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2020'12

 
30
映画
なぜ君は総理大臣になれないのか(2020)
 2005年に民主党として初当選を果たし、以降政変に翻弄されつつ、あくまで不正と戦うという姿勢を貫きつつ野党議員として活動中の小川淳也議員。小川の古くからの知り合いで、2003年から彼の選挙風景を撮影していた監督がこのタイミングで映画化に踏み切ったドキュメンタリー作品。

 一人の政治家、しかも監督の知り合いを主役にして映画を作り、それで金を得る。はっきり言えばこれは監督のエゴと、特定政治家のヨイショとしか取られない最低の作品である。
 ただし、それは本作の主人公である政治家が政権与党である場合だが。もし小川が政権与党の側に立つ場合、この作品はプロパガンダか、若しくは本人を褒め称えるだけのヨイショになってしまう。
 これが映画として成り立つのは、主人公の小川淳也が野党議員、しかも冷や飯食いという立場にあるからに他ならない。ニッチな立場にあるから映画として成り立つというのも変な話だが、商業映画として成立する設定は最低限クリアしている。
 前に相田監督の選挙(2006)観た時にも、選挙ってなんて金と時間がかかるんだと思ってしまったし、それに見合うものを得られるかどうかさえ分からないギャンブルみたいなものだと思った。
 選挙に関しては政策とかではなく、被選挙者であるという事だけがピックアップされていたものだが、本作は政策と歴史にもにも突っ込んだ視点が取り入れられているのが特徴だ。
 まず小川淳也という人物は、野党議員として、国家としてのバランスよりも国民の側に立った視点で政策を述べている。政権与党が国民の方を向いていないという立脚点から政権批判をしているのが特徴となる。
 あまり文句は言いたくないが、政権批判というのは、本来スキャンダルとか金の流れとかではなく、政策に対するものであってほしいもので、そっちの方を見ていることがはっきりと描かれていた(それでも政権批判が変な方向に向かってしまってるのがなんともかんとも)。
 そして本作の後半で、2017年の衆議院選挙について描かれている。おそらくはここが映画としてのクライマックス。選挙に勝つために無理矢理不本意な政策を掲げねばならなくなる小川と、それに対して怒る有権者達。その描写はドキュメンタリーだからこそ生々しく、ただ頭を下げることしか出来ない小川の姿が本当に痛々しい。こんな事態を引き起こしたどこぞの都知事を思い起こしては胸糞悪くなってくる。
 更にラストシーン。娘二人が独立して、夫婦二人のマンションはなんとも狭苦しい。こんなところに四人家族で住んでいたのかと思うと、政治家の大部分は本当に金持ってないことを思わされる。

 この生々しさを見せられると、特に野党議員として到底国政選挙には出馬したいなんて考えたくなくなるのは請け合い。選挙に対する啓蒙作品には全くなってない。
 しかしだからこそ映画として面白い

 自らの政策を掲げて出馬する人をおろそかには出来ない。それくらいは言っておこう。

サンダーバードAREGO(3rd)

17話  かつての泥棒仲間に呼び出されたパーカーは弱みを突かれてペネロープのFAB−1を奪われてしまう。自分の責任でFAB−1を取り戻すというパーカーだが、その泥棒達のために大規模な爆発が起こってしまい、バージルのサンダーバード2号が出動する。

 パーカーを中心とした話。このシリーズは大好きなのだが、唯一パーカーが今ひとつ格好良くないのが不満。この話でも言うほどは格好良くない。
 オリジナル版と同じくパーカーは昔泥棒だった。ただ一匹狼ではなく中身がいたというのが本作での違いで、かつてパーカーが彼らを裏切って捕まえられてしまったため、それを深く恨んでいる模様。パーカー本人もそれを悔いていたためにこの事件が起こってしまう。多分この情が深すぎるのが魅力を減じてるんだろう。ちなみにフレッドと消防員のキャスの二人は2ndでも登場してる。
 パーカーは手動に改造した自動タクシーを駆ってFAB−1を追うが、FAB−1に残されたシャーベットが的確に邪魔をしてたお陰で追いつくことが出来た。今回の主役はパーカーじゃなくてシャーベットだったようだ。
スーパーロボット レッドバロンBlu-ray
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エルカミーノ:ブレイキング・バッド ムービー
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28
読書
デキる猫は今日も憂鬱4
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 クリスマスが近づき、幸来と巨大猫の諭吉はお互いのためにクリスマスプレゼントの準備を始めた。諭吉のために大人気アイドルグループUMYU-Seaのサインをもらうべく奮闘する幸来。

 ぐうたら飼い主と甲斐甲斐しい巨大猫の同居生活が今回も展開する。しかし読んでいて全く飽きないのが不思議。特に諭吉に憧れる元捨て猫ダイちゃんがついに二本脚で歩くようになったり、あと、諭吉がUMYU-Seaのファンになった理由などもあり。
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仮面ライダーセイバー

16話  目次録の書を消滅させて世界を救ったものの、賢人が消滅し、ソフィアが行方不明となってしまった。厄払いを兼ねて大掃除をすることとなったが、そんな飛羽真にノーザンベースを離れてサザンベースの剣士になって欲しいと申し出る玲花。

 新しい敵は登場せず。仲違いによってノーザンベースの面々と戦う。
 前回で一度話が閉じ、今回から新展開。前回で目次録の本が開いてその力が解放されたことによって異世界を観られるようになった人が増えている。その人はメギドに変化させられるようになった。
 サザンベースからの使者玲花はメギド達とも通じているようで、何かを目的としてノーザンベースに不和の種を蒔いている。ちょっと喋っただけで仮面ライダー達が全員でセイバーに襲いかかってる。こんなに洗脳しやすいのが揃ってて、よくここまでやってこれたな。
 さっきまで和やかに談笑していた仲間が突然殺し合うとか、ほぼ全員カミーユ・ビダン状態。阿呆かと。
<ノーザンベースの全員がサウザンベースのために働くと言うのに、飛羽真は頑なに拒否する。先ほど「みんなと一緒に戦う」と言ったばかりなんだけど。
 ルナを見つけるためにはワンダーライドブックの力が必要だという飛羽真だが、それは可能性だけで、別段必要とは誰も言っていない。>
VOL.1
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ブリング・ミー・ホーム 尋ね人
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映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者
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27
映画
クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ(2017)
 ある夜、野原家にUFOが不時着した。UFOの中にいたのは宇宙から来たという宇宙人のシリリだった。生物を若返らせる力を持つシリリによって子どもにされてしまったひろしとみさえ。二人を元に戻すには、父親の力が必要と言われ、シリリの父親がいるという種子島に向かうことになった。

 毎年恒例のクレヨンしんちゃんのシリーズで、前作爆睡!ユメミーワールド大突撃がカスカベ少年隊と、しんのすけのパートナーとなる女の子との話であったが、今回は家族を中心にして、新キャラとなるしんのすけのパートナーのドタバタ喜劇となってる。いつもと違うのは、そのパートナーというのが本物の宇宙人だと言うこと。
 設定だけ見ればこれ以上無い特徴的な話なのだが、宇宙人という特徴はあっという間になくなってしまい、ほぼ普通のアクション作品みたいなものになってしまった。
 日本縦断の旅の中でいろんなトラブルと出会うという話なのだが、ミニエピソードの繰り返しが今ひとつはまれない。オチも今ひとつ盛り上がらない。
 それは中心となるはずのシリリが常識人だったからというところに尽きるのではないか?異星人のくせに空気読むし、自分の立場をちゃんと理解して引くところは引いてるし。特に本作のシリーズでは普通の人間よりもよっぽど常識分かってる。でもそれは物語が都合良く進むだけのことで、宇宙人という魅力がまるでなくなるという事になる。
 結局人を若くしたり歳を取らせたりという能力以外、普通の人間と何ら変わりがないので、魅力的なキャラを生かし切れなかったというのが問題だ。
 全般的に低調な作品だが、時にはこう言う外れもある。

ウルトラマンZ

 これまでの総集編。
 キャラクターの紹介からウルトラマンゼットの形態描写。そしてストレイジで使用された突撃用兵器まで。決戦の後しばらくしてからの分析となるため、かなり冷静な分析になってる。
 特に最終話の熱いシーンが続くので、総集編としてはかなりしっかりしたものになってる。
Blu-ray1
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映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術 <A> <楽>
スティーヴ・ハルフィッシュ
ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
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25
読書
七十二文字
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 カバラを用いて物体を動かす命名学士のロバートは、あるきっかけからもう少ししたらこの世界には子どもが生まれなくなってしまうことを知ってしまう。遺伝レベルで命名を用いることでその運命を回避できないかと研究を開始する。

 なんだかよく分からない世界観の話で、物語自体も理解出来ないまま終わってしまった感がある。難解なSFを読んだという記憶だけが残った。アロノフスキー監督のπ(1997)を思い出した。
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魔進戦隊キラメイジャー

36話  クリスタリアの聖なる日クリスタスを前に盛り上がるキラメイストーンたち。そんな時にクランチュラ自らが勝負を挑む。勝負の方法はラップ。その勝負を受けたキラメイジャーの四人だが、戦いの後で何か四人の様子がおかしくなっていた。暴言を吐く四人に、キラメイストーンもキレてしまう。

 敵はターンテーブルゴモリュウ。クランチュラ自身が操縦する邪面獣で、頭部のスピーカーから音波攻撃をする。
 クリスマス企画で充瑠と魔進ファイヤーとの絆がキラメイジャー全員の絆を呼び覚ますという話。
 クランチュラ自らが参戦。基本的にふざけた作戦を得意とするクランチュラなので、今回の勝負もラップバトルになってる。ラップバトルは立派な競技だが、戦隊ものでやるものではないな。クランチュラのラップバトルを受けた人間は心が闇に支配され、闇の心に覆われてしまうと言うもの。実はこれ一番効果的な攻撃の気がする。実際ヨドンナが遊んでなければキラメイジャー負けてた。
 悪口というのは真実の一端を掴むからこそ効果がある。身も蓋もない悪口でないことが重要。それをしっかり踏まえていた良い脚本だ。
 ヨドンナが苦しんでるシーンがある。その度ごとに闇の力が増しているようで、そろそろヨドン皇帝の登場が近いようだ。あとクランチュラが倒された際、末期の台詞を言ってた気がする。本当に退場するのか?
<言葉の暴力で言葉の矢がレントゲン写真の心臓を直撃する。「必殺」シリーズで見たことあるぞ。
 闇のMCバトルでは審判として本職のラッパーが登場してる。そんなのを連れてくるとは随分世慣れてるな>
VOL.5
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35歳の少女
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メディコム・トイ RAH リアルアクションヒーローズ No.785 GENESIS 仮面ライダーゼロワン ライジングホッパー
23
映画
プロメア(2019)
 30年前に出現した炎を操る新人類バーニッシュによって世界は大混乱に陥り、全人口の半分が亡くなってしまった。以降バーニッシュは人類の敵として指定され、駆逐されていった。そして現在自治共和国プロメポリスでは、炎上テロを繰り返す過激派バーニッシュの集団マッドバーニッシュに対抗すべく、対バーニッシュ用装備を扱う高機動救命消防隊バーニングレスキューが消火活動を行っていた。バーニングレスキューの新米隊員ガロ・ティモスは、火災現場でマッドバーニッシュの首魁である少年リオ・フォーティアと出会う。

 過去ガイナックスで燃焼方面での演出担当だった今西洋之監督と脚本家中島かずきが中心となって作られたアニメスタジオのトリガーとして、初めての劇場用作品として作られた本作。この二人のコンビはかつて「グレンラガン」なども作っており、とにかく燃える演出が特徴。本作もそれを存分に用いた燃える作品となった。
 演出に関してはある種の頂点を極めた感があり。緩急の付け方も、たたみかけるような釣瓶打ちの燃える演出も名人芸クラス。大画面負けせず、見応えだらけで実に素晴らしい。
 ただ、戦いの演出は凄いのだが、問題は物語の方。
 …と言っても物語自体はそんなに悪いわけではない。ただ、中島かずきだったらこうなるだろうというストーリーがあんまりにもまんまだった。あまりにもパターン過ぎる。
 中島かずき脚本の特徴はだいたい全部同じで、理解力ある上司に恵まれた主人公が、上司の命じるまま目の前の敵と戦っていたら、実はその敵こそが本当は正しかったというもの。理解あると思ってた上司が実は黒幕だったというのもパターン。このパターンを手を変え品を変え、何度も繰り返している。
 その辺もうちょっと捻るとか、あるいは別なパターンにするとかもうちょっと考えてほしかったな。突出した演出もストーリーの弱さで台無しだ。

 …いや、違うか。ありきたりな物語も突出した演出でどこまで見せられるかの挑戦の作品だったのかもしれない。

サンダーバードAREGO(3rd)

16話  GDFはかつてメルトダウンを起こして封鎖された原子力発電所の立ち会い検査を行っていた。ところが職員の一人が足を踏み外して入り組んだダクトの中に落下してしまう。1号で救出に向かったスコットだが、そこにはウランを盗もうとするカオス・クルーのヒューズがいた。

 前回までの緊迫した話から一転し、いつもの任務の話となった。いかにも本作らしいレスキューの話だが、カオス・クルーが一枚噛むことで切迫度は増している。スコットがメインで、サポートとしてバージルという構図も本作の最も基本的な構造になってる。
 スコットとカオス・クルーのヒューズが閉じ込められてしまって協力を余儀なくされているが、このタイプの話は初めてだな。姉と較べてヒューズはちゃんと義理を返すところもそれっぽい。
 クリーンエネルギーを基幹とするこの時代でもウランは重要なアイテムらしいが、原子力について出てくるのはあんまりない。メルトダウン起こした原子炉についても。2020年時点で世界で三基存在するが、それがどうなっていくやら。
危険なビーナス
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生きちゃった
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21
読書
マズ飯エルフと遊牧暮らし1
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ワタナベタカシ (検索) <amazon> <楽天>
 高校野球のマネージャーをしていたサブローはある日突如異世界に飛ばされてしまった。草原に住み牧畜生活を営むエルフのポポによって助けられたが、そこで出された飯があまりにも不味く、ある日料理を作ろうかと提案することから始まった異世界料理生活。

 異世界転生と料理の組み合わせって実は結構多いようで、本作もその系譜の一つらしい。この作品の場合、現代日本の知識を持ってファンタジー世界の食材を用いて料理を作るというもの。アク抜きの基本から始まるので、とっつきやすい料理教本っぽくもあるが、根本的にエルフが美味い飯を作ろうとか、工夫しようとしていないのが不思議と言えば不思議。
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仮面ライダーセイバー

15話  カリバーを追い巨大な本の中に入るセイバー。そこには世界の始まりから書き綴られてきた全ての世界の書があった。2000年前にバラバラにされた全知全能の書の目次録を手に取った者は世界に君臨できるという。

 敵は仮面ライダーカリバー。真理の扉の中でセイバーに倒された。
 はっきり言えば、この話は最初から最後まで全部ツッコミどころ。満載どころか丸ごと全部。
<敵の目的がようやくはっきり分かった。これまで一切喋らなかったのに、本が開いた途端全部喋っちまったのであまりにあっけなさ過ぎる。ここまで引いた理由が分からない。脚本がいい加減すぎる。
 その目的とは世界を書き換えることだそうだが、そのためにはまず全知全能の書の目次録を手に入れ、それから一ページずつ失われた書を集め、全てが集まった時に力が発動するのだとか。全知全能ってだけあるのだから、集めるのにとんでもなく時間かかりそうだ。それとも全知全能の書って、実は10ページくらいしかなかったりして?
 15年前の出来事の真実も分かった。あの時裏切ったのはやはり賢人の父富加宮隼人で、鍵である少女ルナを使って真理の扉を開こうとしたのだが、それがソードオブロゴスの中の誰かにそそのかされたと思い込んだ上條大地が、誰がそんなことをしたのかを調べるためにソードオブロゴスを抜けてカリバーとなったのだとか…悪いことをした友を止めるのではなく、その意志を継ごうとしたことになる。なんでそんな考えに至るんだ?まともに考えたら間違った考えなんだが、飛羽真と戦って、その間違いに気づいた。遅いよ。
 それで間違いに気づいた途端に突然現れたデザストに殺されてしまった。裏切り者を探すどころか自分が裏切り者になって、更に誰かに操られてた。救われないキャラだ。
 たとえ死に瀕していてもイケメンが涙流して叫べば物事は全部解決する。優しい世界だ。>
VOL.1
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極主夫道
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VOL.6
<A> <楽>
19
映画
続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画(2020)
 14年前。カザフスタン大使としてアメリカに上陸し、ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(2006)という映画を作ったボラット(コーエン)は外交失敗によって幽閉されていた。そして2020年。大統領に呼び出されたボラットは、てっきり死刑になるかと思いきや、土産物を携えてアメリカに行き、トランプ大統領に貢ぎ物を届けるように命じられる。だがアメリカについて土産物のコンテナを開けたところ、土産物のはずの猿は骨だけになっており、その代わりに何故かボラットの娘が中に入っていた。仕方なく娘を大統領のお土産にしようと考えるボラットは、娘を少しでも魅力的にしようと考え、アメリカの文化を娘に見せる事にする。

 14年前に全方面に向かって喧嘩売ったと言われたボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(2006)を作り上げたサシャ・バロン・コーエン。役者としてはキャリアがある人だし、個性役者としては着実にキャリア積んでるのに、よくこんなキャリアを踏みにじるような作品作ったもんだと変な感心させられた。
 あの作品、決して好きとは言わないまでも、心の中にある言いたくても言えないものをはっきり映像化させてくれたというだけで充分に意味がある作品だったと思ってる。
 基本設定は前作と同じ。カザフスタンの外交担当として派遣された自国優先主義の完全なレイシストであるボラットという常識知らずがアメリカの片田舎で騒動を起こすというもの。
 ボラット自身がレイシズムを隠そうとしないため、アメリカ国内の一部の人間は彼を毛嫌いするが、一部の人間は逆に本音を引き出されてしまう。アメリカ人レイシストの本音のようなものが聞けるという意味ではとても貴重な作品だった。作品がどれほど酷かろうと、その点だけは認めるべきだろう。
 そして特徴付けるものとして、セミドキュメンタリーであると言うことがある。基本的には脚本があって、それに沿って物語は展開していくが、その旅の途中で本当に突撃取材を行ってしまうこと。これが映画の撮影である事は隠し、何も知らない人の家に言って勝手なインタビューをしたりする。やらせなのか本当なのかはよく分からないが、どっちであっても本編がいかがわしいので、それなりに納得できる。虚実がない交ぜになって混沌としているのが本作の面白さでもある。

 前作の場合はまだ顔が知られてなかったため、本物のドキュメンタリー風ではあったが、それで顔が売れすぎてしまったため、本作のドキュメンタリー部分はとても少ない。途中でトランプ支持者の家に立ち寄ったところくらいか?

 そして前作のようなレイシズムよりもむしろ性差別の方に重きを置いてるのも前作との違いだろうか。ボラットの娘は祖国で家畜や家の所有物のように扱われていたのが、アメリカに来てからだんだん自我に目覚めていく過程を見ていく訳だ。
 そして最後に彼女が自分勝手に生きることと、人間として生きる事の違いを理解するまでを描く。
 これで最低限映画としての体裁は整えた。

 後はとにかくやりたい放題で、酷く作る事を目的としてるみたい。
 概ねは酷い作品だが、それは狙ってのこと。新型コロナウイルスネタまでぶち込んでいて、変にこれ信じる人がいたら、新型コロナウイルスはカザフスタンから来たと思い込む人が出るんじゃなかろうかと思うくらい無茶苦茶やってる。

ウルトラマンZ

24話  ヘビクラ=ジャグラスジャグラーを先頭に立て、防衛軍を奪い返したストレイジ。デストルドスが遊んでいることを察したヘビクラはウインダムとキングジョーストレイジカスタムを立ち上げ、デストルドスを迎え撃つ。あと返信は一回が限界だとゼットに言われたハルキはキングジョーストレイジカスタムで出撃する。デストルドスからヨウコを救い出し、地球を守るために。

 敵は殲滅機甲獣デストルドス
 最終回。世界の終わりとなると、敵に向かって特攻するのが筋だが、本作では逆に敵がやってくるのを待ってる。これはセレブロによる一種のゲームというか遊びなので、遊びを盛り上げるお膳立てを用意してやれば乗ってくると言うもの。これまでにない余裕のある迎撃であるが、それだけこの世界では敵の強さが深刻と言うことでもある。
 ウルトラマンの登場をギリギリまで待つため、人類の作り出したロボットでギリギリまで戦う。ウインダムとキングジョーストレイジカスタムでも全く敵わず、絶体絶命かと思った瞬間、たった一撃だけのためにセブンガーが出撃。格好ええ。ロボットの勇姿をたっぷり見せつける画面は最高である。なんというか『シン・ゴジラ』味あり。
 ヨウコと精神世界で接触したハルキは腕相撲勝負を挑んで勝利する。これによってヨウコは自分を取り戻すのだが、腕相撲で敗北したヨウコはハルキと結婚しなければならないことに…
 そして最後の最後。たった一度だけの返信で、ウルトラマンゼットへと変身。しかも最強モードであるデルタライズクローで戦いが始まり、ベリアロクが離脱。最後はノーマルタイプでの戦い。しかも最後に「ご唱和ください」のOPソングが鳴り響く中での肉弾戦での戦い。やるなあ。
 最後はジャグラスジャグラーだけでなくハルキも宇宙へと向かう。分離しないで去って行くのは昭和シリーズを継承してるようだ。
 ヘビクラが宇宙人であることを知ったユカは大喜びで皮膚とか髪の毛のサンプルをねだっていた。最後まできちんとマッドサイエンティストを地でやってるな。
 ヘビクラはハルキに対して、人類とセレブロを調整してきたんだとか言ってたが、最終的には「自分で決めろ」とはねつけている。ジャグラスジャグラーのキャラとしては最後まできちんと立ってた。ライザーがなくなって怪獣化出来なくなったと言っていたが、前は出来てたのに?と思ったら、もうその力がないとのこと。ほんとか?何が目的だったかはともかく、目的は果たされずじまいに終わったようだ。盆栽片手に静かに去って行った。
<セブンガーが飛ばした右手の代わりに装着したのはでっかいドリルアーム…これやってくれるか!最高や。
 最後はストレイジの全員で大声出しながら戦い見物。怪獣ファンの夢が結集してる。>
Blu-ray1
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アニメと戦争 <A> <楽>
藤津 亮太
タリオ 復讐代行の2人
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18
読書
あなたの人生の物語
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 突如地球各地の上空に現れた宇宙船。その目的は分からないが、地球人とのコンタクトを求めていると考えた各国はそれぞれの宇宙船に多数の学者を送って調査を行っていた。アメリカでは言語学者の“わたし”ルイーズ・バンクスと物理学者のゲイリー・ドネリーが呼ばれて調査を行うこととなった。そんな中、“わたし”は思い出のような記憶が頭をよぎるようになる。

 映画メッセージ(2016)の原作。映画の方は評価そこそこだったが、原作読んでだいぶ評価高まった。これをよくあんなにわかりやすく映画に出来たもんだ。正直先行して映画を観ていたからこそ、原作も理解出来たので、逆に映画の良さを再認識することになった。
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魔進戦隊キラメイジャー

35話  ある日マブシーナが目覚めると、カラットの基地は破壊されており、自身は泥だらけだった。博多南によれば、日本茶で酔っ払ったマブシーナがこれをやったのだという。その間に邪面獣が出現しており、キラメイジンが出撃していたが、タイミングが合わずに逃げられてしまった。

 敵はゴルフ邪面。ゴルフクラブを用いて人間を打ち込み、ジャメンタルを集めていた。マブシーナが掘り出したモンストーンを取り込んでパワーアップした。そしてカートヒルドン。ゴルフ邪面にぶっとばされた宝路が中に取り込まれてしまった。
 基本的に健気で引っ込み思案のマブシーナは、これまであまり個性を出すことがなかったが、日本茶で酔っ払い、酒乱だったという話。一気に個性が出てきた。完全なコメディ回だが、もうちょっと早くやってた方が良かった話だ。面白いから良し。
 マブシーナの暴走で宝路が邪面獣に取り込まれてしまったため、ガルザのスモッグジョーキーが邪面獣を攻撃するという変な話になってる。
 戦いに巻き込まれて酷い目に遭うアイス屋さん役でマジイエローの松本寛也が出演。おそらくは一番スーパー戦隊に出演した役者だろう(これまでに魔法戦隊マジレンジャー特命戦隊ゴーバスターズ手裏剣戦隊ニンニンジャー宇宙戦隊キュウレンジャーに出演している)。
<ゴルフ邪面の台詞。「ワイはゴルフ邪面や。ホールインワンやでえ」…気のせいか、どこか聞き覚えが…
 酔っ払ったヨドンナはネクタイを頭に巻いてる。昭和の懐かしい酔っ払いだが、そもそもこの作品でネクタイは全く出てない。
 ゴルフ勝負になった際、キラメイグリーンは「味噌ラーメン」と言いつつボールをショット…これもどこかで?>
VOL.5
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共演NG
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星の子
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16

ウルトラマンZ

24話  セレブロによってファイブキングがコントロールされてしまい、正体を現したジャグラーは今度はゼッパンドンを呼び出して同化し、ゼット共にファイブキングと戦う。だがセレブロによってウルトロイドゼロはセレブロによって奪われてしまった。

 敵はウルトロイドゼロ。ヨウコに寄生したセレブロによってコントロールされており、世界中の怪獣を吸収した。そして殲滅機甲獣デストルドス。ウルトロイドゼロが怪獣メダルや世界中の怪獣を取り込んで怪獣化した姿で、全身に怪獣の頭がついた禍々しい姿が特徴。セレブロ曰く「ラスボス」。
 セレブロとジャグラスジャグラーそれぞれの目的が明らかになった。セレブロ自体は文明そのものを破壊するために人間に究極兵器を作らせることだった。そもそもセレブロはそうやっていくつもの文明を破壊してきたらしく、「文明自滅ゲーム」と言っていた。
 ユカによれば、ウルトロイドゼロはオーバーテクノロジーで、地球によって拒絶される存在だという。まさにそれこそがセレブロの狙いだった。
 一方ジャグラスジャグラーはそれを横取りすることで、その理由はウルトロイドゼロの力を用いて正義面した人間と戦うと言っていた。なんだか単純すぎる理由の気がしてならない。
 ジャグラスジャグラーはハルキの命を人質に取られてしまい、ウルトロイドゼロをセレブロに渡してしまい、それをベースにセレブロは最強の怪獣デストルドスを作り上げた。デストルドスの強さはゼットの力でも全く敵わず、大ダメージを受けたゼットはハルキに別れを告げていた。
 ジャグラーがハルキに言った「昔、樹を切ったことがある」というのはテレビシリーズではなくアマゾンプライム用のオーブ外伝のネタ。
<セレブロに寄生されたヨウコはギクシャクと動いてカメラでポーズ取ってる。『リング』っぽい演出だが、元ネタはそっちよりも『パラノーマル・アクティビティ』の方。>
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アングスト/不安
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15
読書
うちの会社の小さい先輩の話1
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 大学を卒業してある企業に就職した篠崎拓馬は、そこにいた低身長の先輩片瀬詩織里にとても喜ばれ、後輩君としてなにかと世話をされる。何事も無防備に関わってくる可愛い先輩の言動にいつも混乱させられっぱなしの拓馬と、それを温かい目で見守る同僚達に囲まれて仕事が始まる。

 Twitterで見かけた漫画の紙媒体単行本化作品で、実はこれをかなり待っていた。
 理想的なホワイト企業でロリ巨乳先輩とのラブコメ…なんというか、これだけ盛りだくさんの話に食指を伸ばすことはこれまでなかったのだが、なんだかこれにはまり込んでしまい、適当に開いてはニヤニヤしてる日々を送っている。
 しかしこんな甘々の話なんぞに…
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仮面ライダーセイバー

14話  賢人と飛羽真の努力で闇の世界に通じる本は一時活動を停止したが、賢人を失ってしまった悲しみに暮れるソードオブロゴスの面々。生き残ったカリバーは本を開こうとしていた。

 敵は仮面ライダーカリバー。そしてメギドの幹部連中全員。
 ソードオブロゴスの目的は闇の世界へと入る巨大な本が開く事を止めることと、本を生み出した光の柱を破壊する事の二つ。光の柱は破壊出来たものの、一瞬開いた本の中にカリバーが入り、カリバーを追ったセイバーも中に入っていく。
 仮面ライダーブレイズがパワーアップ。巨大なライオンに変形出来るようになった。ワンダーライドブックの改造だけでパワーアップしたので、かなりお手軽な感じ。
<ブレイズのパワーアップも左手に龍騎っぽいアイテムセイバーが龍騎ならブレイズはリュウガか?>
VOL.1
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Hosono Haruomi 50th ~Music, Comedy and Movie~
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私の愛する日本映画 <A> <楽>
石割 透
14
映画
羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019)
 森に住む猫の姿をした妖精の小黒(シャオヘイ)は人間の森林開発により住処を奪われてしまう。人の住む町で人間から逃げ回りながら生きてきたが、ある時、人間に襲われて危機に陥ったところを年経た妖精の風息(フーシー)に助けられる。その風息の案内で妖精の住む島に来た小黒は、そこで他の妖精達と交流し、ここに住むことを考え始めた。ところがすぐさま「妖精館」と呼ばれる妖精と人間の組織の中で最強の執行人と呼ばれる無限(ムゲン)の急襲を受けてしまう。風息達は逃げ延びたが、小黒は無限に捕まってしまい、妖精館に連れて行かれることになってしまった。そして二人の長旅が始まる。何度も無限の目を盗んで逃げようとする小黒と、一々捕まえる無限。そんなやりとりの中、小黒は自分の力の使い方を学んでいく。

 2019年に中国で製作され、世界的にヒットしたアニメーション作品。日本でも小規模な公開がされており、その際に観に行くつもりもあったのだが、見逃してしまっていた。それが気がつくとかなり多くの映画館にかかるようになって、全国公開へとこぎつけた。こういうこともあるんだとちょっと感心し、良い機会なので拝見。
 やっぱり大きな画面で音響もしっかりしてるところで観ると迫力がある。演出が良い作品だけに、大画面向きだ。
 日本のアニメの大部分のように目や口を大きくさせずに比較的リアリティのある東洋人の顔を色調を抑えたキャラの造形は凄い。見慣れたものではないのだが、これがこれからのスタンダードになる可能性まである。
 演出に関しても80年代〜90年代にあたる日本の劇場アニメ、宮崎駿大友克洋押井守あたりの演出を丁寧に解釈してい発展させてる。よく動くし、とても綺麗。色調を敢えてくすませたために派手なアクションでも目がチカチカしない。
 演出に関しては素晴らしいの一言。

 それに本作は設定がかなり面白い。
 妖精である小黒はこの作品を通していくつもの試練に出会うことで成長していく。
 小黒が生まれたのは昔かもしれないが、以降は森の中でなんの衝突もなくただ生きていた。この場合は自然と一体化しているために成長はない。
 小黒が成長を始めたのは最初の試練に遭ってから。それは自分の住み慣れた土地を人間に奪われてからだった。
 最初は自分が何者かも分からず、自分を傷つけるものに対して見境なく牙を剥くしか出来なかった。それまでは自然の一部だった小黒がこの瞬間に初めて自我が生まれ、精霊に変わった瞬間とも言える。
 その後、幼い自我を育てていたのが街の中で生きていた時。この時は食べ物を得るために逃げるだけの日々。この時自我が育つが、食欲を満たすために誰かと接触しなければならないが、そこでの選択肢は逃げるか立ち向かうかの二択のみである。それは正常な成長とは言えない。巨大な猫になることも出来るが、そのパワーをまともに使いこなすことも出来てない。
 小黒にとって本当に成長と言えたのは風息との出会いによるものとなる。触れあったのはたった一日程度のものかもしれないが、ここで初めて暴力以外のふれあいが出来たことで、話が通じる存在がいることを発見したことが大きい。この瞬間に精霊としては数百年単位で成長していたことだろう。
 しかし無限の襲来によって、精霊同士の温かいふれあいはたった半日程度で終わりを告げる。それ以降小黒は無限と旅を続ける事になるのだが、反発しか覚えない人間の無限と長く旅をすることは、小黒にどうしても敵わない存在があることを示すと共に、我慢を覚えることで精神の成長を促した。
 この旅を通して、小黒の心は最初に触れあった風息を信じ続けるのだが、価値観は一つだけでないことを繰り返し教え込まれる。無限も無理強いして小黒の考えを変えようとはせず、いろんな場所を巡りながら価値観を広げさせていた。ここで無限が小黒に説明したのは、小黒の「場」を作る能力がとても特殊なものなので、それをどう使うか判断しろというものだった。
 旅の間中ずっと無限には反発し続ける小黒だが、これまで文明と断絶していた小黒は、ここで多くの情報を取り入れ、人との付き合い方も学んでいくし、その中で文明もまんざらではないと思えるようになる。いくつかの価値観と、その中で自分が選択権を持っていることを知らされる。強いられた選択ではなく、自分で選べると言うことを繰り返し教え込まれていく。
 そして小黒は二つの価値観の狭間に置かれることになる。
 一つは風息らの精霊達に合流して、人間とは全く別の精霊の世界を作る事。そしてもう一つは無限たちが属する人間と精霊が融合した世界に合流すること。
 本作で重要となるのがその選択は小黒に任されているというところ。無限は敢えて二つの世界を小黒に見せながら、そこでどちらを選ぶかは小黒に任せてる。
 小黒自身は単に「場」を提供してれば良いだけの存在で他に何か力を持つ訳ではないし、「場」の提供も自分意思で無くても奪われてしまえば提供できる。だから小黒の意思はあまり意味が無いのだが、それでも敢えて決断を付けさせてるというのが本作の面白いところだ。

 小黒の自由意志を描くことは、本作における最も重要な点だろう。

 本作が作られたのは中国である。国際的な映画史上を持つ国家の中で恐らく最も映画制作に国家が絡むことになる。国の監視下にあって国に対する不満や現状批判を描くことは映画では極めて難しい状況にある。
 実際現状的に言っても、この物語はチベット問題やウイグル問題にもかなり関わってしまう。ここで描かれる精霊を少数民族と考えるなら、経済発展をしている中国に同化を迫っている現代の事情が透けて見えてしまう。
 だから本作の結末は最初から決まってもいたのだ。小黒は精霊と人との調和を選ぶし、マイノリティであっても同化できるというオチに持って行かざるを得ない。
 この結論はいくつもの可能性の内の一つだが(例えば似たテーマを持ったもののけ姫(1997)ウルフウォーカー(2020)と言った作品は全く違う結論になってる)、結論が決まってるというのが大きな制約になってしまう。
 これを「だから中国の映画は」と思考停止させずに考える事が重要だ。これまでの映画史を振り返ると、制約が強いからこそ生まれる傑作というのもあるのだ。
 この作品で、小黒に最後に選ばせること、自由意志を持ってきたことが重要なのだから。
 本作のテーマは二項対立だが、そのどちらにも価値観がある事をちゃんと見せた上で決断を委ねている。仮に結論は一つであっても、切り捨てたものも決して悪そのものではなく、そちらを選ぶことも出来たのだという含みを持たせたのが本作の大きな特徴だろう。
 そして本作は確かにその傑作と呼ばれる力を持ってる。映画単体として大変優れた作品であろう。
読書
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった3
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 無事破滅フラグを回避し、魔法学園の二年生に進級できたカタリナたち。学園で行われる学園祭に生徒会メンバーは大忙しだったが、何も役がないカタリナは食べ歩きしながらそれぞれの陣中見舞いをしていた。そして後夜祭が行われようとしたその時、何者かによってカタリナは連れ去られてしまう。

 1巻と2巻で一応物語は完結していて、その後の話になっていくのだが、新しい展開を模索しているかのよう。話自体はするっと終わってしまってるが、以降の展開に関わってくる強烈な新キャラが何人か登場してる。
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僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46
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S.H.フィギュアーツ ウルトラマンゼット アルファエッジ
12
映画
ドラマのエンディング
Friday Night Lights
シックス・フィート・アンダー
ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア
ブレイキング・バッド
30 ROCK/サーティー・ロック
The Office
セント・エルスウェア
フリークス学園
Newhart
読書
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 1巻と2巻で一応物語は完結していて、その後の話になっていくのだが、新しい展開を模索しているかのよう。話自体はするっと終わってしまってるが、以降の展開に関わってくる強烈な新キャラが何人か登場してる。
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弱虫ペダル
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プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵
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10
読書
サスケ2
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 父と共に山奥で忍術の訓練に励むサスケ。目的も無く、ただ静かに暮らしたいだけの父子だったが、忍者として優秀な二人は常に何者かに狙われてしまう。火の粉を振り払うために戦い続けなければならない二人。

 純粋に忍術合戦を描こうとした作品だけに、アクションの連続で、読んでいて痛快。著者のもう一つの側面だな。今巻では柳生一族との戦いと、前巻で滅ぼされたはずの九鬼一族の残党が次々やってくる。
 作品としては良いのだが、サスケと仲良くなった犬に火薬詰めて爆発させる技は読んでいてきついわ。後の人間爆弾の元ネタかもしれん。
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魔進戦隊キラメイジャー

34話  キラメイジャーに対して戦いを挑むヨドンナに対し出動したキラメイジャーだが、為朝をかばった時雨が毒液を浴びてしまう。時雨を救うためにはヌマージョの邪面を割るしかないが、ヌマージョに攻撃を与えられるのは毒液を浴びた人物だけだという。

 敵はヨドンナ
 21話の過去編に登場したヌマージョだが、その怨念は邪面に宿っており、その邪面を用いた作戦。為朝に的を絞った作戦で、為朝を苦しめるために敢えて時雨を毒に犯したとのこと。為朝と時雨の良い連携でなんとか勝利できた。
 ヌマージョの邪面は毒に犯された人間でないと攻撃できない。21話でも確かに毒に犯された王妃によって倒されていた。
 今回も二面作戦で、ジャメンタルが兄弟になったガルザは魔進エクスプレスを乗っ取る。いつもキングエクスプレスにされてしまった分の仕返しだそうだが、「やられたらやり返す。乗っ取り返しだ」の台詞はネタ過ぎ。30分でよくこれ収めたな。二話に渡ってもおかしくない詰め方だった。
 最後にちらっとヨドン皇帝の姿が現れている。いよいよ大詰めも近い。
<毒に犯されながら攻撃しようとするキラメイブルーは「飛ばない男はただの男だ」と言っていた。その通りだ。>
VOL.5
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「Fate/stay night [Heaven's Feel]」III.spring song
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アニメ大国の神様たち 時代を築いたアニメ人 インタビューズ <A> <楽>
三沢 典丈
09
映画
カイジ ファイナルゲーム(2019)
 2020年。東京オリンピック後の日本は大不景気に陥っていた。そんな中、アルバイトのような派遣の仕事しかないカイジ(藤原竜也)は、不定期に行われる賞金付きのデスゲームに優勝した。そこで金ではなく、ゲームの主催者に会うという選択をしたところ、東郷(伊武雅刀)という男の家に招かれる。そこで東郷は、カイジともう一人同じく優勝者で東郷と会う選択をした桐野加奈子(関水渚)と共に、あるゲームに参加するよう頼むのだった。それは金を持て余している富豪が財産を賭けて自らの人間的な価値を競うというものだった。東郷の真摯な気持ちに押されるように参加を決めるカイジと加奈子。

 福本伸行の人気漫画シリーズ「カイジ」もこれで三作目。全て佐藤東弥監督によって作られているが、個人的は一作目のカイジ 人生逆転ゲームはかなり面白かった。二作目のカイジ2〜人生奪回ゲーム〜は原作から映像への転換が今ひとつ上手くいってなかった感じ。
 それで終わってくれれば良かったのだが、三作目が出来るという。しかも原作から離れて完全オリジナルで。ひょっとして面白くなるかも?という気持ちもあったが、地雷の可能性の方が高かったため劇場では観に行かなかった。
 それでレンタルして観てみたが、少なくとも自分の勘に狂いは無かった。見事なほどの地雷作品。
 一応原作者も脚本に入ってるとは言え、原作の「カイジ」の面白い部分を全部無くしてしまった時点でもう駄目。
 「カイジ」の最も面白い部分はどこにあるのかというと、最も大きな部分は絶対不利の賭けに対して起死回生の手を出して逆転するカタルシスになる。これについては本作でもちゃんと描かれている。少なくとも一番面白い部分は確保している。
 ただ、それ以外の部分。特にカイジという人間の描写がまるで駄目。
 カイジというのは運も要領も悪く、更に人を信じすぎるために簡単に騙されてしまうのだが、基本的に人に対して温情を持ったり、わざわざ出張って人のために何かをしようとしない人物である。自分より弱い人間には手を差し伸べるが、何よりまず自分自身が助かるためにあがく。そのあがく姿を見るのが醍醐味である。余裕を持って相手を観測するとか、奥の手を隠してるとかの描写があるとカイジらしさがなくなる
 それで本作のカイジはどうか。胡散臭さ爆発顔の伊武雅刀の言葉に感動して一肌脱ごうと考えた時点でもはやカイジではない。単なる強運の普通の人間である。この主人公はカイジと顔は同じだが、全くの別人である。カイジではなく普通の人間を主人公にするなら、最初からそう言え。
 こちとらカイジを観たいのであって、ヒーローを観たい訳ではない。お陰でカイジならではの醍醐味が全部抜けたスカスカの物語を見せられることになる。賭の内容も大がかりな割に興奮できないようなもの。
 それぞれキャラは頑張ってるのだが、内容がスカスカなんで、観ていて気持ちが高まってこない。むしろ観てる内に心が冷えていく。
 結局終始つまらんもの見せられたという感想しか持てない。これがチープな作品だったらここまでこき下ろさないが、金と一流の役者使ってる分虚しさしか感じない。
 こう言うものを最低というのだ。

ウルトラマンZ

23話  対怪獣部隊として立ち上げられた第一空挺部隊は、ウルトラマンの力をコピーした最強のロボットであるウルトロイドゼロの起動実験を行おうとしていた。警備部に回されたハルキは充実感のない生活に飽き飽きしていた。ウルとロイドの起動実験が行われたその時、まるでそれに合わせたかのように地底から怪獣が次々と出現する。

 敵はオイル怪獣タッコング海獣キングゲスラ熔鉄怪獣デマーガ古代怪獣ゴメス地底快獣パゴス。全員売るとロイドゼロの脅威を感じて出現した。
 最終回序章となる話。解散されたストレイジに代わりロボットを運用することになった第一空挺部隊内部の話。一応ハルキもヨウコも防衛軍の隊員のため、一応防衛軍に在籍はしているが、完全にクサってしまってる。
 怪獣による妨害があったものの、ウルトロイドゼロの起動実験そのものは成功し、D4レイも暴走なく運用できた。ただし操縦者のヨウコは気絶してしまう。
 一方あんなに優柔不断だったクリヤマ長官が一気に好戦的に。その口からは「カレカレータ」の声が…
 防衛軍を辞退したヘビクラは銭湯でラムネ飲んでた。ガイに対するわだかまりはもう無くなったのかな?最後にゼットの前に現れて正体を現す。
 ウルトロイドゼロの姿はどこかで観たと思ったら、バット星人とダークロプスゼロの合成みたいな姿なんだ。
<タッコングとキングゲスラは駿河湾に出現してゼットと戦ってるのだが、その後相当に離れた山中に現れている。移動が早すぎだろ。>
Blu-ray1
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TENET テネット(2020)
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07
読書
ゼロで割る
テッド・チャン (検索) <amazon> <楽天>
 数学者のレネーはこれまでの常識を覆す新しい数式を発見する。しかしその数式を見つけて以来、彼女はこお世の常識も物理法則さえも実は不確かなものに過ぎないことに気づいてしまう。妻が妄想に取り憑かれてしまったと感じた夫のカールはなんとか彼女に研究を止めさせようとする。

 常識人には分からない真理に到達してしまった人間の話。タイトル通り「ゼロで割る」とはなんであるのかということを突き詰めたワンアイディア作品だが、ソリッドな短編にまとめられてる。アロノフスキー監督のπ(1997)に近いかな?
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仮面ライダーセイバー

13話  カリバーとの戦いに敗れ重傷を負ってしまい、意識が戻らない賢人を心配する飛羽真は、15年前に何が起こったのかを完全に思い出した。それは六つの光の輪の中心で扉が開き、ルナが吸い込まれてしまったのだ。カリバーがもう一度その扉を開こうとしていることを知ったセイバーを初めとする仮面ライダーはカリバーに戦いを挑む。

 敵は仮面ライダーカリバー
 カリバーの目的が果たされようとした。まるでラスト前なんだが、どうにも心動かされず心が冷える。いっそこのまま次週で最終回にならんもんだろうか?
 いや、でもひょっとしたら新展開後に面白くなるかも?
 前にもらったアーサーの力でセイバーが新しい力に覚醒してた。あと賢人が途中退場した。その内戻ってくる含みを持たせているので、悲しみが上滑りしてる。
<オープニングソングでは映画の宣伝で「ゼロワン」メンバー勢揃い。この一分くらいが一番燃えた。一生懸命作ってるのにこう言うのを言うのは心苦しいが、あと数話でこの作品終わらせて「ゼロワン」の続編作ってくれないだろうか?
 命がけの戦いというのに、楽しげに戦いの場に向かおうとする芽衣。もはやこのキャラの浮き方は半端ないものになってる。
 セイバーの新形態ドラゴニックナイトだが、形態も能力もほとんど仮面ライダー龍騎である。いっそ龍騎ワンダーライドブックとかにした方が良いんじゃね?>
VOL.1
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スーパーロボット レッドバロン Blu-ray
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05
映画
クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃(2016)
 ある日を境にしんのすけや幼稚園のみんなは同じ夢を見るようになり、夢の中で交流も出来るようになった。何でも叶う夢の世界ですっかりご満悦のみんな。だがある日突然その夢は悪夢に変わってしまうのだった。そんな時カスカベに引っ越してきた発明家の娘サキが幼稚園に転入してくる。早速ちょっかいを出すしんのすけに、サキは夢の話をしはじめる。

 大人気シリーズである劇場版「クレヨンしんちゃん」にはいくつかの話のパターンがある。主にしんのすけを中心に、家族を描くか、カスカベ防衛隊を描くか、新たにしんのすけのバディとなる人物(主に女の子)を配して二人で活躍する話にするか。これが概ね多くの作品で採用される(勿論異なるパターンの作品もいくつか存在するが)。
 本作はその中ではサキという女の子を登場させてしんのすけと二人で活躍させるパターンにカスカベ防衛隊の面々が加わるという、ちょっと捻った設定であり、更に舞台が夢の中なので、だいぶシュールな描写の作品になってる。
 クレヨンしんちゃんには不条理劇が結構はまるので、本作もなかなか面白い。多少高度すぎて子どもが理解出来るのかどうかちょっと疑問なところもあるが、逆にそう言った理解出来ないレベルだからこそ集中させるので、なかなか上手くいった作品だと思う。
 そもそも悪夢世界を描いた作品は私にもツボだし、それを無軌道に描いたことで観ていてかなり気持ちが良い。表現的にも結構楽しい。
 文句言うなら、他の作品と較べても偶然が重なりすぎていてご都合主義がいきすぎてることと、、夢の中の無軌道ぶりを強調するあまりに現実世界のしんのすけが理性を持った子どもになってしまったところに違和感があることくらいだろうか。

サンダーバードAREGO(3rd)

14話  ブレイマンのデータから、トレイシー一家の父ジェフが生きている可能性が出てきた。実は8年前、フッドが強奪した超光速実験船ゼロXを奪い返そうとして、ゼロXに閉じ込められたまま宇宙の彼方に放り出されていたのだ。生存の可能性を信じたトレイシー一家はフッドが用いた脱出カプセルに鍵があるのではないかと考え、それを探索する。

 いよいよジェフの探索へとフェーズが移る。太陽系から2.5光年先のオールトの海と呼ばれる宙域にいるそうだ。そこに行く方法がまず考えねばならない。
 今回の任務は二つ。爆発したはずのゼロXの残骸を宇宙で調べることと、フッドの乗っていた脱出カプセルを海底で探すこと。前者はアランとケーヨ、後者はスコットとバージルとペネロープが行っている。
 怪我で動けないゴードンはお留守番。無茶苦茶退屈な上にサンダーバード4号までスコットに取られてかなりクサっていた。
 2ndに登場したリースとドブスが再登場。相変わらず違法な廃品回収を続けてるらしい。たまたまゼロXの残骸にいた。
 ジェフがいる可能性のある場所は地球から2.5光年彼方。サンダーバード3号で10年で行けるそうだ。この時代では光速の1/4までスピード出せるようになったのか。
 しかし3号で10年かかる場所に8年で到達するって無理があるのでは…と思ったら、それはツッコミどころではなく解決すべき重要な謎だった。
 ケーヨが父親について話をしていた。初めて言及されているが、当然それはフッドの兄弟となる。ケーヨの話では本人も恥じ入ってるようだが…旧作のキラノに当たる人物のはず。
<スコットが新しいサンダーバード4号についてゴードンに説明していた。前回までの4号はやっぱり廃棄されたらしい。ゴードンが動けないから、スコットが使っている。
 宇宙ではゴミは一つところに集まるらしい。昔懐かしい宇宙のサルガッソーだ。>
三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実
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どこから来たのか どこへ行くのか ゴロウは? <A> <楽>
上野千鶴子
03
読書
JJM 女子柔道部物語4
小林まこと (検索) <amazon> <楽天>
 北海道大会に出場したカムイ南高校。強豪校相手にそれぞれ良い勝負をしていたが、中でも61キロ級に出場したえもは、一回戦、二回戦を順調に勝ち進めついにベストフォーまで勝ち上がる。

 猛特訓があったとしても、半年かそこらで道大会の準決勝まで勝ち上がる。流石にこの時点ではここまでで止まってしまったが、その結果大怪我を負ってしまう。スポーツに負傷は付き物。しかしそれで選手生命を絶たれる人もいる訳で、そのレベルの負傷にどう立ち向かうかという話になる。
<A> <楽>

魔進戦隊キラメイジャー

33話  ヨドンナによるヨドンアイビーを繁殖させる作戦と、ガルザによるアタマルドへの侵攻の二面作戦で地球は危機に陥る。オラディン王からの連絡でアタマルドの危機を知った充瑠は、小夜の救出、三体の邪面獣との戦い、アタマルドの救出全てを同時に行う事を決断する。

 敵はタンクリガニーシールドシェルガセンゴクバスラの三体の邪面獣。三体が縦列で突進することで大きな破壊力を得ている。
 まるで最終回のような絶体絶命の状況の中での戦い。この中で充瑠のひらめきで起死回生の作戦が展開した。これが最終回だったらストレートな肉弾戦となるところを捻ってるのが上手い。だから作品の途中でこの話があったのか。
 充瑠の作戦というのは、キラメイストーンとなったオラディン王は意識を別のキラメイストーンに移すことが出来るというひらめきで、キラフルゴーアローの中に意識を移して一度地上に来させ、それを撃つことでガルザの攻撃をかわした。
 その後、通常では破壊不可能なヨドンアイビーを破壊するため、オラディン王がキラフルゴーアローに宿って巨大化。キラメイジン、ギガントドリラー、キングエクスプレスザビューンの三体でアローを撃つという新必殺技が登場。恐らくこれが最強の攻撃となるのだろう。
<小夜の台詞「私はどうなっても良いから撃って」…いやあ。流石の台詞だ。
 ヨドンアイビーの種を巡っての攻防戦は、かつてゴレンジャーハリケーンを巡ってゴレンジャーとゾルダーの奪い合いを彷彿とさせるが、それが巨大戦でやってるため、大変見応えがある…というか、かなりもっさりしてる。>
VOL.5
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ペイン・アンド・グローリー(2019)
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Blu-ray2
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02
映画
ウルフウォーカー(2020)
 17世紀アイルランドの町キルケニーでは狼の脅威にさらされていた。イギリスから派遣された護国卿は狼退治のためにハンターを呼び寄せたが、その娘ロビンはキルケニーの町に閉じ込められることを嫌い、父の後を追って森に出てしまう。そこでロビンが会ったのは、人間と狼が一つの体に共存するウルフウォーカーの少女メーヴだった。彼女と仲良くなったロビンだが、彼女こそが父の狙う狼であることを知ってしまう。

 一貫してアイルランドの昔話にモティーフを取った作品を作り続ける監督による三作目のアニメーション作品。

 本作を単純に観るならば、「自然の保護」と「人間の居住権の拡大」のぶつかり合いで、その狭間で悩む主人公が結論を出す話となる。いわばもののけ姫(1997)のテーマ性を掘り下げた作品と言えるだろう。アイルランドはドルイド信仰の深い場所なので、結論は明らかで、もののけ姫が保留した結論を軽々と飛び越えてしまってる。
 これを分かりやすい自然賛歌と観ることは間違ってない。この些か単純な結論を判じてもののけ姫を超えたと言ってもかまいはしない。実際そういう側面もあるのだから。

 だが、私が本作に本当に惹かれたのはそこではない。本作の奥深い設定と、描写、そしてある種の性癖で思い切り惹かれたからだ。

 今回は17世紀。しかも1650年という細かい年が設定されている。これは1949年というのがアイルランドにとって大変な年だったからである。この年、イングランドで起こった清教徒革命の一環としてクロムウェルのアイルランド侵攻が起こり、イングランドの属国にされてしまった。
 本作はその翌年。つまりイングランドによる征服が行われており、イギリスから領主として派遣された護国卿がそれぞれの城塞都市を治めるようになっていく。当然征服者なのだから、アイルランドの国民にとってはイギリス人は憎むべき存在となる。当然護国卿に従ってこの都市にやってきたイギリス人は目の敵にされてしまう。そのような状況下での話というのを念頭に置かねばならない。
 1650年という限定された年だからこそ成立したこの設定。こう言う歴史に裏打ちされた創作物って大好きだ。

 そしてこれは人が精神的に自由になることもテーマにしている。
 アイルランドの町キルケニーの中で数少ないイギリス人であるロビンは大変辛い立場に置かれている。なんせ昨年まで敵として戦ってきた民族なのだ。少数のイギリス人が支配者階級としてのさばっているなら、当然市民はイギリス人に対して激しい敵意を抱いているはずである。そんな中で生活をしなければならないのだ。ハンターの父は城塞外で活動するから良いとして、ロビン自身は家に閉じこもるか、あるいは護国卿の下で働くか以外の選択肢がない。
 そんな抑圧を受けている状態だからこそ、ロビンは自由を目指す。今の彼女にとってその自由は自慢の狩りの腕を見せてハンターの父の手伝いをすることだったが、彼女の身を案じる父からそれだけは禁じられてしまう。
 父は娘を愛するからこそ、その身の安全を願うのだが、それは身を生かしても心を殺すことだった。

 そんな彼女がウルフウォーカーの少女メイヴと出会う。これは彼女の人生を大きく変えることになった。
 物語的に言えば、ウルフウォーカーの力が彼女に宿り、もう人間として生きていく事が出来なくなるという事だが、テーマ的に見るならば、むしろこれは抑圧され続けるしかなかった彼女の人生が一気に解放されるという、女性の生き方の問題へと話は転換する。いや女性に限ったものではない。自ら枷を作って不自由な生き方をしている人間に対して、その枷を解いた自由について描くのだ。彼女は人外のものになることで、初めて自由を手に入れた
 映画というのはそう言った自由を求める心を大切にしているもので、これはまさに映画!と言った感じだ。ストレートだからこそ作品全体のテーマは普遍的で大きい。こう言うすっきりした自由こそ大切!と言える作品を見せられて、なんか映画の原点を見せられたようでとても心地良い。

 もう一つ言うなら、ウルフウォーカーという存在そのものについて。ウルフウォーカーとは狼人間のことだが、これは映画的な主題はとても多い。ただ最近は吸血鬼の添え物にされてしまってる感じが強くなってしまい、ちょっと寂しい感じがあったが、狼人間単独でちゃんと映画が作れてるのは良いし、それに個人的にも犬を飼っている身で、犬の描写があるとなんか嬉しい気になる。
 自分の意思とは別にウルフウォーカーにされてしまったロビンが自らを受け入れる過程が良い具合だ。

 描写も上手い。日本のアニメに目が慣れていると、一見癖のある絵柄だが、まるで絵画がそのまま動いているかのようで民族性がとても出ていて、慣れると大変心地よい空間となる。
 そして本作を特徴付けるものとして、嗅覚を視覚に変換する描写が多いことが挙げられるだろう。狼の主観視点がこんな感じだと考えているのだろうが、人間とは明らかに違った視点は大変魅力的。まるで稲妻が走るかのように嗅覚が研ぎ澄まされる描写は本作特有で、他の作品にはない魅力を醸し出してる。

 全体的に褒める部分しかない作品なので、幅広い世代の人に見て欲しい作品だ。

ウルトラマンZ

23話  防衛軍の命令を無視したことから解散命令を食ってしまったストレイジの面々は、とりあえずの休暇命令が与えられた。街に出たハルキとヨウコの前にバロッサ星人が現れ、兄弟の仇を取ると宣言する。

 敵は海賊宇宙人バロッサ星人(三代目)。これまで倒された兄弟の敵討ちのために現れた。基本的に姿は変わってない。そしてジャグラスジャグラーが変身した合体怪獣トライキング超合体怪獣ファイブキング
 解散命令が出たストレイジの面々の描写が主体の話。一応休暇扱いのため、次の辞令が来るまでトレーニングで時間を潰すハルキとヨウコ。ユカとコジローは広報部に出張中で、セブンガーのデモンストレーションやってた。
 ストレイジを排除した防衛軍は新しいロボットを開発中。
 一方ヘビクラ隊長は他の面々とは違う目的を持っているらしく、暗躍中。バロッサ星人に手を貸していたりもする。その狙いは防衛軍の作っている新型ロボットの完成を手助けしているようで、敢えてゼットにゼスティウム光線を撃たせて防衛軍にデータを送っていた。
 バロッサ星人相手に見事な体捌きを見せるコジローは、これを「昔ちょっとな」と言っていた。その直前に「考えるな。感じるんだ」と言っていたので、何がモチベーションだったかはバレバレである。ご丁寧に親指で鼻をこする動作までしてる。
 巨大化したバロッサ星人に対して戦うゼットだが、そのサポートに久々のセブンガーが登場。やっぱセブンガー良いね。セブンガーを駆るヨウコはベリアロクを挑発してバロッサ星人を斬らせてたりもする。
<バロッサ星人によると、「地球のデンプンがバルバル細胞を活性化させる」そうで、タピオカを食らったら巨大化した。どこかに芋ようかん食ったら巨大化する宇宙人がいた記憶が…
 結局ハルキとヨウコは映画行けなかったみたいだが、そうなるとハルキが出した千円はどうなったんだ?>
Blu-ray1
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今日から俺は!!劇場版
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