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2023 | 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 監督・製作・出演 | |||||||
2022 |
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2021 | ベルファスト 監督・製作・脚本 | |||||||
2020 | ナイル殺人事件 監督・製作・出演 | |||||||
TENET テネット 出演 | ||||||||
2019 | アルテミスと妖精の身代金 監督 | |||||||
2018 | シェイクスピアの庭 監督・製作・出演 | |||||||
2017 | オリエント急行殺人事件 監督・製作・出演 | |||||||
2016 | ||||||||
2015 | ブラナー・シアター・ライブ2016/冬物語 舞台演出・出演 | |||||||
シンデレラ 監督 | ||||||||
2014 | エージェント:ライアン 監督・出演 | |||||||
2013 | ||||||||
2012 | ||||||||
2011 | マイティ・ソー 監督 | |||||||
マリリン 7日間の恋 出演 | ||||||||
2010 | ||||||||
2009 | パイレーツ・ロック 出演 | |||||||
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2008 | ワルキューレ 出演 | |||||||
イラク戦争へのカウントダウン 〜英メディアが描いた10日間〜 出演 | ||||||||
2007 | スルース 監督・製作 | |||||||
2006 | 魔笛 監督・脚本 | |||||||
2005 | ルーズベルト 大統領の保養地 出演 | |||||||
2004 | ジム・ヘンソンの不思議の国の物語 出演 | |||||||
2003 | ||||||||
2002 | シャクルトン 南極海からの脱出 出演 | |||||||
裸足の1500マイル 出演 | ||||||||
ハリー・ポッターと秘密の部屋 出演 | ||||||||
2001 | 謀議 出演 | |||||||
2000 | 舞台よりすてきな生活 出演 | |||||||
エル・ドラド/黄金の都 声優 | ||||||||
1999 | 恋の骨折り損 監督・製作・脚色・出演 | |||||||
ワイルド・ワイルド・ウエスト 出演 | ||||||||
ガラパゴス ナレーション | ||||||||
1998 | ボストン/愛の炎 出演 | |||||||
セレブリティ 出演 | ||||||||
ヴァージン・フライト 出演 | ||||||||
1997 | 相続人 出演 | |||||||
1996 | ハムレット 監督・脚本・出演 | |||||||
リチャードを探して 出演 | ||||||||
1995 | 世にも憂鬱なハムレットたち 監督・脚本 | |||||||
オセロ 出演 | ||||||||
1994 | フランケンシュタイン 監督・出演 | |||||||
1993 | から騒ぎ 監督・製作・脚本・出演 | |||||||
スウィング・キッズ 出演 | ||||||||
1992 | ピーターズ・フレンズ 監督・製作・出演 | |||||||
1991 | 愛と死の間で 監督・出演 | |||||||
1990 | ||||||||
1989 | ヘンリー五世 監督・脚本・出演 | |||||||
1988 | ||||||||
1987 | ひと月の夏 出演 | |||||||
ハイシーズン 出演 | ||||||||
戦火燃ゆる時 出演 | ||||||||
1986 | ||||||||
1985 | ||||||||
1984 | ||||||||
1983 | ||||||||
1982 | ||||||||
1981 | ||||||||
1980 | ||||||||
1979 | ||||||||
1978 | ||||||||
1977 | ||||||||
1976 | ||||||||
1975 | ||||||||
1974 | ||||||||
1973 | ||||||||
1972 | ||||||||
1971 | ||||||||
1970 | ||||||||
1969 | ||||||||
1968 | ||||||||
1967 | ||||||||
1966 | ||||||||
1965 | ||||||||
1964 | ||||||||
1963 | ||||||||
1962 | ||||||||
1961 | ||||||||
1960 | 12'10 北アイルランドベルファストで誕生 |
名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 A Haunting in Venice |
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数々の難事件を解決してきた世界的な名探偵エルキュール・ポワロ(ブラナー)は、疲れを感じ、イタリアのベネチアに引きこもり、毎日同じ生活を送る隠遁生活を送っていた。そんなある日、旧友にして敵でもあるオリヴァ(フェイ)が訪ねてきて、有名なオペラ歌手ロウィーナ(ライリー)の主催するハロウィンの降霊会に彼を誘う。霊媒師レイノルズ(ヨー)のトリックを見破るべく、降霊会に参加することにしえ見事トリックを暴くのだが、その直後レイノルズが何者かによって殺害されてしまう。屋敷の中にいる人間に犯人がいると判断したポワロは即座に屋敷の封鎖を命じるが、そのポワロ自身も命を狙われ… ケネス・ブラナー監督主演の名探偵ポワロ作品も三作目。一作目の『オリエント急行殺人事件』、二作目の『ナイル殺人事件』はかなり有名な作品だったが、三作目の本作はかなりマイナーな作品で、私も実は全く読んだことがない作品だった。それだけに大変楽しく観させていただいた。 今回はオカルトの話だが、推理小説とオカルトは相性が良く、よく一緒に使われる。人知を超えた犯罪が超自然的な出来事と思わせておいて、実はトリックがあったというパターンがよく用いられる。この場合オカルトはトリックとして用いられるので、実際に神秘的なものとして使われることはあってはいけない。それが鉄則となる。 基本的にその鉄則に則り、本作も一見神秘的な事件をポワロが鮮やかに暴くという物語になるが、これまでの二作品と較べて情緒が一気に増している。特に登場人物の大半が愛憎関係にあってかなりウェットな雰囲気を持った作品に仕上げていた。 ポワロ自身が引退後ということもあって、推理がもたついてしまってるが、それが本作の場合は良い具合にゆったりしてて、雰囲気に合ってた感じ。これまでで最も小品だが、一個の作品として完成度は高い。 あと、本格推理作品では珍しく本物の密室殺人事件が展開するのもポイントが高い。蓋を開ければ単純な話だが、この時代になってこう言う本格推理が見られただけでも大満足だ。 エキセントリックなキャラが多いのも特徴的かな?そんな人たちの雑音で、普通なら惑ったりしないポワロが彼らの言動に振り回されるのも引退後の話だからだろうか?本作の原作は未読だが、ポワロの作品を通して考えるにこう言うキャラではなかった気はした。 |
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ベルファスト | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1969年北アイルランド首都ベルファスト。ここで生まれ育った9歳の少年バディ(ヒル)は、大好きな映画とテレビと音楽に夢中な子だった。そんなある日、バディの家のすぐそばで暴徒化したプロテスタントの若者が、カトリック系住民への攻撃を開始する光景を目の当たりにする。それ以降、それまで同じ街で平穏に共存してきたプロテスタント系住民とカトリック系住民の対立が旧劇に激しさを増し、次第に街は暴力と恐怖に覆われていく。 90年代に監督としてのケネス・ブラナー作品を観始めた当時。どうも私には合わない監督だと思っていた。なんか演技が大げさだし、映画よりも演劇を見てる気分にさせられていた。ちょっとわざとらしい演技指導もリアリティから離れていて、ちょっと苦手だった。 しかし、最近の監督作は妙に馴染んでいる。特に2017年の『オリエント急行殺人事件』以降のエルキュール・ポワロ作品は妙に気に入った作品になってしまった。多分わざとらしさが良い具合にはまったのが推理小説なのだろう。結局現時点での三作全部劇場で観ているし、全部大いに楽しませていただいた。 そんな中で半自伝的作品ということで本作が日本でも公開されたのだが、観に行くつもりはあったものの、公開映画館が少なく、気がついたらもう終わっていた。そんなもので、配信となってから観たのだが、これは配信なんかで観るには勿体なすぎる内容だった。無理してでもこれは映画館で観たかった。間違いなく年間ベストに食い込む良作だった。 本作は監督の半自伝で、実際に目の当たりにしたアイルランドのカトリックとプロテスタントの争いを描くことになる。それは、自分の生活が一変するような出来事で、それを幼児の目から見た記憶として描かれている。このような幼児の目から観た自伝的作品は昔から少しずつ作られていて、大変素晴らしい作品も多い。近年ではキュアロン監督の『ROMA ローマ』(2018)という、とても好みの作品があった。あれは1970年のメキシコ暴動を描いたものだが、本作はその前年の1969年のアイルランド暴動で、距離は離れているものの、ほぼ同じ時期を描いたものになる。まさにこのような時代に生きていた人というのが感慨深い。 そして『ROMA ローマ』の共通点は、大きな事件に巻き込まれているものの、それによって主人公の生活が変わったと言うことはなく、そのまま人生は変わらず続いていく。ほんの一瞬巻き込まれ、思い出となった事件のことを描くことで、実質的に作品は、そこに生きた自分自身の普通の生活を中心に描いたことにある。 この当時のテレビで放映されていたのは「サンダーバード」や「スタートレック」であり、男の子だけにそれを楽しんで観ているだけでなく、自分自身を主人公になぞらえてオモチャで遊んでいたりとか、まるで私自身を見てるかのよう。 この部分だけで他のどの映画よりも共感度が高く、それだけでほぼ最高点と言って作品だった。自分自身の幼少期を思い出させるなんて、映画としては最高だよ。 『ROMA ローマ』は、監督は幼すぎるために大人の女性の方を主人公にしたために、子どもの方に共感出来なかったのだが、本作は主人公が少年のため、自分自身の幼児期を思い出して共感しまくってた点。作品としては『ROMA ローマ』に劣るかも知れないが、共感という意味ではものすごいレベルで頷ける作品となっていた。 |
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ナイル殺人事件 Death on the Nile |
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エジプトに旅行に出かけた名探偵ポアロ(ブラナー)はそこで“偶然”旧友のブーク(ベイトマン)と出会う。母(ベニング)と共にリネット・リッジウェイ・ドイル(ガドット)の結婚旅行に同行しているというブークに同行することになる。ところがリネットの夫サイモン・ドイル(ハマー)の元婚約者であるジャクリーン(マッキー)が現れ、この新婚旅行には暗雲が垂れ込めていく。 『オリエント急行殺人事件』に続いて送る推理サスペンスでケネス・ブラナー監督兼主演で名探偵ポワロを演じる作品もこれが二作目。 私にとっては本作は『オリエント急行殺人事件』以上に楽しみな作品だった。実は原作の「ナイルに死す」が未読だったから。クリスティの推理小説の大半は読んでたが、超有名作の本作だけ読んでなかったのは、本自体を持っていたのに引っ越しの際に無くしてしまい、そのままなんとなく読まないままここまで来てしまった(最初の数ページだけ読んでる)。更に1978年に作られた『ナイル殺人事件』も未見(これも偶然ながら冒頭だけ観てる)。読んでないからこそ、全くのまっさら状態で映画が観られるってだけで新鮮。 それで冒頭から驚かされるのは、オープニングシーンは戦争に出た若きポワロが大怪我をしてしまうと言うものだった。あの塹壕戦からすれば、当然あれは西部戦線での出来事で、近年『1917 命をかけた伝令』(2019)や『キングスマン:ファースト・エージェント』(2020)などでも登場した馴染みの光景だった。 これが一体何の意味が?と思うまでもなく、次なる展開は本編へと向かう。ここからエジプト旅行が始まり、怒濤の展開が待っている。 通常推理小説であれば、静かに始まるものだが、本作はサスペンスよりもまるでアクション映画のような演出で、次々と事件が起こるため展開が全く飽きさせない。 特に本作の特徴として、最初の殺人事件で事は終わらず、リアルタイムで事件は続いていると言うことがある。その中で人間関係も変化するし、登場人物は例外なく殺人事件に関わっていくことがある。これが極めて短い時間で起こるため、劇的なストーリー展開が可能になった。 そして映画特別な要素として、ポワロ自身が当事者になっているということだろう。オープニングとエンディングでポワロ自身の物語を語るのは、この作品自体にポワロ自身が一要素とて関わるということを示したのだろう。ちゃんとその要素も加えて物語が作られているのが面白い。 『オリエント急行殺人事件』ほど豪華俳優というわけではないけど、物語性で言えば本作の方が上をいってるし、ドラマ性も高いので、かなり見応えある作品になった。しかしなにより、犯人が分からない状態で観る映画は実に楽しい。 |
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オリエント急行殺人事件 Murder on the Orient Express |
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中東での仕事を終えた名探偵エルキュール・ポワロ(ブラナー)は、新たな依頼を受けてヨーロッパに戻ることとなった。そのため季節外れなのに満員となっていたオリエント急行に乗るのだが、そんなポワロは富豪のサミュエル・ラチェット(デップ)に、旅の間の護衛を依頼されるのだが、その物言いが気に入らず、その依頼を断ってしまう。その夜、サミュエルは何者かによって殺害されてしまう。その殺害者の候補は12人… アガサ・クリスティ原作の傑作推理小説の二回目の映画化。 最初の映画であるシドニー・ルメットの『オリエント急行殺人事件』(1974)はオールスターキャストが売りで、実に評価が高かった。 私もその点は評価するのだが、演出上少々間延びするのが難点。今にして思うと、なんでルメットに監督させたんだ?という気がする。 それに対し、40年ぶりにリメイクされた本作は、同じくオールスターキャストで、更に演出に隙がないものに仕上げられていた。 現代となってはやや短めの2時間程度の時間に収めるためには演出を詰め込む必要があったのだろう。全然飽きが来なかった。 おかげで演出・人物共に素晴らしく、物語は言うまでもない。ほぼ理想的な物語になってた。 …なってたんだけど、なんだろう。ルメット版と比べて気持ちが今ひとつ盛り上がらない。 その理由を考えてみると、二つの理由が思いついた。 一つにはこれが原作を忠実に映画化したと言うより、ルメット版のリメイクになってるということだった。ルメット版はあの小説をどう映像に落とし込むのだろう?という期待があったし、それを裏切らない出来だった。 対して本作は一度映像になってる作品がある分どうしても分が悪い。特にリメイクならば前作より演出は良くなってないと文句言われるし、オチも分かっている以上、某かのプラスアルファが欲しい。贅沢な望みである事は分かるけど、後発作品に期待することはそこだろう。 だがブラナー監督にそこまでのサービス精神はない。完璧な演出止まりである。 もう一つはやはり演出に関すること。 この作品の演出はほぼ満点である。演出にほとんど無駄がなく、かゆいところに手の届く演出を楽しむことが出来る。 だが満点の演出というのは言い換えれば余裕が無いと言うことでもある。ルメット版にあった溜めというか間延びした演出が、今になって観ると結構演出上の緩急を付けるのに役だったように思えてくる。そういった遊びの部分が無いため、ギチギチに詰まった印象を受けてしまう。 もう少し余裕のある演出を観たかったかな? まあ、この二つは贅沢な悩みには違いないし、本作単独で言うならば、大変優れた作品でもある。 ルメット版と同時期に観れば確実に本作の方に軍配は上がる。だが思い出補正をかけた上で本作を観ると、残念ながら足りなさを感じてしまうのだ。 総じて言うなら、ルメット版に思い入れのある人には本作はあまり評価されないだろうという所だろうか。 |
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シンデレラ Cinderella |
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2015米アカデミー衣装デザイン賞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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エージェント:ライアン Jack Ryan: Shadow Recruit |
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マイティ・ソー Thor |
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2011上半期ベスト第12位 2011興行収入第8位 2011違法ダウンロードされたハリウッド映画第3位 2012サターン衣装デザイン賞、ファンタジー映画賞、助演男優賞(ヒドルストン)、美術賞 |
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人類世界(ミッドガルド)より遥かに強大な種族が住むアスガルド。ここではミッドガルドの人類を含めた世界を守るために、ヨトゥンヘイムをはじめとする他の世界からの侵攻を守り続けることを使命とした一族が存在した。その王オーディン(ホプキンス)は老い、息子であるソー(ヘムズワース)に位を譲ろうとしていた。だがヨトゥンヘイムの巨人族軍勢が押し寄せてきたとの報を受けたソーは仲間達と弟のロキ(ヒドルストン)と共に巨人族を迎え撃つ。しかしなりふり構わぬ戦い方を見たオーディンはソーへの王位継承を延期。罰として力を奪ってミッドガルドに追放してしまう。地球に落下したソーは天文学者のジェーン・フォスター(ポートマン)によって発見されて保護され、地球での生活を始めねばならなくなる。 アイアンマン(2008)から始まったMCUシリーズも四作目。これまでに3年かかっているので、初期段階ではかなりのんびりした展開でもある。 このソーというヒーローはアベンジャーズの中では相当変わった存在となる。他のほとんどのキャラが人間ベースだが、このキャラだけは北欧神話における神であるトールそのもので、別次元の存在となるし、人類とは隔絶した強さを持つ存在である。 そんなのを劇中に登場させるとバランスが壊れてしまう。だからその力を制限させるために本作は必要だったと言えよう。 この作品でのソーは力の源であるトールズ・ハンマーであるムジョルニアとの絆を失い、無茶苦茶に強い人間という程度の力に抑えられていて、本当の力を取り戻すための物語となっていく。作り方としてはそれで間違ってない。話自体はシンプルだが、こう言うシンプルさも悪くない。外連味の強いブラナー監督がこんなシンプルな作品作れるのにも意外だった。 シンプルにしたのは良いが、この作り方をちょっと間違えるとスーパーマンそのものになってしまうという危険性がある。スーパーマンとソーは同じく神に等しいパワーがあって、弱点を突かれると人間と同じ程度の力になるという共通項が多いため、かなりその辺は慎重に作られている。 スーパーマンとソーの大きな違いは人間性にある。 スーパーマンの力は人類に対する無償の愛情から来るものであり、スーパーマンの神性というのは愛の具現化となるのだが、ソーの場合はあくまで人間的に自分の欲望をさらけ出すし、善悪の基準も極めて恣意的。要するに身勝手という事だが、そこを強調することによってスーパーマンとは違った魅力を作り出すことができた。 既にスター・トレック(2009)でのカーク役として評価を受けていたヘムズワースも新たな魅力を出すことができたのも大きいだろう。典型的なアメリカン・ヒーローだけでなくこう言う邪道なヒーロー役もちゃんと演じられる上手さが良く出ていた。 ただ、ある意味ヒーローとしては邪道キャラなので、単体での話の展開は少々難しいか?と思っていたのだが、そのままMCUキャラ入りして他のヒーローと共演させたり、邪悪な弟神であるロキに人気が集まったりしたことで息の長いヒーローキャラになってるのが結構意外。 |
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スルース Sleuth |
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2008サターンインターナショナル作品賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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魔笛 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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第一次世界大戦の西部戦線塹壕戦のさなか、フランス軍兵士タミーノ(カイザー)毒ガスによって気を失ってしまった。3人の従軍看護婦によって命を助けられたタミーノだが、実は彼女らは夜の女王(ペトロヴァ)の侍女であり、彼は夜の女王の前に連れて行かれる。暗黒卿ザラストロ(パーペ)に奪われた夜の女王の娘パミーナ(カーソン)の救出をタミーノに依頼する。女王から魔法の笛を贈られたタミーノは、従者として小心者の兵士パパゲーノ(デイヴィス)と共に、パミーナの救出へと向かう… シカネーダー原作でモーツァルトによるオペラ「魔笛」の映画化。古典好きのブラナー監督らしく、随所に遊びを入れつつ、舞台を第一次世界大戦へと持っていった。『アマデウス』でも用いられているので、映画好きなら曲に関しては知っている人も多いだろう。 この「魔笛」という作品は作品単体としては、実はあまり評価されてはいない。興行主のシカネーダーがモーツァルトに新作オペラを依頼する際、いくつかの古典を引用して(ついでにフリーメーソンの教義も中に放り込んで)、ほぼ間に合わせのように書いた脚本が元。これは当時の状況からして、大衆オペラを作るのはそんなものだと言われてもいる。文学的に言えば、物語の出来はさほど良くはない。ただし、それがモーツァルトの手によってオペラにされた時に、その迫力とエンターテインメント性溢れた内容として世に出てきたのだ。 物語を忠実に演じると、タミーノは最初夜の女王に選ばれ、彼女のために働いているはずなのに、いつの間にかザラストロの試練を受けることになり、その試練に打ち勝ったとき、ザラストロの方が良い人物になってしまうと言うひねりが入ってる。前半と後半で妙に雰囲気が異なってしまうという内容は、今に至るもその理由はよく分かっていないという。 どうやらブラナー監督は、そのねじれを更にねじってみせたらしい。 まず、名作を映画化したというのは良いのだが、ところで何故第一次世界大戦を舞台にする必然性があったのかが不明。近代にする理由付けはオープニングシーン以外何もなく、中盤以降は格好以外中世のオペラそのもの。設定の必然性が全く無い。 オペラ部分を英語にするのも痛し痒し。非常に分かりやすい英語で、名曲を聴くというのも新鮮な体験ではあるが、節回しとかが聴き知ったものと結構異なるため、「あれれ?」と思えてしまう部分も何箇所かあった。 総じて言えば、ブラナー監督が付与した部分は必然性が無く、「だからなんなの」で終わってしまうところがなんとも…まあこれが“監督らしさ”と言えばそのまんまだが。 とはいえ、手を加えなかった部分。オペラの演出に関しては申し分なしと言っておこう。CGのうざったさはあるものの、歌い踊りながらしっかり細部まで演技をこなしていて、それがはっきりと見て取れるのは映画ならではの良さというのもよく分かっていらっしゃる。 少なくともオリジナルの『魔笛』を知ってる人だったら確実に楽しめる作品。だけど、予習の必要な作品を映画と言って良いのかどうか。色々複雑な思いになった。 |
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フランケンシュタイン Mary Shelley's Frankenstein |
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1994米アカデミーメイクアップ賞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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医学を極めんと田舎からジュネーヴに出たヴィクトル・フランケンシュタイン(ブラナー)は、そこで異端とされる生命創造に取り憑かれた師と出会う。彼の研究を発展させ、ついに自ら新しい生命を誕生させることに成功したヴィクトルだったが、出来たのはあまりにおぞましい怪物だった… 数あるフランケンシュタイン映画の中で最も原作に近い作品。怪物の悲しさや、怪物を作り出してしまったフランケンシュタインの苦悩、そして生命創造という神の領域に足を踏み込んでしまった科学の罪、そしてゴシック趣味に溢れる機械のギミックなど、見所は確かに多い。 ここでのテーマは親と子の相克だそうで、親としてのフランケンシュタインと、子としての怪物との交流にスポットが当てられている。その心理劇として見ることも出来る… しかしながら、本作は原作のドラマ性の弱さというのをモロに露呈する結果となった。元々映画のために書かれたわけでない小説では、盛り上げ方も違っているので、小説版では視覚的なクライマックスというのが非常に弱い。むしろ精神的な盛り上げ方の方に重きを置かれ作品が作られているのだが、これをそのまま映画にしてしまうと、今度はヴィジュアル的な盛り上がりに欠けるようになってしまう。その辺は映画でも考えたみたいで、女性の人造人間を作る順番をわざと変えているとか、炎によるスペクタクル性を挿入したりして、何とか盛り上げようとしている。それは判るんだけど、この作品では殊更“怖さ”を廃しようとしたためか、盛り上がるはずの所が全然盛り上がって見えない。 オーバーアクション気味のブラナーも(本人の趣味でか、この人が作ったためシェイクスピアっぽい演出になるんだが)、メイクに何と12時間もかけたというデ・ニーロも演じ方そのものは上手いんだけど方向性そのものがどうにもねえ。何より創造者と被造物の哀しみにスポットを当てるはずだったのに、全然感情移入ができなかった。 結果として、1931年版の『フランケンシュタイン』の方向性の正しさというものを改めて考えさせられる事になった。 近年のコッポラの量産している「外し映画」の一つ(少なくとも私にとっては)。 |
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から騒ぎ Much Ado About Nothing |
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1993カンヌ国際映画祭パルム・ドール 1993ゴールデン・グローブ作品賞 1993インディペンデント・スピリット作品賞 1993ゴールデン・ラズベリー最低助演男優賞(リーヴス) |
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愛と死の間で Dead Again |
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1991英アカデミー助演男優賞(ジャコビ) 1991ゴールデン・グローブ音楽賞 |
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1949年。作曲家のローマン・ストラウス(ブラナー)は妻マーガレット(トンプソン)を鋏で惨殺した罪で死刑を宣告された…そして40年後、記憶を失い修道院に世話になっていた女性(トンプソン二役)が夜な夜なその時のビジョンにうなされていた。修道院長に呼ばれ、やってきた私立探偵のマイク・チャーチ(ブラナー二役)は彼女を引き取るが、そんな彼らの前にマドソン(ジャコビ)と言う男が現れる。彼は自らを催眠術師と名乗り、彼女の記憶を引き出してやろうと申し出るのだった。だが彼女の記憶から導き出されるのは全て40年前の過去のことばかり。しかもマイクと彼女の前には不思議な事ばかりが起こる。一体40年前の過去に何があったのか。そして彼女は… キャラクターは申し分なし。演出も上手い。褒めるべき要素はたくさんあるのだが、なんだか出来上がった作品はなんだかはっきりしない。 なんでだろ? 少し分析的に考える必要がありそうだ。 まずストーリー。輪廻転生を題材としたこの物語は…そうだ。ヒッチコックの『めまい』(1958)だ。なんだかストーリーそのものもそれに近いぞ。それになんだかサスペンス調の展開はデ・パルマの演出のような…多分それが鼻についたんだな。 あとキャラクターだが、申し分なくキャラは立ってるけど、よ〜く見てみると、極端にキャラが立ってる人物が一人…言うまでもなく主演のブラナーその人。過去であれ現代であれ、ブラナーばっかりが出てくる。自分の監督作品だから好き放題してるんだけど、要するにナルシストだろ?しかも演技過剰なブラナーに輪をかけて演技過剰のジャコビが絡む。特にシェイクスピアに思い入れがあるらしいこの二人がずーっと画面に登場するって事で、もうお腹一杯って感じになってしまう。良い演出には違いないけど、やっぱり演出過剰。せっかくのアンディ=ガルシアもロビン=ウィリアムズも霞んでしまってるよ。勿体ない使い方。 それとやっぱり、記憶が本当だったのか、植え付けられた偽の記憶だったのか、最後まで分からないまま放っておかれたので、終わっても消化不良なまま。 良いところはたくさんある作品なんだが… |
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ヘンリー五世 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1989米アカデミー衣装デザイン賞、主演男優賞(ブラナー)、監督賞(ブラナー) 1989英アカデミー監督賞(ブラナー)、主演男優賞(ブラナー)、撮影賞 1989NY批評家協会新人監督賞(ブラナー) 1990ヨーロッパ映画監督賞(ブラナー)、主演男優賞(ブラナー)、新人監督賞(ブラナー) |
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