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2019 | イエスタデイ 監督・製作 | |
2018 | ||
2017 | T2 トレインスポッティング 監督・製作 | |
バトル・オブ・ザ・セクシーズ 製作 | ||
2016 | ||
2015 | スティーブ・ジョブズ 監督・製作 | |
2014 | ||
2013 | トランス 監督 | |
2012 | サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ 出演 | |
2011 | フランケンシュタイン:ベネディクト 舞台演出 | |
2010 | 127時間 監督・製作・脚本 | |
2009 | ||
2008 | スラムドッグ$ミリオネア 監督 | |
2007 | サンシャイン2057 監督 | |
28週後... 製作総指揮 | ||
2006 | ||
2005 | ||
2004 | ミリオンズ 監督 | |
2003 | ||
2002 | 28日後... 監督 | |
2001 | ストランペット 監督 | |
ヴァキューミング 監督 | ||
2000 | ||
1999 | ザ・ビーチ 監督 | |
1998 | ||
1997 | 普通じゃない 監督 | |
ツイン・タウン 製作総指揮 | ||
1996 | ||
1995 | トレインスポッティング 監督 | |
シャロウ・グレイブ 監督 | ||
1994 | ||
1993 | ||
1992 | モース警部シリーズ VOL.25 ケルビムとセラフィム 監督 | |
死体強奪 監督 | ||
1991 | ||
1990 | ||
1989 | モース警部シリーズ VOL.15 魔笛 メソニック・ミステリー 監督 | |
1988 | ||
1987 | ||
1986 | ||
1985 | ||
1984 | ||
1983 | ||
1982 | ||
1981 | ||
1980 | ||
1979 | ||
1978 | ||
1977 | ||
1976 | ||
1975 | ||
1974 | ||
1973 | ||
1972 | ||
1971 | ||
1970 | ||
1969 | ||
1968 | ||
1967 | ||
1966 | ||
1965 | ||
1964 | ||
1963 | ||
1962 | ||
1961 | ||
1960 | ||
1959 | ||
1958 | ||
1957 | ||
1956 | 10'20 マンチェスターで誕生 |
イエスタデイ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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イギリスの片田舎で売れない歌手をしている青年ジャック・マリック(パテル)は、ある夜世界中の電気が一斉停電した瞬間に事故に遭ってしまう。退院後、友人の前でビートルズのイエスタデイを奏でたところ、誰一人その曲を知らなかった。ビートルズのいない世界の中に紛れ込んでしまったジャックは、悩んだ末、記憶にあるビートルズの曲を自分の曲として売り出すことに決める。そこで天才音楽家とおだてられ、渡米することになった。その際、幼なじみのマネージャーであるエリー・アップルトン(ジェームズ)から別れを告げられてしまう。 このところポップスミュージックを扱った作品が結構目に付く。昨年のボヘミアン・ラプソディ(2018)という傑作もあったが、概ね1970〜80年代のものが主。私なんぞはまさにド直球世代なので、その当時のポップスミュージックを聴くと口ずさみたくなる位なのだが、それをすっとばして、ポップスの生みの親で、世界の音楽をまるごと変えて見せた始祖。ビートルズを熱かった作品が世に出てしまった。 馬鹿馬鹿しい設定だし、果たしてビートルズの音楽が半世紀を経て本当にこんなに受けるのか?とか言う疑問はあるものの、観てる内にそんな事どうでも良くなってくる。 だって気持ちいいんだよ。とにかく音楽シーンが浸れる。こんなに画面で心地よく音楽に浸れるのはボヘミアン・ラプソディ以上。私にとっての気持ちよさのレベルはマンマ・ミーア!(2008)レベル。ものすごく気持ちよかったし、観終えた後、とても幸せな気分に浸れた。作品も良いけど余韻も良かった。特にラストのオブラディ・オブラダは歌詞の内容までラストシーンにぴったりはまっててとても心地よい。 本作の特徴として、基本的に悪人がいないと言う事になろうか。アメリカ人プロデューサーのデブラが悪人っぽいけど、表裏がなくて最初から自分の欲望を全開にして嘘を言ってない。ジャックの友人たちも個性が強くて迷惑ばかりかけるけど、それはイギリス流の人間関係だから。イギリスで作られた映画ということもあるけど、意識してイギリス人らしさというのを強調してるので、距離感掴めない人間が多数登場してる。それがイラッとさせることもあるが、彼らも基本は良い奴ばかりだ。そういう意味では本作はイギリス人とアメリカ人の対比という意味合いでも楽しめたりする。 そしてこれは絶対に評価しなければならないのは、ジョンが訪れる海の家にいるジョン・レノンの姿。確かにこの世界にはビートルズは存在しなかったが、メンバーまでいなくなったわけではなかったようで、ジョンは漁師として人生を全うしてる。 このIFの物語に、ここを描いてくれただけでも本作は成功だと思えたし、このシーンを全く予想できなかった自分が恥ずかしい。 ビートルズを知っていて、多少歌える世代にとってはとても幸せな気分に浸れる作品とは言っておこう。 |
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T2 トレインスポッティング | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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127時間 2010 | |||||||||||||||||||||||||||
2010米アカデミー作品賞、主演男優賞(フランコ)、脚色賞、作曲賞、歌曲賞、編集賞 2010英アカデミー主演男優賞(フランコ)、監督賞、脚色賞、作曲賞、撮影賞、編集賞、音響賞、英国作品賞 2010ゴールデン・グローブ男優賞(フランコ)、脚本賞、音楽賞 2010インディペンデント・スピリット主演男優賞(フランコ)、作品賞、監督賞 2010放送映画批評家協会歌曲賞、作品賞、主演男優賞(フランコ)、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、音響賞 2010アメリカ映画協会トップ10 2010ローリング・ストーン・ベスト第6位 2010ブロードキャスト映画批評家協会主題歌賞 2010アメリカ脚本家組合脚色賞 2010アメリカ製作者組合賞 2010アメリカ俳優組合主演男優賞(フランコ) 2010ピーター・トラヴァースベスト第6位 2010アメリカ脚本家組合脚色賞 2011MTVムービー・アワードお口あんぐり賞 2011違法ダウンロードされたハリウッド映画第7位 |
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スラムドッグ$ミリオネア 2008 | |||||||||||||||||||||||||||
2008米アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞、歌曲賞、音響賞、編集賞、音響賞 2008英アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、作曲賞、撮影賞、編集賞、音響賞、主演男優賞(パテル)、助演女優賞(ピント)、美術賞、英国作品賞 2008全米批評家協会撮影賞 2008NY批評家協会撮影賞 2008LA批評家協会監督賞 2008シカゴ映画批評家協会監督賞、脚色賞、新人俳優章(パテル) 2008ボストン映画批評家協会作品賞 2008セントルイス映画批評家協会監督賞 2008サンディエゴ映画批評家協会作品賞、監督賞 2008ヒューストン映画批評家協会監督賞 2008ゴールデン・グローブ作品賞、監督賞、脚本賞、音楽賞 2008放送映画批評家協会作品賞、監督賞、脚本賞、音楽賞、若手俳優賞(パテル)、歌曲賞 2008映画俳優組合アンサンブル演技賞、助演男優賞(パテル) 2008フェニックス映画批評家協会作品賞、監督賞 2008ナショナル・ボード・オブ・レビュー作品賞、ブレイクスルー男優賞(パテル)、脚色賞 2008ロジャー・エバートベスト 2008ピーター・トラヴァース第2位 2008スティーヴン・キングベスト2位 2008エドガー・ライトベスト第11位 2008アメリカ製作者組合劇映画部門 2008アメリカ映画俳優組合アンサンブル演技賞、助演男優賞(パテル) 2008アメリカ脚本家協会脚色賞 2009ヨーロッパ映画撮影賞、観客賞、作品賞、監督賞、主演男優賞(パテル)、脚本賞 2009日本アカデミー外国作品賞 2009セザール外国映画賞 2009MTVムービー・アワード作品賞、歌曲賞、キス・シーン賞、ブレイクスルー演技賞、トンデモ・シーン賞 2009キネマ旬報外国映画第8位 2009映画館大賞第8位 2009イギリスの年間興収第5位 2009サターン外国映画賞 |
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インドで国民的人気番組となっている“クイズ$ミリオネア”で、ついに未だかつて誰もたどり着けなかった残り1問にまでたどり着いた青年がいた。青年の名はジャマール(パテル)。ムンバイのスラム出身の無学な青年である。しかし、これをイカサマと断じた司会者により、1日の収録直後にジャマールは警察に拉致されてしまうのだった。スラム育ちの孤児出身者がクイズを勝ち抜けるわけがないと決めつけ、執拗な尋問と拷問を繰り返す警察。それに対しジャマールは、これまでに出された問題の答えは、すべてストリートで生きながら学んだと、自らの半生を語り始める。 インド人作家ヴィカス・スワラップの描いた小説「ぼくと1ルピーの神様」をイギリス人監督のダニー・ボイルが映画化した作品。アメリカでは単館上映から、クチコミで噂が広がって、ついにオスカーまで上り詰めたという、あたかも映画の内容そのもののシンデレラストーリーを持つ映画で、インディペンデント映画であるにかかわらず、アカデミーでは8部門のオスカー(ノミネートは9部門)という快挙を成し遂げた。 最初に書いておくが、私はボイル監督とはとにかく相性が悪い。例えば『トレインスポッティング』など、これまでいくつものヒット作を作っているにもかかわらず、どうにもはまり込めないものばかりだった。今年のアカデミー授賞式だって、この作品にだけはなるなと願っていたくらいだったし。 ただ、残念ながら、確かに本作は面白かった。これまで観た何作かのボイル監督作品とは全く異なり、素直な気持ちで本作は「良作」と言い切れるだけのパワーを持った作品であることは認めざるを得ない。 では、何が面白かったか、少々分析してみることにしよう。 本作の構造は三つの時代を同時並行にザッピングして描いていることにある。 一つ目が“クイズ$ミリオネア”で答えるジャマールの姿。 二つ目が、その半日後の“今”で、警察の尋問に対して、何故答えが分かっているのかを語るジャマールの姿。 三つ目が、その説明で自分と兄のサリーム、そしてラティカの三人が経験してきたこと。 これらは一つ一つのパーツは、実はさほどたいした物語ではない。中心となる三つ目の物語にせよ、ある意味アクション風味を加えた素直な兄弟愛とラブストーリーに過ぎない。せいぜい舞台がインドだってのがエキゾチックだってくらい。メインの物語の構造は、あほくさいほど単純であり、インドである必要性さえ実はない。メキシコやアメリカの下町を舞台にしたとしても物語は成り立つ。 しかし、そのたいしたことがない物語を、一つ目と二つ目の物語で分断させ、そこで関連づけを加えだけで、途端に魅力を増させているのが本作の強味となる。重要なのは一つ目の物語で、そこで出された問題がジャマールの心を刺激し、過去の悲しい出会いや別れ、知らなくても良いことを知ってしまったことの苦しみなどがオーバーラップすることで、一つのキーワードが、一人の人間にどれだけの過去の重みを持たせるのか。と言う事を示している。たかがクイズ問題の一問だからこそ、物語に深みを与えることが出来るのだ。一方、二つ目の警察での語りも、結構重要だった。ここで過去とも、きらびやかなクイズ会場とも違う、生の今のインドの状況というものを、まざまざと見せてくれるから。何故このクイズ番組がこんなに人気があるのか、たった一日でジャマールが国民的英雄にまで上り詰めるのか、“現在”の状況説明があってこそ、意味を持たせられるのだ。 結局この三つの物語が複雑に絡み合うことによって、本作は作品としての魅力を作り上げることが出来たのだ。この緩急の作り方や、一見矛盾する映像の羅列が意味を持ってくることの快感。その辺よく分かってらっしゃる。 かつてエイゼンシュタインによって提唱されたモンタージュ理論は、編集によって物語そのものを作り出すことが出来るという古典教科書的なものとして考えられていたが、本作はそのモンタージュを嫌味なくらいに徹底的に使うことによって面白い物語を作り上げてしまった。モンタージュ理論は現代でも充分通用する。これを証明して見せただけでも、本作が作られた意味は大きかったと言える。 ところで、本作を俯瞰して観ると変な事を思った。、主人公ジャマールは走り、泥(?)だらけになり、列車で旅行し、名所で事件が起こる…“クイズ$ミリオネア”に至るまでのジャマールの半生は“ウルトラクイズ”のようなものだな。 |
サンシャイン2057 2007 | |||||||||||||||||||||||||||
2007ゴールデン・トマト・アウォーズSF/ファンタジー第3位 2008エンパイア映画英国作品賞、SF/ファンタジー作品賞 2008サターンSF作品賞 |
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2057年。太陽の活動が急激に衰え、地球は滅亡の危機に陥った。人類は太陽の活動を促すため、核爆弾を太陽に撃ち込む計画“イカロス計画”を立ち上げた。だが1号機は太陽へと向かう途中で交信を断ち、計画遂行不能状態に陥ってしまう。そして7年後、船長カネダを始めとする8人のエキスパートが乗り込んだ最後の核爆弾を積んだイカロス2号が太陽に向かって発進するのだった。航行は順調だったが、太陽に近づいたその時、イカロス1号の救難信号を受信する… 毎回変わった手法で映画を作るボイル監督の最新作。今回は宇宙を舞台としたSF作品。 はっきり言ってしまうと、ボイル監督作品はどうにも肌触りが合わない所があって敬遠しているのだが、たまたま映画観る時間に丁度合ってしまったために鑑賞。まあ、真田広之がどんな役やってるのかな?と言う好奇心も多少。 …だけど、やっぱり合わないわ。この監督。 以降は読むと不快に思われるかも知れないので、ご注意を。 冒頭の観ただけで気持ちが萎えた。なんだこれ?『スター・ウォーズ』(1977)か?それとも『2001年宇宙の旅』(1968)か?何というオリジナリティのないオープニングだ。しかも続いてのタイトルロゴは『エイリアン2』(1986)か?それとも『ザ・コア』(2003)か? 冒頭だけで「はははは」と心の中で乾いた笑いが出た。こりゃ駄目だ。 実際物語自体がオチまで含めてほとんど『2001年宇宙の旅』をベースにして『惑星ソラリス』(1972)と『エイリアン』(1979)と『アルマゲドン』(1998)くっつけただけ。あんまりにもそのまんまで、溜息しか出ず。 キャスティングも折角の多国籍を活かすことができず、何の意味もなく喧嘩して、一人一人死んでいく。キャラも何考えてるのか分からない奴らばかりで感情移入一切出来ず。期待していた真田広之も苦手な英語を喋るだけで手一杯と言った感じ。ミシェル・ヨーも全然活躍出来ず。そもそもアクション俳優を配しておいてアクションも全くなし。何のためにこの人起用したんだ? 話も、かなり哲学的にしたつもりなのだろうが、単に分かりづらいだけでしかなし。キューブリックの真似しても無駄だよ。はっきり言って物語自体が古すぎ。 大体なんで太陽行くのに「イカロス」などという不吉な名前を使うんだ?「昔ギリシアのイカロスは〜」って「みんなの歌」でやってたね。 ただ強いて良い所を言うなら、演出は独特で、アングルはともかく(『エイリアン』とか『13日の金曜日』(1980)とか観てる気分)、ぐにゃりと映像が歪んだり、無関係の映像を突然挿入したりと、なかなか面白い演出ではある。それが面白いと言えば面白い所。 しかし、一つ本作で分かったことがあった。 ボイル監督は誰かに媚びることだけはしない。自分の作りたいものを作りたいように作ることができる珍しい監督だと言うこと。 確かにこれまでの作品を改めて考えてみると、ボイル監督が作ってきた作品というのは時代や流行りとは全く無関係に作られている。「分かる奴だけ付いてこい」という突き放しと強引さがあるので、合う人間にはとても合うのだろう。『トレインスポッティング』はそれが上手く機能し、時代の方が映画に付いてきたと言った感じがする。ある意味この姿勢はイギリス監督の最も重要な要素であり、この人が今の時代のイギリス監督の代表格と言っても良いだろう。だから合う人にはとことん合うと思う。私には全然合わないけど。 |
ミリオンズ 2004 | |||||||||||||||||||||||||||
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28日後... 2002 | |||||||||||||||||||||||||||
2003ヨーロッパ映画撮影賞 2004MTVムービー・アワードブレイクスルー演技賞(マーフィ) 2004サターンホラー作品賞、監督賞 |
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霊長類研究所に侵入した動物愛護活動家達は、そこで隔離されていたチンパンジーを解放する。だが、実はそのチンパンジーは恐るべきウィルスに感染していたのだった。それは血を通して僅か数十秒であらゆる動物に感染し、感染した動物は怒りの衝動を抑えられなくなると言う…そして28日後。交通事故で昏睡状態に陥っていたジムは、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。だが、起きあがったは良いが、彼の周りには人っ子一人いない。病院から抜け出したジムだが、やはりロンドンの町全体がゴーストタウンとなっていた。「ハロー」と叫びつつ、町を徘徊するジムだったが… 予告のセンスは結構良かったし、何かと話題となっていたので結構興味はあった。ただ、問題は監督のダニー=ボイルと脚本家のアレックス=ガーランド。この二人が組んで作った映画『ザ・ビーチ』は最低最悪だった。その事実に一抹の不安を覚えつつ、それでも劇場へ。 オープニングは酷かった。内容が、ではなく、音が。なまじ音響が良い映画館だったため、オープニングシーンでのあのやかましさは殆ど物理的暴力で脳を揺さぶる。一転して静かに本編が始まった時には耳鳴りが続いていた。何が悲しくて映画観てこんな痛い思いせにゃならんのだ。 それで観進んで行くと、どうにもデジャビュが… 理由は分かっている。このパターンはジョージ=A=ロメロの『リビングデッド』シリーズによく似ているのだ。と言うより、「ほう。これはあのシーンだな」とか思えるシーンがいくつも出てきて、別な意味で楽しかった(通常劇場内では映画はのめり込んでみるのでそんなことを考えない。だけど、私は恐がりなので、精神的に逃げ場所を求めてしまったらしい)。ラストまで観て、これは確信犯的な作品だろうと言う思いを強くした(ラストは2つのヴァージョンが公開されたが、切られた方は『ドーン・オブ・ザ・デッド』(1978)で、公開版の方は『デイ・オブ・ザ・デッド』(1985)によく似てる)。概ね3作目の『デイ・オブ・ザ・デッド』のテイストを強く残した作品だったので、なんだかその続編のように思えてしまった。もし勝手にこの作品の副題を付けさせてもらえるんだったら、『ヌーン・オブ・ザ・デッド』、あるいは『ダークネス・オブ・ザ・デッド』とでも呼ばせてもらおう(実はもう一つ副題は考えてる。『アフター・アウトブレイク』ってやつ)。 いや、だからといって本作は駄作ではない。きちんとお約束を踏まえつつも、演出はきちんとしているし、理不尽な怒りや悲しみ、そして安心感など感情の表出が丁寧に抑えられている。感染があっと言う間に起こるという設定も緊張感があって良い。更にディジタル処理され、ざらついた表現が逆に感染者に襲われる恐怖を上手い具合に表現できたと思う(これは結構難しい。本当に怖くしたり、不必要にグロテスクにするとバランスが崩れてしまうから)。私のような恐がりの人間でもあまり問題なく全部観ることが出来た。 キャラに関して言えば、主人公のマーフィ演じるジムは髭を剃る前と沿った後の顔のギャップが激しすぎるとか、軍隊と戦う時に何で館の地理をそんなに把握してるの?とか、いきなりランボー張りに強くなりすぎるとか、ちょっとばかり描写が変すぎる。それにセリーナの思考形態があんまりにも単純とか、イギリス陸軍を完全に馬鹿にしたような軍隊描写とかあるが、その辺は演出だと考えたい。本作でキャラが一番立ってたのはグリーソン演じるフランクだろう。あらゆる事態に対して落ち着いて対処し、“頼れるお父さん”をきちんと演じていた。彼が娘に「愛してる。離れろ」というのはグッと来るシーンだったな(ストーリー上あっさり流されてしまったが)。彼は頼れる人間を演じるのが上手い。個人的にツボに入ったのは、オープニングで動物愛護者の女性が感染したチンパンジーに「さあ、出してあげるわよ」と猫なで声を出していながら、襲われた瞬間「こいつを離して!」と怒りまくってるのは人間ってこんなもんだ、と言う主張が見えるようで結構楽しかった。 一方、設定に関してはいい加減な部分がどうしても見えてしまう(引いて観てしまったため、余計にそれらが目に付いてしまった)。今までのリビングデッドものと異なり、感染者がやたらパワフルだったり、周りに血を吐きまくったりとなかなか魅力ある(?)描写がなされているが、怒りが増幅されてるだけのはずなのに、感染者同士が殺し合ったり、身の回りのものを破壊しようとしないのは設定上変(この辺は『リビング・デッド』よりも『バタリアン』(1985)に共通するな)。冒頭では暴徒が暴れ回った後のロンドンが描かれるが、公共物は全くの無傷だし、道に放棄された車があんまりないってのもおかしい。それと後半で地雷で吹っ飛んだ感染者の肉片が飛んでくるのに、ゴーグルやマスク無しで笑ってる兵士…お前ら絶対感染してるって。 それと、音を何とかしろ。アクション部分の音が大きすぎて耳が痛くなる。後半はやかましくなったら耳に指つっこんでた。 先にも少し書いたが、本作は2つのヴァージョンのラストシーンがある。公開版の方は本作のキー・ワードでもある「HELLO」という言葉を上手に使っていて(ジムが言った全台詞のかなりのパーセンテージがこの言葉で占められてる)、途中でちらっと見えた飛行機や、28日という言葉を繰り返したりしてちゃんと伏線を処理してた。一方切られたヴァージョンだと、一抹の救いは与えられているが、なんだかやるせない気分にさせられるが、こっちはこっちで味がある。ただ、劇場で二本放映するのはいかがなものか?切られた方を後で放映すると、そっちの方ばかり印象に残るぞ。 ロメロ作品が好きな人には無条件にお薦めする。 |
ザ・ビーチ 1999 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2000ゴールデン・ラズベリー最低主演男優賞(ディカプリオ) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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刺激を求めてタイのバンコクへとやって来たリチャード(ディカプリオ)は地上の楽園と呼ばれる伝説の孤島、ビーチの噂を耳にした。偶然その地図を手に入れた彼は仲間と連れだって、地図にある島へと向かい、そこで自然のまま自由に生きる一団と出会う。彼らこそがビーチの住人であり、そこで住むことを許されたリチャードたちは、ビーチの一員として生活することになる。だが、彼には一つ大きな心配があった。実はここに来る前、地図の写しをバンコクで出来た友人に手渡していたのだ… 個人で大きな麻薬の取引をし、大金を手に入れた二人組の男がバイクに乗ってアメリカを渡り歩き、時に立ち寄ったヒッピー・コミューンで生活を共にし、麻薬をやりながら自由について考えを巡らす…言うまでもないがこれはアメリカ映画の傑作の一つ『イージー・ライダー』(1969)のストーリーだ。 もう一つ。飛行機事故でこども達だけが生き残り、島に流れ着いた彼らは、愚かな大人達のいないその楽園でたくましく成長していくのだが、やがて対立するグループ同士のいがみ合いが、そのコミュニティを崩壊に導く…これはゴールディングの小説『蝿の王』のストーリー。 1970年代。アメリカには数多くのヒッピー・コミューンと呼ばれるものが出来ていた。東西冷戦の中、核戦争の危機が身近にあって、その閉塞感の中で魂の自由を求めた若者を中心としたグループがコミューンにおいて自給自足の生活を送っていたのだ(今でもいくつかは存続しているらしい)。彼らが文明社会に背を向けたのは、今自分たちの置かれた危機感を肌で感じ取って、何か自分のために何が出来るか、を考えた末悩んだ末に、魂の救済のために自分の意志でコミュニティに自らを投入していったはず。そこに自給自足の苦しい生活があったが、共に生きる仲間がそこにはおり、麻薬もあった。自由時間には魂に関する書を読み、議論を繰り返し、時として反戦集会にも顔を出す。 これらは皆「楽園」を目指した者達の真剣な思いが込められていたと言うこと。苦悩や議論、時として内紛を起こしつつも、そこには確かに明確な“想い”があった。 …一体何を言いたいのか? 簡単なことだ。この映画は、そんな私のノスタルジー(と言うか、一種のあこがれ)を見事に汚してくれたと言うことだけ。それだけだ。 これが単なる感傷であることは、私自身も自覚している。が、それにしてもこれは酷い。この作品を観ていると、どうしてもそれらを思い出してしまい、素晴らしい作品やそう言った思いと言ったものをわざと汚すために作ったのではないかとさえ邪推してしまうほどの出来だった。 この映画にあるのは当時はとても真剣だったはずのヒッピー文化の醜悪なコピーだった。なまじ当時のコミューンに似せているだけに、これは悪質な冗談にしか見えず、しかもそれを肯定する方向に動いているのが救いがたい(この状況は押井守の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)に似てなくもないが、あの作品は明確にそれを“不自然なもの”として捉えていたし、だからこそ、名作なり得た)。 そりゃ、どんな映画を作ろうと勝手と言われればそれまでなんだけど、これはカウンター・カルチャーに対するカウンターとして、もう少しメッセージ性を20年前に出すべきだったんじゃなかろうか?「お前らのやってることは、こんなくだらないことだったんだぞ」と言うメッセージと共に。出す時代を完全に間違えたな。 始まって3分であきらめ、30分で呆れ、後は部屋の掃除をしながら横目で眺めるだけで済んだ作品だった。 自分ではほとんど何も考えることができずに状況に流されるだけ、さらにはゲームのキャラにされ、尺取り虫まで食わせられたリチャード役をディカプリオはどんな思いを持って演じたのだろう? |
普通じゃない 1997 | |||||||||||||||||||||||||||
1998MTVムービー・アワード歌曲賞、ダンス・シーン賞(マクレガー&ディアス) | |||||||||||||||||||||||||||
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天国にある警察署の署員、天使のオライリー(ハンター)とジャクソン(リンドー)は、署長ガブリエルから、下界の我が儘お嬢様セリーン(ディアス)と、彼女の父の会社の清掃員ロバート(マクレガー)をくっつけるということであった。キューピッド役を果たそうと、二人は早速計略を巡らせてロバートをクビにさせ、ガールフレンドにもふられ、車も没収させた。怒ったロバートは社長のオフィスに乱入し、そこにいたセリーンを誘拐して山小屋へと逃げ… 『トレインスポッティング』(1996)でブレイクしたボイル監督が同じくマクレガーを主役に置いて作り上げたロード・ムービー的コメディ。私自身はボイル監督の感性はあんまり好きじゃないんだが、この無茶苦茶な話は意外と気に入ってる。 コメディというのは現実世界の常識をひっくり返すことから始まるので、タイトル『A Life Less Ordinary』ってのは「この作品はコメディですよ」と宣言してるようなもの。その辺人を喰ってるようでしっかり計算していることを思わされる …が、なんだか観てて思ったのは、これはコラージュの映画じゃないのか?と言う思い。 設定から物語から演出まで、どこかで観たような場面が次々と展開していく。ただ、それは決して悪くない。パクリ方が結構品が良いというか、自分の演出にしっかりなってるから。この辺上手いのはタランティーノだが、そのタランティーノらしさまでを再現してるのも面白いところ。 そしてそれらばかばかしいまでのコメディを一流どころの役者がしっかり受け止めて演じているところが一番の売りと言うことになるんじゃないかな?特にディアスとハンターの二人の弾けっぷりは堂に入っていて、男連を完全に尻目に、やりたい放題やってる演出が面白い。 ただ問題は、致命的にストーリーが薄すぎると言う点。薄いと言うよりは一生懸命に馬鹿をやろうとしてるんだけど、馬鹿じゃなく間が抜けてるだけにしかなってない。大体天使出して必要ってあったの?どうしてもかの馬鹿作品『セカンド・チャンス』(1983)を思い出して仕方ないんだが。しかも物語の方向性も全く同じだし。 演出は良いんだが、肝心の物語が…ってボイル監督の作品は全部そうだ。 |
トレインスポッティング 1995 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
1995英アカデミー脚色賞、アレクサンダー・コルダ賞 1996米アカデミー脚本賞 1996インディペンデント・スピリット外国映画賞 1997MTVムービー・アワード ブレイクスルー演技賞(マクレガー) |
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「誠実で真実あふれる麻薬の習慣」を求めるマーク=レントン(マクレガー)は仲間と共に、麻薬漬けの毎日を送っている。時折麻薬断ちをして就職したりするが、ちょっとした挫折や悲しい思いに陥った時、又しても麻薬に手が伸びるのだ。最低の日々の中、仲間の一人シック・ボーイ(ジョニー=リー=ミラー)に大がかりな麻薬販売に誘われるが… 「麻薬常習者」という意味のトレイン・スポッティングを題名に冠した作品で、ひたすらドラッグ漬けの若者の日常を描く作品。若者特有の退屈さを麻薬で紛らわせている内に、重度のジャンキーとなってしまう、そのやるせない気持ちを上手く描き、それまで長いこと低迷にあったイギリス映画復活を強くアピールする。 イギリス映画と言えば、1950年代はハリウッドの作品でさえ多くはイギリス出身の監督が撮り、アカデミーのノミネートは軒並みイギリス作品というパターンが多く見られたのだが、70年代の激動の時代にイギリス作品は完全に乗り遅れた。実際の話、国自体が斜陽になっていたのだが、無理して大作指向だったのも災い。次々に大作がコけ、すっかり映画も下火になっていった(007シリーズとかは続けられていたが)。80年代に至ると、一種のポップカルチャーの担い手であったのに、映画に関しては本当にまともなものが作られにくくなってしまった。 そんな中、ようやく“現在”そのものを描く作品が登場した。 ここに登場する人物像は、ボロボロになったイギリス経済の、そのまま下層の人間たちの生き様そのものであり、そこに誇張はあっても、悲惨さを感じさせる作品に仕上げられていた。 …はずなのだが、少なくともこの当時、そういう受け取られ方はされていなかった。むしろこれをまるで進んだアーバンライフを示すかのように、“オシャレな作品”として紹介されていた。 そんなことで宣伝文句に煽られたこともあって、「オシャレってどんな感じなの?」という軽い気持ちでビデオレンタルして…気持ち悪くなった。ヤク中のどーしようもない若者がグダグダやってるだけの作品のどこがオシャレなんだよ。途中出てくるトリップした悪夢描写には酔ったし、子供を殺してしまって更に薬を求める描写は吐き気さえ覚える。そう言う悲惨さを出すのが本作の狙いだったし売りだったのだろうとは思うのだが、そこで躓いてしまった以上、どうしても入り込むことが出来ず。 結局悲惨な現実を、夢を見ることで回避しようとしているだけの話としか受け取ることが出来ず。それでも悪夢の話は好きなので、点数はそこそこあげられるのだが… 本作が私にとってもボイル監督の初挑戦作。最初に観た本作が躓くきっかけになってしまった。 |
シャロウ・グレイブ 1994 | |||||||||||||||||||||||||||
1994英アカデミー英国作品賞 | |||||||||||||||||||||||||||
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