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ローランド・エメリッヒ
Roland Emmerich

Roland Emmerich
Wikipediaより
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鑑賞本数 合計点 平均点
書籍
著作
スターゲイト(書籍)
2022 ムーンフォール 監督・製作・脚本
2021
2020 プロジェクト:ユリシーズ 製作総指揮
2019 ミッドウェイ 監督・製作
2018
2017
2016 インデペンデンス・デイ:リサージェンス 監督・製作
2015 ストーンウォール 監督・製作
2014
2013 ホワイトハウス・ダウン 監督
2012
2011 HELL 製作総指揮
2010
2009 2012 監督・製作総指揮・脚本
2008 紀元前1万年 監督・製作・脚本
2007
2006
2005
2004 デイ・アフター・トゥモロー 監督・製作・原作・脚本
2003 これがアクション映画だ! 出演
2002 スパイダー パニック! 製作総指揮
2001
2000 パトリオット 監督
1999 THE VISITOR IV 製作総指揮・脚本
13F 製作
1998 GODZILLA ゴジラ 監督・脚本
THE VISITOR III 製作総指揮・脚本
ゴジラ ザ・シリーズ
<A> <楽> 製作総指揮
wiki
1997 THE VISITOR II 製作総指揮・脚本
THE VISITOR 製作総指揮・脚本
1996 インデペンデンス・デイ 監督・製作総指揮・脚本
1995
1994 スターゲイト 監督・脚本
ハイ・クルセイド 製作総指揮
1993
1992 ユニバーサル・ソルジャー 監督
1991 アイ・オブ・ザ・ストーム 製作総指揮
1990 MOON44 監督・製作・脚本
1989
1988 ゴースト・チェイス 監督・脚本
1987
1986 デビル・ドール 監督・脚本
1985
1984
1983 スペースノア 監督・脚本
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
1960
1959
1958
1957
1956
1955 11'10 シュツットガルトで誕生

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ムーンフォール
Moonfall
<A> <楽>
ローランド・エメリッヒ
ハラルド・クローサー(製)
ローランド・エメリッヒ
ハラルド・クローサー
スペンサー・コーエン(脚)
ハル・ベリー
パトリック・ウィルソン
ジョン・ブラッドリー
チャーリー・プラマー
ケリー・ユー
マイケル・ペーニャ
ドナルド・サザーランド
カロライナ・バルトチャク
★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 2021年。素人の天体観測マニアで、月が巨大な建造物と信じるハウスマン(ブラッドリー)は、月が軌道を変えて地球に近づいてくる事実を真っ先に気づく。NASAや天文学者にもメールを送ったり直接行ったりもしたが、いつもハウスマンに迷惑を掛けられているため、誰もその言葉に耳を傾けようとはしなかった。そこでハウスマンは前に知り合った元宇宙飛行士のハーパー(ウィルソン)に会いに行き、そこで自分の知った事実をまくし立てる。そんな言葉を一笑に付したハーパーだが、たまたまその日連絡を取ったNASAの知り合いにその事を話したところ、なんとそれは事実である事を告げられてしまう。月の引力のせいで数ヶ月後には地球は滅亡することが確実となってしまうため、NASAは調査隊を月に向かわせるが、月内部から現れた黒い物体に取り込まれて全員死亡してしまう。その物体こそ、ハーパーがかつて目撃し、宇宙飛行士を辞めるきっかけとなったものだった。全くなすすべないまま、月の接近が続き、ついに地球上では天変地異が起こり始める。そんな時、ハーパーの元にヤケクソとも言えるプロジェクトが舞い込む。それは今博物館に置かれているスペースシャトルを用いて月まで行ってくれというものだった。

 大作映画をこれまで作り続けてきたエメリッヒ監督が次に作ったのは、なんと配信用の映画だった。この人の場合演出に力を入れるため、大画面でないと迫力が出ないはずだが、それでも観られる環境にあるので拝見してみた。
 なるほどこれはすごい。鯛焼きで喩えるならば、頭から尻尾の先までエメリッヒが詰まった作品だった
 エメリッヒらしさというのをこれまでのレビューで何度も書いてきた。この人ほど分かりやすい監督らしさを出す人はいない。
 まずこの人が作る作品のほとんどは天災である。人為的なものがある事もあるが、基本的には人知を超えた異質な存在が突然やってくる。そして主人公は子持ちの男で、仕事上なし崩し的に最前線で働かされることになる。それで地球のためと言うよりは家族のために働く意識が強い。更にその家族もその場所で危機に陥るが、家族の団結で乗り切っていく。戦いの最前線と銃後でそれぞれの戦いを描く。
 以上が基本で、だいたいの作品はこのパターンを崩さない(驚くべきことに史実を元にした『ミッドウェイ』でさえパターンは同じ)。結果として、演出が違うだけで物語はほぼ全く同じという作品が出来る。更に言うなら、必ず家族は再会し、それなりのハッピーエンディングになるため、ほぼ全部本当に同じ物語になる。
 もうそれが分かっているので、ほぼ期待もせずに観ることになるのだが、本作は幸い金出して観る必要が無い配信専用作品だったので、気楽に観る事が出来た。

 物語自体は全く変わらないから、設定と演出だけで観ることになるが、なんかこれって『ドント・ルック・アップ』(2021)まんまだよね。あの設定を引っ張ってきてエメリッヒが作ったらこうなったというのに過ぎない。違いはディカプリオに対応するジョン・ブラッドリーが脇役に回って、家族持ちという設定のウィルソンが主人公になったのが設定上の違いだけ。後は物語をちょっと引用してエメリッヒっぽく作ったらこうなった。
 …そうか。ネトフリに話題を取られたアマゾンが対抗手段としてこれを作ったと考えるのが一番わかりやすいかもしれない。

 気楽に観て気楽に終わって後は何にも残らない。うん。これこそエメリッヒだ。今回もエメリッヒの神髄を味わうことが出来た
製作年 2022
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
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ミッドウェイ
Midway
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ハラルド・クローサー
ローランド・エメリッヒ
マーク・ゴードン
マルコ・シェパード
ウェス・トゥーク
ピーター・ルオ
ハン・サンピン
クー・リーミン
ユー・ドン
ジェフリー・チャン
ブレント・オコナー
カーステン・ロレンツ
ウテ・エメリッヒ
アラステア・バーリンガム
ゲイリー・ラスキン(製)
ウェス・トゥーク(脚)
エド・スクライン
パトリック・ウィルソン
ウディ・ハレルソン
ルーク・エヴァンス
アーロン・エッカート
ニック・ジョナス
豊川悦司
浅野忠信
ルーク・クラインタンク
國村隼
ダレン・クリス
キーアン・ジョンソン
マンディ・ムーア
デニス・クエイド
物語 人物 演出 設定 思い入れ
2 1 1 1 1
 1941年12月7日、日本軍は戦争の早期終結を狙う連合艦隊司令官・山本五十六(豊川悦司)の命により、真珠湾のアメリカ艦隊に攻撃を仕掛ける。大打撃を受けたアメリカ海軍は、兵士の士気高揚に長けたチェスター・ニミッツ(ハレルソン)を新たな太平洋艦隊司令長官に任命。日本軍の侵攻時にハワイに着任していた戦闘機乗りのディック・ベスト(スクレイン)は、以降太平洋戦線で連戦することになる。

 新作映画として、ミッドウェー海戦が作られると知ったのは2019年のこと。一瞬どんなのが出来るのか?と思って監督の名前を見たら、期待はあっけなく消えた。
 もし史実をモティーフにした映画を絶対に作らせていけない監督というのを挙げさせてもらったら、その筆頭にあげるのがマイケル・ベイとエメリッヒになる。ベイ監督については『パール・ハーバー』で散々書き散らしたが、実は最近は結構質の高い映画を作っており、見直してるところで、最近はこの人が作っても、場合によっては面白いものが出来るかも?と思ってるけど、少なくともエメリッヒだけはない
 エメリッヒ監督は基本SFおよびディザスター映画を得意とする監督だが、基本は全部一緒。
 概ね地球規模の大災害なり、宇宙からの侵略が起こり、それに応対する人間達を描く群像劇になるが、その中心になるのは家族持ちの中年男性で、家族とか仲間とかが危機に陥ったのを助けようとする。無謀と言われようが何だろうが、とにかくがむしゃらに危機に立ち向かって、大切な人を守り切って生還する。全部これで終わる。
 群像劇だから死ぬ人もいるけど、誰か一人か二人くらいは、他の人が生還するための道造りのために進んで死んでいく人が出てくる。
 この二つの要素を入れて、あとは演出力でそれなりに見せる。
 基本エメリッヒの作品は全部これ。
 こんな単純なのばかり作っていてもこの監督が重宝されるのは、演出力が良くて大画面向きのスペクタクルが上手いのと、ポリティカルコレクトネスには充分配慮して、その面では文句を言わせないものを作る事が出来るからだ。

 そこそこスペクタクルとしては見栄えがするものを作るものの、内容が薄いものを量産するというのが私なりのエメリッヒの評価となる。

 そしてまさにそのエメリッヒそのものの作品ができあがってしまった
 最初から期待はしてなかったが、最低限の期待を下回るものを作ってどうする?
 あらかじめ期待はしてなかったとは言え、たった一つだけ期待できるものがあった。それは映画紹介にあった「日米双方から描く」という点。ビッグバジェット作品になると第二次大戦の作品はアメリカ側の視点のみで作られるものが多いが、それでも人種問題については配慮できるエメリッヒのこと。日本側の視点も入れてくれるかも知れないと思っていたが、特にそこの点が全然駄目だった。一応日本側にも大局を見て行動できる人がいるという視点はあっても、それを全部山本五十六たった一人に負わせて、「力及ばず戦いを止める事が出来なかった」というエクスキューズを何度も入れるだけ。これでは日本側の視点とは言えない。単なる個人的言い訳だ。インデペンデンス・デイに出てくるエイリアンの中で一体だけ地球侵攻を反対する個体を加えたくらいの要素
 結局パール・ハーバーからミッドウェーに至るまで連戦した飛行機乗りのディックばかりが中心になる、実にいつも通りのエメリッヒ作品ができあがった。
 なんのことはない。日本軍の襲撃の現場にいた人間が日本憎しをこじらせて連戦して勝ち続けると言うだけの話である。メインの話はそれで終わる。
 肝心な戦略レベルの話では、アメリカ側ではかなりしっかりと歴史を振り返っている。太平洋戦線の中でニミッツやハルゼーといった提督たちがどのように取り組んだかなどはしっかり描いているし、暗号探査についてもちゃんと描いている。ただ、これは基本的にアメリカの国内だけの話であり、日本との兼ね合いがまるで無い。しかも前述の通り日本ではほぼ山本五十六だけしかまともな人間がいないため、日本側は本当に僅かしか描けてない。相手あってのことなので、どちらも描いて欲しかったことと、何事もスムーズに行かないなら、それを語る会議とか、妨害するものとかを丁寧に描いて欲しかった。
 それにパール・ハーバーからドゥー・リトル、太平洋諸島の連戦とかそんな範囲広げないで、そちらはさくっと描いてミッドウェー海戦に注力してほしかったところだ。
 理想を言うならば、主人公は前線ではなく作戦を立てる側。ミッドウェーの直前の描写を中心にしてくれれば良かったんだが、そちらより戦闘描写ばかりが目立つ結果となる。アメリカの一方からだけ観た歴史そのものだ。
 これでは戦争物としての魅力はほぼなし。SF作品そのものになってしまう。

 戦闘描写についても困ったことがある。
 最初のパール・ハーバーの奇襲では日本の攻撃では機銃掃射だけで戦艦が次々に炎上してるのに、日本の空母を攻撃するのには爆弾を落とすしかないという描写だけでおなかいっぱい。日本の艦艇はアメリカのものの数十倍程度の強度を持つ事になってしまう。エメリッヒの好きな特攻も日米双方で多数行われるし、それをやる度に心が冷える。

 この辺の描写が、まだ笑えた分パール・ハーバー(2001)の方が増しだと思えた時点で駄目だろ。
製作年 2019
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
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著者名 (検索) <A> <楽>
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関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
インデペンデンス・デイ:リサージェンス
Independence Day: Resurgence
<A> <楽>
ディーン・デヴリン
ローランド・エメリッヒ
ハラルド・クローサー
ラリー・フランコ
ウテ・エメリッヒ
カーステン・ロレンツ(製)
ニコラス・ライト
ジェームズ・A・ウッズ
ディーン・デヴリン
ローランド・エメリッヒ
ジェームズ・ヴァンダービルト(脚)
リアム・ヘムズワース
ジェフ・ゴールドブラム
ビル・プルマン
マイカ・モンロー
トラヴィス・トープ
ウィリアム・フィクトナー
シャルロット・ゲンズブール
ジャド・ハーシュ
ジェシー・アッシャー
ブレント・スパイナー
ヴィヴィカ・A・フォックス
アンジェラベイビー
セーラ・ウォード
パトリック・セント・エスプリト
デオビア・オパレイ
ニコラス・ライト
チン・ハン
ベンガ・アキナベ
ロバート・ロジア
ジョン・ストーリー
ジョーイ・キング
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 2016
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
2012 2009
2009放送映画批評家協会視覚効果賞
2009イギリス年間興収第15位
2009
allcinema興行収入第14位
<A> <楽>
ハラルド・クローサー
マーク・ゴードン
ラリー・フランコ
ローランド・エメリッヒ
ウテ・エメリッヒ
マイケル・ウィマー(製)
ローランド・エメリッヒ
ハラルド・クローサー(脚)
ジョン・キューザック
キウェテル・イジョフォー
アマンダ・ピート
オリヴァー・プラット
タンディ・ニュートン
ダニー・グローヴァー
ウディ・ハレルソン
トム・マッカーシー
リアム・ジェームズ
モーガン・リリー
ズラッコ・ブリッチ
ベアトリス・ローゼン
アレクサンドル・ハウスマン
フィリップ・ハウスマン
ヨハン・アーブ
ジョン・ビリングスレイ
チン・ハン
チャン・ツェン
リサ・ルー
ブル・マンクマ
ジョージ・シーガル
スティーヴン・マクハティ
パトリック・ボーショー
ジミ・ミストリー
ライアン・マクドナルド
アガム・ダーシ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
紀元前1万年 2008
<A> <楽>
ローランド・エメリッヒ
ハラルド・クローサー(脚)
スティーヴン・ストレイト
カミーラ・ベル
クリフ・カーティス
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
特撮事典
 紀元前1万年の世界。“巫母”と呼ばれる女性の元、リーダーに統率されるヤガルという狩猟民族がいた。若いハンターであるデレー(ストレイト)はたった一人でウパーマナクを狩り、ついにヤガル族のリーダーと認められた。だが、彼には負い目があった。それは父がかつてこの部族を捨て去ってしまったと言うこと。そしてマナクを倒したのは彼自身の実力ではなく、偶然だったと言うこと。その気兼ねから、かねてから両思いだった青い目の少女エバレット(ベル)をも拒絶してしまう。その夜、ヤガル族の村が正体不明の一味による急襲に遭い、エバレットを含め多くの村人がさらわれてしまう。デレーは彼女たちを救うため、仲間と共に一味の跡を追うこととなる…
 今やハリウッドのSF映画の第一人者となったエメリッヒ監督が送る古代ロマン大作。
 エメリッヒ監督はこれまでにも、怪獣、宇宙人襲来、ディザスターなど、どこかで観たSFの定番の作品を次々に送り出してきたが、かねてから古典SFの『紀元前百万年』や『恐竜100万年』と言った古代ものを作ってみたかったとのことで、本当にこの手の作品が大好きなんだな。と言うことが分かる。
 予告編を劇場で観て、こいつは地雷だろうと思っていたものだが、実際観てみると、さほど悪い作品じゃない。歴史とか何とか完全に頭から払拭して、異世界の活劇だと割り切ってみれば、高水準の演出を持った冒険活劇作品と観ることが出来るだろう。逆に言えばその割り切りが出来ないと、あまりにも設定が酷すぎて頭を抱えることになる。
 …ちなみに
私は頭を抱えた方ツッコミ体質の人間は、特にこういったSF作品を純粋な意味では素直に楽しめないらしい。画面にツッコミつつ「馬鹿だなあ」とケタケタ笑う楽しみって、やっぱり不健全だよな。
 で、色々ツッコミどころは考えられるのだが、最大は、
舞台が一体どこだか分からないというのが根本的な問題だろう。デレーがいるヤガル族の住んでいるところは吹雪によって地面が真っ白になるほどだから、ある程度の寒冷地か、よほどの高地であろう。それが地上に出ると、今度は温帯になり、もうちょっと移動すると熱帯になり、更に砂漠へと変わる。一体どれだけ移動したもんだかと思うのだが、“四本脚の悪魔”はたったあれだけの騎馬でどこまで移動するんだ?目的自体が奴隷狩りなんだから、近くにいくらでも人間はいそうなものだし、移動中の損害を考えたら、無茶苦茶効率悪そうなんだが。
 調べてみたら、約1万年前までマンモスは存在したという説があるそうだが、果たして寒冷地仕様のあの毛の長いマンモスが砂漠まであんな格好なんだろうか?砂漠だったら現在のアフリカ象に近い姿なんじゃないか?などとも考えてしまう。
 最終の舞台はピラミッドがあることや、神官の姿からするとどうやらエジプトらしい。しかしピラミッド自体が最古のもので確かBC30C頃のもの。BC100Cという本作の舞台からすると7000年ほどのタイムラグがあり。あれだけの布織りの技術があるのも変と言えば変。
 あと、ロケがニュージーランドであることがモロ分かりの描写も萎えてしまう。今の地上であれほどの雄大な自然を撮る場合ニュージーランドが格好の場所であることは分かるんだが、モロ
『ロード・オブ・ザ・リング』と同じ風景を出されてしまうと、ちょっと萎えるぞ。
 …野暮なツッコミであることは自分でも重々承知してるのだが、
やっぱりついやっちゃうんだよな
 ところでエメリッヒと言えば『スターゲイト』で古代エジプトを下敷きとしたSF作品を作ってたけど、これもその設定を引きずってるように見えたり。流用というか、やりたい放題やってる感じだな。
デイ・アフター・トゥモロー 2004
2004英アカデミー特殊視覚効果賞
2004毎日映画コンクール優秀宣伝賞
2004全米BOXOffice第7位
2004外国映画興行収入6位

2005MTVムービー・アワードアクションシーン賞、
ブレイクスルー演技賞(ロッサム)
2005サターン作品賞、視覚効果賞
<A> <楽>
ローランド・エメリッヒ
ジェフリー・ナックマノフ(脚)
デニス・クエイド
ジェイク・ギレンホール
イアン・ホルム
エミー・ロッサム
ジェイ・O・サンダース
セーラ・ウォード
アージェイ・スミス
タムリン・トミタ
オースティン・ニコルズ
ダッシュ・ミホク
カール・アラッキ
ケネス・ウェルシュ
ペリー・キング
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 南極で氷河を研究していた古代気象学者のジャック=ホール教授(クエイド)は、二酸化炭素の排出による地球の温暖化。そしてそれによる北半球の氷河期を予見する。それは数百年後と試算していたのだが、彼の研究をあざ笑うかのように、自然は恐怖をむき出しにしていくのだった。あっという間に急速な寒冷化を迎えるアメリカ大陸。ニューヨークが巨大な高波が街を呑み込んだ時、そこにはジャックの息子のサム(ギレンホール)の姿が…
 地球規模のディザスター映画。
派手で空疎な作品を作らせたら、やはり本領を発揮するエメリッヒ監督(いや、決してけなしてるわけではないぞ…幾分かは)。正直外れを予見していたのだが、思った以上に引き込まれた自分がいて、それが意外と言えば意外。
 この作品を通してみて、ストーリーや設定はともかくとして、エメリッヒ監督の勉強熱心さだけは認めたくなる。この人、ディザスター映画の本質というのをちゃんと分かっている。
 ディザスター映画の醍醐味とは、派手な演出にあるのではない。突然の災難に対する群像劇と、やがて一つの物語に収斂していく過程にこそある。登場人物はどんどんどんどん減っていき、やがて主人公の個人的活躍へと話は移っていく。それは個人プレーではなく、仲間の協力が必要だという点。地球規模の話だった割に、ちゃんとその辺が出来ていたのは評価できる。と言うか、
よくこんなちっぽけに話を持っていったもんだと、変な感心をさせてもらった
 ただ、実はそれは醍醐味の半分。元々アメリカン・ニュー・シネマの対抗のように流行りだしたディザスター映画の面白さとは、カメオを含めての豪華な出演陣にあった。いわゆる
『グランド・ホテル』(1932)形式がかつての身上だったのだ。現代では出演費がかさみすぎて無理だとしても、引退間際の役者を集めて老人達のパニックを表すとか、その辺はやって欲しかったところ(失礼かな?)
 それと、この作品を観ている内になんか妙に親和感を感じたのだが、これはどこかで似たようなのが…と思ってふと気が付いた。色々な映画を確かに思い出させるのだ。挙げてみると、それは『日本沈没』(1973)であったり、『復活の日』(1980)であったり、『首都消失』(1987)であったりした…全部邦画。しかも
全部小松左京原作作品だ(笑)。確かに小松左京はカタストロフを描いた作品多いけど、なんか見事に本作に取り込まれていた気がした。かつて『GODZILLA ゴジラ』を監督したこともあってか、意外にこの監督日本の映画好きなんじゃ無かろうか?あるいは個人的に小松左京のファンだとか…裏取ってないから断言は出来ないけど(笑)。だから、何となく観終わった後、すっきりした気分になった(そうそう。ゲームの「バイオ・ハザード」もあったか)
 一応お約束のツッコミを少々。
 豪雪のシーンがあるけど、豪雪地帯に住んでいたなら分かるが、あれは描写が甘すぎる。あれじゃ普通の雪となんら変わりない。
雪そのものが恐怖という描写が無いのは片手落ち
 スーパー・ストームの目に突っ込んでいくサム達。なんで
わざわざ冷化現象が彼らを待ってる?もう台風の目に入ってるから、どんどん冷えてるはずなのに。それに冷化現象がご丁寧に上から順々に起こるなんて事はあり得ないだろうに。
 ジャック達がショッピングモールの天板を踏み抜くシーンがあるが、
なんでモールの上だけ雪があんなに少ない?天板自体が存在してる事が変だろ?
 図書館に完全版のグーテンベルク聖書が置いてあるけど、あそこに置いてあるのは本の形じゃなくて、紙面一枚一枚を密封パックにして置いてあるはず
(土台完全版なんて存在しない)
 などなど。さすがに科学的根拠については私も分からないのでツッコめないけど。
パトリオット 2000
2000米アカデミー撮影賞、作曲賞、音響賞
2001MTVムービー・アワード男優賞(ギブソン)
<A> <楽>
ディーン・デヴリン
マーク・ゴードン
ゲイリー・レヴィンソン
ローランド・エメリッヒ
ウテ・エメリッヒ
ウィリアム・フェイ(製)
ロバート・ロダット(脚)
メル・ギブソン
ヒース・レジャー
ジョエリー・リチャードソン
ジェイソン・アイザックス
クリス・クーパー
チェッキー・カリョ
ルネ・オーベルジョノワ
リサ・ブレナー
トム・ウィルキンソン
ドナル・ローグ
レオン・リッピー
メアリー・ジョー・デシャネル
アダム・ボールドウィン
ミカ・ブーレム
スカイ・マッコール・バートシアク
トレヴァー・モーガン
グレゴリー・スミス
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 イギリスの植民地だった時代のアメリカ。それぞれの州議会は大きすぎる税の重圧に耐えかね、独立を求めるようになっていた。かつての会戦の勇者ベンジャミン(ギブソン)は田舎に籠もり、家族と静かな生活を送っていたが、そこをイギリス軍に襲われ、家と家族とを失った。復讐に燃えるベンジャミンは遂に独立戦争に身を投じるのであった。
 『ブレイブハート』が私なりには最高の出来だったため、この映画には多大の期待をかけていた。勿論映画評などもちゃんとチェックして、ちょっとまずそうだ、と言う情報は入っていたけど、敢えて気にせずに映画館へ。
 冒頭の部分は、まあ良し。
男と映画には戦うための理由が必要なんだから。
 中盤…ちょっと待ってくれない?違和感が入り込む。
 後半…違和感の正体が分かる。簡単な理由だった。タイトル通り、これは
パトリオット(愛国者)の映画だった。だけど、その描き方が中途半端だったのが理由。つまり、不自然さがあふれているのだ。
 30年前とは違い、この映画では史実を描くに当たっても様々な配慮がなされている。コミカルに描かれてはいるが、これは名目上フランスとの共同作戦だという事実を踏まえているし、
黒人の自由まで謳われている。そう言うのも「愛国者」として入れなければ映画は作れないのだろうか?それが乗り切れない部分となって残る。
 メル・ギブソンも野生味がすっかり抜け、ヴェテランの強者と言った風情。あくまでクールに、若者の気持ちの高揚を抑え、自分の位置をはっきりと認識させる。これは一つの英雄の描き方には違いないが、今のところ
ギブソンはそこまで老成しているように見えない。もう少し野性味あふれた暴走を期待したんだけど。
 悪い映画とは言わない。ただ、
期待が大きかっただけに、気になる部分が多い映画だった。
GODZILLA ゴジラ 1998
1998ヨーロッパ映画観客賞
1998ゴールデン・ラズベリー最低助演女優賞(ピティロ)、最低リメイク・続編賞、最低作品賞、最低監督賞、最低脚本賞
<A> <楽>
ディーン・デヴリン
ローランド・エメリッヒ
ウテ・エメリッヒ
ウィリアム・フェイ(製)
ディーン・デヴリン
ローランド・エメリッヒ(脚)
マシュー・ブロデリック
ジャン・レノ
ハンク・アザリア
マリア・ピティロ
ケヴィン・ダン
マイケル・ラーナー
ハリー・シェアラー
アラベラ・フィールド
ヴィッキー・ルイス
ダグ・サヴァント
マルコム・ダネア
クライド草津
加藤雅也
グレン・モーシャワー
リチャード・ガント
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
原子怪獣あらわる!―GODZILLA誕生の秘密と日本特撮ソフトの未来
 大西洋一帯で異常な事件が頻発。チェルノブイリにいたアメリカ人生物学者ニック(ブロデリック)は調査隊に合流する。難破した日本船の生存者が譫言のように繰り返す「ゴジラ」という言葉にフランスのエージェント、フィリップ(レノ)も調査を開始。折しもニューヨークにゴジラが上陸し破壊の限りを尽くし姿を消した。ニックは巣作り説を主張するが軍部と市政幹部は信じようとしない。更に昔の恋人でレポーター志望のオードリー(ピティロ)にハメられてトップシークレットを盗まれ調査隊を解任される。ニックは諦めきれず仏調査隊に合流し、ついにマディソンスクエアガーデンを巣だとつきとめる。
 邦画の代表選手とも言えるゴジラを、ハリウッド資本で作り上げた作品。それまでゴジラのワールド・マーチャタイジングを手がけていたヘンリー・G・サパスタインの夢の企画で、1960年代以降何度も企画を出していたのを、トライスター(当時ソニーが買収)がようやく企画して作り上げた。日本での公開も、吹き替えを合わせると400館という破格の映画館で放映される。実は本作の企画がようやく動き始めたと言う事で、日本で作られてきた平成ゴジラも
『ゴジラVSデストロイア』(1995)にて終わらせることが出来た…
 ただ、一つ言わせて欲しい。
 
アメリカ人の考えるゴジラ像と言うのはこの程度なのか?何でも合理的に考えるアメリカ人らしいと言えば言えるが、怪獣には必ず科学的な説明を必要とするらしい。今回槍玉に挙がったゴジラは単体生殖、水陸両用生物として進化(退化?)した生物としてとられている。現実にいるかも知れない生物なので、人間の手で撃退可能と考えてしまうのも合理的。だから細かく生態やら習性やらが調べられる訳だが、なんかゴジラが生体解剖されているみたいで、怪獣好きとしてはちょっと悲しいものがあるな。それに、生物としては当然なのだが、障害物をわざわざ避けているんだよね。「俺の通った後に道が出来る」と言わんばかりにまっすぐノシノシ歩いてる姿を期待していたのが凄い肩すかし。少なくともでっかいゴジラの方は逃げ回ってるだけになってしまったような?
 どっちかというと、恐竜に近くなってしまったゴジラは、ついに増殖まで始め、
子ゴジラがわらわらと走り回るのは完全にB級ホラー的演出。むしろこっちの方が主役だ!とばかりに人間に襲いかかる姿は、最早ゴジラの名を冠する事自体がおこがましいとしか思えない。
 むしろこの作品は人間側のドラマに主体を置いているが、アメリカ嫌いのフランス調査隊の
ジャン・レノの常軌を逸した行動が面白いくらいで、殆どパターン的にB級映画そのもの(レノは真面目な顔をして笑いを取るから大好き)
 これに関しては日本版の『ゴジラ』(1954)とは別物とさえ見れば、結構爽快感もあるし、楽しい映画ではある。スピルバーグの『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』(1997)よりは馬鹿に徹してる分こっちの方が楽しい。ただし繰り返すが、
あくまでこれをゴジラと思って見なければ、の話だ。むしろ同じアメリカで製作された『原子怪獣現わる』(1953)のリメイクだと思って観た方がダメージが少ない。それに実際のニューヨークを舞台に出来たって事実は大きい。日本じゃ「東京でやらせてくれ」なんて言った瞬間企画が無くなってしまうからなあ。 羨ましい限り。

 尚、ゴジラのタイトルが
『GODZILLA』となったのは、かつて『ゴジラ』が全米公開された際、副題に「King of Monsters」とあったため、“怪獣王=GOD”となったのだそうだ。しかし、やはりトカゲの化け物として作ってしまっては、名前に申し訳がないだろ?

 本作は元々ヤン・デ・ボン監督がメガフォンを取る予定で、ゴジラのCGまで作らせていたそうだが、降板し、エメリッヒ監督となった。難産の企画だったんだな(ちなみにその没企画は形を変えて生き残り、
『ツイスター』(1996)となったという)。
 それでエメリッヒに撮らせた作品が
これで、結果として再びゴジラは日本に舞い戻ることになってしまう。
ゴジラ映画音楽ヒストリア──1954 ― 2016(書籍)
インデペンデンス・デイ 1996
1996米アカデミー視覚効果賞、音響賞
1996ゴールデン・ラズベリー100億ドル以上の興行収入を上げた作品での最低脚本賞
1997
MTVムービー・アワードキス・シーン賞(スミス&フォックス)、作品賞、男優賞(スミス)、アクション・シーン賞(アメリカの大都市の爆破シーン)、ブレイクスルー演技賞(フォックス)
<A> <楽>
ディーン・デヴリン
ローランド・エメリッヒ(脚)
ウィル・スミス
ビル・プルマン
ジェフ・ゴールドブラム
メアリー・マクドネル
ジャド・ハーシュ
ロバート・ロジア
ランディ・クエイド
マーガレット・コリン
ブレント・スピナー
ヴィヴィカ・フォックス
ハリー・コニック・Jr
ジェームズ・レブホーン
ハーヴェイ・ファイアスタイン
ジェームズ・デュヴァル
リサ・ジャクブ
アダム・ボールドウィン
ダン・ローリア
ジェイ・アコヴォーン
ロバート・パイン
ビル・スミトロヴィッチ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
インデペンデンス・デイ:クルーシブル: ~胎動/1947-2016~(書籍)グレッグ・キイス
インデペンデンス・デイ:リサージェンス: ~試練/2016~(書籍)アレックス・アーヴィン
 突如地球にやってきた巨大物体は問答無用で世界各国に攻撃を仕掛けていった。地上の科学力を遙かに凌駕する宇宙人に対し、絶望的な地球からの反撃がアメリカを舞台に始まった。
 あらすじはかなり端折ってるけど、
それで充分なくらいに単純な作品
 それこそ映画創成期の頃からある宇宙人による地球征服と、それに反抗する人間側の努力が描かれている。それこそ色々と手を変え品を変え、様々な意味での侵略がこれまでに描かれてきたが、基本はやはり問答無用に攻撃してくる敵と、それを迎え撃つ人間の雄志。そう。馬を飛行機に乗り換え、襲い来るネイティヴアメリカンを宇宙人に置き換えた、そのまんま古い西部劇である。これは様々に派生を見せ、時代時代に仮想敵を作りつつ連綿と作り続けられた。冷戦構造時代にはそれは東側の全体主義国家であり、
これを第二次世界大戦に置き換えると『パール・ハーバー』(2001)になる。ストーリープロットは本当にそっくりなので、並べてみてみると面白いよ。特に重要なのは、相手は統一行動を取る存在であり、個人主義者の攻撃によって、容易に崩壊してしまうと言うことである。それこそが共産主義者の姿であり、画一的と見られる日本人の姿でもある。
 本作は
それを全く衒うことなくストレートに描ききった。ある意味において、SF映画として一番ベーシックに、そして最も溜飲が下がる作品に仕上がってくれた(ただし、アメリカ人限定)。問答無用に圧倒的戦力で攻撃され、本来市民を守るはずの軍隊さえも壊滅状態。そこで市民一人一人が立ち上がって徹底抗戦。市民と軍隊が一致団結して敵を追い返した。多分これが最もアメリカ人に受け入れられやすい作品と言うことなんだろう。
 これ自体に文句を言うわけにはいかないだろう。だって本作はアメリカで作られた作品なんだし、アメリカローカルで楽しめればそれで良いんだから。問題があるとしたら、
最初から本作を全世界で公開することを目的として作られたという事だけ。これだけアメリカ人以外の人間の精神を逆なでする作品は無かろう。アメリカの愛国心をオブラートに包むこともなく作り、それを堂々と輸出する精神にこそ唖然とさせられる。核兵器の使用なんて、明らかに単に爆発力の大きな爆弾でしかないし。被爆国を馬鹿にしてんのか?
 本作であれ『パール・ハーバー』であれ、
「アメリカにたてつく野郎は、たとえそれがどんな奴でも報復してやる」という宣言であり、事実それはアフガン・イラク戦争で奇しくも現実で本当になってしまった。
 そんなことを考えてみると、本作で描かれたアメリカ人の描写というのは、
かなり真に迫っているのかもしれない
 まあ、それでも娯楽として観る分には深いところが全くない作品なので、頭空っぽにして観るには良し。今観ても演出の派手さだけは充分楽しめる。

 本作ではニューヨークの襲撃シーンがあるが、エンパイア・ステートビルが場所を移動して通りの突き当たりにそびえていた。これは視覚効果を狙ってのことだとか。

 後に知ったことだが、この作品にも結構皮肉が混じっていることを知った。華々しいキャラはWASPが多いが、実際の主人公はウィル・スミスで、円盤の操作を担った博士はユダヤ系ということで、本作は、アメリカという国の表層が見事に描かれているというもの。
スターゲイト 1994
<A> <楽>
ジョエル・B・マイケルズ
オリヴァー・エバーレ
ディーン・デヴリン
マリオ・カサール(製)
ローランド・エメリッヒ
ディーン・デヴリン(脚)
カート・ラッセル
ジェームズ・スペイダー
ジェイ・デヴィッドソン
ヴィヴェカ・リンドフォース
アレクシス・クルス
ミリー・アヴィタル
レオン・リッピー
エリック・アヴァリ
フレンチ・スチュワート
リチャード・カインド
ジョン・ディール
デレク・ウェブスター
物語 人物 演出 設定 思い入れ
特撮事典
 エジプトの遺跡から発見されたオーパーツ。それは別宇宙へとあらゆるものを転送できるというスターゲイトだった。考古学者ジャクソン博士(スペイダー)はパズルのような石碑の暗号を解き、遂にその謎を解読することに成功した。そして開かれた未知の領域への探検に、第一陣として軍隊が送られることとなった。ジャック=オニール大佐(ラッセル)に率いられた彼らがそこで見たものは、まるで古代エジプトのような不思議な惑星だった。支配するものと、支配されるものに極端に分けられた世界で、被支配階級のために立ち上がった彼らだが…
 凄まじい予算とSFX技術を用いて満を持して作成された作品。映画と並行してゲームや小説、様々なメディアを駆使してどれほどこの映画が画期的か、そしてどれほど素晴らしい映画か、と言う宣伝が行われた
(今では半ば当たり前だが、この作品の宣伝の度合いは凄かった)
 ところが、こういう用いられ方をすると
絶対行きたくなくなるのが私の癖で、絶対こんなもん観てやるか。と思っていた。大体、主役がカート=ラッセルだってことも知らなかった。
 それで大成功。いや、失敗だったか。これほど突っ込みどころ満載の映画だったら、
実際に観てからボロクソに言ってやれば良かったかも知れない。
 それでテレビで見たのだが、大爆笑。映画館で観られなかった分、
思い切り笑ってやった
 スターゲイトの謎そのものは何でこんな物今まで分からなかったの?と言うレベルだが、
まあ良いとしよう
 問題はスターゲイトを抜けてからの話。
 まず、あそこでスターゲイトを使う必要性は全くないこと。それこそSFで無くても良いくらい。要するに
圧政に苦しむ住民を、外世界から颯爽とやって来たヒーロー(達)が助け、無気力に陥っていた住民も折から起こる鬨の声に決起し、やがて自分たちで国を作ることの重要性を自覚していく。民主主義万歳。ちゃんちゃん。
 お節介にも他の惑星の戦争に荷担し、その国の政治形態をガタガタにした後、余計な戦争の火種となるテクノロジーを残して帰っていく。
 アメリカ映画ではむか〜しから作られていた手法であり、特にマッカーシズムに染まったハリウッドではこういう映画が量産されていった。いや、正確に言うなら、
テレビドラマやアニメの方が影響が強い。アメリカ製のアニメが近年までパッとしなかったのはこのパターンでばかり作られていたからではないかな?しかし、何もこの時代でこの設定で映画作るなんてばかげたこと、誰が考えたんだ?(おう、そうだ。今でも『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(2001)なんてものが作られてるじゃないか)
 前半部分で華々しく登場していた謎はどうなったの?結局何も分からないまま、終わってしまったのではないか?どうせスターゲイトを題材とするなら、ゲイトの先が宇宙空間だったってのなら、パニック映画として充分楽しい映画になれただろうにな。
折角の素材を無駄遣いした好例。
 それにしてもカート=ラッセル、お前のファンなんだから、ガッカリさせないでくれ。もっと弾けろ。その方がお前らしい。

 後に本作の設定を活かし、TV版が作られたが、こちらはいろんな星に行けるというゲイトの設定を上手く活かし、良質な作品に仕上がっている。
ユニバーサル・ソルジャー 1992
<A> <楽>
リチャード・ロススタイン
クリストファー・レイチ
ディーン・デヴリン(脚)
ジャン=クロード・ヴァン・ダム
ドルフ・ラングレン
アリー・ウォーカー
エド・オロス
ジェリー・オーバック
レオン・リッピー
チコ・ウェルズ
ラルフ・モーラー
リリアン・ショーヴァン
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 アメリカ陸軍は極秘にヴェトナム戦死者を強化兵士として蘇生させる計画を実行に移していた。だが、兵士の一人リュック(ヴァン・ダム)は失われた記憶を取り戻して逃走する。一方彼の追跡にあたった兵士スコット(ラングレン)にも過去が蘇ってしまった。実はヴェトナムでの二人の戦死はスコットの狂気によってなされたことだったのだ。25年の時を越えて二人は因縁の死闘を繰り広げる…
 ヴァン・ダム&ラングレンのアクション俳優二人の初顔合わせで、更にSF的設定というなかなかおいしい物語で、観るまでは結構楽しそうに思えた。
 …のだが、いざ観てみると、
あまりのチープさと地味さにちょっとめげた。実際の話、二人のまとう装甲は動くのに邪魔としか思えないし、大体あんな銀色の鎧じゃ目立ってしょうがないだろうに…それもあってか、後半は二人とも自分の装甲をはぎ取ってのアクションになる。ところが、そうなってしまったらそうなってしまったで、今度は並のアクション映画になってしまった。要するにバランスが悪いってこと。
 マッチョ好きで、ヴァン・ダムとラングレンの筋肉を観たい人にだけはお勧めするけどね。

 ちなみにこれ、日本配給を決めたプロデューサは、この試写を観ながら、絶対受けないと思っていたらしいが、ヴァン・ダムとラングレンのシャワーシーンを観た途端、一つ思いついたことがあった。そのまま
おすぎを呼んでこの映画の紹介文を書かせたのだそうだ…なんでこんなのが日本で大々的に売り出されたかは、この一事で分かるエピソードだ。

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