Top
record

2022'09

 
30
読書
ナイトメア・アリー
ウィリアム・リンゼイ・グレシャム (検索) <amazon> <楽天>
 家出して巡業興業のキャンプに加わったスタントン・カーライルは、そこでいくつかの手品と読心術の手ほどきを受け、読心術の使い手として成功を収めたことで自信を深め、キャンプの娘モリーと組んで大きく成功しようと東海岸へと向かう。スタンの読心術は上流階級の人々の心を掴むことが出来たため、スタンはもう一歩進むことにした。

 これまで二本の映画(悪魔の往く町(1947)ナイトメア・アリー(2021))が作られた有名な小説で、やっと読むことが出来た。サスペンスホラーの名作とされていて、確かに面白いが、心理学の話はやっぱり半世紀も前のためにだいぶ違っているし、内容的にも色々問題がある話でもある。
<A> <楽>

暴太郎戦隊ドンブラザーズ

30話  はるかの叔母で保護者のゆり子がアノーニにさらわれてしまった。ゆり子を返す条件として、獣人を隔離して欲しいという。アノーニがドンブラザーズに渡したリストの中に、つよしの妻みほの名前があったことに動揺するつよし。他にもドンブラザーズの関係者の名前も多々あることが分かり…

 敵は超新星鬼。激辛好きな男小山が辛さを求める余り変身してしまった。星のような光を操って攻撃する。そして超新星鬼ング
 はるかの叔母ゆり子が中心になった話。誘拐されてしまったが、扱いは丁重で、更にアノーニの人間体はイケメン揃いと言うことで、まんざらでもない様子。
 一方、つよしは妻のみほが獣人だと知らされてしまう。それは視聴者にはもう分かっていたことで、もっと劇的に盛り上げるかと思ったが、獣人のリストの中に名前があったからというだけで、随分あっさり分かってしまった。更についにみほが夏実であることがばれてしまった。次週はいよいよ修羅場か?
 何故かドンブラザーズに好意的な獣人が現れ、ムラサメについて語っていたが、ムラサメは獣人を倒すために脳人の世界で作られた存在だという。そしてその獣人にもいくつかのレベルがあると言う。これまで現れて暴れていたのが猫。ドンブラザーズに危機を伝えた女性が鶴。他にペンギンがいると言う。何を言ってるのか全く分からないけど。
<辛いもの好きが怪人化する描写は無理があるというか、食べ物はネタにしない方が良いと思う。>
VOL.5
<A> <楽>
初恋の悪魔
<A> <楽>
日本昭和トンデモVHS大全(2022) <A> <楽>
29
映画
呪詛(2022)
 台湾に住む女性リー・ルオナンは、自分の娘ドゥオドゥオが呪いを掛けられてしまい、その呪いを解くために動画を作り、それを観た人たちの意思の力を借りたいと訴えかけつつ、何故呪いを受けてしまったのかを説明する。彼女によると、六年前に動画作成のために恋人のアードンと共に、アードンの祖父が入信しているという過激な宗教団体を取材しようと試みたところ、ルオナンは儀式に巻き込まれてしまったというのだ。

 2022年にNetflixで配信された途端に話題をさらった台湾産ホラー映画。ネットで「怖い怖い」言っているので、興味持って観たのだが、これは聞きしに勝る怖さを持った作品だった。
 21世紀になってからホラーはアジア系の作品で席巻されている。それは最初は『リング』(1998)『呪怨』(1999)から始まった、いわゆるJホラーからで、その後韓国映画の韓流ホラーがかなりの数が出されていく。はっきり言えばどっちも確かに怖い。どっちも単に怖がらせるだけでなく、様々な血縁やら地域の土着信仰やらが関わるため、ウェット系のホラーとなっていた。
 台湾産の本作もアジアンホラーの一本になるために、先行するJ・Kホラーに合わせたようで本作も相当にウェットだ。じめっとした怖さがじわじわくる。それは確かだし、ちゃんとリスペクトしている。しかし本作は真似だけに終わってはいない。そこに新たな描写をたっぷり加えているのだが、それは生理的な嫌悪感を催すアイテムの投入が主なものだった。それは例えば小動物や虫の大群を使ったり、人間の体におかしな痣を浮かび上がらせたり、プツプツした穴を出したり消したり。これらはモザイクやぼかしをかけなくても描写は出来るが、特定の恐怖感を持つ人が見ると鳥肌が立つような描写である。
 生理的な嫌悪感は様々。私は集合体恐怖症ではないので、そこはクリアできるが、人の顔のパースが狂ってくる描写はかなり苦手なため、結構恐怖感を感じる。
 それにこの作品、次の瞬間に何が来るか全く分からないというのもある。普通に歩いてるだけで次の瞬間車突っ込んできて跳ね飛ばされるとか、普通考えつかないようなショック描写があったりで、気が抜けない。最初からずっと緊張状態で、流石に途中で音を上げて何度かの中断を余儀なくされたくらいだ(中断できるのは配信作品の良いところで、ホラーなどは特に配信はありがたい)
 生理的嫌悪感を催す描写こそが本作の特徴ではあるが、それだけでなくたっぷりと既存の意味での怖さにも溢れているため、かなり複合的。ショックシーンもあるし、都会の人間が田舎の風習に絡め取られるヒルビリーホラーの要素もあり、得体の知れぬものにひたすら追いかけられる恐怖シーンあり、殺人鬼が現れるシーンあり。とにかく何でもかんでも入れてる。それで散漫になってないところが本作の最も面白いところだろう。いろんな意味で映画的怖さに溢れている。
 台湾ホラーという新しいジャンルが誕生したのを目撃できたのがラッキーかな。

ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪(1st)

4話  ヌーメノールに保護されたガラドリエルだが、エルフがやってきたときに滅ぶという予言によって歓迎されなかった。そしてそれを示すように天変地異が起こり始めている。一方南方国ではアロンディルはオーク王に引き合わされる。

 今回はガラドリエルが中心。彼女が保護されたヌーメノールはエルフ嫌いだが、その理由として、エルフと関わると滅ぶという予言があったのだとか。
 アロンディルの方は何故かエルフそっくりの姿をしているオーク王から人間との交渉の使者として解放を宣言される。最初に元々守護していた村へと向かったところ、そこで食べ物を探していたブロンウィンの息子テオを助ける。実はテオこそがオーク達が探していたものを持っていたことが分かった。それは前に偶然手にした剣の柄みたいなものだった。今もテオが持っている。
 エルフとドワーフの友好を願うエルロンドだが、ドワーフの鉱脈には貴重なミスリルが眠っていたことが分かった。ただ鉱山は落盤によって封鎖。
<ガラドリエルはヌーメノールの女王に同盟を働きかけるが、国の危機が近づいてることとサウロンには一見関係が無いので、その提案自体がおかしい。関係があるにしても話が飛びすぎてる。>
リコリス・ピザ
<A> <楽>
98式AVイングラム1号機 アルフォンス劇場版
27
読書
ニャイト・オブ・ザ・リビング・キャット1
ホークマン (検索) <amazon> <楽天>
メカルーツ (検索) <amazon> <楽天>
 人間を猫に変えてしまう特殊なウイルスがパンデミックを起こした世界。猫に襲われ次々に人間が猫になってしまう中、生き残りを賭けた人間の戦いが始まる。

 リビング・デッドものの定番を主題に、対象を猫にした作品。発想は面白いが、内容的にはあんまり特殊な感じはしない。本当に単に猫にしただけっぽい。猫は可愛いため、抱きしめたいのと嫌悪感が等間隔で襲ってくるくらいか?2巻では個性が出るのか?
<A> <楽>

仮面ライダーギーツ

4話  二回目のデザイアグランプリの三回戦が始まろうとしていた。だが先の戦いでゾンビジャマトに噛まれてしまい、徐々にゾンビ化している祢音は、最後に家に帰って母親と別離する。そして三回戦が始まる。

 敵はゾンビジャマト。そしてゾンビ化した仮面ライダーダパーン
 鞍馬祢音を中心にした話。前回の戦いでゾンビジャマトに噛まれ、このままだと自身もゾンビ化する状態で、その中で生き残りを賭けて戦うという話となる。オチとしては、完全にゾンビ化する前にデザイアグランプリを終了させれば良いと言うだけで、それがクリアできたため、祢音は生き残った。
 大金持ちの家に生まれ、両親から溺愛されている祢音だが、親の支配から逃げたがっていて、そんな自分が生きる実感を持てるのは戦いの中だけだという。これはかつて幼少時に誘拐されたことがちなみに彼女がデザイアグランプリで望んだのは、本当の愛とのこと。
 今回で祢音の仮面ライダーナーゴが覚醒してブーストを装着するが、ギーツのと較べるとかなりシンプル。性能に差があるんじゃないか?
 そんな祢音に寄り添う存在感の無い主人公だが、もう一人英寿も彼女を見守っていた。憎まれ口ばかり叩いているのに妙に優しいというのが面白い。なんか「仮面ライダーカブト」の天道みたいな位置づけだな。
劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア
<A> <楽>
スターエーストイズ ロッキー・バルボア コレクタブルアクションフィギュア
26
映画
桃太郎 海の神兵(1945)
 動物たちが住む村に、海軍に入隊していた猿、犬、雉、熊が休暇で帰ってきた。休みを満喫する彼らは自分たちは航空兵だと語っていたのだが、実は彼らは鬼たちの住む鬼ヶ島攻略のため極秘編成された海軍陸戦隊落下傘部隊であった。危険度があまりにも高い任務のため、最後の休暇として帰ってきていたのだ。やがて休暇が終わり、彼らは隊長の桃太郎と共に激しい訓練を行い、ついに鬼ヶ島へ攻め込む日がやってくる。

 太平洋戦争の戦中に作られたパラシュート部隊によるバレンバン奇襲成功を宣伝する目的で製作された国策映画で、子どもに理解出来るようにとモノクロアニメーションとして作られている。
 前々から映像の断片を観ることはあったため、機会があれば観てみたいとずっと思っていたのだが、なんとDVDで普通にレンタルされていたのを知って早速観てみた。
 桃太郎を将軍とする日本が鬼に支配されている国を解放するというストレートな内容で、これは子供達に日本の国の状況を的確に伝えることと、正義のために働くことの素晴らしさを伝えるために作られたもので、なるほどこれは紛れもなく国策映画だった。
 この当時の日本の正義とは、欧米によって支配されたアジアの国々を解放し、独立を手助けするという建前で、実質的にはアジアの国々を日本の植民地にするというもの。ここら辺を正義の行いとして描く事になった。今の目から見ると、この建前自体があまりに稚拙な上に、欺瞞だらけだと分かるが、それを信じ込ませるのが戦争というものだろう。
 アニメーションの出来は実によく、物資が少ない中、よくここまで綺麗な絵を作れるものだと逆に感心するし、とにかく良く動く。登場人物は多数なのだが、それがちゃんと動かせている力量は本当にたいしたものだ。今の日本のアニメーション技術は世界でも最高クラスだが、日本人の感性に合ってるのかもしれない。この当時からここまで動かせられるのだから、技術的には既にかなりのレベルにあったことを窺わせられる。
 ただ、強いて難点を言うなら、アニメーションの技術が発展していないため、どうしてもディズニー製の作品の影響が見えてしまうところか。手本はこれしかないので致し方ないのだが、それでアメリカに対するプロパガンダ作ってるんだから矛盾を感じてしまう。
 尚、本作のフィルムは長い間散逸したものと思われており、断片しか残っていないと思われたのだが、1983年松竹大船撮影所の倉庫でオリジナル・ネガが発見され、現在は完全な形で観る事が出来る。DVDも発売されているので、観てみることをお薦めする。

ウルトラマンデッカー

11話  スフィアに対抗するためかねてからTPUで開発が進められていた新装備のロボットであるテラフェイザーがGUTS−SELECTに配備されることとなった。ところがテラフェイザーに引き寄せられるように怪獣が次々と現れてしまう。

 敵は変形怪獣ガゾート。テラフェイザー配備直前に現れた飛行怪獣。現れただけで去って行った。そして稲妻怪鳥テラバッサー稲妻怪鳥ヒナバッサー。テラフェイザーの性能テストの時に現れ、集団でテラフェイザーを襲う。
 新戦力であるロボットの配備にまつわる話。テストをしようとしたら次々と怪獣が現れてしまうので、その度ごとに微調整を余儀なくされるという、ちょっとコミカルな話になってる。男の子はロボット大好きなので、男子達は妙に浮き足立ってたり、ヒナバッサーからAIユニットであるハネジローを守るためにラグビーの真似事をしてたり、デッカーに変身したのは良いけど、何故か等身大の大きさになってしまってその大きさで戦うとか。妙にコミカル描写が多い話だった。嫌いじゃないぞ。
 「ウルトラマントリガー」7話でキングジョーストレイジカスタムが落下したことも言及された。ここでの登場人物にとっては子どもの頃の記憶だが。
 ライバッサーおよびヒナバッサーの襲撃によってテラフェイザーの運用試験はグダグダになってしまったし、最初に出てきたガゾートも何もしてないので、まだこの話は続くのかも。
<ハネジローを横抱えにして一列で走ってるのはラグビーっぽいと思ったら、モロに怪獣相手にラグビーやってた。この描写はどっちかというと「秘密戦隊ゴレンジャー」っぽい。>
Blu-ray1
<A> <楽>
メタモルフォーゼの縁側
<A> <楽>
SHOT BY SHOT-ストーリーを観客に届けるために知っておきたい映像・映画監督術(2022) <A> <楽>
スティーヴン・D. キャッツ
24
読書
現実主義勇者の王国再建記1
どぜう丸 (検索) <amazon> <楽天>
 大陸ランディアの小国エルフリーデン王国で召喚魔法によって勇者として召喚された日本人相馬一也。勇者として目立った才能が無いため、他国との交渉材料として使われるはずだったが、王とじっくり話し合った結果、その政治的手腕を買われて、なんと王位を譲られてしまう。逼迫した王国財政を立て直すためにソーマ・カズヤの冒険が始まった。

 剣と魔法の世界の中でひたすら経済と政治だけに特化した姿勢に感心したために読み始めた。架空世界の話だからこそ、難しい話をシンプルに出来るし、ファンタジー要素を加えることでちゃんと異世界転生ものとして成り立ってる。
<A> <楽>

暴太郎戦隊ドンブラザーズ

29話  桃井タロウの元に、かつてタロウが斬ったソノイの葬式の案内が届く。脳人の罠だと分かっていたものの、一人でそこに向かうタロウ。そこでは歓待を受けたが、魂を失って抜け殻となったソノイの骸が突然起き出して襲いかかる。

 敵は爆竜鬼。永井という会社社長が何でもスピード重視するあまりにヒトツ鬼となった。アバレンジャーのエンブレムで攻撃する。そして爆竜鬼ング
 ソノイの葬儀にタロウが招かれ、初めて故郷である脳人の世界に足を踏み入れる。そこで丁重なもてなしを受けるものの、ドンモモタロウの力をソノイの骸に吸い取られてしまう。
 今回中心となるのはムラサメ。マザーの命じるまま地上で戦うムラサメだが、自分の目的を知らず迷っている。そんなムラサメが、同じく不完全な存在である桃谷ジロウに惹かれ、生きる意味について語り合う。二重人格のジロウだが、本来の性格は凶暴な方で、人との関わりの中で優しい人格が現れてきたそうだ。ただちょっと話しただけだから、お互いの正体については謎のまま。
 ムラサメの刀はを握った人間はムラサメの意識に乗っ取られておかしくなってしまう。ところが脳人の国で力を失ったタロウが握ったら力が戻った。訳が分からない。
VOL.5
<A> <楽>
モガディシュ 脱出までの 14 日間
<A> <楽>
スパイダーマン:スパイダーバース SVアクション マイルス・モラレス/スパイダーマン
22
映画
キングメーカー 大統領を作った男(2021)
 1968年。軍事独裁政権の打倒を目指す野党の政治家キム・ウンボム(ソル・ギョング)。しかし理想と情熱だけでは公然と買収活動を展開する与党には到底太刀打ちできずに落選を繰り返していた。そんなある日、ウンボムの事務所にソ・チャンデ(イ・ソンギュン)という男がやってきて、選挙スタッフに加わることになった。チャンデは、圧倒的な物量で勝る与党に対抗すべく奇抜な戦略と手段を選ばない汚い手口を次々と繰り出し、ウンボムを勝利へと導いていく。チャンでの尽力で若くして野党の党首選挙までこぎ着けるウンボム。しかしウンボムはチャンデのやり口を心から嫌っていた。

 今世界で最も尖ったポリティカルフィクションを描けるのは確実に韓国映画だと思っている。昨年観た『KCIA 南山の部長たち』(2020)は2021年視聴映画のトップだったし、これも評価が高いという事で是非観に行きたいと思っていたし、実際大満足の映画だった。
 『KCIA 南山の部長たち』もそうだが、韓国映画のすごいところは、元ネタがはっきり分かる人物をそのまんま映画に出来てしまうところだ。それこそ朴正煕であれ金大中であれ、すぐに分かる人物が主人公になってる。彼らにとってマイナスの部分まで描くため、遺族とかどう思ってるんだろう?とか思ってしまうが、その考え自体が日本的なのかもしれない。逆に言えば、それを考えてしまうために日本では実際の人物を描くのは難しいのかもしれない。韓国の場合は大統領が替わると、前の大統領を否定することは問題ないことにされるようなので、そのお国柄も入ってるのかもしれない。自民党がずっと政権を握ってる日本ではますます駄目だ。これに関しては到底韓国映画に敵わん(あのえげつない原作をかなりマイルドにした『小説吉田学校』(1983)が日本ではギリギリか。あるいは『新聞記者』(2019)くらいぼかせばなんとかかんとかといったところだが、あそこまでぼかすと何が何だか分からないレベル)
 その上で言うと、本作の位置づけは『オール・ザ・キングスメン』(1949)に近い。この作品は、人のために政治を志したスタークという人物が、やがて選挙に勝つことそのものを目的としてしまうようになり、青雲の志を失ってしまうというものだが、ここではウンボムがスタークの立場になってる。ただし少し違うのはそれに「ファウスト」の要素を加え、悪魔の誘いで彼が選挙に強くなることを描こうとした。しかも主人公はメフィストの側である。チャンデはウンボムの志を知っているし、それを心から応援している。しかし同時に選挙に受からないことには彼の思いを叶えることは出来ない。その矛盾を超えるために自らが悪となってウンボムを光のステージへと立たせる。
 はっきり言えば、これだけのシチュエーションを用意できただけでもう最高なのは確定。これを上手く料理出来れば本当に最高の作品になる。
 そしてこれが又上手いこと。チャンデは心からの献身でウンボムのために働く。そこに我欲は全くない。ただひたすらウンボムのためだけ。しかし彼のやっていることは裏技も良いところで、はっきり法に触れる方法である。ただ一方では当時の韓国の世相では与党の方が平気で法を破るので、それに対抗してるだけであり、彼らに勝つためには彼ら以上にえげつない方法を使わねばならないし、彼らのやり方の穴を突いて選挙民を引き込まねば選挙には勝てないのだ。与党も野党も完璧に違法行為をしてるのだが、相手を超えることが重要になる。金ではなく知恵を使って勝利するやり方が実に面白い。当時の韓国だから許された行為が次々と。本当にやったとすれば、ある種の痛快さと後ろめたさが絶妙な感じで入り込んでくる。
 観ていてとても心地良い時間が結構多く、観ている間は実に幸せな気分になっていた
 ただ、それはあくまでウンボムが頂点に上り詰めるまで。後は決裂しかなくなってから、話はきつくなっていく。そのきつさもほどよい塩加減で最後まで大満足で観ることが出来た(韓国の地域差の根深さは本で知っていたが、実際映像化されるとよく分かったという新しい視点も嬉しい)。
 満足はしたが、観終わると色んな意味で後味が悪い。
 それは前述したように日本ではこんなのが作られないという絶望感であったり、事実の金大中の後のことを思うと、20年以上の空白がこんなことで。と思うと、色々と複雑な気分になる(この空白の中の事件の一部が『KT』(2002)で描かれているので、こちらもお薦め)

 色んな意味で本当に面白い作品だった。

ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪(1st)

3話  ガラドリエルとハルブランドは西方の人間の国ヌーメノールの船によって助けられる。そこはエルフは歓迎されず、その処遇が決まるまで軟禁状態に置かれる。南方ではオークの一団に捕らわれてしまったアロンディルは、オークが何かを探していることを知るが、脱走できなかった。

 現時点では主人公は別の場所にいてお互いを知らないガラドリエル、アロンディル、ノーリの三人だが、それ以外に王族達の思惑が絡んでいく感じ。主軸が分かったのでレビューもしやすくなってきた。
 ガラドリエルの方は大きな船に助けられたのは良いが、エルフを嫌う国に連れて行かれてしまう。歓迎されておらず、処刑されそうになるが、なんか彼女の存在が不吉な予言に適合しているそうで、殺されそうになってる。エルフに同情的な船乗りのエレンディルから情報を得て、南方の王国に危機が訪れていることを知る。
 前回オークに捕まったアロンディルは奴隷のように働かされることになるが、他にも多くの民族がオークによって使役されており、エルフもその中にはいる。トンネルを掘るオークは何かを探していることが分かるが、それが何かは分からない。そこから脱出して人々に危機を伝えようとしているが、なかなか脱走できないまま。
 ノーリは移動中のハーフットの中でよそびとの存在がばれてしまって家族がつまはじきにされてしまうのだが、そのよそびとがノーリの家族を助けることになる。
「魔法のプリンセス ミンキーモモ」シリーズ・コンプリート BD-BOX
<A> <楽>
Blu-ray1
<A> <楽>
21
読書
パタリロ!25
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 パタリロを中心にした短編集。雪だるまの恩返し。フグ毒で死にかけたパタリロを助けようと必死のタマネギ部隊の願いを聞き、宇宙の彼方から薬売りがやってくる話。CIAのヒューイットが拉致されてしまい、パタリロとバンコランで別々に救出作戦を行う話。そしてタマネギ部隊の見習いがマライヒに恋をしてしまう話。

 基本全編短編集。キャラが増えたのでパタリロが不必要な話もいくつか出てくるようになった。それでもパタリロがいないと話が続かないのだが。
<A> <楽>

仮面ライダーギーツ

3話  デザイアグランプリから二回戦の通知が来て、集められる6人の仮面ライダーたち。今回のゲームは町に接近するゾンビジャマトを撃破し、市民に被害を出さないこと。スコアが最低だと強制離脱と言われ、慌てて戦う景和たち。

 敵はゾンビジャマト。ゲームの敵役として多量に現れ、これに噛まれるとゾンビ化する。造形としてはちょっと汚いポーンジャマト。
 一回戦がバトルロイヤルだったが、二回戦の戦いはタワーディフェンス。あきらかにスマホゲームがベースになってるな。単なるタワーディフェンスと違うのは、ゾンビに噛まれると徐々にゾンビ化するというもの。
 未だ戦いに慣れない景和は戦いよりも市民を守ることの方を優先しているが、相変わらずギーツの英寿とバッファの道長は優先的に
 三回に分けたミッションで、二回戦まで終了。スコア最低は祢音で、ゾンビに噛まれたのも二人ほど。
 祢音は本当の大金持ちだと分かったが、それでも配信者をやってるのも、複雑な心境からだと分かる。そして何故かそんな祢音を守るように戦う英寿の姿もある。
 ところで主人公が全くの空気状態なんですけど?
<最下位で焦った祢音は「ガチャとか課金とかないの?」と聞いていたが、あんまりネット用語使うのは感心しない。
 ゾンビフォームの武器はチェーンソーだった。ゾンビに対しての武器の定番か。『死霊のはらわた』かよ?>
スージーQ  コレクターズ・エディション
<A> <楽>
ブロッケン 1/35 ソフビキット 復刻版
19
映画
東京リベンジャーズ(2021)
 2017年。26歳でフリーター暮らしをしている花垣武道(北村匠海)は、ある日ニュースで中学時代の彼女だった橘日向が弟の直人とともに犯罪集団東京卍會(東卍)の抗争に巻き込まれ死亡したニュースことを知る。翌日、バイト帰りに何者かによって電車のホームへと突き落とされた武道は、轢死を覚悟した瞬間に人生の絶頂期だった中学校時代。12年前の2005年にタイムリープしていた。それはまさに武道の京野運命を作ったまさにその当日。この日不良仲間と共に渋谷の中学へ乗り込んだところ、地元の暴走族である東卍に袋叩きにされ、以降東卍の奴隷のような使いっ走りの日々を送ることになる。なんとかその運命を変えようと仲間達に訴えかけるが、誰もそれを聞かず、昔と同じくボコボコにされてしまう。だがその日、橘日向(今田美桜)に会いに行き、そこで弟の橘直人(杉野遥亮)と触れあった瞬間、再び2017年に戻ってくる。そこでは死んだはずの直人は生きていて、武道を電車から助け出す。直人と触れあうことで時代を超える能力があることを知った武道は、日向を救うために運命を変えようと再び過去へと向かう。

 原作は和久井健による大人気少年漫画「東京卍リベンジャーズ」で、その映画化第一作。いわゆるヤンキー漫画に“なろう系”ファンタジーを組み合わせた漫画で、この組み合わせの設定を考えた時点で勝利を得たような作品
 異世界転生作品の大きな特徴は、現代の知識を持った主人公が中世に似た世界へと飛ばされ、現代の知識を駆使して成り上がっていくというパターン。これはタイムトラベルものの作品では昔から作られていたもので設定自体は古典的だが、そこに様々な付加要素を加えることで楽しませようとしてる。これをヤンキー漫画に加えたところ、不思議な作用を起こした。
 いわゆるヤンキー漫画の特徴を言えば、主人公はやたら喧嘩に強く、拳一つでのし上がっていくというパターンで描かれることが多い。そうしないと主人公に魅力が出せないとこれまでは思われていた。ところがもし未来からの知恵を持つならば、弱くても上手く立ち回れるどころか奇跡的なことまで起こせるようになる。むしろ弱いからこそ、その奇跡が余計引き立つようになった。強い人は他の人たちに任せ、その強い人たちに信用される知恵袋のような立場にいる存在が出来上がった。これはすごい発見で、これまで見たことのない新しいヤンキー漫画が誕生した。
 更に原作はSFに近く、主人公は現代と過去を行ったり来たりすることで微調整を行う事が出来るので、二つの時代のドラマを並行して描けているので、これまた非常に面白い設定の話になってる。実際には喧嘩に強い人物は何人も出てくるので、彼らの戦いを観てる分は普通のヤンキー映画として楽しめるが、その裏で主人公が理想的な未来のために色々画策するのが面白く、複雑だが色んな要素があってお得感があった。
 この原作は映像向きで、先行するアニメもなかなか受けが良かったそうだが、実写でやるとかなり迫力が出る。充分すぎるほどに楽しむことが出来た。
 演出的には、ちょっと現実離れしてるとかヤンキー描写が痛々しいとか、物理的にはあり得ない喧嘩風景とか色々とツッコミどころはあるものの、その辺のツッコミも含めて演出に変えてしまってるところが面白い。

 褒める部分は多いけど、問題があるとすれば、私は根本的にヤンキー作品が苦手というところで、そこでどうもはまれなかったところ。拳で語る友情物語って苦手なんだよ。私の問題であまり高得点には出来なかった。

ウルトラマンデッカー

10話  怪獣が出現する度にGUTS−SELECTよりも早く現れ、怪獣を倒して去って行く不思議な怪獣が現れる。敵か味方か分からないまま、次の怪獣の出現を待つ間、カイザキ副隊長は遺留品からその怪獣の真相を探ろうとする。

 敵は新創獣ネオメガス。シゲナガマキによって作られた新型怪獣。怪獣を倒すために作られた人造怪獣で、通常のパワーでもデッカー以上で、光線技も使える。
 GUTS−SELECT副隊長のカイザキが中心となった話。恩師との意見の相違から仲違いをしてしまい、その恩師が復讐を込めて怪獣を作るという話。カイザキは怪獣と人間の共存を提唱しているのに対し、シゲナガは人間か怪獣のどちらかが滅ぼされると言っている。
 デッカーがガッツフェニックスと合体というか、ガッツフェニックスを鎧のように纏っていた。まるでアニメの勇者シリーズのようだ。あるいはアニメ版の「グリッドマン」か。
 話自体は「ティガ」44話のイーヴルティガの話とほとんど同じ。他の作品の引用も多く、更に新怪獣を人間が作るという無理目なハードルを簡単に越えてるためにリアリティなし。スフィアの存在感も全く無視してるし、一口で言うなら酷い脚本だ。
<キングゲスラが地中から現れているが、ゲスラは海から現れてこそだと思う。
 崩れ落ちる洞窟からカイザキを守るためにデッカーに変身するカナタ。これでばれなかったら馬鹿だ。
 シゲナガによれば、ネオメガスのコントロール装置は制御装置だけでなく高速装置でもあったそうだ。エヴァそのまんま。>
哭悲/THE SADNESS
<A> <楽>
戦後日本映画史ー企業経営史からたどる(2022) <A> <楽>
井上雅雄
17
読書
アメコミヒーローの倫理学
トラヴィス・スミス (検索) <amazon> <楽天>
 アメコミの主流であるDCコミックとマーベル・コミックは双方奥深い物語性を持っているが、その中で誰が倫理的に勝っているのかという観点から、様々な項目を挙げて、代表的な二人のスーパーヒーローを戦わせる。

 本当のファンにしか入り込めない領域でのアメコミの総論とも言える話。単純な強さではなく、社会的に何故彼らがヒーローと言えるのかを考察したものとなっている。
 ただ、これは本当にファンの戯言であり、個人用のブログに書く程度の内容であることも確か。
<A> <楽>

暴太郎戦隊ドンブラザーズ

28話  相変わらず逃亡生活を続ける犬塚翼の前に伊集院瑞穂という女性が現れ、弟子にして欲しいと願いこむ。どうしても欲しい絵があり、その思いでヒトツ鬼になってしまったが、その絵を盗まねばならないと願っているという。行きがかり上手伝わされてしまう翼。

 敵は科学鬼。どうしても大切な絵が欲しい女性伊集院瑞穂が絵の欲しさのあまりに変身してしまったヒトツ鬼。そして科学鬼ング
 犬塚翼が中心となって、一人の女性に振り回されるという話。オークションで絵を競り落とそうとする世間知らずのお嬢さんの度を超えた執着に引っ張られてしまう。ヒトツ鬼を手伝うことになってしまい、他のドンブラザーズと敵対することになってしまった。
 天才画家が最後に描いた絵は、その対象となるモデルに恋をしてしまったために失敗作となってしまい、画家の遺言でそれを処分するために絵を盗もうとしたというオチだった。
 しかしこれだけやってイヌブラザー未だにお互いに正体が分かってないとか、ほとんどギャグの世界。そのいい加減さが本作の持ち味か。
 突然ドンオニタイジンと虎龍攻神が合体してトラドラオニタイジンになった。伏線とか全く無しで、ドンモモタロウが言ったら出来てしまった。
 あと、オークションに絵が出されると聞いてノリノリの五色田介人はお金の有無を聞かれたときに「喫茶どんぶらにないものはない」と答えていた。介人は多元世界を行き来していたんだから、あながち間違ってない。
<犬塚翼の正体をばらそうという瑞穂は鞄の中に拡声器を持っていた。用意の良いことだ。
 オークション風景が古典的だが、こっちの方が良い。
 科学鬼は感情が高ぶると爆発する。それを見たサルブラザーは一言「芸術」と言っていた。番組が違う。>
VOL.5
<A> <楽>
X エックス
<A> <楽>
スケートリーディング☆スターズ
<A> <楽>
wiki
15
映画
ライトハウス(2019)
 19世紀のニューイングランド。沖の孤島に一つだけある灯台にこれから四週間灯台守をするために二人の男が着任した。着任時、既に何度もここに来ているというヴェテランの灯台守(デフォー)は、新米でイーフレイム・ウインズローと名乗る若者(パティンソン)に対し、高圧的な態度で接し、夜の間の灯りの管理は自分が全て行う代わり、日中の灯台管理の雑用は全てウインズローがやることにすると宣言し、重労働を課す。老人の評価で給料が決まることから、おとなしく老人の言うことを聞いていたウインズローだが、老人の言動に整合性の無いことから、何かを隠している事に気づく。

 2020年からの新型コロナウイルスの蔓延によって一時期映画館も閉鎖されてしまい、観るものが無くてストレスが溜まっていた時期が合ったが、年の後半からやっとポツポツと映画館にも行けるようになっていた。そんな時期に公開されたのが本作。
 私は悪夢のような映画が結構好きなこともあって、設定とか見ても面白そうだったので、そのつもりでいたのだが、監督の名前がエガースだと分かった途端に行く気が失せた
 これはエガース監督の作品が悪いというのではない。むしろ良い作品くらいだとは思うのだが、とにかく精神にきつくて、映画館で観るには耐えられないと思ったから。実際前作『ウィッチ』はなかなかに評判が良いのだが、私はこの作品をビデオで観てかなり精神削られてしまった。
 それでレンタル待ちで良い感じのタイミングで観る事が出来たのだが、予想を裏切らなかった。かなり精神に来る描写が多い。『ウィッチ』と較べるとこっちの方が更に面白いが、結構きつい。
 『ウィッチ』も本作も超常現象を扱っているが、重要なのは超常現象ではなくく人間関係の殺伐さと会話の刺々しさが痛い。結局本作もそれを踏襲しており、なんとも観ていていたたまれない気分にさせてくれる。様々な謎が登場するのだが、それがまるで解決しないまま終わるのも落ち着かない気分になるし、老人と中年の男二人の距離感が近すぎたりするため、距離感がバグって観ていてどうにも居心地が悪い。
 そう言う意味で不快さばかりが強調される作品だった。

 でも『ウィッチ』よりは少なくとも超常現象については分かりやすくなっているかもしれない。あくまで私自身の推測ではあるが、この作品は原初的な信仰を描くものではないかと思われる。老灯台守はここが何らかの霊的な場所である事をこれまでの経験で知っており、その経験の末に、超常現象の法則性に気づいている。新人に対してあれやこれや口を出すのもこれまでの経験の上で、やって良いことと悪いことがなんとなく分かっているからだった。それは理性的な意味でもなければ、常識的な意味でもなくて、なんとなく分かってきたという経験則に過ぎない。だから説明が出来ないし、説明しても無駄だと分かっている。彼が夜の灯台を誰にも任せないのと、光を見ると恍惚とした表情を浮かべるのは、彼がその超常現象から精神的な満足を得られる何かを得ていることを示している。
 これは非常に限定された空間と人員ではあるが、隔絶された村を舞台にした映画と同じ構造を取っている事が分かる。それはつまり『悪魔のいけにえ』(1979)『脱出』(1972)に代表される、いわゆるヒルビリー作品と同じ構造である。ヒルビリー映画は、都会の人間が田舎にやってきて、勝手に振る舞ったら、田舎の人たちに襲われるという構造の作品であるが、本作はその登場人物を極めて削って二人だけでそれを行っているという事になる。老人が田舎の常識を知っている村人役で、新人が都会からやってきた、空気を読まないタイプの人間という構造である。
 そうすると、あのラストシーンもある程度納得いく。それはつまり、そこにいる霊的な存在を慰めることが出来た老人が消えたことで、その霊的存在は、慰めを失って新人に襲いかかった。新人の方は事前にカモメを殺したということで、殺されるフラグが既に立っていたということになる。老人が灯台の場所に新人を連れて行かなかったのは、そこに入ったら確実に殺されることが分かっていたからなんだろう。
 田舎に行ってタブーを犯したら殺される。実にパターンの作品だとも思える。

 そう考えるとかなり分かりやすいのだが、全部推測に過ぎないので、間違いがあるかもしれん。それでも自分なりに納得いったんでそれで良し

ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪(1st)

2話  サウロン探索の打ち切りが宣言されたその時、空から光が落ちてきた。それは一人の男で、そこに居合わせたハーフットの少女ノーリによって助けられた。一方護送船から逃げ出したガラドリエルはその海域を筏で下っていた人間たちに助けられる。そして引き揚げ命令は出たものの、オークの危機は去っていないと判断するアロンデイルは命令を無視して再び駐屯地へ向かう。

 前回ラストで流れ星が落ちたが、その中にいたのは人間だった。とても強い力を持つが、コミュニケーションが出来ず、彼を助けたハーフットのノーリと会話するのに苦労している。
 サウロン探索を中止したエルフは新しい世代に入る事を決意し、ドワーフとの交渉に入っている。ここでの中心は前回ガラドリエルにサウロン探索が終わったことを宣言したエルロンドだった。交渉は一見失敗してるが、少しずつ交渉は進んでいるようでもある。
 そして船から脱走したガラドリエルは人間によって助けられるが、お互いにいがみ合ってた。
 丸一時間使って話はほとんど進んでない。今のところ関わりを持つのは人間とエルフとドワーフ。種族ごとに反発しているのが前回より明確になったことくらいかな?展開がちょっとのんびりしすぎでは?
キャメラを止めるな!
<A> <楽>
ウルトラ怪獣・宇宙人150 研究序説(2022) <A> <楽>
14
読書
風と木の詩3
竹宮惠子 (検索) <amazon> <楽天>
 コンブラード学院に来る前、ジルベールは叔父のオーギュストによって育てられた。オーギュストが来る前は碌々教育もされていなかったが、彼のお陰で急速に常識を得ていく。しかし彼の心の中には誰にも入り込めない硬い領域があり、そしてそれはオーギュストも又持つものだった。似たものとして慈しみ、似たものとして憎むオーギュストの心に翻弄されるジルベール。

 ジルベールの過去話だが、何故あのような青年に育ったのかの説明をしているはずだが、むしろジルベールの後見人にしてジルベールの愛するオーギュストが主人公となる。明らかなアダルトチルドレンの症状を見せるオーギュストの行動がかなり痛々しいが、よくこんな設定考えついたとそっちの方に感心する。
<A> <楽>

仮面ライダーギーツ

2話  突然仮面ライダーに選ばれたと言われドライバーとコアを渡された桜井景和。何が何だか分からないままドライバーにコアを接続したところ、神殿のような場所に飛ばされてしまう。そこには景和と同じく仮面ライダーに選ばれて呼ばれた人たちが多数集まっていた。そこでナビゲーターのツムリという女性が現れ、地球を狙うジャマトと戦い、勝ち残れば自分の理想の世界を作る事が出来ると言われる。そして一回目のミッションはジャマトに奪われた宝箱を探すミッションだった。

 敵はルークジャマト。戦闘員であるポーンジャマトの上位存在らしい。
 前回いきなり試合が始まったと思ったら、すぐに終わっていた。このゲームは人知れず定期的に行われていて、ゲームが終わるとその都度リセットされるという事。前回のゲームは仮面ライダーギーツに変身した世英寿が優勝したが、そこで自分が有名になる世界を望み、飽きたので再びゲームに参入している。しかもギーツに変身したのは今回も英寿。主人公であるはずの景和が変身したのはタヌキ型の仮面ライダータイクーンだった。
 デザイアグランプリに参加してする人たちはゲームに強制参加させられ、そこで倒されると命を失うとのこと。バトルロイヤルっぽいが、「龍騎」とは違った形だ。どっちかというと「GANTZ」の世界観に近い。
 ギーツに変身する英寿は何か目的を持ってこの戦いに参加しているようだ。前回優勝したがそれでは満足できなかったらしく、再度参戦している。口が上手く景和を騙して必要なアイテムをちゃっかり手に入れていた。景和を騙したことをはっきり口にしたが、一方ではグランプリに脱落した平孝人の息子のために大金を寄付していたりもする。不思議なキャラだ。
<タヌキ型ライダーの名前はタイクーン。こっちの方がはるかに主人公っぽい、あるいはボス敵っぽい名前だ。>
トップガン マーヴェリック(2022)
<A> <楽>
スーパーカブ
<A> <楽>
wiki
12
映画
ジュラシック・ワールド 新たなる支配者(2022)
 イスラ・ヌブラル島の大噴火から4年が経過した。あの事件で恐竜を解き放ってしまったオーウェン(プラット)は同じ罪を背負ったクレア(ハワード)と、14歳になったメイジー(アチー)と3人で人里離れた地で暮らしていた。ある日、オーウェンは家の近くに住むヴェロキラプトルのブルーが子供を産んでいたことを知るのだが、その直後にブルーの子とメイジーを誘拐されてしまう。一方、巨大イナゴの大発生による農作物被害を調査していたエリー・サトラー博士(ダーン)は、バイオテクノロジー分野の巨大企業バイオシンが関係していると疑念を抱き、かつてのパートナー、アラン・グラント博士(ニール)と共に、バイオシンの嘱託教師をしているイアン・マルコム博士(ゴールドブラム)を訪ねていた。

 『ジュラシック・パーク』(1993)から既に30年。ジュラシック・パークシリーズで3作。そして新たな続編『ジュラシック・ワールド』(2015)から3作の続編が作られ、合計6作目となる本作。ジュラシック・シリーズを全て包括し、完結編として作られた作品となる。
 これが最後の作品、しかもパークとワールドの二つの物語の本当のラストということで、かなり期待していた。特に私は前作である『ジュラシック・ワールド 炎の王国』(2018)のラストシーンがかなり好きなので、それをどう決着付けるかには大変興味があった。
 それでかなり期待度が高かっただけに、出来たものの失望感が大きい
 良かった部分を言えば、パークの方のキャラ三人が全然変わってなかったところ。歳は食ったものの、サム・ニールに至っては見事なイケオジになっていて、これまでで一番格好良いと思えるようになった。『ソー:ラブ&サンダー』(2022)でなんじゃこれは?な役で出ていたので、これは結構嬉しい。ジェフ・ゴールドブラムのマルコム博士は随分丸くなったが、苛つかせることない良いキャラになってる。
 この程度ではあるが、褒めるところは確かにあった。

 ただし、あとは丸ごと駄目。最初からラストに至るまで見事なクズ
 まず演出面。それなりに力が入ってるし、特に街中でのバイクとラプトルのチェイスはとても見応えがあるし、全員が揃ったところで巨大恐竜に囲まれた際、『ジュラシック・パーク』を思わせる演出を用いるなどしたが、そのどれもこれもが全部どこかで観た画面の焼き直し。オリジナリティが本当に低い。見応えだけで突っ走るのは駄目な続編の典型的例
 ストーリーにおいても、やっぱり既知感溢れる描写が延々と続く上に、やってることが単に恐竜から逃げて脱出だけになってるので、全く盛り上がて見えない。これも全くオリジナリティなし。この時代にこれだけ単調な作品をよく作ったもんだ。あと、前作のキーパーソンであったメイジーの扱いもなんというか。少女のビルドゥングスロマンにするという、おそらく最もやるべきでないものを敢えて選んでしまった。彼女こそ人間と恐竜をつなぐ存在なので、話を地球規模の大きさで関わらせねばならないのに、個人的な問題だけ。前作であれだけの問題を起こしておいて、それに関して罪悪感まるで無い思春期のよくある物語にしてしまったのは、あまりにいい加減すぎる。
 何より問題が設定面。恐竜と人間が突然共存してるようなしてないような中途半端な設定が全くリアリティ無し。前作で解放した恐竜とは全く違う恐竜が多数出てくるとか、インフラの危機に人間は無力なのにちゃんと発展してるとか、恐竜と人間の共存がまったくもって噴飯物。一番の売りになるべき部分をここまでないがしろにした脚本を書ける神経が分からん
 挙げ句の果てに恐竜より怖いのがイナゴだというストーリー展開はもはや笑うことさえ出来ない。そう言う作品もあるし、論理的には間違ってないかもしれない。しかし、本作はそれを敢えて無視して恐竜を出すから意味があるのだ。最も重要なはったり部分を矮小化させた脚本には失望を禁じ得ない。

 『炎の王国』のラストがすごくワクワクさせられただけに、こんなゴミみたいな作品見せられた脱力感たるや。それでもダメージが軽微だったのは、スター・ウォーズの『最後のジェダイ』から『スカイウォーカーの夜明け』を先に見ていたから、まだ耐えられたというところか。いずれにせよクズみたいな作品だが。

ウルトラマンデッカー

9話  カナタがウルトラマンである事を知ってしまった女性から、黙って欲しかったらお父さんと戦って欲しいと言われる。実は彼女は宇宙から来たグレゴール人で、宇宙で名の知れた格闘家である父の引退の花道のためにウルトラマンと戦ってほしいと願っていたのだ。

 敵はどくろ怪獣スフィアレッドキング。地中から現れたレッドキングがスフィアに寄生されて更に凶暴化した。そして宇宙格闘士グレゴール人グレース。長く格闘家として活動してきたが、引退を考え、
 カナタがウルトラマンデッカーだとばれてしまう話。ばれた対象が地球人でないのでノーカンか。
 怪獣にプロレス技で戦うシーンが多いが、この場合、監督は河崎実を引っ張ってくるべきだと思うぞ。なんか隊長がノリノリで協力してるのが微笑ましい。GUTS−SELECTのメンバーのための食事も作ってるとか。
 今回は格闘家の方に戦いを譲ってサポートに徹したデッカーは、前回トリガーからもらったウルトラデュアルソードを用いてウルトラディメンションカードからウインダム、ミクラス、アギラの三体を呼び出した。
 グレース役は中村浩二。知る人ぞ知る着ぐるみ格闘家で、ティガやダイナの中の人でもある。だいぶ老いたが、元気な姿を見られたのは嬉しい。なんか彼の引退試合を観てる気がしてきた。
<ウルトラマンデッカーであることがばれて驚くカナタだが、あそこまでおおっぴらに変身しておいてばれないと思ってた方がおかしいと思うぞ。せめてどこかに隠れるとかしろよ。
 グレースとGUTS−SELECTの試合が行われたが、基本GUTS−SELECTは総力戦でしかも飛び道具だけで攻撃してる。それって一方的な蹂躙じゃね?
 ガッツファルコンとガッツホークは空中で静止出来るのだが、どうやってだろう?>
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022)
<A> <楽>
VOL.12
<A> <楽>
10
読書
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった8
山口悟 (検索) <amazon> <楽天>
 各国の大使を招いての晩餐会が大々的に行われることとなった。公爵令嬢であるカタリナも出席しなければならなくなり、厳しいマナー教育を受けさせられる。あまりに詰め込みが長引いてしまったため、疲れて庭で昼寝をしていたところ、見慣れぬ異国風の男から声を掛けられる。

 これまで帝国の中だけの話だったが、ここからは外国の交流が入ってくる。ただ、やってることは全くこれまで通りで、単にキャラが増えただけという感じ。方向がぶれまくってる気がする。
<A> <楽>

暴太郎戦隊ドンブラザーズ

27話  プールで夏を満喫するドンブラザーズの面々。そこに現れたソノイはタロウに勝負を挑み、タロウもそれを受ける。そしてその時は近づくが、タロウはいつも通り配達の仕事を続けていた。

 敵は魔法鬼。かつて忍者鬼になって挑戦した現代忍者大野が今度は魔法使いとなって挑戦する。そして魔法鬼ング
 唐突にドンモモタロウとソノイの決戦が展開する。本当に唐突で、冒頭のプールでくつろいでいたところで出会って約束したら決戦となってしまう。その後タロウは休んだ同僚のために仕事をして、ソノイがそれを手伝うという、妙にほのぼのした展開となってる。この人を食った展開は流石井上敏樹脚本だ。
 それで決戦が始まったと思ったら、ドンドラゴクウとドンムラサメが現れ、更に魔法鬼とお獣人まで現れ決戦とかじゃなくなってしまった。
 そして最後に一対一での決戦が行われ、ドンモモタロウが勝利を得るが、倒されたソノイの体はドンムラサメによって連れ去られてしまった。
 戦いの中でソノイから獣人とドンムラサメの正体の推測が語られる。脳人の世界では人間をエネルギーとしていたが、桃井タロウの実家であるドン家が人間を多量に殺してエネルギーを得られるように獣人を作ったのだが、それが暴走して脳人の世界を犯すようになってしまった。それこそがドン家が脳人の裏切り者とされている理由らしい。
 あと、決戦用に特訓はしないのかと聞かれたタロウは「特訓して強くなるなら楽なもんだが、俺には無意味」とか言っている。ヒーロー作品を真っ向から否定するような台詞だが、ちゃんと理由がありそう。
<宅配に行ったお宅の主婦はおでんをつまみにドンペリ飲んでた。なんだその描写?>
VOL.5
<A> <楽>
ユンヒへ
<A> <楽>
女になれない職業 いかにして300本超の映画を監督・制作したか。(2022) <A> <楽>
浜野佐知
08
映画
北西騎馬警官隊(1940)
 19世紀末のカナダ。フランスからアメリカへと強引に編入されようとしていたことに反発を覚えたメティス(入植者フランス人と現地人との間に生まれた子達の子孫)たちが反乱軍を組織しアメリカから派遣されてきた騎馬警官隊に戦いを挑んでいた。そんな中の1885年。メティスのリーダー(バンクロフト)はアメリカ本土で奪い盗った最新鋭のガトリング砲をカナダまで運び入れた。盗まれたガトリング砲を追ってテキサス・レンジャーのダスティ・リバース(クーパー)が国境を越えてカナダ騎馬警官隊の砦に到着した。守備隊のリーダー(フォスター)といがみ合いながら、共に砦の防衛を戦い続けていく。

 1940年全米興行成績4位という記録を残したスペクタクル戦争映画。カナダのサスカチワン地方が舞台となっているが、実際にはパラマウント撮影所で大部分が撮影され、オレゴン州ユージーンでの追加撮影によりそれらしく見せている。
 この時代に作られた作品としては、本作が単なる戦争スペクタクルで終わっていないのが特徴的である。
 まず一つは本作が実際の史実を元にしたものである事。19世紀末に元フランス領であったカナダは独立する。その際にそれを良しとしない現地の人々の反乱があったという史実を元に作られた作品で、相変わらずの物量演出で大変凝った作りになっている。
 二つ目として、聖人君子がいないというところだろう。戦場なのだから殺伐としているだけでなく、主人公を含めて仕事でやってるという態度を誰も崩そうとせず、仲の悪い者たちがすぐにいがみ合う。しかし一旦的が来るとちゃんと連携して戦っていくという戦場のリアルをこの時代からもう作っていたという事。
 既に第二次大戦は始まっていて、戦争の現実を知った人が多くなってきたことも原因だろう。理想的な聖人君子が悪の化身の的をやっつけるという構図ではもはや受けないことを前提に、リアリティを付けることで質を上げたのだろう。
 かなり良いところまで行った作品だとは思う。

ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪(1st)

1話  悪の象徴サウロンとの戦いから幾星霜。平和となった中つ国にエルフのガラドリエルは戦士としてサウロンの配下のオークと戦い続け、消えたサウロンの行方を追っていた。そんな折、エルフの上級王ギル=ガラドは敵は消えたと宣言し、ガラドリエルら調査隊にエルフの郷へ帰ることを命じる。

 劇場版『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚となる本作は、かつて中つ国で起こった多くの種族の連合軍と悪の帝国との攻防を描く事となる。完全なる平和が訪れたと思った瞬間に不吉な流れ星が現れたところで1話は終了となる。軽くホラー風味なのは監督がバヨナだから?
 劇場版でケイト・ブランシェットが演じた最も高貴なエルフとして登場したガラドリエルの若き頃の話で、長く戦士としてサウロンと戦い続けたという設定の人物。劇場版と較べてもまだ若いからか、とても過激な性格をしている。
 最初のサウロンとの戦いではサウロンが消えて戦争も立ち消えとなったが、その後の平和期がまず最初の舞台。長くサウロンの行方を追っていたガラドリエルが、何の手がかりも見つけられずに中つ国に帰ってきたところ、徐々に不穏な空気が漂うようになっていたという話。エルフ王の命令を無視して探索したためエルフの郷に強制送還されそうになったガラドリエルは送還船から脱走する。
 一方南方出身で同じくサウロンの手がかりを求めているエルフのアロンデイルというキャラが登場しているが、彼もエルフ王の命令によりお役御免とされたことに不満を感じている。
 そして隕石の落下を目撃したハーフットの少年も登場してる。
 どうやらこの三人が中心となって話は展開するのだろう。
 ただ、ちょっと気になるのはガラドリエルがサウロン探しに躍起になっている理由がちょっと薄弱なのと、箱庭感が強いところだろうか。バヨナ監督は期待してる監督だが、これは合わないんじゃないかな?
 あと人間族にとってエルフ族はあまり良く思われてない描写があるが、その理由が今ひとつ分からない。いわゆるなろう小説でも人類による亜人種に対しての差別がよく描かれるが、これもその文脈だろうか?
<南のエルフは黒人が演じている。それで全く問題無いと思うけど、原作では出てこないのでトールキン原理主義者はどういう反応するかな?>
a-ha THE MOVIE
<A> <楽>
Blu-ray3
<A> <楽>
07
読書
僕のヒーローアカデミア10
堀越耕平 (検索) <amazon> <楽天>
 合宿訓練中にヴィラン連合に連れ去られてしまった爆豪。その責任が自分にあると落ち込む緑屋出久に、同じように責任を感じている同級生の面々が集まってくる。一方、ヴィラン連合のアジトを特定したヒーロー達は大規模攻勢をそこにかけようとしていた。

 前巻が雄英の面々による激しい戦闘だったが、今巻は基本的にヒーローに任せ、出久たちはこっそりそれを眺めているだけ。とはいえ、展開はタメと解放が上手く噛み合っているので静かに燃える感じで良い具合。
<A> <楽>

仮面ライダーギーツ

1話  終活中の桜井景和はどこの会社も落ちてしまって落ち込んでいたところを、姉の沙羅と食事をしていたところを謎の怪人に襲われてしまう。姉は何故か全く怪人の影響を受けないため、一人逃げていったところを怪人に囲まれてしまう。その時複数の動物の顔をした何者かが現れ景和と、たまたまそこにいた動画配信者の鞍馬祢音を助け出す。しかし彼らが現れてからますます怪人の数が増えていく一方だった。その上に

 敵はポーンジャマト。多数現れた戦闘員。突如多数現れ東京を襲う。
 第一話。最初から複数の仮面ライダーが登場する話で、しかもその一人はあっけなく倒され消滅してしまった。
 仮面ライダー達によれば、これはゲームであり、怪人を倒して人を救うとポイントになるとのこと。一定の時間が過ぎると街は再生され、今までの戦いは記憶から失われ、倒された人も記憶を失って復活する。そしてそのゲームに半ば強制的に参加させられる主人公の桜井景和。
 最初に仮面ライダーギーツに変身するのは主人公ではなかったが、彼がレベルアップしたため、その資格が主人公に与えられたということらしい。
<ツッコミとは言わんが、主人公の名字は桜井か。桜井という名字で仮面ライダーになった人物が過去にいたが、なんか関係あるんだろうか?
 浮世英寿の自己紹介は、「ギーツだ。仮面ライダーギーツ」だった。007意識しすぎ。>
バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー
<A> <楽>
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
<A> <楽>
wiki
05
映画
RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編]僕は君を愛してる(2022)
 冠葉と晶馬の努力にもかかわらず謎のペンギン帽子の言う“ピングドラム”は見つからないまま陽毬は危篤を迎える。そんな陽毬を救ったのは謎の医師渡瀬眞悧だった。陽毬の命を長らえさせるには高価な薬が必要と言われ、冠葉はついにある決断をする。一方、姉桃果の日記を失ったことで急に晶馬に対する気持ちに気づいてしまった苹果。

 『RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編]君の列車は生存戦略』に続き投入された後編。陽毬が元気だったテレビ版前半はどっちかというとコメディ展開で、映画の方もそれに準じて割とおちゃらけた雰囲気だったが、陽毬が命の危機を迎えたところから話は一機に加速していく。それまでちりばめられていた謎も次々に明かされ、前半のほんわかした雰囲気の裏でこんな凄惨なことが起こっていたのかも見えてくるようになっていき、ラストの怒濤の展開へとなだれ込んでいく。
 そしてここにおいて設定も色々深まっていく。

 テレビ版を含めてこの物語自体をちょっとまとめてみると、まず荻野目桃香という少女が全ての始まりとなる。彼女は不思議な力を持ち、ある呪文を唱えることによって自分の望む世界を作り上げることが出来る。彼女はそれを「運命の乗り換え」と呼んでいたが、それを行うと自分の体にダメージを食ってしまう。彼女が元々いた世界では多蕗 桂樹と時籠ゆりの二人の幼友達が死んでいたのを、彼女が運命の乗り換えをしたお陰で二人は生き残ることが出来た。
 そして16年前。テロリストグループが都内を全て破壊する爆弾テロを行おうとした。中心は三人。二人は晶馬の両親であり、もう一人は渡瀬眞悧という。この日、都内全てを吹き飛ばそうとする爆弾テロが起こる。テロ自体はとても限定的なものになってしまったが、この際苹果の姉である桃香がテロに巻き込まれて死んでしまった。真実は、テロを行う直前の眞悧の前に桃香が現れ、運命の乗り換えを行ったことでテロは限定的になり、さらに二人とも死亡しきれず、桃香はペンギンのぬいぐるみに、眞悧は黒い兎に残存思念を残すことになった。そして実はこの日こそ冠葉と晶馬、そして苹果の生まれた日である。
 そして残された二人の夫婦は、今度こそテロを成功させるべく、地下に潜って水面下で活動を続ける。二人の間に生まれたのが晶馬で、この日に生まれたことで運命の子とされている。その後、二人は再びテロを行おうとし、そのために奇跡を起こす力を手に入れようとする。そのために晶馬と同じ日に生まれた冠葉と二人を命の危機に陥れることによって、ピングドラムと呼ばれる奇跡の力を手に入れようとした。その結果、冠葉がリンゴの形をしたピングドラムを手に入れたが、その奇跡の力を自分自身と晶馬の命を救うために用いた。
 ピングドラムがないと再度のテロは成功しないが、肝心なピングドラムが機能不全に陥ってしまったため、晶馬の両親はその手を探すため、ピングドラムが機能回復することを願って冠葉を養子に取り、二人を双子として育てる事となる。ここでもう一人陽毬という少女が冠葉と晶馬にくっついて来て、三人兄妹として育てられることになる。
 しかし三人が十分成長する前に両親はテロリストである事がばれてしまい、冠葉にだけ連絡先を渡した上で三人を残して逃亡してしまう(実はおそらく内ゲバによって死亡したことが劇中発覚する)。
 その後、三人はテロリストの子として後ろ指を指されながらも平穏な生活を送っていたが、元々体の弱かった陽毬は命を失ってしまう。これが物語の始まり。
 死んだはずの陽毬だが、桃香が変化したペンギンの帽子が陽毬の頭に被さり、そこでとりあえず、ほんの僅かな時間命を取り戻す。プリンス・オブ・クリスタルと呼ばれる存在となった陽毬は桃香そのもの。そしてほんの僅かな命を用いて冠葉と晶馬にピングドラムの探索を命じる。
 ただしピングドラム自体は半分となって冠葉と晶馬の中にあり、陽毬はそのうち冠葉の中にあるピングドラムの半分、つまり1/4をもらい、もう少しだけ命を長らえる。
 この時点で冠葉と陽毬は奇跡の力をほぼ使い果たすことが分かった。このままでは二人とも死んでしまう。
 冠葉と晶馬の二人は桃香の残した日記にピングドラムのヒントがある、もしくはその日記自体がピングドラムではないかと推測して日記を手に入れようとした。日記に書かれているのは奇跡の力ではなく、運命の乗り換えの力だったが、そんな事を知らない二人は自分自身の中に陽毬を救う奇跡の力があるのを知らないまピントのずれた探索をする二人だったが、前提がずれている以上ピングドラムを手に入れられないまま陽毬の命が尽きる。
 そこに登場するのが桃香と共に霊的な存在として生き延びた渡瀬眞悧である。彼が高価な薬(おそらくはピングドラムの模造品)を用いることで陽毬の命はあと少しだけ長らえる。
 眞悧と桃香は陽毬の命を出汁にして二人ともピングドラムを求めるが、眞悧はそのピングドラムを再度の爆弾テロを成功させるために欲し、桃香はそれを防ぐためにその力を欲した。
 桃香の命令と眞悧の命令の双方を聞く形となった冠葉はピングドラムの力なしにテロ計画を進めていく。
 そしてテロがほぼ成功になりかけた時、桃香の運命の乗り換えの力のキーワードを悟った苹果と、自分の中にピングドラムの力があることを理解した晶馬が冠葉を止めるために同時に現れ、二人同時にその力を使った。
 この結果、晶馬の取り出した半分のピングドラムは冠葉と陽毬の中にある1/4のものと合わせて完全な形を取り、運命の乗り換えを行った苹果と陽毬の命を救う。その代償として冠葉と晶馬は命を失う。

 …というのがテレビ本編のフローとなるが、この映画の前後編で描かれた新作映像では、死んだはずの冠葉と晶馬がどうなったかが描かれていく。
 実はこの二人、桃香と眞悧と同じく半分霊体の状態となり、二人がいる図書館にたどり着いた。もはやピングドラムを失って、何も力を持たない二人は、そのまま霊体として生きる事になったはずだが、ここで本当の奇跡が起こる。おそらくこれは二人が命を賭して世界を救ったためのボーナスのようなもので、記憶を失って少年の姿となってしまったが、再び命を得て生き直すという物語になっている。
 テレビ版のラストシーンでは、道を歩いていた二人の少年がリンゴの話をしていたが、まさにそれはこの映画版の物語を経て生まれ直した冠葉と晶馬の姿であったと言うことである。

 そう言う意味で、テレビ版から、少しだけ新しい設定を付け加えて、いくつかの謎を解き明かしつつ展開したのがこの劇場版という事になる。
 ただ設定として明らかになったのはほんの僅かに過ぎない。まだまだいろんな設定が手つかずのままだ。桃香の日記が運命の乗り換えが出来る理由とか、ピングドラムの起こせる奇跡の範囲とかのメイン部分もそうだが、冠葉の本当の妹である真砂子が持つ能力はどこから来ているのか、白と黒の熊のぬいぐるの意味は何かなど、未だいくつか謎は残っている。この辺に関しては原作者兼監督の方も考えてないんじゃなかろうか?
 それとも原作というかノベライズにはその理由も書かれているのか…やっぱり読んでおくべきか。

 色々と取り残しはあるものの、劇場版を作った理由はちゃんとあるし、見応えもあり。何より大画面で観られたことなど加味して結構高い点数を上げたい。

ウルトラマンデッカー

8話  スフィアメガロゾーアへの攻撃を突然止めてしまったトリガーのことが理解出来ないカナタはケンゴに詰め寄るが、ケンゴはスフィアメガロゾーアの中から聞こえたカルミラの声に、カルミラも救いたいと言うのだった。しかも謎の植物が人々を幻覚に陥れる。その植物の姿はかつてケンゴが育てていた植物ルルイエとそっくりだった。

 敵は邪神スフィアメガロゾーア。中心にいたカルミラを引き剥がされた後にカルミラを含めた三人のウルトラマンによる同時攻撃で倒された。そして超古代植物ギジェラン。スフィアメガロゾーアによって活性化した巨大植物で人々に幸せな幻覚を見せる植物。マナカケンゴがかつて育てていた植物ルルイエとそっくりな姿をしている。
 前作「ウルトラマントリガー」のサービスに溢れた話で、ケンゴがユナと再会してGUTS−SELECT臨時隊員として戦う話で、
 ケンゴから、一体何を目的にするのかと聞かれたカナタは、自分自身何を求めているのかを考えるようになった。「みんなを笑顔にしたい」というケンゴの言葉に、何をしたいのかは未だに分からないが、ケンゴにカルミラを引き合わせる。それで復活したカルミラは突然仲間になってしまうので、ちょっと「え?」って感じでもある。、敵が味方になる展開は安直すぎるかも。一応カルミラだけでなくヒュドラとダーゴンも復活しているらしい。なんか後でまた出てきそうな雰囲気はある。
<ケンゴと二人っきりになったらいきなり抱きつくユナ。良いのそれ?
 かつて自分が呼び出して使役していたメガロゾーアの扱いが酷いカルミラ。ペットが懐かなかったら捨てるタイプだな。>
ベイビー・ブローカー
<A> <楽>
VOL.11
<A> <楽>
03
読書
「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気
牧村康正 (検索) <amazon> <楽天>
山田尚久 (検索) <amazon> <楽天>
 「宇宙戦艦ヤマト」の企画から監督までこなし、アニメの一時代を作り上げた西崎義展という人物の破天荒な生き様を描き、いかにしてアニメ界に足跡を残したのかを、多くの人たちのインタビューから考察する。

 虫プロから始め、ほぼ詐欺師のようなやり方で金儲けと名前を売ることを続けてきた男の生き様。ほとんどの人たちから嫌われながら、それでも突き進む生き方が出来る人間は滅多にいない。こう言う人間が世界を変える。
<A> <楽>

暴太郎戦隊ドンブラザーズ

26話  喫茶どんぶらで「仮面ライダーリバイス」の最終回を観ていたドンブラザーズの面々。マスターの介人はその最終回に合わせてドンブラザーズも終わらせようかと提案する。そして最終回特別企画としてMVPを決めると言い出す。

 「仮面ライダーリバイス」の最終回を受けて、突然この作品も終わるという人を食った内容。脚本は初めて井上敏樹以外となるが、この名前は?実質的にはこれまでの戦いとキャラの振り返りだけ。話が複雑なために振り返ったら色々分かってきた。ちなみに犬塚翼は未だに正体を知られてないため、ソノザが説明していた。
 それで結果としてMVPは五色田介人になった。理由はドンブラザーズの面々は半年しか戦っていないが、自分は「機界戦隊ゼンカイジャー」を通して一年以上も戦っているからだとか。時間の問題かよ。
 それでMVPからのプレゼントだと言って渡されたのは五色田介人の写真集だった。当たり前だが話は続く。そもそも広げるだけ広げた伏線が一切明かされてないのだから、終わらせようもない訳だが。
<リバイスの最終回を観ていると言うことは、この世界は2022年8月28日以降となる。完全なリアルタイムか、それとも未来ということが分かった。
 介人はゼンカイザーとして戦ってきたことを隠しもしないが、ドンブラザーズの面々はそれを誰も突っ込んでない。>
VOL.5
<A> <楽>
劇場版「からかい上手の高木さん」
<A> <楽>
必殺シリーズ秘史 50年目の告白録(2022) <A> <楽>
01
映画
100日間生きたワニ(2021)
 フリーターでバイトを転々としながら、この町で友だちや憧れのセンパイ(新木優子)の距離を少しずつ縮めていったワニ(神木隆之介)。満開の桜の下でみんなでお花見をするはずが、その日、ワニは花見に来ることが出来なかった。そして100日後。ワニの不在の喪失感を抱えた仲間達の前に、この町にやってきたフリーターのカエル(山田裕貴)が現れる。

 2019年に突如twitterにて爆発的に人気になったマンガがあった。一日一話ずつ、擬人化された動物たちの日常が描かれたその作品のタイトルは「100日後に死ぬワニ」であり、100からカウントダウンされて、一日一話ずつ、徐々に死に近づいていくという話だった。予兆もなく、ひたすら日常を描いているというのが特徴だが、読者側は主人公のワニが自分では何も知らないで死に近づいていくことを思い浮かべながらその漫画を読んでいくことになる。
 それでこれはtwitterでのトレンドを作り出し、「100日後に〜」というマンガが多数登場していった。まさにトレンドの最先端を見ている気分になったものだ。
 ただ、それはやがておかしな方向へと進み始める。「100日後に死ぬワニ」はテレビで取り上げられ、あっという間にテレビでの推しコンテンツへと変わっていった。矢継ぎ早にドリカムによるテーマソングの発表、漫画の発売、映像化と怒濤の展開へとなっていく。しかし、テレビが盛り上げようとするにつれ、肝心なtwitterではしらけたムードが漂うようになっていく。はっきり言えば、誰も望んでいない形に勝手にテレビが暴走したと思われてしまったのだ。お陰で100日を迎えた当日。twitterでは冷ややかに見ている人が多かった。
 思えば著者は何にも悪くないのに不憫なコンテンツになってしまったものだ。
 そのあおりをモロに喰らったのが本作で、完成まで持って行けただけでもご苦労様と言いたくなる。まあ私もこんなミソの付いた作品を観たいとは思えなくて劇場には行かなかったのだから、人のことを悪くは言えない。
 結局レンタルを待ってから観たのだが、結構意外な作りになっていた。
 前述したが、「100日後に死ぬワニ」の重要性は100日後に死んでしまうのが分かっていることを前提に日常風景を見るのが醍醐味だが、それをそのまま映画で作ると、単に後味が悪いだけの作品になってしまう。それで上田監督が選択したのは、全く違う、今度は新しいカエルというキャラを登場させて100日後の物語を描こうというものだった。
 それは作品の良い部分を塗りつぶしてしまうことにもつながり、悪手になる可能性もあるので、敢えてこの方法を採ったのはなかなかの勇気だった。
 それにそれが上手く回避出来たところが意外。これは言い方は悪いが、原作が飽きられてしまっていたため、原作原理主義者がいなくなったからというのが一番だろう。怒る気になれない。
 それに悲劇で終わるのではなく、未来に対する希望を描くということで作品が安定したというところだろうか。炎上して振り向かなくなったからこそこう言う大胆な方法が使えたという事実が面白い。
新規 レビュー TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇全話 TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇事典 完了
バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版
<A> <楽>
VOL.10
<A> <楽>