傷つけられ、一見救いようのない存在に見えて…と言う経緯が面白い。おそらくこれは本当の意味でのドキュメンタリーではないと思われるが、楽しめたのだから、それで良いか。
<A> <楽>
06'06'05 毎日かあさん3 背脂編
西原理恵子 (検索) <amazon> <楽天>
 腕白な息子と計算高い娘との日常を綴った作品の三作目。リアルタイム連載のため、子供達は二人とも成長していき、その分息子の馬鹿さが増し、それを暖かく見守っている著者の視点が良い。しかも毒気をしっかり忘れてないのが著者の面白さだろう。子供に振り回されてるのか、それとも子供を振り回してるのか、その辺の微妙なところが魅力。
<A> <楽>
06'06'02 ハリー・ポッターと謎のプリンス下 ハリー・ポッター6
J.K.ローリング (検索) <amazon> <楽天>
 ダンブルドアにより、ヴォルデモートには7つの命があると聞かされるハリー。その恐ろしい事実を前に、実はこれまでのダンブルドアの行動はその分けられた魂を見つけるためだったと明かされる。ヴォルデモートの魂を封じたアイテムは残り三つ。しかもその背後、ホグワーツではドラコによる計画が着々と進行中だったのだ…

 6巻の終了。物語の最重要人物の退場など、見所も多い。そしてこれは実は7巻の始まりでもある。ここまで完全に“続き”という体裁を取ったのはこれが初めてのことだが、いよいよ残す所あと一巻。否が応でも展開は盛り上がっている。
<A> <楽>
06'05'30 ハリー・ポッターと謎のプリンス上 ハリー・ポッター6
J.K.ローリング (検索) <amazon> <楽天>
 ホグワーツ魔法学校の6年生となったハリー。しかし彼の周囲は混乱していた。ヴォルデモートの復活が明らかとなり、更に予言の書によってハリーが「運命の人」と目されていたからだ。ハリーを利用しようと集まってくる人々と、ハリーと学園を守ろうとするダンブルドア校長の間でハリーは学生生活を続けている。そんな彼がふとしたことから手に入れた一冊の本…古いその本の書き込みには「半純血のプリンス」と署名されていた…

 全7巻とすれば、本巻はいよいよラス前となる。4〜5巻ははっきり言って今ひとつと言った感じだったが、これは結構面白く仕上げられてる。前のように一気に読ませるような作品ではないが、じっくり読ませてくれるし、苛つかせることもない。ただ問題は、実は5巻の事をほとんど覚えていなかった私自身。見事なほどに覚えてない。よほど面白くないと感じたんだろうか?
<A> <楽>
06'05'28 からくりサーカス42
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 宇宙にいるフェイスレスから直接ゾナハ病原体の止め方を聞き出すため、鳴海、しろがね、そして仲町サーカスの面々はスペースシャトルを乗せた列車で一路飛行場のあるロシアへと向かう。だが一方、それを阻止すべく“最後の四体”を初めとする自動人形達も又、列車を目指していた。執拗な自動人形の攻撃により、一人また一人と仲間を失っていく面々…
 長きに渡って続いてきたこの物語もいよいよ終わりが見えてきた。これまでの全ての登場人物が一堂に会し、更に次々と退場していく。それに一抹の寂しさを覚えつつも、否応なく派手に盛り上がっていく。さあ、残す所はたった一巻だ。最後までつきあわせていただこう。
<A> <楽>
06'05'25 明治一代無責任男 宇宙一の無責任男2
吉岡平 (検索) <amazon> <楽天>
 連戦連勝の英雄となり、結婚も決まったタイラーだが、相変わらずのお調子ぶり。そんな彼が旧阿蘇の乗り組み組員と合流した時、宇宙空間に一隻の蒸気船を発見した。それはなんと明治時代フランスから日本に送られ、その途中で行方不明となったという曰く付きの船“畝傍”だった。しかもこれを調査中に大規模な時空震に巻き込まれてしまい、タイラーとクルー達はなんと明治時代の日本にやってきてしまう…

 第2巻にして外伝的な作品になってしまい、当時流行っていたIF戦記ものっぽく仕上がった。著者の趣味が徹底的によく出た作品で、著者のマニアぶりが良く出ている。ま、これはこれで結構面白いけど。
<A> <楽>
06'05'21 額田女王
井上靖 (検索) <amazon> <楽天>
 大化の改新の立役者大友皇子とその弟である大海人皇子。二人の間にあって寵を受けた一人の女性額田女王。彼女の目から見た改新後の激動の日本史を描いた作品。
 歴史として日本で最も有名な女性の一人を描いた伝記作品。著者らしく、あくまで冷静に歴史の中に埋もれた女性を、激動の時代の中に描いている。
 思えばこの作品を購入したのはなんと15年前。大学時代の友人と日本史の話をしていたら、盛んにこの本のことを言っていたので、対抗意識を燃やして買ったのだが、そのまま積ん読になってしまい、今頃になってようやく読み切ることが出来た。彼の言ってたことはなるほど今になってよく分かる。
<A> <楽>
06'05'19 鉄腕バーディー12
ゆうきまさみ (検索) <amazon> <楽天>
 バーディーがつとむの呼びかけに応えられなくなった。更にバーディーとつとむの間に記憶の融合が起こってしまう。原因不明の事態を重く見たバーディーの上司メギウスは原因解明を急ぐと共に、記憶を意識化させるためバーディーの過去をつとむに見せる。

 実質的に今のバーディーは姿を消し、代わりに子供の頃のバーディーが語られる。これを見てると、著者の意識は昔から変わってないように思えてなんか嬉しくなる。そもそもこの世代のオタクは社会派的思考が大変強く、それをどうエンターテインメントにするかを考え続けてたんだろう。既に時代遅れの物語と見られるかも知れないけど、こう言うのこそが面白いと思える私がいる。
<A> <楽>
06'05'17 エーリアン殺人事件
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 恒星間運送会社の宇宙船シーラカンス号の風紀は乱れきっていた。そんな空気に毒されないようにした挙げ句、すっかりアル中になってしまった宙航士ルーク=ジョニーウォーカーは、当直の時に遭難船を発見。保護する。しかしその船に乗っていたのは、なんとエーリアンだったのだ…
 私の読書履歴は70〜80年代のSF作品で育てられたもんだから、この時代の作品は大好きだが、それら全てが良いとは限らない。いや、この時代だからこそ駄作も多い。特に本作はどうにもこうにも…ギャグのつもりで書いているのがことごとく笑えないってのはやっぱり問題じゃないかな?自虐ギャグも今ひとつセンスないし。
<A> <楽>
06'05'10 辰子姫 (著)武上純希
武上純希 (検索) <amazon> <楽天>
 平城京での政変によりみちのくに左遷となった大友家持と、その従者として、半ば勝手に旅に同行した坂上田村麻呂。不思議と気の合う二人は周囲の制止も聞かずに勝手に探検に出かけてしまうのだが、そんな探検の中で、二人は巨大な竜の姿を目にする。
 奈良時代から平安時代へと以降する時代を背景とした伝奇ファンタジー作品。設定やストーリーなど、決して悪くないのだが、後半になって完全に話が崩れてしまった。元々もっと長くするつもりが、打ち切りにでもあったかな?勿体ない。
 著者はアニメや特撮の脚本家としても有名だが、90年代の暗い作品を代表する作家だけあって、その実力はよくわかる。
<A> <楽>
06'05'08 殉国 陸軍二等兵比嘉真一
吉村昭 (検索) <amazon> <楽天>
 卒業を前に沖縄決戦の志願兵となった中学生の比嘉真一。沖縄決戦を生き抜いた年若き兵士の戦記を描く作品。
 前戦は人間の心を高揚させる。しかし全ての人が実際に戦う訳でもないし、むしろそういった兵士の方が戦争には多いし、重要な役割を担っている。どんなにジリ貧になったとしても、その原則は変わらず。しかし最前線にいながら一発の銃弾も撃つことなく、最後まで敵らしい敵とも出逢わない兵士の物語ってのも珍しい。最前線を描きつつ、銃後の話を描いた作品と言った感じでなかなか興味深い。
<A> <楽>
06'05'07 ラブやん6
田丸浩史 (検索) <amazon> <楽天>
 ラブやんがあこがれのモエチャンの元、恋を成就させようとしていたその間、相変わらずの生活を続けるカズフサ。二つの場所でそれぞれの恋が展開していく日常模様を描く。

 相変わらずのヤバネタときわどい笑いで送る第6巻。舞台は変わったけど、やってることは何も変わらず。それでも楽しいんだけどね。それ以上コメント出来ないのが悲しい。
<A> <楽>
06'05'03 旋風のカガリ1
吉岡平 (検索) <amazon> <楽天>
 古代日本に似た世界。軍事国家サキホの第13皇子として生を受けたカガリは他の兄弟達に疎んじられ、犬死にを前提に隣国ヤイソの偵察任務に派遣された。だが持ち前の剣さばきと天性の人心掌握能力、そして何より強運を武器に生き残っていった。そんな彼をますます疎む兄弟達の中、カガリは動乱の時代を生き抜いていく。

 古代の日本を思わせる舞台設定で、何故か時代齟齬な設定やキャラが山ほど出てくる作品。こう言うのは基本的に馬鹿にするタイプなのだが、何故か妙にはまってしまった。セオリーを無視し、継ぎにどんな展開が来るか全く予測出来ないのがとにかく面白い。
 元々は「無責任艦長」の続編探しに行って見つからなかったから。というだけの理由で買ってきた作品だが、これはこれで別種の楽しさがあるな。
<A> <楽>
06'05'01 子どもたちのアフリカ
石弘之 (検索) <amazon> <楽天>
 世界的な富の格差が広がる中、現在最貧国であるアフリカの各国は深刻な事態に遭遇している。アフリカに長く住んでいた著者が、自身の見たアメリカの現状と、統計に見る現在の状況というものを描き、特にそこで虐げられる女性と子供の悲惨さについて考察した作品。
 アフリカとは“遠い国”というイメージしかなく、実際に私には理解出来ないことも多い。しかしなんとも切実な話である。特に病気と戦闘というのは、大人の事情で起こり、その結果全ての被害は子供達に来ている。それに、本当に明日は我が身なのかも知れないぞ。
 実は本作は仕事のために使った作品で、こう言うのは基本的にここには挙げないのだけど、とりあえずこういう世界も現実にあると言うことで紹介させていただいた。
<A> <楽>
06'04'28 餓狼伝17
板垣恵介 (検索) <amazon> <楽天>
 北辰館トーナメント二回戦。プロレスラー鞍馬彦一とムエタイの安原健次、北辰館空手の遠野春行と古武術の畑幸吉、日本拳法の椎名一重とレスリングの畑中恒三の戦いが描かれる。
 空手に異種格闘技を加えたトーナメントが続いているが、ことごとく空手家が敗退するという妙な話になっている。実際にはこんなトーナメントはあり得ない話だろうが、だからこそ楽しめる作品に仕上がっている。描写を細かくすればするほどトーナメントも長くなってしまうのが難点だけど。
 それにしても、その場にいるというのにほんの数コマしか登場出来ない主人公ってのも悲しいな。
<A> <楽>
06'04'26 流れゆく雲 グインサーガ107
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 幼いイシュティを連れてのグインの逃避行は続いていた。一方中原の歴史もやはり動いている。人材不足著しいパロでは女王となったリンダが全責任を双肩に負い、孤軍奮闘中。そしてようやく本来の主であるイシュトヴァーンが戻り、新しい歩みを始めようとしているゴーラ。そしてグイン失踪後、少しずつその悪影響が出始めているケイロニア…それぞれの国での問題を描く。

 丸々一巻を使って息抜きをやってしまった話で、本編であるグインがどれだけそれぞれの国々に影響を与えていたのかよく分かる話になっている。
 ただ、こう言っちゃなんだけど、この話って、お気楽な主人公に振り回される周囲の物語という漢字の物語になってしまった。これってひょっとして栗本薫版「無責任シリーズ」か?
<A> <楽>
06'04'24 アホでマヌケなアメリカ白人
マイケル・ムーア (検索) <amazon> <楽天>
 アメリカの政治家と彼らの作り上げたアメリカという国の構造に怒りを持つ著者がいくつもの項目を挙げ、現代のアメリカの現状を斬るエッセイ集。
 ジョークでも何でもなく、正面からアメリカという国をすっぱり斬った作品で、著者の敵の多さがよく分かる作品である。しかし、ギャグでないと言っても笑うしかないような話が展開しているのが何とも。
 一方ではアメリカの構造的な弱さというものも垣間見させてくれる。
<A> <楽>
06'04'23 新世紀エヴァンゲリオン10
貞本義行 (検索) <amazon> <楽天>
 使徒の攻撃によりエヴァ零号機は浸蝕されてしまい、綾波は最後の手段に出る。そして明かされる綾波の真実。それを知ってしまったシンジは…

 アニメの第23話を丁寧に描いた作品で、綾波の死と再生とが描かれる。ただし、アニメ版とは違いカヲルが既に出ているので(しかも正体は既にばれてる)、そちらの方に力が入ってるのが特徴といえるか?それにしてもあんなキスシーンなんて描くなよ。気持ち悪い。
 そう言えば話の継ぎが全然分からなかったので9巻を引っ張り出して読んだのだが、確かに手元にあるのに、全然読んだ記憶がない。あれれ?そんなに記憶に残らないものだったかな?
<A> <楽>
06'04'21 キャスリング後編 ブラックキャットIII
新井素子 (検索) <amazon> <楽天>
 ララベス王妃の挑発に乗った形で来日した王妃の“海の涙”を盗むべく活動を開始したキャットたち。キャット特別班としてララベス王妃の警護に指名された秋野警部と山崎ひろふみは、チャリティコンサートが一番怪しいと睨み、そして彼らの思惑通り、コンサート最中にそれは起こる…「星へ行く船」番外編「αだより」を同時収録した作品。

 プロットとか物語展開とか相当の甘さがあるのは事実なのだが、そんなこと全く気にせずに一気に読ませる著者の力量は相変わらずたいしたもの。人間に関する描写がやはり上手いんだね。これは機会見つけて後の話も読んでみないとには。
<A> <楽>
06'04'18 キャスリング前編 ブラックキャットIII
新井素子 (検索) <amazon> <楽天>
 小国サティ王国のララベス王妃の元にブラック・キャットからの挑戦状が届く。王室の宝である“海の涙”をいただくというのだ。だが日本在住のキャット、明拓、千秋の本物のブラック・キャットの面々はそれに全く覚えがなかった。実はキャットは当のララベス王妃とは浅からぬ縁にあり、彼女の挑発であることが明らかなのだが…混乱の内に来日するララベス王妃を前に、キャットは大胆不敵な計画を実行に移そうとしていた。

 昔著者にははまっていたが、なんせ寡作なので、ここ10年ほど新作を全くチェックしてなかった所、いつの間にか話が進んでいたと言うことを先日友人のカラス氏のブログで知った。それでいても経ってもいられない気持ちになり、購入…と言っても読むまで時間かかったけど(笑)
 しかし凄いもんで、前作読んだ時が確か17年前。それで読み始めた途端、あっという間にかつての感覚が蘇ってきた。そう考えると恐るべき刷り込み…いやいや、記憶だったんだな。著者との相性が抜群に良いというのもあるんだけど。軽快で読みやすい作品に仕上がっているので大変楽しい。
<A> <楽>
06'04'15 ファイブスター物語12
永野護 (検索) <amazon> <楽天>
 ハスハで勃発した魔導大戦は、各国から正式に派遣された多数の騎士団のみならず、一旗揚げようとやってきている傭兵や、自国の戒律を無視して勝手に出向いた騎士達も含め、数多くの思惑を孕んで展開している。それら数多くの騎士達をザッピングしつつ、魔導大戦の展開を描く。
 待ちに待った12巻。立ち読みで読んだNewTypeの話も半分くらいしかないので、大変読んでいて面白かった。何せ数多くの騎士が出てくるので、それらを追うだけでも大変なんだけど、何度も読み返していくと、色々なことが分かってくるので、それが楽しい。

 本巻ではなんと言ってもヒュートラン&ワスチャの最悪コンビが凄い。現時点での最強ファティマ(ファティマ以外のは除く)であり、しかも無限に近いパワーを持つというK.O.G.の力をもってして、普通のMH並のパワーしか出すことが出来ないちゃあは、この物語における掛け値無しの最弱騎士。そんなコンビが上手くはまってる。
 20年前に設定が作られ、今まで引き延ばされていたヨーンもようやくパートナーを得てるし、小ネタと設定のかみ合わせも面白い。
 それにしてもこれを読んでると、事典作りたくなってくるんだよなあ。新刊出る度に押さえつけてるんだけど…
<A> <楽>
06'04'09 風と共に去りぬ1
マーガレット・ミッチェル (検索) <amazon> <楽天>
 タラの農場主の娘スカーレットは、その美貌と父譲りのの駆け引きの才能によって言い寄ってくる男友達に不自由することはなかった。だが、彼女が本当に愛するアシュレは彼女が目もくれてなかったメラニーと結婚するという。プライドの高さから、その事実に逆上してしまい、好きでもない男と結婚してしまったが…
 言うまでもなく名作映画の原作。今更という気もしないではないが、そう言えば読んでなかったことを思い出し、古本屋で見つけて読み始めた。しかし、本当に見事な作品だというのは紛れもない事実。単なる恋物語も、ここまで文化と時代を巧く下敷きに、更に家族描写も手を抜かないことでこんなに面白くなると言う好例だ。感心するばかり。
<A> <楽>
06'04'08 秋ホテル
北方謙三 (検索) <amazon> <楽天>
 元オートレーサーで、事故によってレース生命が絶たれ、今や情熱を失って実家のホテルを営んでいる吉崎。ブルースを聴き、ホテルを修繕し、時に酒を傾けつつ宿泊客と会話を交わす。そんな生活が、三年前にニューヨークで別れた深尾という女性の一通の手紙によって変わった。企業スパイ事件に巻き込まれた彼女を救うべく行動を開始する吉崎だが…
 時にハード・ボイルド作品を読みたくなる時がある。そんな時に手を取る場合、日本人だと著者のものが多い。ただ本作はちょっと合わなかったかな?ハード・ボイルドというよりは、単なる巻き込まれで、しかも都合が良すぎるし。ま、こう言うのもありだろう。
<A> <楽>
06'04'05 ジパング22
かわぐちかいじ (検索) <amazon> <楽天>
 “みらい”に受け入れられた角松は、乗員の見守る中、それでも何の動きも見せようとはしなかった。それどころか、“みらい”の任務であるタラワでの偵察任務にも同行する。逃げ遅れてしまい米軍の攻撃が始まる中、今や宿敵となった菊池と共に取り残されるのだが…
 相変わらず厳しい物語展開が展開するが、次の展開が全く読めないのは著者の『沈黙の艦隊』と同様。一体これからどうなって行くやら、少なくとも予定調和にだけはならないだろうことは予測できる。何にせよ、最後までつきあわせていただこう。
<A> <楽>
06'04'03 生きるヒント
五木寛之 (検索) <amazon> <楽天>
 著者によるエッセイ風人生訓。12章に分けてポジティヴ・シンキングを考察した作品。
 なかなか深いことが書かれている作品だが、仏教徒を自認する著者だけに、妙に宗教的でちょっと違和感を感じる部分も多々。価値観というのはそれぞれ様々な形があるものだな。これも一つの価値観として読んでおくべきだろう。
<A> <楽>
06'04'01 日本映画の時代
廣澤榮 (検索) <amazon> <楽天>
 戦後、黒澤明、成瀬巳喜男、豊田四郎と言った監督の下で助監督として働いていた著者が、日本映画が最も輝いていた時代の映画作りを通して、かつての活気溢れる映画界を回顧して描く作品。
 映画の苦労話というのは読んでいるととても面白いし、裏話は何かと役に立つ(観たい映画が出来てくるし、既レビュー作品の手直しも出来る)。これ読んでると、戦争によってどれだけの数の映画を廃棄してきたかと言うことも分かってきた。もう二度と観ることの出来ない作品というのも結構多いのだな。
<A> <楽>