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孤立、無援(書籍) _(書籍) |
2014 | ||
2013 | 人類資金 監督・脚本 | |
2012 | 北のカナリアたち 監督 | |
2011 | 大鹿村騒動記 監督・企画・脚本 | |
2010 | 行きずりの街 監督 | |
座頭市 THE LAST 監督 | ||
2009 | ||
2008 | 闇の子供たち 監督・脚本 | |
カメレオン 監督 | ||
The ショートフィルムズ/みんな、はじめはコドモだった 監督 | ||
2007 | ||
2006 | 魂萌え! 監督 | |
映画監督って何だ! 出演 | ||
2005 | 亡国のイージス 監督 | |
2004 | ||
2003 | この世の外へ クラブ進駐軍 監督・脚本 | |
2002 | ぼくんち 監督 | |
KT 監督 | ||
2001 | ||
2000 | 新・仁義なき戦い。 監督 | |
顔 監督 | ||
1999 | ||
1998 | 愚か者 傷だらけの天使 監督・脚本 | |
1997 | 傷だらけの天使 監督 | |
1996 | ビリケン 監督 | |
1995 | BOXER JOE 監督・脚本・構成 | |
1994 | トカレフ 監督・脚本 | |
1993 | ||
1992 | SFXアドベンチャーアクション 東方見聞録 原作 | |
1991 | 王手 監督・脚本 | |
1990 | 鉄拳 監督・脚本 | |
1989 | どついたるねん 監督・脚本 | |
危ない話 脚本 | ||
1988 | ||
1987 | ||
1986 | ||
1985 | ||
1984 | プロ野球を10倍楽しく見る方法PART2 助監督 | |
1983 | 竜二 助監督 | |
アジアの逆襲 製作担当 | ||
1982 | 爆裂都市 BURST CITY 美術・編集 | |
1981 | ||
1980 | ||
1979 | ||
1978 | ||
1977 | ||
1976 | ||
1975 | ||
1974 | ||
1973 | ||
1972 | ||
1971 | ||
1970 | ||
1969 | ||
1968 | ||
1967 | ||
1966 | ||
1965 | ||
1964 | ||
1963 | ||
1962 | ||
1961 | ||
1960 | ||
1959 | ||
1958 | ||
1957 | 10'1 大阪で誕生 |
タイトル | |||||||||||||||||||||||
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人類資金 2013 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2013ヨコハマ映画祭音楽賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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北のカナリアたち 2012 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2012日本アカデミー音楽賞、撮影賞、照明賞、作品賞、主演女優賞(吉永小百合)、助演男優賞(遠山未來)、助演女優賞(満島ひかり)、監督賞、脚本賞、美術賞、録音賞、編集賞 2012毎日映画コンクール録音賞 |
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大鹿村騒動記 | |||||||||||||||||||||||
2011日本アカデミー主演男優賞(原田芳雄)、作品賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、照明賞、録音賞 2011日本映画批評家大賞作品賞 2011キネマ旬報日本映画脚本賞、主演男優賞(原田芳雄)、日本映画第2位 2011報知映画特別賞(原田芳雄) 2011ヨコハマ映画祭第1位 2011映画芸術ベスト1位 |
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座頭市 THE LAST 2010 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2010映画芸術ワースト第6位 2010HIHOはくさい映画第3位 |
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闇の子供たち 2008 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
2008日本映画プロフェッショナル大賞ベスト6 2008キネマ旬報日本映画第6位 2008毎日映画コンクール音楽賞 2008ヨコハマ映画祭第4位 2008映画芸術ベスト7 2008映画館が選ぶ2008年映画館大賞 |
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カメレオン 2008 | |||||||||||||||||||||||
2008日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞(藤原竜也)、ベスト9 2008芸術映画ベスト5 |
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元は松田優作のために書かれた30年前の脚本 |
亡国のイージス 2005 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2005日本アカデミー新人俳優賞(勝地涼)、作品賞、主演男優賞(真田広之)、助演男優賞(中井貴一)、監督賞、脚本賞、音楽賞、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞 2005ブルーリボン主演男優賞(真田広之) |
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訓練中の海上自衛隊イージス艦“いそがぜ”がシージャックされ、毒ガス兵器“グソー”が持ち込まれた。これを察知した日本の秘密諜報組織“ダイス”は工作員として如月(勝地涼)を潜入させるのだが、首謀者である副艦長の宮津(寺尾聰)は、専任伍長の仙石(真田広之)に、逆にグソーを持ち込んだのが如月と信じ込ませ、通信機も破壊してしまう。そして正規乗組員全員を退艦させた“いそかぜ”はヨンファという工作員だった溝口(中井貴一)と宮津の指揮の下、東京湾に向けて出航する… 若手小説家として評価の高い福井晴敏(一応私と同い年だから、若いと言っておこう)原作の映画化作品で、なんと今年になって『ローレライ』(2005)、『戦国自衛隊1549』(2005)に続き、立て続けに三本が映画化されている。それだけの実力がある作家と言うことになるが、更に暴力描写では定評のある坂本順治監督が監督。ということで、期待度は高かった。 はっきり言って、これは原作を読んでなかったからこそ楽しめた作品だったとは言っておこう。少なくとも同じようなネタを使ったハリウッド製の『沈黙の戦艦』(1992)や『ザ・ロック』(1996)なんかと較べても、遙かに面白いものに仕上がっている(比較対象が悪過ぎるのは重々承知してる)。それに日本で作られたと言うことの利点を最大限活かした演出も、なかなか巧い。 話はちょっとずれるのだが、特撮ファンというものは、一つどうしても避けられない観方というものを心の中に持っているものだ。それは現在のCG技術から見たら、どう考えても拙いカクカクした動きのストップモーションアニメや、着ぐるみ怪獣の姿に、その苦労と発想の良さを見出し、今でも感涙してしまうと言う…もはや業としか言いようのない観方であり、ストーリーとかは二の次に、その技術力の方にばかり目が行ってしまうと言う、言ってしまえば悪癖である。 本作は確かに特撮作品ではない。しかし、この目をもってすると、この作品は大変に面白いのだ。だって実際にイージス艦が画面狭しと動き回っているのだし、ハープーンミサイルとか、本当にああいう風に発射されるのを画面に見せてくれているのだ。自衛隊の協力があるとしても、どのように見せれば一番格好良いか、そしてリアルに見えるのか、それが徹底的に追求されているのがはっきり分かるし、その背後に相当の軍事オタクがいる事を確信して、その努力が見えてしまうと、もう駄目。メロメロになってしまう(同じ意味で『ローレライ』にも高得点を入れざるを得なかった)。演出面だけで見るならば、やっぱり感涙ものの作品になってしまうのだ。この細かい描写はどうだ。重火器の取り回しの仕方から、ミサイルの巨大感と、それがゆっくりと火を吐きながら加速していく様!…邦画でこんなシーンが見られるようになるとは!なんと幸せな。と思ってしまう。 …これが歪んだ観方であることは重々承知しているのだが、開き直って言わせてもらえれば、歪んでいるからこそ楽しめる事だって多々あるのだ。 ストーリーの持って行き方も、詰め込みすぎて人物描写を消化し切れてない部分はあるものの、決して悪くはない。敵を目の前にして撃つことを躊躇することを教えるなんてのは、日本ならではの展開だし、日本の平和についてもしっかりと言及されている。ちょっと格好良すぎではあるが、真田広之演じる仙石は、決してヒーローではない事を強調しているのも良い(最後のグソーのダイビングキャッチは凄かった)。これは要するに原作の良さを証明するものだろうから、是非読んでみたくなった(読んだら本作の評価は下がると思うのだが)。 ただ一方、不満もやはり多い。特に根本的な部分で“何故ヨンファはイージス艦を強奪せねばならなかったのか”という部分がほとんど必然性が無かったのが痛い。単に「日本政府が隠した事実を公表しろ」と言う脅迫だったら、そこまでのことをすずとも、政府の要人を拉致するなり、サイバーテロ仕掛ければ充分目的が果たせるわけだし、BC兵器を使うのであれば、都内にグソーと時限爆弾を仕掛けるだけで済んだはず。脅迫の仕方もなってない!大体あれだったら1〜2発艦砲射撃を都内に仕掛けるなり、グソーを分割して地方都市に微量流した上で脅迫すれば、あっという間に政府は要求をのむぞ。脅迫というのは、「やるぞ」と脅しをかけるよりは、「これ以上の被害を出すのか?」とした方が遙かに効果的なのだから(過激すぎる意見かも知れないけど、近代テロではこれは当たり前)。原作ではこの辺がどうなっているのか興味深いところ。それに、いわゆる「亡国論」についても、既にネットに流れていたのなら、多くの人がそれを目にしていた訳なのだから、それを一旦ネットの方で大量に流しておき、それをあおる形でテロを起こすべき。 それと、ヴェテランが良い味を出しているとはいえ、この時間で人物描写を掘り下げるのは流石に無理だったか、それぞれの苦悩や主張を出し切ったとは言い難い。女っ気が全然無いからと言うことで出したのだろうジョンヒの存在価値も全くない(存在感だけはあったけど)。 …要はこれは軍オタが作りたいように作った作品で、それを後押しする形でこれだけの後援が得られたと言う点において、トピックたる作品と言って良かろう。『ローレライ』の時も思ったのだが、以降の邦画の方向性は、かなり期待できることを確信した作品だった。 |
この世の外へ クラブ進駐軍 2003 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2004毎日映画コンクール男優助演賞(オダギリジョー) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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敗戦後、復興途上の東京で米軍基地のクラブでショーのバンドマンとして一稼ぎしようと若者たちが集まっていた。そんな中、軍楽隊出身のテナーサックス広岡健太郎(萩原聖人)はジャズバンド“ラッキーストライカーズ”を結成する。彼らはやがて、アメリカ軍基地にあるEMクラブで演奏するようになるのだが… 当たり外れのかなり大きな監督阪本順治。それもあって劇場はスルー。ビデオでの拝見となったが、やっぱり劇場に行かなくて良かったというのが正直な感想となる。 本作は阪本監督自身が持つ太平洋戦争に対する精算のつもりで作られたように思えるのだが、なんとなくそれが上手く噛み合ってない感じがある。多分それは監督の戦争に対する思いというのが一方的すぎるらしく、結局は「戦争はやっぱりいけないね」という無難なところに落ち着いてしまったからなんだろう。 この時代に作られた、しかも時事に聡い阪本監督だったら311からイラク戦争に至る時局のアンチテーゼが入るかと思った。実際それは確かにあったのだが、その部分が直接的すぎて逆に出来の悪い反戦映画にしか見えず。意気込みは強くても物語が今ひとつ。ごつごつしていても良いから、もっと監督の顔が見えるような物語を作って欲しかった。 それぞれの若者達のエピソードはそれなりで悪くないのだけど、その絡み合いが今ひとつ練れてない感じで、最後に大きく絡み合った物語になってくれなかったため、カタルシスも低い。そこが上手くいっていれば最後の演奏が相当に盛り上がったはずなんだが。 結局監督の思いが空回りしただけで終わってしまった感じだな。 時局に対し物言う監督の姿勢だけは評価できるが、それを上手くいかせなかったのが本作の失敗だろう。 |
ぼくんち 2002 | |||||||||||||||||||||||
2003日本アカデミー主演女優賞(観月ありさ) 2003キネマ旬報日本映画第10位 2003毎日映画コンクール撮影賞 2003ヨコハマ映画祭技術賞、第6位 |
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水平島と言う孤島に暮らす一太(矢本悠馬)と二太(田中優貴)の兄弟のもとに、半年も行方知れずだった母の今日子(鳳蘭)が、かの子(観月ありさ)と言うお姉さんを連れて帰ってきた。今日子はまたすぐいなくなり、3人の、ささやかな生活が始まった。 西原理恵子の同名漫画の映画化作品。これは私の大好きな漫画で、今でも時折読み直すのだが、何というか、コマの間の雰囲気がとても良い。つらい現実を笑いにくるみ込み、世間に対する責任やら人情やらから背を向けてながら、それでも幸せをつかもうとする人間達の模様を見事に描ききっていた。正直、才能って凄いなあ。と思わされた作品だった。 一方、原作漫画に思い入れが分、映画になってしまうと、どうしても点数が辛くなってしまう。 正直、これは私が思っていた「ぼくんち」とはまるで違っていた。原作そのものが小さな物語の積み重ねで構成されるのだが、そこには一貫したものが確かに存在していた。三人の生活はいつまでも続くことはない。必ずどこかで終わりが来る。その終わりを全員が分かっていながら見ないようにして危ういバランスを保っていたように思えるのだが(一太は実際に家を出てしまうし)、なんだかここでは、それだけで充足した三人の生活ばかりが強調されてしまっていたように思えてしまう。だから最後の二太との別れはあんまりにも唐突すぎて、説得力が無い上に、「ああ、やっぱりそうか」と思わせないところが問題。終わりがあることが分かっているからこそ、その危うさが面白かったのだが。 そこで思うのだが、映画では勝手な人間が少なすぎたんじゃないかな?そんな風に思えてくる。原作では人を思いやるというのはほとんど無い。仮にそれがあるとしたら自分の都合が良いからと言うだけ。例外が主人公の三人くらいなのだが、それが家族の内的崩壊を促していた。それが面白かったのだが、妙に映画では人を思いやる人間が多すぎてる感じがしてしまった。何というか、普通の人情話にしてしまってるようだった。 それに二太ばかりが目立っていたため、早く大人になろうと努力する一太の存在感が全然足りない。ちんぴらのこういち君に弟子入りのような形で一緒にいるのも、結局は自立して、姉ちゃんのかの子もひっくるめて家族を自分で作っていきたいという思いと、最後は失敗してしまうその哀しさが重要なんじゃなかっただろうか? 原作ではほとんど無かった安藤君の物語を強調することで、逆に重要であるはずのこういち君の物語も語らなかったし、それにくっついて出てくる一太の物語も無くなってしまった。結果として、三人の家族は外的要因だけで家族が崩壊してしまった。これが一番問題だったんじゃないかな?…内的につぶれる物語を私が観たかっただけなんだが。 キャラクタそのものは悪くなし。観月ありさは前作の『ナースのお仕事 ザ・ムービー』(2002)で思いっきり外していながら、ここではむしろ肝っ玉母ちゃんっぽくなって、地に足が付いてたし、真木蔵人演じるこういち君は原作よりもなんかしっかりしてる(原作で笑いながら一太を半殺しにするようなことが、ここでは真剣な顔になってる)。それに安藤君訳の今田耕司は自由度が高かった分、良い演出が出来たと思う。 一本の映画として観る限り、悪くはないんだけど、原作のファンとしてはやっぱりまだまだ。って感じ。さすがに第二の『祭りの準備』(1975)とまでは行かなかったな。 |
KT 2002 | |||||||||||||||||||||||
2002ブルーリボン主演男優賞(佐藤浩市) 2002日本映画プロフェッショナル大賞第2位 2002日本映画批評家大賞 2002キネマ旬報日本映画第3位 2002毎日映画コンクール日本映画優秀賞 2002ヨコハマ映画祭第4位 |
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1973年6月、朴軍事政権下の韓国から亡命し、日本で韓国民主化の為に活動をしていた金大中(チェ・イルファ)を拉致暗殺せよという特命を駐日韓国大使館一等書記官の金車雲(キム・ガプス)は受ける。周到な用意がなされ、8月に決行が決まった。一方、自衛隊上層部からKCIA(韓国中央情報部)の支援を命じられた富田満州男(佐藤浩市)は金大中の行方を探る。実際に日本国内で1973年に起きた金大中誘拐事件を元に、日韓の対応と、その裏での活動を描く。 最近様々な掲示板などで日韓双方がお互いのバッシングをよく見かける。それで思うのは、この二国、お互いにお互いの歴史を知らないままでいるんじゃないか?と言うこと。日本で気炎を上げてる人の多くは、韓国という国そのものをよく知らないままバッシングしてるような気がしてならない(しかし、このバッシングそのものが悪いとは思ってない。それだけ二国が精神的にも近づいてきたという事実を示すことなんだろうから。叩くだけ叩いて、経済問題で近づいていく。これが近代国際社会のあり方だ)。 実際、朴大統領治下の軍政時代はほとんどその歴史を知らされていないことが多い。一体この日本に金大中拉致事件のことを知っている人はどれだけいるんだろう? かくいう私も友人に在日の人とか、あるいは日韓交流などで話を聞いてなければ、韓国の歴史などはあんまり考えもしなかっただろうけど。30年前までの韓国の暮らしぶりなども聞くと、政府の秘密主義や政治的主張の危険性など、本当に大変だったそうだ。 そんな中で起こったのがこの金大中拉致事件だった。当時はえらくニュースにもなったのだが、何せ当時はリアルでガキだったから分からなかったし、これに関しては教えてくれる人もいない。その意味では本作は大変興味深い内容だった。勿論これはフィクションだが、あの事件の裏で何が起こっていたのか、それを人間ドラマを絡めて緊張感ある作品にまとめられていた。設定においては、よくここまで複雑な物語を作り上げたものだと感心する。日本は日本で表面上自衛隊が国際政治問題に首突っ込んでいるのを発覚するのを恐れ、韓国は韓国で情報が錯綜し、決定的な命令が下せないまま。そんな中で右往左往する人達の姿が描かれている。 ここで思うのは、緊張感のある中では、“何かを一生懸命やる”ことの大切さ。あの状況に置かれ、何の情報もないまま、何をして良いのか分からない人間が一番困っていた。一方、何も分からずとも、目の前にあることをちゃんとこなそうとしている人間は、少なくとも自分が何かをしていると言うことで、精気溢れた存在でいられた。たとえそれが間違った方向性であったとしても… その辺をしっかりドラマとして演出できたのは大変嬉しい所。これは平和平和と言っている日本の中で実際に起きた事件であり、平和ボケした我々の背後でこんなに精一杯生きた人間だっていたのだ。そう。この表面上の平和を守るために切り捨てられた人間もいた(かもしれない)と言うこと。そう考えると、オープニングの三島由紀夫自決ニュースはなんとも物語そのものを暗示していた訳で。 一方、物語を詰めすぎたお陰で、説明無しに観るにはきつい作品になってしまったし、人間ドラマの方は蛇足が多かったのは残念。事件だけで充分ドラマになってるんだから、その辺は思い切ってすっぱり切るべきだったかも。部分部分では面白いのも多いんだけど、それが緊張感を緩和するのではなく物語をぶつ切りにしてしまっていたのが残念。 尚、2007年になって、ようやく韓国はKCIAの関与を認めるに至る。 |
新・仁義なき戦い。 2000 | |||||||||||||||||||||||
2000日本アカデミー新人俳優賞(布袋寅泰) | |||||||||||||||||||||||
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顔 2000 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2000日本アカデミー監督賞(阪本順治)、作品賞、助演女優賞(大楠道代)、脚本賞、音楽賞 2000ブルーリボン監督賞(阪本順治) 2000日本映画プロフェッショナル大賞監督賞(阪本順治)、ベスト2 2000キネマ旬報日本映画第1位 2000毎日映画コンクール日本映画大賞、監督賞、主演女優賞(藤山直美)、美術賞、録音賞 2000報知映画作品賞、主演女優賞(藤山直美) 2000ヨコハマ映画祭作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞(藤山直美) |
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犯罪を犯していく主人公がどんどん輝いて見えるようになっていく。 |
王手 1991 | |||||||||||||||||||||||
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鉄拳 1990 | |||||||||||||||||||||||
1990日本アカデミー新人俳優賞(大和武士) 1990報知映画主演男優賞(菅原文太) 1990ヨコハマ映画祭撮影賞 |
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どついたるねん 1989 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1989ブルーリボン作品賞 1989キネマ旬報日本映画第2位 1989毎日映画コンクール日本映画優秀賞、助演男優賞(原田芳雄)、助演女優賞(相楽晴子)、スポニチグランプリ新人賞(赤井英和) 1989報知映画助演男優賞(原田芳雄)、新人賞(赤井英和) 1989ヨコハマ映画祭作品賞、第1位、新人監督賞、助演男優賞(原田芳雄)、助演女優賞(相楽晴子)、最優秀新人賞(赤井英和) |
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かつてボクシングの日本チャンピオンで、イーグル友田との試合で再起不能となった安達英志(赤井英和)は、所属のナショナルジムを飛び出して、自らのジムを設立した。だが、彼の元に集ってくる門下生に対し、安達は自分のファイティングスタイルを強いるだけで、結局皆去ってしまう。後に残されたプロトレーナーの左島牧雄(原田芳雄)と共に、再起を賭けることを心に決めた安達は再びナショナルジムに舞い戻りトレーニングを開始する。 坂本順治監督および主演の赤井英和のデビュー作。この二人のデビューはとても幸運なもので、1980年代というスタイリッシュを求めるこの時代にこれだけ汗くさい泥臭い、人間のエゴ丸出しの作品が作られたと言うだけでも凄いし、しかも二人ともまさにはまり役で、このキャラでずっと押し通している。デビューで最も自然な撮り方が出来たのは何よりも幸運だった。 実はこの作品私は二回観ているのだが(どっちもテレビだが)、最初に観た時は赤井演じる安達に感情移入出来ずに単なるキツイ作品だとしか思えなかった。単に泥臭い作品としか思ってなかったし、何より安達の性格が嫌味に思えた。「こいつ勝手すぎる」と思ってしまった時点で完全に離れてしまった。それに当時は邦画をかなり低く見ていたのもあったから。 しかし、それから10数年も経って、その間にATGを含めた“泥臭い”作品を数多く観ることによって、この辺の耐性が出来たのか、改めて観ると、驚くほど素直に物語が入ってくる。 今から思うと、当時の私は「スポーツとは潔いものであり、スポーツマンシップに則った上で作品を作って欲しい」という思いに捕らわれ、こんな勝手な奴がスポーツマンじゃない。とか思ってたのだが、改めて今考えると、これってある意味『あしたのジョー』(1980)の雰囲気を実に良く伝えた作品であり、形は変形ではあっても、間違いなくスポーツに文字通り命を賭けた男達の姿であったと再確認。 ある意味、この安達という男は『あしたのジョー』における丹下段平であり、ジョー本人でもある。再起不能となった時、彼は自分のファイティングスタイルを継承してくれる人間が来てくれる事を期待し、そいつに夢を託そうとした。だが、それは結果的に自分のファイティングスタイルを新人に強いるだけになってしまう。「俺は俺でしかない」と言うことを知ることによって、彼は自分自身を取り戻す訳である。そこから再起へと移っていく。ジムの後輩で対戦相手となった清田に対する執拗なまでの嫌がらせも、正々堂々戦うための方便であり、一見勝手に見えるが、これほどストイックな存在はなかろう。 そう言う意味では本作で本当に格好悪くて格好良い存在を作り上げることが出来た。このキャラクタ性を完成させることが出来たのが本作の最大の売りだ。 “浪速のロッキー”赤井英和はプロボクサーから転身しただけにリアリティは高く(彼の引退もやはり脳挫傷が原因)、彼の人柄を慕う人も多かったためか、本作は輪島功一(スーパーウェルター級世界チャンピオン)、六車卓也(バンタム級世界チャンピオン)、渡辺二郎(スーパーフライ級世界チャンピオン)、串木野純也(ウェルター級日本チャンピオン)など、現役、元を含めて多数の有名ボクサーが登場したことも、リアリティに華を添えてる。 本作の赤井を観て「格好良い」と思うか「格好悪い」と思うかで評価は随分変わってくるんじゃないかと思う。事実私も相当に評価を変えたし。 |